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源平観戦日記


第1話「ふたりの父」(録画見ながら再度)

■頼朝は御堂の柱を立てる儀式の真っ最中。ふんどし一丁のおじさんお兄さんがよいしょよいしょと柱を立てていきます。お好きな方にはたまらないシーン。
そんな中、馬をかっ飛ばして駆け寄る人がありました。頼朝の妻・政子です。「政子か」と呼びかける頼朝。

…なんか気弱そう。

政子がキビキビした物言いなのと対照的です。一緒にレストラン行ったらどのパスタにするかでずっと迷ってそうな、そんな感じの頼朝です。でも、政子からの「壇ノ浦で平家滅亡」の報告を聞いた部下たちが口々に喜びの声を上げ、さらには清盛を嘲る言葉を発するにあたって、「やめーい!」と絶叫。
多分、普段はあんまり大きな声をあげない人なんでしょう。みんなドン引きしてます。しかし、微妙に引いてたのは頼朝本人も同じ。どうしてこんなこと言っちゃったんだろう、と反芻しながら、自分の中に清盛を真の武士と認め敬意を払う気持ちがあることを認めるのでした。
■ところで。
この政子さんの戦勝報告ですが、『吾妻鏡』4月11日に実際に出てきます。
報告したのは政子じゃないんだけど、立柱の最中に飛脚が来て報告する記述があります。3月24日の報告を翌月11日にしてるわけなので、当時は下関から鎌倉まで急いで馬リレーしてもそれくらいかかるってことですね。
実際は、「滅亡」ではなく、ちゃんと入水したのが誰で、誰は生きてて…ってこまごま書かれています。また、神鏡と神璽は確保したものの宝剣がなくなったこともここで報告されてます。

■OPを終えると、清盛が誕生するちょい前の出来事へ。
清盛の父になる忠盛が、父親についてって盗賊朧月を対峙しとります。朧月は隆大介っす。でももう汚しと目のメイクがすごくて人相変わってます。こわいー! で、この怖い朧月の「覚えておけ、お前が人を斬るは、俺が盗みを働くとおなじことじゃ」という断末魔の遺言が、忠盛の耳に残ります。
翌朝、戦いの血と泥にまみれて帰還してると、そこで関白・藤原忠実と行き会います。ほめてもらえるどころか、バッチイ呼ばわり。忠実、めっちゃわかりやすく「イヤな公家」っす(笑)。
当時、彼らは汚れ役を引き受ける「王家の犬」と呼ばれてたと頼朝がナレーション。確かに、このころの武士って役人としての仕事としてってよりも、私兵っぽい使われ方ですもんね。「朝廷の犬」にもなれない感じなんだろうとは思う。
■きちゃない呼ばわりされたことにキレながら、川で体を洗う忠盛。意識的に若者演技してる。声の張り方が若い。ここで彼は、ボロ布をまとって水を飲みに這って来た女と出会います。
ここで「なんだ、こじきか!」って最初言ってましたね。おっ、今回はいろいろ大らかだ。女が身重だったことに驚いた忠盛は、彼女を屋敷の馬小屋にかくまいます。
で、家人の応援を呼ぼうと飛び出したところで、庭にいた源為義と遭遇します。

…為義、なんで人ん家で勝手に水飲んでるの?

ここは忠盛の屋敷じゃなくて、武士の職場なんだろうか。それとも為義が、勝手に人ん家の冷蔵庫の麦茶飲んじゃうタイプなんだろうか。。。
■盗賊退治してきたと伝える忠盛に、自分との待遇の差でムッとする為義。源氏が見くびられてる!と言ったところに、追い討ちをかけるように頼朝からも「見くびられてるのは、源氏ってよりも、祖父の為義だったのだと思う」ってツッコまれて気の毒。とほほ。この頼朝ナレーション、意外と面白いかも。今度から頼朝の自分の身内へのナレーションに注目しよう。
■ムッとしつつも、為義は丁寧に自分がいま請け負ってる仕事を説明してくれます。
先ごろ鳥羽帝に入内した白河院愛育の養女・璋子の体調が悪い。その原因が白河お手つきの白拍子が身ごもった赤子だとわかったので、白河院は白拍子に子をおろすように伝えた。拒否した白拍子が逃亡し、それを為義は追いかけている…と。
■「手柄を横取りするなよ!」と言い残して為義が去ったあと(このセリフもまた小者っぽいね!)、馬小屋のいななきに驚いて忠盛が戻ると、女が生まれた子どものへその緒を切ってるところでした。おそるおそる、女に「その子は院の子か…」と呼びかけると、ヤバいばれたと思った女が逆上。短刀を手に忠盛につかみかかります。さっき子ども生んだばかりなのに! まさに火事場のクソ力!!
中井忠盛の「あーもう!」とか「うわっ、いってっ!!」とかの叫びが、ああまだ忠盛は若いんだなって感じでほほえましい。今度は赤子もろとも命を絶とうとする女と売り言葉に買い言葉の応酬。
「その薄汚い太刀で、どれだけの命を奪ってきたのだ」という女の言葉が、忠盛の「戦っても戦っても、それが誰かのためになっているという実感がない」という後ろめたさの地雷を踏んだようです。
しかし、口論途中で赤ちゃんがビーと泣き、さっきとは違う母の表情で乳を与える女にちょっと感動する忠盛。
■平さん家では、女を院に突き出すかどうかで家族会議。お父さんの正盛は女を匿うことにNGを出しましたが、忠盛は断固反対を貫きます。女にほれたということではなく、仕事に誇りをもてなくて自分が揺らいでる忠盛にとって、断固守りたい一線だったってことですね。この時点では。

■ここで場面は院の御所(?)。白拍子・舞子を見つけられない為義を叱責中です。
そこに祗園女御登場。ってことはここは院の御所じゃなくて祗園女御の屋敷なのかな??
祗園女御はやんわり白河の暴挙をいさめますが、璋子>>>【越えられない壁】>>>舞子なので、あっさり却下されてしまいます。
で、その璋子さま。彼女を心配した鳥羽は手ずから庭の水仙を包んで彼女に送ったりしますが、一向に具合がよくならない。そっか、養父の白河が恋しいのかなまだ入内したばっかしだしね!と気配りしたやさしい鳥羽は、璋子の里帰りを提案します。
璋子づきの女房堀河局はちょっと苦い顔。まだ若い鳥羽は、年上の新妻に鷹揚なとこを見せようとしたのですが、それが裏目に出てしまう…と。
■ちなみに、清盛が生まれた1118年時点ですと、
鳥羽帝=15歳 璋子=17歳 白河院=65歳 忠盛・為義=22歳 
です。鳥羽と忠盛パパたち、ちょい厳しい…。
清盛は1118年生まれで、没年が1181年。1と8でわかりやすいね!
■水仙の花が当時どういうお花として扱われてたのかよくわからないのですが、少なくとも薬用じゃないですよね(むしろ毒だし)。中国から伝来した花(和名じゃないですしね)のようなので、当時はちょっとオシャレな花だったのかな?

■出産後、舞子はそのまま忠盛の屋敷にいました。世話になりっぱなしは性に合わないとのことで、下働きをしてます。気心の知れてきた彼女に、働けば働くほど体に染み付く血の臭い、目的もないまま汚れていく苦しみを吐露する忠盛。彼に、舞子は「遊びをせむとや生まれけむ、戯れせむとは、生まれけむ」という今様を唄ってみせます。そのまんまだと

子どもたちって、お前ら遊ぶために生まれてきたんじゃないか?ってくらい夢中で楽しそうに遊ぶよね。あの姿を見てると、大人のこっちまで弾んできちゃうよ!

ってな意味ですが、彼女はこの詞を「夢中になって生きる素晴らしさ」と解釈して唄ってるとのこと。遊び女として生活し、そしてどん底を経験したはずの彼女が、「夢中になって生きたい、自分が為す事の意味はきっとわかる」と目を輝かせて語る姿に、感動する忠盛。
舞子役を、目がぐりぐりっと大きくって目力のある吹石さんにしたのはナイス配役でしたね。
■で、忠盛は狩りとった鹿の角を、舞子に魔除けとして渡します。ツンデレの渡し方で
テレた忠盛は、そのまま川でお洗濯する舞子を置いて、ニヤニヤデレデレしながら帰ってきちゃったのですが、なんとそこで舞子は為義一行に見つかり、院のもとに連れて行かれてしまったのでした。
■院のもとに引き出された舞子。祗園女御は璋子の快復を告げ、これで舞子と赤子を殺す必要はないと告げますが、白河は黙ったまま。そこに忠盛も駆けつけ、我が子を安易に手にかけることは院の威信を却って傷つける、だから敢えて母子を匿ったと奏上します。
しかし、白河院のお考えはみんなの予想の上を行くレベルでした。

「でも、助けちゃうと、私がお告げを安易に信じて自分の子を殺そうとしたアホって感じになっちゃうよね。私をアホにしちゃう罪は、母親のほうの命で購ってもらわなきゃね。」

すごい発想です。グレート天下人。さすが、サイコロと川の流れと僧兵以外思うままにしてた人です。もう誰もついてけません。お許しをと何度も平伏する忠盛に、お前が斬れと命令する白河院。曰く、

盗賊を斬るのも、この女を斬るのも一緒だから、簡単だろ?

ああー。これは忠盛さんの地雷です。世の中のために盗賊を斬ってると思いたかった忠盛さんの誇りを踏みにじる一言です。忠盛のリアクションを見て、このままでは忠盛もあぶないと感じた舞子は、赤子を彼に託すと、短刀を持って院に向かい、護衛たちの矢に貫かれます。
血まみれで倒れる舞子。駆け寄る忠盛。舞子がヘンに余分な最期の言葉を言わないところが、子ども託した時点で覚悟を決めてた感じが強まって、よいですね。表情はあまり見えないんだけど、つーっと最期の涙が
伝うところが泣ける。あと、涙を堪えきれないけど、舞子から目を逸らさない祗園聖子ちゃんの泣き方もよかった。

■薄の野原で赤子を抱えて風に吹かれる忠盛。最初、舞子が逃げてたシーンでは野原は緑一色でしたから、1-2ヶ月の出来事だったってことですね。そこにお父さんの正盛が通りかかります。お父さん、さすが秋風が似合います。できれば木枯らしのほうがもっと…。
「この子に似合う名をつけてください」と言い残した舞子。その言葉に対して、忠盛は、赤子に「平太=平氏の長子」という名を与えることで答えました。のろわれた子呼ばわりされた子、けれど母親が命がけで守った子を、わが子として平氏の子として育てあげることで、彼は自分の「心の軸」を生んだのです。
■へいた、へいた、平太、と何度も呼びかける忠盛。呼びかけられた赤ちゃんがにこっと笑うところ、忠盛が微笑みながらほろっと涙をこぼすところは泣いたわー。もう脳内でですね、さだまさしの姿をした妖精さんがですね、熱唱してるわけですよ、「なきたいときこそわらえー くるしいときこそわらえー」。うわーん!!

■で、それから数年。赤子はまえだまえだ弟に成長し、知り合いの漁師さん&その息子の鱸丸と、忠盛パパと小船で海を見に行ってました。忠盛パパはイクメンが身についてる感じ。
鱸丸くん、って名前。鱸は出世魚なので縁起がいい名前なんでしょうね。平家物語巻1「鱸」ともかけてるのかな。
■で、船に乗って遊んでるところに、小規模ですが海賊船発見。宋との交易船が海賊に襲われたようです。パパ盛(めんどくさいからもうこの呼び方でいいや)は毅然と海に飛び込み、海賊に殴りこみ。
海賊側が朧月たちのように統制とれてる武装集団ではなかったようなので良かったですが、パパ盛、部下たちが駆けつけるまでターザンみたいにロープであっち飛びしながら奮戦ですよ。強すぎ!
このしーん、交易船の船乗りさんたちが端っこで固まって避難してるのとかが、リアルで可愛かったです。で、忠盛たちが勝利したらみんなで「わーい」って喜んでるの(^^
ところで、戦いの後にパパ盛が宋剣パクってるんですが。交易船は平氏所有の船で、彼らが海に来てたのは、その到着を待つためだった…ってことかな。
■平太は、あの事件の後に嫁いできたパパ盛の正妻・宗子のことを慕い(実の母親と思ってたのかどうかはわからん)、祗園女御にも可愛がられて、すくすく育っておりました。
祗園女御は忠盛からの経済的支援を受けていたので、彼女は忠盛をとりたてて…みたいな説明をしなくてもよくなったので、舞子のエピソードが巧く使われてますね。

■一方、ダウナー真っ盛りなのは鳥羽帝。
なんと、白河は璋子を娘として愛育してただけではなかったのです。白河院は、璋子が生んだ親王・顕仁への譲位を鳥羽に迫ります。それってつまり…
善良な鳥羽は、顕仁に父として優しく接しようとはしてるのですが、お父さんにお習字みせてごらんと言ったら、「はいっ!」と元気に白河にお習字を見せに行くような状態。しかも、鳥羽以外はみんなそれをほほえましくみてる状態。
仕事へのプライドも男としての矜持も全部踏みつけられて、でも、お花畑を踏みつけるくらいの逆ギレしかできない鳥羽。
白河&璋子のシーン、部屋の近くに女房が後ろ向きで控えてるのが、「爛れてる」感じUPでしたねー。

■平太のほうでも、暗雲が。
弟・平次の怪我がきっかけで、平太が「あれ? お母さんは僕をほんとは好きじゃない?」と思うできごとが。さらに、偶然出会った朧月の息子(まえだまえだ兄。「てっぱん」のときのままのキャラで笑った。可愛いわ~。)にも「お前は出世のために忠盛が法皇からもらいうけた子」と暴露され、ショックを受けます。
真実を教えてもらおうと向かった祗園女御の屋敷で法皇に遭遇、そこで犬っころ扱いを受け、またショック。
さらに、可愛がっていた犬・岬丸が他の犬にかまれて死んだ姿を見ることに…もうショックのダメ押し。
その平太をに、忠盛は慰めの言葉はかけませんでした。彼が法皇の子であるという事実を告げ、しんじつ平太が犬ころであること、しかも王家の犬どころか平氏の犬であると言い放ちます。悔しいなら、強くなれ。
忠盛が突き刺していった宋剣を、幼い力でなんとか引き抜く平太。平太はまだすべてをわかっているわけではありませんが、忠盛の思いを平太が受け取った瞬間なのでした。

■ところでところで。
舞子が殺されるシーンで院のそばにいたのって国広富之でしたよね。どうしてこんな大物が!? と思って、クレジット見て納得。藤原長実だったんですね! 彼はこのあと出てくる璋子のライバル・得子のお父さんです。まだ出番があるってことかな。
by mmkoron | 2012-01-09 19:34 | 大河ドラマ「平清盛」

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