源平観戦日記


第4話「殿上の闇討ち」

■先日、自宅に地域の広報誌みたいなのが届きまして。そこでの特集が「清盛にちなんだ名所」だったんですね。私が住んでるのは岡山なので、水島とか藤戸とかが紹介されてたんですけど、成親墓がスルーだった。えーーー!! 岡山で平家・清盛関連っていえばやっぱ成親墓だよ。
吉備津神社の隣という素晴らしい観光地配置なのに…。
■もうちょっとあたたかくなったら呉に行ったり、おかんと厳島神社に行ったりするつもり。私、今年のために異動になったに違いない、と勝手に運命を感じてます。(気のせい)

さて。大河感想です。

■いいですねーいいですねー。
今回、「殿上の闇討ち」ってタイトル見て、「あの事件だけで45分もつの?」って思いましたが、前回のアンサーに当たる回ですね。大河ドラマに数回ある、「話としては地味だけど、ストーリー上は必須のおはなし」でした。今回は、
・なぜ前回、忠盛パパは清盛を「平家に必要だ」と言い切ったのか。
・源氏の父子と、平家の父子の対比
・忠正の、平家一門への思い

といった、今後の根っこにもなりそうなお話が一気に描かれました。


■最初は、清盛の職場・北面の武士たちの流鏑馬シーンから。
佐藤義清が華麗にキメたのに大して、清盛は失敗続き。
このドラマの清盛は「腕がたつ」って設定というわけではないようですね。私も清盛にはあまり武芸達者な印象なかったので、そこはイメージどおり。
■で、かっちょよく(清盛はあまりカッコよくなかったが)騎馬姿を披露した北面の武士たちでしたが、次に「待賢門院様のおともだぞー」と何をするかと思ったら、一心不乱にみんなでお化粧。
清盛が「なんじゃ~ぁ!?」と叫ぶのが可愛かった。今回、清盛の表情がコミカルで面白いね。
男の職場だと思っていた北面が、お洒落にご執心なのが、清盛は気に入らないようです。
男塾だと思って入学したらラコンブラード学院だったような気分でしょうか。体育系の清盛さん、お気の毒です。
■で、待賢門院さまは、女房たちと歌のお披露目会。
女房たちに感想を、と言われて清盛はうかつにもシモネタ投入。女子会に声かけられてシモネタはいかんだろ清盛。しかし、この清盛以上に笑えたのは、彼の次に感想を求められた義清。

「イケメンがしゃべりまーす!」的なBGM流れた~!!!

なんだか「アンジェリーク」の「滝でお祈りしてたら守護聖が出てきて恋愛イベント始まった」みたいな、うさんくさい演出始まった~!!!

今回、なんか演出が全体的に独特。わざとベタにやってるのか、天然なのか…。
あと、このシーンでは堀河局の表情が面白かったです。女房仲間にさすがですねーって褒められて、控えめにしつつ「もっと言って!」的に笑いがこぼれちゃうのとか、義清に見事に赤ペン添削されて「ぐぬぬ」って表情になるとことか。この人は、たまこさんと違って、表情が人間的でほっとする。眉ないけど。

■さて、義清が提案した、堀河局の和歌をより艶めかしくした改訂案を気に入ったたまこ様。
たまこ様にも和歌に込められた心情を理解する力はあるのねーと思いきや、「あやまちを私に一言わびてくれぬか」という鳥羽院の搾り出すような頼みを聞いて、あっさり「私がわるうございました」。
院はあまりに葛藤なくするっと言われちゃったことに唖然。
堀河局も飛び込んできて、「自分の罪を認めるようなことをなぜ言うのですか!」となじる。
でも、たまこ様は「私がここにいるのは、妃の務めではないのか?」。
たまこ様は何が悪いのかわからない。でも、お仕えしている鳥羽院が謝りなさいと言うから、言われたように謝るのがおつとめだと思ってる。むしろ、なぜ命令に従っているのに怒られるのかよくわからない。あちゃー。
■今週の鳥羽院パートも面白いですねー。
ここの鳥羽院はすごくピュアなんだけど、でも一方で摂関家の台頭に牽制をかける、権力者の一面もある。藤原忠実への引きつった笑みが、「この人、いっぱいいっぱいで、糸が切れるギリギリの精神状態なのかもな」と感じさせられます。
忠盛が寄進した仏像群にひれ伏して感動する気持ちがわかる。鳥羽院の、「もうやだ。絶対的に美しいものに包まれて安らぎたい。」って気持ちを巧く掬い上げる忠盛は、ほんと老獪ですね。

■で、鳥羽院をカンゲキさせたご褒美で、昇進です。昇殿がゆるされる身になりました。
…と書くと、なんかワイロで昇進したみたいですが、「こんなありがたい御堂を作ってまで、天下のことを思ってくれてありがとう。→昇進」ですね。建前上は。
伊勢平氏念願の「殿上人」になった忠盛パパ…だけど、清盛は素直に喜べない。
でも、さぁさぁと促されて、必要以上にさわやかにお祝いのコメントを述べる清盛。ちょっと大人になりました。ひととおり述べたあとに「ね、ちゃんと言えたでしょ?」みたいな顔するのがお茶目です。
で、それを押しのけて、忠盛の弟・忠正が飛び出してきて嬉しさに号泣。忠正はこの先清盛の敵になるわけだけど、ここで忠正は私利私欲じゃなく、平家一門の栄えを心から願っているけなげなヤツだってことが描かれます。うんうん、今回はほんと、この後の展開に必要なベースを丁寧にひとつひとつ置いていってる感じですね
で、殿上人になったお祝いパーティーが始まるんですけど、これが全然セレブパーティーじゃなくて、おっさんの裸踊り宴会なのがほほえましい。
■一方、負け犬状態の源氏さん家では、為義パパは自棄酒を飲み、息子の義朝はそんなダメ親を見かねて「父上がダメだから俺の進路までダメになってるじゃんか!」と責める。それなりのお屋敷の風景なのに、もうこの情景が星飛雄馬の長屋にしか見えない。こないだやってたNHKドラマ「とんび」の失敗バージョンっつーか。うわーつらすぎるー。

■また舞台は平家のほうに戻る。
藤原家成さんが、有名どころ貴族を招いて、忠盛パパの社交デビュー会を開催してくれたようです。
家成さんは、忠盛パパの顔を方々とつないであげようと配慮してくれたようですが、ここでこのパーティーが、昔のアイドル漫画や大映ドラマも真っ青のベタなイジメ会に…。
■ここで脱線ですが、まめ知識。清盛の隣に座ってた義清が、この宴に同席してる理由を「私は、(この宴に招かれた)徳大寺実能様にお仕えしているので」と言ってましたが。実能サマというのは、待賢門院のお兄さん。この人の孫が、近衛・二条両帝の后になった藤原多子と、平家物語巻二「徳大寺之沙汰」に出てきた藤原実定さんです。
■イジメパーティーの話に戻ります。このいじめかたがベッタベタ。
 ・無茶振りで舞を舞わせる。
 ・わざとリズムを乱して、踊りづらくする。
 ・みんなで水をぶっかける
すごいです。「ステージ衣装に墨汁ぶっかける」「水着着ようとしたらふんどしにすりかえられてた」並のベタベタっぷりです。
「うっそでー。こんなベタなイジメとかしないよ。」と思いたいところですが、宇治拾遺物語の「あおつね」君の話とか見てると、わりと中学生レベルなので、こういうのもやるかもしれませんな。

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■あおつね君の話をかいつまんで解説(かなり意訳)■
親王の息子かなんだかに顔色の悪い公達がいて、同僚みんなで彼を「青常」と呼んでた(ひでー)。
帝がそれを聞いて、そんないじめやめなさいと言ったので、「じゃあ、今度アオツネ君って呼んじゃった人がいたらペナルティね!」ということになった(こいつら帝の意図をわかってねー)。
そしたら、うっかり早速一人「そういや、あのアオツネ君はどした?」とか言っちゃったヤツがいて、「はい、ペナルティ! お前のおごりねー!」って話になった。そいつの主催でアオツネ君ごめんね会をすることになったのだけど、そのパーティーときたら、給仕がみんなで青色の服着てるし、ごちそうは青色系でそろえてるしで、もう青・青・青! だった。もう呼ばれたみんながバカウケ。
帝もその様子を知ったんだけど、「ほんとこいつらときたら(苦笑)!」ってな反応で、結局アオツネ君ややっぱりアオツネ君呼ばわりのままだった。
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これ、洒落てるといえば洒落てるけど、「うんこ踏み男」ってあだ名つけられた子がいて、先生に「そんなひどいあだ名はやめなさい、謝りなさいね」ってたしなめられた男子がみんなで「●●君のこと、うんこ踏み男(大声)とか言ってすみませんでしたー!!」「●●君がうんこ踏んだ(大声)って笑ってすみませんでしたー!!」って謝ってるようなレベルとも言えるよな。

■まぁそんなベッタベタ攻撃を受けつつも、忠盛は表情を崩すことなく大人の対応を通したのでした。
家成さんの「もうそのくらいでいいでしょう!」って制止がかっちょよかったっすね。
まぁでも、このイジメは摂関家の忠実&忠通さん直々のプロデュースだから、それ以上強く咎めることもできないんだよな。家成さんちは鳥羽院のご寵愛で引き立ててもらってる新興系のおうちですしね。
■忠盛の大人の対応でするっとかわされてしまった形の忠実さんですが、しかしムカムカは収まりません。
で、忠盛に10周分くらい差をつけられてしょげてる為義を呼び出して、「殺っちゃえよ」と発破をかけます。俳優さんのコワモテも手伝って、なんつーかもう貴族ってよりもマフィアです。首領と書いてドンと読む感じです。
そんな個人的な妬みで鳥羽院に引き立てられた忠盛殺したら、為義は間違いなく罪人ですがな。
武士は手駒にしか思ってない忠実、結局その手駒に甘んじるしかない為義。
■そんな危機など知る由もない忠盛はドキドキ殿上初出勤。門をくぐるときの、見送る家貞の表情がよかったなぁ。ほんとに「見守る」って感じのあたたかい表情だった。
で、忠盛は、

なぜか巨大迷路状態になってる庭を歩く。

■この庭は布で通路が作られてますが、20年位前、でかい板で仕切られた迷路って郊外にありましたよね。私、家族で2回くらい行ったわー。で、2回くらい、その迷路で家族から置いてけぼりになって泣く夢も見たわ(哀れ)。
この迷路の途中で忠盛が「おかしい…先ほどから何度も同じ場所を通っている気がする…」とか言い出すのかと思いましたが、そんなことはなく、背後から刺客となった為義さんが登場しました。
これ、忠盛は振り返る前は相手が帯刀してる気配だけ読みとったんですよね。で、振り返って、為義だとわかったんですね。振り返らないままいきなり「む、為義どのか」だったら、なんか超能力者みたいで興醒めですから、このくらいの「デキる男」感がかっちょいいっすね。
■で、微妙にかっちょ悪いのは、刺客となった為義。でもここで、切ない心のうちをぽろっと語ります。もちろん為義だって、こんなことしたら自分は重罰に処せられることはわかってます。それでも、「わしが義朝にしてやれるのはこれだけだ」。出世のきっかけを持てない愛息子・義朝のために、自分がライバルと刺し違えることで突破口になるしかないと、そう思いつめてるんですね。
義朝になじられ、忠実に怒鳴られ、「自分が何かしなきゃ…!!!」と追い込まれてしまったのでしょう。小者っちゃ小者なんだけど、でも立場に比して弱いのは、必ずしもその人のせいじゃないよね。せつない…。
それを聞いて、はっとする義朝。ダメ親父はダメなりに、一生懸命に息子の幸せを考えてくれてたのです。
■父親の真意を知ってはっとするのは、清盛も同じ。「王家の犬で終わるつもりはない」という忠盛の言葉を、まばたきもせずに見つめる表情が良かった。「あこがれ」でも「おどろき」でも「呆然」でも「感動」でもない、全部合わさったような表情。

■で、宴が終わって。
まずは、為義&義朝父子の会話。
ダメ親父でもいい、親父がダメな分俺がやりかえしてやる。これがこの父子の成長の形です。
忠盛&清盛父子は、それとは逆の、父が子を導くかたち…に見えて、それだけではなかった。
「いつから、王家の犬で終わりたくないと思っていたのか」と尋ねる清盛に、パパは答えます。赤子だった清盛を抱いて、「平太」と名づけたときからだと。
あのときの思いと清盛の存在が、忠盛を導き、王家の犬で終わらないという信念の原動力になっている。だからこそ忠盛は前回のお話で、清盛のことを「平家になくてはならぬ」と断言していたのですね。
自分の意味、父親の思い、そのすべてではないだろうけど、両方を垣間見ることができた清盛。今回は、幸せな終わり方だったなー。

■ここまでの中に書きそびれちゃいましたが、義朝と清盛が殴りあったりぼやきあったりしてる川原のシーン。
あのシーン好きです。青春って感じで!
「父親を交換するか?」って義朝の提案は、漫画描く身として「いいねそのネタ!」と膝を叩いちゃいましたよ(笑)。為義パパと清盛のコンビは面白そうですね。為義パパは「出世の糸口を見つけるときにかぎって、身内家族がそれを台無しにする」ってイメージあるんですけど(本人も問題行動あったのかもしれないけど、本人がやらかすってよりも、管理できてないってイメージだなぁ。)、この大河の清盛は、しっかり台無しにしてくれそうだ(笑)。
■私は平家物語の「父と子」描写がすごく好きなので、今回のお話はかなり好きですわ。為義、いいですね。為義がほんとにそうだったかは知らんけど、今よりもっと、自分の立場と自分の特性や持ち味とがアンマッチで苦しかった人は多かっただろうなと思う。
現代は現代で、自由が大きい分うまくいかないのも全部自分の責任だから、苦しいんでしょうけどね。
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by mmkoron | 2012-01-31 01:44 | 大河ドラマ「平清盛」

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