源平観戦日記


第11話「もののけの涙」

■世間は飛び石連休ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。私はといいますと、

きゃっほー!今回は飛び石連休にできました!!

というわけで、せっせとGWを目指して漫画のネームをきってます。
旅行もちょっと考えたんですけど、でも来週広島行くしまぁいいかって思って。
■そうそうそうそう、来週は土曜日に仕事したあと、夜入りで広島に行って来ます。大河の人物デザインの人のトークショーに当選したんです。
NHK広島がちょくちょくトークショーとかイベントをやってて、ずっと人物デザインか舞台監督かで狙ってたので、今しかない!と。どんな話が聞けるのかな。最近仕事で「私、取材スキルが下がってるかも…」と思ってたので、ちゃんとメモとって聞いてこようと思っとります。そのご報告はまた別項にて。

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■さて。今回は内容ぎゅうぎゅう詰めでしたね。
ちょい詰め込みすぎちゃう?って思ったんですが、次回でたまこさまと鳥羽院の話がクライマックスなので、そっちに余裕を持たせた形ですかね。

【義清出家の波紋】
■義清君の出家は、親友・清盛だけでなく、一夜の不倫相手だったたまこさまの心にも小波をなげかけました。堀河局の表現は的を射てますね。さすが和歌フレンド。
確かに、和歌って、ほんとに達者な人同士だったらものすごい「自己開示&開示内容の受け取り」なんだろうな。漫画はあんまし自己開示としては伝わりづらい気がする。表現内容がシンプルになればなるほど凝縮された自分が出ちゃうってことなんだろうな。
■それから、波紋どころか思い切り揺さぶられちゃってるのは崇徳院。
義清に対して「この人だけは自分の魂をわかってくれる」と思っていたのに、その義清がこの世からドロップアウトしちゃったのですから、もうショックです。
しかし、そんな崇徳帝に対して、自分も似た立場であったこと、しかし自分は自分の意志で生きていくと宣言する清盛でした。別に崇徳院を励ますって雰囲気でもないですが、転んだ子どもに対して「自分で這い上がって来い」って呼びかけるのに近いカンジかな。自分で乗り越えなければならないものだと、経験でわかってるんでしょうね。清盛も大人になってますね。
■このあとの、義朝のところでも書きますが、このドラマ、若者が成長してく姿がいいですね。あっちこっちにゴツンゴツンとぶつかりながら、自分らしさを獲得してく姿が好きです。「自分らしさ」が、ぶつかりながら周囲との関係性で獲得してくものとして描かれてるところに共感します。

【崇徳帝の決起とその顛末】
■意気消沈気味の崇徳帝でしたが、そんなときに、血を分けた子・重仁親王が誕生します。赤ちゃんを抱きしめ、涙を流す姿で、彼がどれだけ寂しかったかわかる。短いカットですが良いシーンですね。
この親王の生母は身分低い侍女ですが、しかし崇徳帝はようやく生まれた自分の「家族」になんとしても帝の位を譲りたい。そして、今度こそ自分が政の表舞台に立ちたい。
崇徳帝ははじめて鳥羽院に対して、自分が政をする!と宣言します。
■ここで慌てたのが、娘・聖子を崇徳院の中宮にあげている藤原忠通です。聖子の養子になっている体仁(生母は得子、父親は鳥羽院)が次の帝になると思ってたのに…とアワアワです。
そんな慌てなくても、重仁も聖子の養子にしちゃえばいいじゃん、重仁の生母の身分は低いから恩を売れるし…って思いたくなるわけですが、聖子が体仁の世話にかまけてる間に、帝が侍女に手をつけて生ませたのが重仁ですから、応援する気になれない…ってことなんですかね。
■しかし、キーキーする忠通に比べると、得子は根性が据わってます。ここで重仁をエサに、崇徳帝をいっきに丸め込みにかかりました。曰く、

・直接重仁に譲位するのではなく、いったん体仁(中宮聖子の養子なので、帝の養子でもある)に譲って、ワンクッションおきなさい。
・崇徳→体仁→重仁 にすることで、中宮聖子と父・忠通の面子も立ちます
・重仁は私(得子)が面倒みます

崇徳はなんで得子の言うことなんか聞いちゃうのー!?って思うんだけど、彼にとっての敵は自分の両親だから、得子は外野的な認識なんでしょうね。
この提案を、崇徳は受け容れ、譲位が行われます。
■しかーし。そんな譲位当日に衝撃。
譲位の詔の文言を聞いてた崇徳は、仰天して玉座からまろび出ます。
なんと、体仁への譲位が「(養)父が、息子へ」ではなく、「兄が、弟へ」の趣旨で説明されてたのです。
仰天した理由は崇徳院が茫然自失しながらも説明してくれてましたが(笑)、父が子に対して譲るからこそ院政が可能になるのであって、兄→弟ではできないんだそうです。

いや、そんなことないっしょ。やればいいじゃん。

と、現代に生きる私とかは普通に思うわけです。
先例偏重で本質的ではないこと(や、タテばかりでヨコやナナメに動けないこと)を「お役所仕事」って言い方したりしますが、まさにその「お役所仕事」がこの時代には既に出来上がってたわけですなぁ。
この先例主義に縛られなかったのが白河院です。自分の奥さん(賢子)が泣くなって、身も世もなく泣き叫んでたときに、周りが「死は穢れなので、これ以上なくなった奥さんにひっついてちゃだめです。こんな前例ないです。」ってたしなめたら、「じゃあ俺がその例の最初だ!」って言い切ったっていう。
みんな白河院の亡霊に踊らされて、彼を超える強烈な意志を発揮できないわけですね。ま、できちゃったらソイツが主人公になっちゃうわけでして、その場面は清盛が成長するまでしばらく待たねばなりません。
■そんなこんなで、結局院政で政治のイニシアチブをとるのは、変わらず鳥羽院(=体仁の父親)のままです。ここでの崇徳の呻き声が既にホラーでした。
この崇徳院、普段の作ったカンジのひょーんと高い声と、ホンネ(主に周囲への恨みつらみ)を吐き出すときのドスの利いた声とのギャップがこわいっす。
鳥羽院のキレ方とはまた違いますよね。彼はピュアな人が「キー」ってなってる感じだけど、崇徳のほうがなんかどす黒い別人格が出てくる怖さがあるわぁ。これも後々の怨霊化への布石なのかしら。
■この「皇太弟」のシーン、説明しはじめるとややこしいと思うのですが、巧く必要な情報だけ伝えてますね。
・弟ではダメらしい
・帝は知らなかったけど、周囲はみんなわかってたらしい
・決まっちゃったら、帝にはどうにもならんらしい
ってのが、狼狽しまくる帝と平静にスルーする周囲の姿でわかりました。まぁ後のことはわかんなくても困んないもんね。こういう情報の取捨選択は勉強になる。

【世代交代?の平家】
■そんな政局の変動の中、平家は新年会。
「どこの派閥に入る?誰に味方する?」みたいな話題をかわす中で、「朝廷には信用できるやつなんて誰もいないんだから、一番面白いと思える道を選べばいい!」と清盛。
そんな清盛にお小言を言うのは今までは忠正の役目でしたが、そのお役目は家盛にシフトしていっているようです。彼も彼なりに、この家の中での自分の立場というのを考え始めているようですね。
だんだん忠盛の存在感も、背景的になってるし、このあたりの空気の出し方はいいな。
家盛が言っていることは正しいんだけど、最終的にエネルギーとポテンシャルがあるのは清盛のやり方かもしれないな、って思わせる空気もある。
■新春といえばかくし芸ですが、ここで宗子ママがまさかの出し物。
ママと、清盛の嫁・明子&家盛の嫁・秀子の3人で琴・琵琶・笙のアンサンブルです。
忠正が宗子のこと褒めまくりで笑った。多分、忠正の中では、宗子お姉さまがめっちゃ美化されてる。「うつくしくけなげな兄嫁」シチュエーションで。(笑)
昇殿のお許しもらったー!って宴会してた頃から、既に10年。あのときに家来たちが裸踊りしてギャースカ宴会やってたことを思うと、かなり家風が変化してますね。その辺も面白い。
ただ、忠清は相変わらず体育会系っすね。ご飯食べて戦できれば万事OK!って感じがかわいいけど不安。
この人、維盛が富士川に進軍するときの側近ですよね。だからかー(笑)。
■さて、新春かくし芸大会で琵琶の腕を発揮した明子さんは、ご近所のご令嬢たちへの在宅指導も始めたようです。で、助手を探して時子さんをスカウトするのですが、練習サボってた時子さんは、へたっぴぷりを露呈して、取らなくてよい笑いをとってしまうのでした。
今回も時子は源氏物語を読んで「これが源氏の君と●●の出会いなのね~」をやってました。読んでたのは朧月夜と源氏の出会いなので、以前の「若菜巻」から4巻分くらいしか進んでない。たぶん、一回読み終わった後に「●●と源氏の出会い」ばかり読み直してるとみた。ハーレクイン脳(笑)。
■明子さんは、清太&清次の子育てだけでなく、盛国の縁組の世話をしたりと、内助の功を発揮しています。盛国に対しては、自分の出自を恥じる彼に対して、それを超える努力を彼がしていることを称え、背中を押す。この細やかさは、正面からぶつかるタイプの清盛にはないものであり、非常にお似合いの夫婦です。ああ、この「こんな日常がずっと続けばいいな」って、不幸の予兆だよねドラマ的には…(涙)。

【エネルギッシュ全開な源氏】
■さて、平家一門が卒業したらしい、ギャースカな宴会をやってるのが、関東でブイブイ言わせてる最中の義朝さん。彼は関東で戦いを繰り返す中で、すっかり立派なジャイアンになっていました
宴会会場に使わせてもらったお屋敷の持ち主があいさつに来たら、「この家気に入ったわー(圧力)」「どうぞお家ごともらってやってください!」。すげー(笑)。
義朝は成長して野趣を身につけてますね。もともと情よりも行動、クールというタイプでしたが、都にいたときの甘えみたいなものが消えていってる。都で成長している清盛は、調和力みたいなものを少しずつ身につけてる感じですが、環境での違いだよなぁ。面白い。
■このお屋敷の持ち主・ハタノさんは妹も差し出したようで、義朝はその妹もちゃったといただいちゃったのでした。こうして、関東では頼朝のお兄さんがぽこぽこ誕生中です。
かわいそうなのは、都で義朝の帰りを待っている由良です。義朝に会えない鬱憤を為義にぶつけるものの、ついに為義からもキレられちゃいます。所詮は小娘なので、ビビるのが可愛いですね。
でも、謝り方が不承不承なのが、為義のヘタレさというか由良の強情さというか(笑)。
「ただ、私は義朝どのに会いとうて…」と泣き出しちゃうところに、小汚いハンカチ差し出す為義もかわええ。由良に「なんですか!」て突っぱねられてるの(笑)。
屋敷の庭におさるさんがいて、武器の手入れしてる人もいるので、由良が呼びつけてるんじゃなくて、由良が出向いてるんですねー。確かに頼朝のナレーションどおり「一途で、報われない人」だな。


【たまこさまひっそりと退場】
■体仁の即位で、得子側は完全勝利といった状態です。さらにとどめを刺すべく得子は、たまこ様の側近を配流に処します。得子を呪詛したというのがその罪状。
証拠となったのろいの人形をつきつけますが、たまこ様にはわかっています。その人形は、得子が初子である内親王を生んだときに、たまこ自身が得子にプレゼントした、子の成長を願う厄除け人形でした。
得子の罠だと憤慨する堀河局を、たしなめるたまこ様。彼女は、自分のこれまでの他人への仕打ちが自分にいま返って来ている、これを受け止めることが自分の罪ほろぼしであると、覚悟をしているのでした。
そうしてたまこ様はひっそりと宮廷を去り、出家するのでした。
■堀河局も一緒なんですよね。私、この女主人と女房との一体感にも興味あったんですよね。
皇族をここまで生々しく描いてるのも今までなかったと思うけど、女主人と女房の両方がセットではなく別の人格をもったキャラクターとしてちゃんと描かれて、しかも二人の一体感も描かれてるのも、少なかった気がします。「武田信玄」の八重とかそうなんだけど、彼女はキャラ濃すぎて(笑)、「ああ、そんな感じなのかも」とは思わなかったし(^^

【明子の死】
■盛国の縁談も無事まとまったようで、平和そのものだった清盛とその家族でしたが、突如暗雲が。
よりによって、家族の幸福を祈って神社におまいりしたその帰宅後に、明子が風病に倒れます。
風病は風邪ではなく、風に乗って感染したとしか思えない病気、みたいな感じですかね。
明子の場合は、行き倒れていた人を見つけて世話をしていたので、そこで何か感染しちゃったのでしょう。
■お医者さんから効く薬がないと言われ、宋の薬を取りに行こうと家を飛び出すのですが、盛国が必死で止めます。なぜ止めるのかは、後でわかります。
で、今度は明子の病室へすっとんでいこうとするんだけど、感染する病気ですから、平家の嫡子である清盛は病室に近づくことを許されません。義父(明子のお父さん)からも「もしあなたに病気がうつったら、明子がどれだけ悲しむか」と言われて、思いとどまるしかありませんでした。
■忠盛パパ、宗子、家盛、家貞たちが清盛邸に駆けつけたとき、清盛は快癒祈願の読経をする僧侶達の中で必死に念仏中です。しかし効果のない念仏にしびれを切らした清盛は、「そうだ、陰陽師に依頼をしよう!」と憑かれたように立ち上がります。
その言葉にギクリとする忠盛と家貞。忠盛が、最愛の人・舞子を失ったきっかけは、たまこ様の病気平癒のための陰陽師の見立てだったのです。努めて冷静に、「陰陽師などあてにならぬ」と諌める忠盛。じゃあどうすればいいんだ!と食って掛かる清盛。
■一方、明子がそんなことになってると知らない様子の時子が、清盛邸を訪問します。
清次を一生懸命なぐさめてる清太が、事情を知らない時子に「ケンカしてると、お母様がかなしむよ」って言われてたまらなくなって、結局子ども二人でわんわん泣いちゃうのが可愛い。
時子なりに子どもたちをなぐさめようと、琵琶を奏でます。その下手っぴな音で目を覚ます、病床の明子。
明子が目を覚ましたと聞いて、駆けつける(でも御簾の手前でみんなに止められてる)清盛に、別れの言葉を告げます。
明子は清盛が夢を語ったときに、船と海の話を興味を持って聞いて、プロポーズされたときも「海を見とうごさいます」と言ってましたよね。あれ、私は彼女自身にもそういう冒険心的なものがあるのかなーと思ってたのですが、そうじゃなかったんですね。
彼女は、清盛の夢いっぱいの姿に心を寄せ、彼の夢を心から理解したかった、そういうことだったんですね。
海を見ようって約束したじゃないか!と泣き叫ぶ清盛に、あなたの目に映る海を十分に見たと答える明子にほろりときました。
■そうして息を引き取った明子。清盛は泣き叫び、役に立たなかった祈祷の僧侶たちに斬りかかります。それを止めて、悪いのは僧侶たちじゃないだろう、宋の薬を自由に輸入させず、疫病に何の手立てもできない政治をなんとかしよう、それを明子も望んでいる…と諭すのは盛国。
これをするのが、忠盛パパではなく、明子に勇気付けられてた盛国だってのがウマいですね。世代交代も感じるし、盛国の縁談エピソードが、ここにもうまく生かされてる。
この脚本家の人って、エピソードを最大限有効活用するのがすごいと、いつも思います。ひとつのエピソードがその後の3つくらいに関連してる。
自分で「お前がいるから俺がいる」って言ってたくらいですから、喪失感に泣き叫ぶ清盛。
彼の激情を目の当たりにして、打ちひしがれるに留まらない、ネガティブな力の凄まじさに白河院の血を見て立ち尽くす忠盛パパなのでした。
なんていうか、この清盛の血って、初期の「スーパーサイヤ人」的ですね。主人公の隠し能力ではあるんだけど、目覚めちゃうと自分で制御できないっていう。

■というわけで、明子さんが死んでしまいました。
宋の薬が手に入らず(まぁ入っても一緒だったかもしれないけど)死んでしまった明子さん。しかし、彼女が遺した重盛は、宋の薬を手に取らずに死んでいくんですよね…ああなんとも皮肉な。
明子との関係が、重盛の性格もそうですし、あとは時子が正妻になった後も、清盛が重盛を尊重し嫡子にすえ続けてたことの根拠になってる。これまであまり注目されてなくて、多分歴史を学ぶという観点では今後も掘り起こされることはないと思われる彼女ですが、こうやってそんな彼女に生きる場面を与えることができるのが、「物語」の良さですね。
宗子が「うるさい継母」ではなく、ちゃんと院の近臣連中との接点として機能しているところもそうですが、女性の使い方は上手だなと思います。
■あとは、恋愛ドロドロが終焉に向かう中で、やり手政治家として目覚めてきた得子さんが注目株ですかね。鳥羽院が存在感を失っていく中で、彼女が単独で動き出してきてます。そこも楽しみです。
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by mmkoron | 2012-03-19 00:20 | 大河ドラマ「平清盛」

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