源平観戦日記


パパもなくなったので、ちょっと自分の感想を整理。

■もう16話ですか。今回の大河が何話まであるのかわかりませんが(サイトの「次回予告」枠は50までありますね)、1/3が過ぎて、次は保元・平治編突入だろう(最後の1/3が、いわゆる「平家物語」なのかなと)ということで、ここで、今まで見てきて、「今年の大河の好きなところ」「ちょっと…なところ」を整理しようと思います。
あとで自分が「あーこんなこと考えてたんだー」と思い返すためってのが主目的ですが、何かのついでにつまみ読みしてもらえたら幸いです。


【「平清盛」のここが好きだ】

1)人物の描き方に遠近感がある

■清盛は、ものすごくブレの大きな人ですよね。世の中を変えるー!って言っても行動がついてかない。
虚勢を張ってても実態はすごく自信がない。アウトローを気取っててもものすごく人恋しい。
こんな風に清盛がわりと混沌とした描き方ですが、こういう「まぁこれが人間だよなぁ」ってリアルさは主人公だからじっくり見せることができる。
■で、比較すると、清盛から遠景にあたる人…頼長たち貴族とか、皇族とかはもっとシンプルな人物設定ですよね。キャラは濃いけど、そんなに深くない。で、清盛の家族たちは、ちょうどその中間のリアルさを持ってる。
すごく考えて人物を設定して、自制して動かしてる感じが好き。
これで、描き手が暴走すると、遠景の人間がやたら深くなったりするんですよね。そういうのは引く。
…これは、オタク的視点での感想ですね。

2)清盛がわりとダメな人(笑)
■清盛って、人生の成功者じゃないです。
確かにものすごく成り上がれたけど、自分が夢見ていることに、誰も底の底からは共感してくれない。
自分はいますごく充実してるけど、これが続いていく手ごたえをもてない。
大河「義経」のとき、ひとりで福原にぽつんと残ってる後姿のカットがありましたが、私、あのカットは印象に残ってるなぁ。
■今、忠盛が「心の軸」って言ってますが、私、このドラマで清盛が「心の軸」を完成させてほしくないなーって思ってるんです。ただでさえ一門滅びるのに、内面的成功までナシになったら物語として聴衆が満足しないので、無理だと思うけど…。
だから、今のブレブレの清盛もわりと好きです。ものすごくゆっくりだけど、じわじわ成長してますよね。
で、この清盛…感情の振り幅が大きくて、動いてから考えて、しかも後悔するタイプで、家族のことが大事…この清盛が、『平家物語』の清盛につながってくイメージはわりと容易にできます。
■ドラマを見てて、「『平家物語』の清盛は違います、本当はこんなにいい人なんです」ってアプローチじゃなく、『平家物語』の清盛像を生かしながらチャーミングにしてくれていると感じるから、非常に気に入ってます。
私、松山ケンイチ氏の演技も、ここ数年の中ではかなり良いと思うんですよ。ぎゅっとにらんだときに、怒ってるのと後ろめたさがあるのと寂しさがあるのと、ちゃんと違いますよね。セリフなくても見てりゃわかるのは、すごいと思った。漫画原作の作品にばかり出てるイメージあったので、演技もキャラっぽいのしかできないのかと侮っててすみませんでした。

3)時代の捉え方
■私が『平家物語』を好きになった理由は、覚悟して滅んでいく姿が美しい…とかじゃなくて、その滅びに向かうしかない状況の中で皆がじたばたしている、体当たりで砕け散っていく人もいれば、逃げて逃げて、でも運命に捕まってしまう人もいる。それでも、何か自分で自分を表すものを選んで消えていく。自分で自分の生き方を決める選択肢が非常に狭い時代で、そうやってじたばたするエネルギーに、共感というか「ぎゅっ」と来たからです。
うーん、なんて表現すればいいんでしょうね。そういや先日FF零式だっけ、あのゲームの主題歌聴いてて、「一本道の途中で見つけた自由だ」って歌詞があって、じーんこれは私が平家好きなのと通じるわぁって、ゲームの内容知らないけど思ったんですよ。知章が知盛を逃がすのも、瀬尾が太った息子のところへ戻っていくのも、時子が宝剣と帝を抱いて沈んでいくのも、一本道の中での精一杯の自由の行使だなと。
■で、今回の大河のコンセプト「たくましい平安」。
あのキャッチ見たときに、この先どんなダメダメグダグダになったとしても、掲げたこの目標を取り下げない限りは応援し続けようと決めました。私が『平家物語』をはじめとした源平作品を読んで一番心をつかまれたところに、この製作者の人たちも心をつかまれたんだとシンパシー感じたから。


4)「王家」の描き方
■敢えてこの表現を使います。だって、「皇室」って書くと、今の皇室との連続性をイヤでも意識しちゃうもん。元々この単語を使う背景って、それもあると思います。
■「太平記」のとき、ちょっと不満が残ったのは、護良親王のあたり。当時は南北朝を舞台にしただけでも大事件だったから、後醍醐が悪かった…とはあからさまには描けなくて、護良親王のあたりがちょっともやっとした出来だったんですよね。
でも、今回の帝や院の描き方って、もうほかの登場人物との区別ないですよね。これ、ものすごい挑戦だと思うんですけど、今までの大河でここまでってなかったと思うんだけど(「大化改新」とかも結構遠慮がちだったよね)、あまり話題にされなくて、ただ上っ面のところだけでバッシングされててもったいない。
その延長ですが、「明らかなワルモノ」がいないってのも好きです。白河院も、どこか内面に「恐れ」を抱えた人でしたよね。敢えて言うなら、後白河が明らかにワルモノっていうか、視聴者が心を寄せる「隙」が少ないように思いますが。今後どうなるのかな。

5)挑戦するのが好きだ
■戦国にしときゃいいのに、あえてマイナーな時代を選んで、それでこれだけのものにしてくれてる。
役者にオファーするときに、役者さんも登場人物のことを全然知らないから、一人ひとり説明のペーパー作った…って話あったけど、あらゆる材料が少ない中で、私が大好きなこの時代を、手間がかかるの覚悟で選んでくれたことに感謝します。本当に好きだと思ってなきゃできないと思うから。
■これは視聴者・お客さんというよりも、別の世界で何らかの仕事をしている人間としての共感、この時代を好きで漫画という製作してる人間としての共感です。
役者選びも、私、かなり手堅いと思ってます。ここ数年の中で「演技ヘタすぎてみてられない」人物がほぼ出てこないのは久々。深キョンが微妙だけど、まぁ彼女は松坂慶子と同じ大根が演技としての味になるタイプだから。(そういやどっちも時子なんですね)
頼朝夫婦もちょいあぶないかな? でも、二人の年齢を思ったら、いいんじゃないですか。人間、大舞台に立たないと成長しないでしょ。成長の場を与えるのって大切だと思う。で、今の世の中、お客が完全な完成品ばかりを要求して、「育てる」気持ちの余裕がないことのほうがすごく問題だと思ってる。

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【清盛のここはちょっと。】

1)人物がわかりにくさは、おそらくスタッフの想像以上
■職場の人とかと話してても、この時代の人間の名前と立場は全然一致してないんですよね。
「保元の乱」とかは覚えてても、なんか分かれて戦った…くらいの知識で(むしろ高校生とかのほうが名前はわかるのかもしれん)、どういう経緯で…なんてわからない。よくよく思い出せば、私も高校時代にこのへんって図式だけで暗記した記憶あるもん。高校の社会の授業って、日本史も世界史も公民も(地理も)だから、もう詰め詰めですもんね。
■でも、多分「どういう時代なのかしら?」って興味を持っていた人もいると思うんです。しかし、ややこしいから脱落するし、フィギュアやってるしそっち観るかーってなるよなぁと。

・服装のバリエーションがあまりないので、見た目での区別がつきにくい。
(役者がわからないお年寄りにはしんどそう。江が色分けになってたのは、ある意味賢かったなぁと。あと天地人のマンガっぽい髪型も。)
・時期ごとに「帝」「院」「法皇様」と呼ばれている人間が変わっていく。
・画面が暗いので、役者の区別がつかないと誰が何を言ってるのか区別つかない。

このへんが要因ですが、なかなか本編の演出でどうこうするのは難しい。
■いっそそれを逆手にとって「この時代がわかる」くらいの見せ方にすればよかったのにとも思うんです。冒頭で見所ダイジェストありますよね。あそこをコテコテ人物説明にするとか。サイトに関係図載せてるけど、サイトって基本興味がある人だけが行く場所だから、「ながら見」の視聴者に対しては不親切ですよね。
ただ、「この時代がわかる」にしちゃうと、許容幅が狭い人が「実態と違う!」って文句つけるのかもしれないけど…。うーん。でも、個人的には、史実とドラマの違いへの認識は、視聴しているそのご家庭の中で解決すべき問題だと思います。


2)清盛の性格
■これは変えられないし変えなくてもいいんだけど、絶対あるよなーと思う。
私、「風林火山」って大河がどうしても観れなくてですね。1話とかワクワク観てたし、「武田信玄」も観てたし、前述の「おんな風林火山」の件もあって、武田に興味はあったんだけど、もうとにかく主人公の山本堪助のキャラクターが嫌いで嫌いで。
■役者さんは別に嫌いじゃないんですよ。むしろ巧いと思ってた。
でも、あの悦に入ってるテーブルトークRPGプレイヤーのような(笑)、策と真心の距離が測れてないような、あの感じがどうにも好きになれなかった。で、彼が出てるシーンを見てられないから、結局ドラマを見れなかった。世間で不評だったお姫様とかは好きだったんですけどね。
で、清盛ですが。このドラマの清盛も「この性格がどうして好きになれないー!!」って思う人はいると思う。あと、主人公にそんなにアクがない通常の時代劇(上様だって黄門様だって、ドラマの鬼平にしても、そんなに個性強くないですよね)が好きなお年寄りにもキツいだろうな。


3)スカっとしない
■この先の、保元も平治も、福原遷都も、多分あまりスカっとした成功談にならない。
1話1話もあまり、「清盛ピンチだー!」→「うまく乗り切ってカタキ役がぎゃふん!」って展開じゃなく、清盛は常にもやもやを抱えてますよね。
私とかは、そこがたまらん(笑)とか思うけど、丁寧に伏線張ったりとロングスパンで見ることは非常に意識されてるけど、1話1話のスッキリ感が足りないと思います。
■で、清盛のこの先の展開を考えていてふと思ったんだけど、「毛利元就」の最終回があんなトンデモだったのって、同じく「スカっとしない」からかもなー。視聴してたときは「なんじゃこりゃ!」だったけど、じゃあ普通にエンディングを迎えたら物語の締めとして、視聴者に満足感与える感じだったかというと、そうでもないのかもしれない。太平記の締め方も、結構えいやっとまとめた感じだたもんな(唐突感はあったけど、感動はした)。



不満はこのへんかな。よく言われる、「人物が陳腐」とかは、天地人とか江とかに比べたら(このへんはかなり単純化されてた。でも結果的にそれがわかりやすかったともいえるんだよね。)、明らかな差異はなくて、「好み」の領域かと思います。
「リアルを目指す」って言い過ぎたから、反発されちゃったんだと思う。
本来は、「人間をリアルに描きます」って意味じゃなく、あくまでも創作物の領域の中で「たくましさ」を表現できる演出をします、って意味だったんだろうけど。
昔の大河のDVDとか結構持ってますけど、比較して、明らかに何かあるとは思えないんですよね。私、結構大河ドラマは観てますけど、思い返してかなり強引なのとかありました。大好きな「太平記」でもそうだし、「独眼竜」の場合は、お母さんとの関係への踏み込みが浅いって私の場合は思うし。もうそういうレベルになると、ただ、そのドラマと見てる私との波長が合うかどうかという「好み」です。
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by mmkoron | 2012-04-22 22:00 | 大河ドラマ「平清盛」

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