源平観戦日記


第18話「誕生、後白河帝」」

■今回は、場面が宮廷の政治劇に集中してたから、話を解説しようとするとあっさりしてますね。
その分、それぞれの登場人物の動きが良かった。清盛は必要最低限な登場でしたが、でもこのくらい抑え目な動きをしてる清盛のほうが、松ケン氏の演技の良さが出るように思います。
私、前回の棟梁宣言場面と、忠盛パパ死去場面は、けっこう前に撮影したんじゃないかと思ったのですが、実際はどうなんでしょうね。

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■冒頭で、ずっと登場していた清盛の庇護者・藤原家成が病死します。
ここで彼の子息として、前回初登場の成親と、師光(こっちは養子)も登場してます。師光はのちの西光ですね。奇しくも「鹿ケ谷で清盛に殺されるコンビ」。でも、この時点では和やかな対応してます。成親がかなり爽やかだ! 
もっとマロ演技してくるかと身構えてたので、これはうれしい。
■家成は、清盛にこの後のことは任せろと胸を張られて、おもわず涙。すっかり弱くなってますね。
ここで家成は、野良犬のほえ声がいまや朝廷になくてはならないものになった、と感無量。
このまま彼の出番は終わってしまうので、これ以上は語ってくれないのですが、彼は自身はソツなく宮廷で立ち振る舞いつつも、どこか清盛の破天荒さが楽しかったのでしょう。
清盛は「面白くない世を、面白く生きる」と言ってじたばたしてます。彼自身にとってまだ筋の通った「面白く生きる」ができている状態ではありませんが、しかし、周囲の人間にとっては彼は「面白く生きてるよなーあいつ」って存在です。
で、多分彼自身にとって面白くなってきた時点には、実は周りにとっては面白くない状態になるんだよね。そのへんがせつないわー。

■その後、近衛帝の容態はどんどん悪化。そして、呈子のご懐妊も結局うやむやになってしまいました。
(この時代はそういうことってよくあったんだろうなぁ。)
鳥羽法皇は、自分が崇徳を叔父子として邪険にしてきたことが、近衛帝に因果としてまわってきたのではないかと、苦悩します。
でも、それ以上に崇徳をじわじわいじめてた得子さんのほうは、しれっと一心に近衛帝快癒をお祈りしてます。こういうのって、自分自身に後ろめたさがあるからこその苦悩だよね。得子は悪びれてないからへっちゃら(笑)。
■いよいよトップの座がまわってきそうな崇徳院陣営。
前回は遠慮がちにしてた院も、行動に出始めました。
息子・重仁を帝位につけた暁には、自分の陣営に入って支えてほしいと直々にスカウトされる清盛。
親子喧嘩に巻き込まれるのは御免とばかりにお断りしますが、そこで崇徳院がパッション全開モードに。
私の前で、面白くない世を面白く生きる!と言い放ったのはお前ではないか。そう私に言ったお前が、面白く生きるために行動しようとする私を支えずして、誰が支えるのか。
そのように肩を掴まれ、清盛は心を動かされたようです。
これはグッときますよね。「平家の武力」だけでなく、清盛自身を必要としてくれてるわけですから。
■しかしそこは突拍子もない清盛さんです。「じゃあ崇徳側につくわ」ではなく、

「じゃあ鳥羽院と崇徳院を仲直りさせよう」

鼻白む人もいるかもしれないけど、でも私、これはアリな案だと思う。
利害で仲たがいしたわけではなく、個人的な感情のもつれ(しかも思い込み)に起因しているので、解決はしやすいわけだ。むしろ、対立を煽る前に一度はやってみてよい努力でしょう。
(現代はケンカっぱやい人が多いので「陳腐」って思うのかもしれないけど…。)
ただ、当事者同士の解決はできないわけじゃないのですが、仲違いの期間が長すぎて、予想以上に当事者以外の周囲に利害が出てきていたわけです…。あああ。
この決定を出すまでの、平家一門の会議のシーンも良かったですね。みんなが活発にいろいろ意見を出して、相互にあーだこーだ言い合って、最後に清盛がきっぱり方針を決める。忠盛時代は、忠盛への一方通行な提案だけで「相互にあーだこーだ言い合う」がなかった。
若い組織!って感じですね。宗子も、これが清盛の率いる一門の姿ですね、と変化を楽しんでいる模様。

■さて朝廷です。近衛帝は、ついに失明してしまいます。役者さん、ちょっと元気すぎないか?と思ったんだけど、まぁいいか。あと、失明の演技って難しいんだなと改めて思った。マヤはすごいわ。
■それを受けて、いろんな人が運動を始めています。
ココにきて、積極的な動きを見せているのは信西です。
呈子による「近衛帝の皇子誕生!」の夢も断たれた忠通に、「崇徳の息子である重仁親王が帝になっちゃったら、いままで彼らをないがしろにしてたアナタと得子サマはやばいよねー」と不安を煽ります。
■清盛も動いています。彼は、鳥羽院に崇徳との和解を勧めます。「詫びよ」っていうのも何かヘンな感じがしますが、まぁ確かにいきなり鳥羽院が崇徳に「私の子だ」と言い出しても、崇徳はシラけるだけなので、確かに「ちゃんと詫びる」ところから始めるほうが誠意があるのか。
でも、いまさらそんな調子のいいこと言っても受け容れられないのでは…と及び腰の鳥羽院。
しかし清盛は、そこを向き合ってこそ乗り越えられる問題なのだ、あなた自身もそれを望んでいるのではないか?と、自分の体験ももとに説得します。
普段策謀に動いてる得子は、いまは近衛帝の快復を祈るのにいっぱいいっぱいなので、鳥羽院に語りかけるなら今がチャンスですもんね。

■みんなが動く中、置いてけぼりなのは雅仁親王です。
たまたま遭遇した清盛に「崇徳院も、お前なんかに頼るなんて、落ちぶれたよね」とイヤミを言ったものの、清盛から自分たちが無視できないほどにのし上がったのだと自信にあふれた表情で返されてしまいます。
雅仁親王が不思議ちゃんキャラで現実逃避している間に、みんなは現実にぶつかりに行って、それなりに成長を遂げていたわけです。
■不思議ちゃんキャラ、ほかの皆とは別格のキャラに自分を位置づけることで、雅仁親王は置いてけぼりの自分の自尊心を守ろうとしていた。しかし、皇位継承レースに沸き返る宮廷の中では、彼は自分の惨めさを感じずにはいられなません。
そして、芸人たちが集まっている青墓の地へ旅行してしまいます。
■にぎやかな芸人たちは、思いがけぬ高貴な人の登場をもてはやします。それにいい気分な雅仁。
しかし、そこに完全に交じり合うことは勿論できません。微妙な空虚感の中、彼は、いまは「乙前」となった祗園女御に出会います。
祗園女御時代はモノクロの衣装でしたが、乙前は淡いピンクのかわいい衣装。彼女が自由に穏やかに暮らしているってことなんでしょうね。
雅仁は彼女に対して、もう一回うたえ!と命令するのですが、このへんから雅仁のしゃべりが駄々っ子になってます。乙前の透き通った歌声に、彼が隠している「魂」が前面に引き出されているようです。
「ならぬ!」「たのむ!」の喋り方とか、ちょっと萌えだわこれ。くそっ、狙われたとおりに反応してしまった(笑)。
乙前に都にきて自分の師匠になってくれと頼むも、私はトシだからと断られる雅仁。雅仁もいまの都から逃げ腰になってるわけなので、それ以上乙前を都に引っ張り出そうとはしませんでした。たしかに、乙前の頭には白いものがかなり混じってますね。髪型のせいでメッシュにしか見えないんだけど。
■乙前の「遊びをせんとや…」の歌声に触発されたかのように、自分の劣等感を吐露する雅仁。
見下してたやつ(清盛)でさえ、かました大言を行動にしようとし、成果を出し始めている。しかし自分はどうだ…と。
乙前はそんな雅仁に対して、あなたに溢れて来るものがあるなら、それは世を動かす力になる…と語りかけるのでした。
その言葉に癒され、乙前の膝で子どものように眠る雅仁。
誰かにただやさしく「あなたにもできる」と言われたかったわけです。彼を帝位につけることに熱心な信西夫婦は、ずっと雅仁を見ていると思うのですが、それは雅仁のポジションを見ているだけで、彼自身の個性や資質は「なんでもよーい」ですしね。
いやしかし、ここで乙前が都についてこなかったのは正解ですね。こんな「あなたには力がある!」とか言ってずっと傍にいて、生活の面倒まで見させてたら、聖子ちゃん完全に「同居の占い師」ポジションですよ(笑)。

■雅仁がゆっくり自分を再構築している頃、ついに近衛帝が崩御しました。
「イヤー!!」と絶叫してそのまま失神する得子。おおー、これぞまさにって感じの「失神する貴婦人」です。
この事態に、都が動き出します。
■まず、左大臣頼長。彼は奥さんの服喪中ですが、近衛帝崩御の報を聞いて出仕します。
(ちなみに、以前に登場してたお気に入りの側近・公春は既に病死してます)
が、そこで「喪中の方は出仕してはいけません」と役人に言われ、「なるほど、理にかなっている」とあっさり引き下がっちゃう。でも皇位継承の局面なんだから、自宅に篭ってちゃダメだよ! と思うわけですが、彼は「自分がいない間に、海千山千の連中がいいように皇位継承の結論を持っていく」という危惧よりも、「ルールに従い、正しい出仕の仕方をする」方を優先しちゃった。
あくまでも「正しい」にこだわる人なので、いまひとつ正しい正しくないでは評価判断できない「陰謀」の世界を読解できないようです。なんか単純化されてるけど、でも、そんなかんじ。うんうん。
■頼長を皇位継承検討会の場から締め出したのは、信西です。雅仁推しの信西ですが、雅仁を帝にするのは正攻法ではないので、正攻法遵守の頼長は最大の障壁だったわけです。うまく追い出しました。
■さて、会議ではいろんな案が出て議論が紛糾しています。
 ・重仁親王
 ・仁和寺にいる守仁親王(父親は雅仁) 
 ・暲子内親王(得子が生んだ娘。璋子が産着をプレゼントしてた子の妹。)
このあたりが候補として名前が出て、堂々巡りをしています。「話題が戻ってます」と指摘する信西が面白い。
彼はさっさと「守仁にするのがよいが、まずは父親である雅仁に」に収束させたいんでしょうね。
■ここで会議出席メンバーはついに鳥羽院にお伺いを立てました。
それまで微妙によそ事考えてるような表情だった鳥羽院は、決意の表情をし、

「朕は、重仁を即位させる。いや、いっそ上皇(崇徳)を再び即位させてもよいと考えておる。」

唖然とする忠通。信西もちょっと意外だったみたいです。
鳥羽は語ります。何の罪もない崇徳を、叔父子と呼び疎んできた。この状態をやめることが、自分の務めだと。
ここに、寂しそうに佇む崇徳のカットとともに入るのが、雅仁の「遊びをせんとや…」の歌声なのがいいですね。この鳥羽の心からの叫びにも、登場できないのが雅仁なのです。
■おおーっ、このまま崇徳側が皇位に!? となったところで、待ったをかけるのが信西です。
なんかオブラートに包んだ言い方をしてますが、要するに、「あなたの個人的感情の問題と、政治の問題は別だ」ということです。
これは鳥羽院にとってはイタい。彼自身も、清盛に崇徳との仲直りを提案されたときに、「それはムシがよすぎる」と言ってたわけですから。しかし、清盛は、それでも向き合えと言ったのです。しかし、鳥羽院はその言葉を信じることができなかった。「信西に負けた~♪いいえ、世間に負けた~♪」です。

■ここからの展開はスピーディーでよかった!

得子の「争いの種をまいてくれるな」という説得、先ほどのピュアな表情から抑えられた表情になる鳥羽法皇、完全に政治家の「ここはそのまま知らん顔しとけば大丈夫」って顔になってる信西。
(ここで私たちは、あー鳥羽は諦めてしまったと気づく。)
    ↓
雅仁の「遊びを…」の歌を聴き、「その歌が聴こえなかったら、自分は生きてはいられなかった」とつぶやく清盛、その言葉のあと、涙を流すものの冷たく「ほう、そなたもか」と言ったあとダン!と床を踏み、立ち去る雅仁。
(清盛にすら置いていかれた雅仁が、「清盛が再生されたように、自分も再生できる」と、共感・感動という名のエネルギーを得た。ダン!は、涙は見せちゃっても清盛に弱みを見せないという意思表示なんだろうね。)
    ↓
ひねり入れながら(笑)すってーんと倒れる崇徳。もう放心。最後の望みを絶たれて悔しさに絶叫する側近・教長。
(崇徳が精神的に今度こそトドメを刺された)
    ↓
ひとり座る鳥羽法皇。小刻みに震えてる。
(自分で決めたものの、それによる良心の呵責や無力感に苛まれてる)
    ↓
脱ぎ捨てられた、舞の蔵面(人の顔を描いている)
(誰かが、脱皮した。誰か=雅仁。)
    ↓
いきなり即位の様子。するするっと御簾が巻き上がった先には、雅仁親王。
ここで初めて、雅仁が新たな帝になったとナレーション入る。

このスピード感がすごく良かった。実際もこんな感じで、いろんな人のいろんな思いを置き去りにしたり追い越したりしながら、事実が次々に決まっていったんだろうなと。
■さて、こんな風に次の帝は決まってしまいました。清盛の提案は通らなかったわけですが、彼の希望は誰を帝につけるというものではなく、鳥羽と崇徳の関係修復ですから、まだチャンスが死んだわけではありません。次はどうなるか。いよいよ保元の乱が近づいてきましたよー。

【おまけ的に】
■平家の会議シーンで、経盛の和歌好きがアピールされてましたね。あと、重盛のガチガチ真面目さも。
自然に時忠が会議メンバーに入ってた。おお、清盛の世代になってるんだなーとしみじみします。
■弁慶が久々の登場。で、為義にボコられてた。なんというか、「この人いたよね、もうしばらくしたら再登場するから、みんな忘れないでねー」的登場シーンでした。
■為朝も初登場。さすが舞台俳優さん、カツゼツいいですね。射た矢が盾を砕いてその先の柱に突き刺さる!あれですね。日向小次郎のシュートがゴールネットを突き破ってその先の壁にめりこんだのを思い出した。
めっちゃ強そうなんだけど、しかし、こいつも暴れて為義に迷惑かけてるのね(笑)。
なんつーか、本人は気のいい中小企業経営のおっちゃんなのに、息子が全員ガタイのいい暴走族になっちゃった…みたいな状態なんでしょうか。
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by mmkoron | 2012-05-06 23:13 | 大河ドラマ「平清盛」

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