源平観戦日記


第19話「鳥羽院の遺言」

■今回、ラストシーン間際で清盛が太刀を崇徳につきつけたとき、すでに鳥羽が崩御してた(のを清盛も知ってた)のか、そうでないのか、どっちなのか判断に迷う演出でした。
崩御を知ってたなら、「関係修復は潰えたし、あとは鳥羽に対面させてあげても、ヘタに崇徳に鳥羽後継としての立場を与えてしまうだけ。鳥羽側として家族を守る。」という判断ですし、まだ崩御してないなら、「自分の家族を守るのが大事、崇徳を切り離して鳥羽側として一門を引き上げていくことを優先すると決断した」ってことでしょうし。
私は最初、前者だと解釈して観てたんですけど、でもNHK公式サイトのあらすじ説明見ると、後者にも取れるんだよなぁ。うーん。

■と、いきなりしょっぱなからラストシーンの話ですみません。最初からに戻ります。
■意外にも後白河が即位が決まり、宮廷の風見鶏たちは次々に後白河の乳父・信西に媚びはじめます。信西はそれを受け流しつつまんざらでもないかんじ。
何度か対面し、後白河の内側にある不穏さをよく知っている清盛は、なぜ後白河なんだと信西に詰めよりますが、政治構造を実務寄りに思いっきり改革したい(と思われる)信西は、暗君だからこそ自分たちがうまく操縦できるわけじゃんー(意訳)と語るのでした。
■さて、その頃鳥羽法皇は心底後悔していました。この人、璋子さまのときもそうですが、素直な常識人なのに、「周りを気にして心にない判断をして、でもその判断を後悔する…」の繰り返しですね。
ちなみに、今回の鳥羽様は最初から最後までずっと謝り通しです。
許せ許せと呪文のように思いを込めながら写経をしています。その「許せ」を伝えたい相手は、崇徳院。
こちらは抜け殻状態になりながらも「許さぬ・・・許さぬ・・・」とこれまた呪詛のようにつぶやいています。
■まぁそんな感じで、後白河のことはみんな忘れてるか、権力闘争のお道具扱いです。
しかし、後白河は、おとなしくお道具に甘んじるタマなのでしょうか。

■今度は摂関家。
奥さんの喪に服している間に、頼長はいつのまにか中枢からハブられてました(あーあ)。
どうやら、彼は、けしからん!と現状に文句を言いながら、「でも(自分は正しい政治をしてきたわけだし)、また政治の場に必要とされると思うよ。そういう夢見たし。」と楽観的です。
この描写、良かったです。頼長の動きって、脊髄反射的な行動力はあるんだけど、肝心な動きに詰めが甘い感じがします。リスク管理が甘いというか柔軟さがないというか…(自分で書いてて耳に痛いな)。
で、楽観している間に、「二条帝崩御の原因は、頼長の呪詛」という噂を立てられてしまいます。
兄にとりなしを頼もうとしても当然無理。父親にも「お前はやりすぎたのだ」と突き放されます。
忠実パパは、「お前が『あいつならやりかねない』と皆が思う、もしくは、思ったら自分らが有利だと皆が感じる状況に、自分を持っていってしまった。」と的確に頼長のマズさを批判するのですが、頼長は「正しいやり方をしているのだから、皆は従って当然」と考えてますから、そういう裏側の機微がいまひとつ通じません。
ただただ、呆然とする頼長。無敵状態から、一気に孤立無援に。
■忠実パパがわが子を「悪左府」と呼びかけるのが良かった。
「そういう名前で呼ばれてしまったのが、失敗だ」ってことなんですよね。
「悪」は必ずしも「わるい」ではないのですが、普通のデキる人やヤリ手だったら「悪○○」なんてつけません。やり方がどこか悪魔的、普通じゃない、エキセントリックだと思われてたからこそのこの字なので、まぁ、組織にとって「悪い」っちゃ「悪い」んですよね。

■次は源さん家。
義朝は、自分の息子・義平(この人も「悪源太」って呼ばれてますね)に命じて、為義パパが義朝の弟・義賢に渡した「友切」の太刀を取り返します。取り返すったって、「ちょうだい」「いいよ」で収まりませんから、攻めて殺して奪うわけです。至近距離から弓でぐさり。ぎえーこえーひでー。
■義朝が太刀を取り返して家臣たちと喜んでいる場に、パパ為義が駆けつけます。お前ほんとに弟を殺したのか!と詰め寄る父に、義朝は「この刀は、源氏でいちばん強いヤツが持つもの。だから父上にも返さない。」と。自分ナンバーワン宣言。
弟を殺しただけでなく、ここでよせばいいのにまた父親のプライドを踏みつける。
決別宣言をして、父は立ち去ります。
それを表面的には「せいせいした」顔で見送る義朝。とがめようとする乳兄弟・正清の言葉も受け付けません。そんな義朝だけど、「出かけるぞ!」って出かける先は、常盤のところなんです。本当はものすごく所在無いのでしょう。でも、彼は清盛のように、目に見えてしょんぼりして見せることができないキャラなのです。

■次は平さん家。ここは平和です。
今日は、時忠が妹・滋子を連れてきてました。ちなみに、この滋子は時子のお母さんよりも身分の高い人が母ですから、時忠のきょうだいの中でもやや格上です。
時忠は、彼女を上級貴族のもとへやりたい模様。その運動のため、推薦よろしくと平家の皆さんにお披露目したそうです。
美貌で、但し毛利元就の、名前何だっけ、加賀まり子が演じてた侍女みたいなクセっ毛なのですが(あの侍女はそのせいで「見場が悪い女」という設定だった)、髪の毛については皆特にコメントしてませんね。「髪の毛だけが惜しいよねー」って言われてもおかしくないんだけど。
■平家の皆さんは、最初、この中の誰かに縁付くためのお披露目かと思ってたので、みんなかわいい女子マネージャーを迎えた運動部員男子のような、キモいモジモジっぷりを見せてくれました(笑)。
忠正おじさんまで!(笑)
つまり、忠正おじさんも、清盛棟梁のこの状況にちゃんと今では馴染んでるんですね。「清盛が棟梁であることがずっと納得いかなくて、憤懣たまった結果、保元の乱で敵方についた」という流れではないようです。
平家のみなさんのリアクションは
 ・清盛…流石に姉妹丼はまずいよと遠慮
 ・重盛…血縁の近さを気にする
 ・基盛…滋子があまりに美人なので、血縁とか気にしない。わくわく。(エロガキめ!)
 ・教盛…「わしかー!」(ワクワク)
 ・経盛…黙って身ずまいを正す。意識しまくり。
 ・家貞…「え、年がいった相手って私?」とばかりに照れまくる。
 ・忠正…家貞をからかいつつ、自分もちょっと期待してドギマギ。
 ・頼盛…しらけ気味
ほんと、この人たちはキャラわかりやすくていいですね。よくある「盛り盛りすぎて誰が誰かわからん」対策と思われます。
■しかし、前述のように、時忠は、滋子をこの場メンバーよりも格上の貴族に嫁がせたいと思っているのです。しかしそれまで黙っていた滋子は、自分は自分が好きな相手に嫁ぐ。道具にされるのは御免だと、あっかんべーして立ち去ります。で、この滋子の挙動を見て、また男子部員たちが「おおーっ?」とざわざわするのがキモ可愛かった。(笑)
■とまぁ、そんな様子を清盛は宗子に報告します。そして、鳥羽と崇徳の関係をなんとかしたい、自分も本当の親子ではない人と、ちゃんと親子になれたのだから…と語る清盛。すごく穏やかなシーン。
しかし、宗子はその清盛の気持ちを受け留めつつも、「武士の世をつくる」という忠盛から受け継いだ信念とは別の、ボランティア的な感情で清盛がそっちに動いていることを、若干心配しているようです。

■さて。再び舞台は朝廷へ。
後白河の即位を祝う宴が行われています。そこに届く、崇徳からのお祝いの歌。

あさぼらけ
ながき夜を越え
にほひ立て
雲居に見ゆる
敷島の君

夜明けがきた。長い夜を越えて輝くようだ、空(≒宮中)に見えるこの国の君主であるあなたは。

こんな感じですかね。和歌ってよくわからん(洒落ではなく)ので、素人の訳ですみません。
で、この和歌ですが、ぱっと見では「新天皇となったあなたは輝くようですね!」とめっちゃ媚び媚びに見えるのですが、タテ読み(和歌としては「折句」という)すると「あなにくし=ああっ憎い!」になるわけです。
これに気づいた後白河は激昂&逆上。鳥羽は崇徳の怨念に自分の後ろめたさを刺激され、これまた無神経だと思うのですが、後白河の前で「やっぱり帝は崇徳側にしよう、お前いますぐ譲位しなよ!」と言い出します。なんつーか、後白河がこういう性格になっちゃったのもわかる、酷い父親ですね。あの璋子さんすら「この子は鳥羽の子だ!」と得子さんにつかみかかってたのに。
しかし、後白河はおとなしくお道具になるタマではありません。あくまでも自分を道具として扱う鳥羽を憎しみの篭った目で睨みすえ、
「法皇よ、ここはわたしの世じゃ」
攻撃力15000の呪文(笑)。鳥羽に、白河の「帝は、ここはわしの世じゃ」の声が響き、トラウマを直接攻撃された鳥羽はぶっ倒れます。

■崇徳の、後白河(というか鳥羽)憎し・鳥羽が立てた政権許すまじ の思いを受け取った鳥羽は、もし崇徳側と後白河側が対立したときは、後白河側(つまり、鳥羽が立てた政権側)につくように、と清盛に命じますが、清盛はそれを断り、それよりも崇徳との関係修復を諦めるなと説得します。
鳥羽が赦しを乞うように書き続けた写経を持って崇徳のもとへ参上する清盛。しかし、鳥羽が書いた写経は目の前で崇徳が破いてしまいました。無表情で紙を破く崇徳。心を閉ざしてしまっています。
■鳥羽の病はますます悪化。しかし、鳥羽はそれは全部自分が崇徳にしてきたことの報いだと諦めています。
諦めきれないのは信西と、得子。
信西は、崇徳が何かを起こしたときには鳥羽側につくという誓約書を書けと、武士たちに依頼します。
しかしそれを書くということは、むしろ崇徳側を挑発し追い詰めることになります。それはできないとする清盛。彼のまっすぐさに危機感を抱く宗子は、「いざとなったときは、そなたが忠盛の志を守って」と忠正に頼みます。ああー保元フラグかぁー!!
この誓約書は源氏にも依頼が届き、義朝は迷わず書き提出します。
しかし、パパ為義は鳥羽側(特に得子)と対立している頼長の部下になっているので、これを書くということは、完全な決別宣言・絶縁状になります。ひとり義朝の真意を確かめに来る、鎌田通清ですが、義朝の迷わない態度を見て、何も言わず立ち去ります。
いままで黙ってきた通清の子・正清は、義朝の行動についていけないと苦渋の表情で訴え、義朝はぽつんとひとり。
本当は義朝はさみしんぼうです。所在無くて、同じ依頼が届いたであろう清盛のところへやってきます。しかし、清盛ん家は仲良し家族で、しかも清盛はまだ誓約書を書いていませんでした。
清盛を甘ちゃんの楽観主義者扱いしてなじることで、自分の判断を正当化しよう納得しようとする義朝。散々好き勝手なじって、去っていきます。この人は、ソンな性格ですねー。
清盛は義朝になじられて憮然としていますが、信西から、鳥羽・崇徳の感情救済に気を取られて、時代の流れを見誤るなとクギをさされます。
その通りなのです。信西は、崇徳をけしかけ、大乱を起こすことで摂関家勢力を転落させること、権力の構造をリニューアルすることを狙っています。
そんな中で、他人のケンカにうつつをぬかしていてよいのか。自分が本当に守らねばならないのは誰なのか。清盛は我に返ります。ここしばらく、白河院の血を引く者としての意識に突き動かされていましたが、彼は、平家の家長なのです。

■得子は、崇徳のもとを尋ねます。(実際はこんなの無理だとおもうが…)
得子は権力を操る才能を持っている人ですが、彼女がそれをする目的は「鳥羽を苦しめる奴らをギャフンといわせたい」です。彼女なりに、鳥羽を救うための動きを考えたようです。崇徳は得子の話にも耳を貸さない風情でしたが、しかし、「鳥羽はもう長くない」の言葉に、動揺を隠せません。

■そうこうするうちに、鳥羽はとうとう最期を迎えようとしていました。
今回、ずっと謝り通しな鳥羽さま。最期は得子に「お前を巻き込んでごめんね」と謝ります。それに対して、「ずっと、あなたの役に立つ女でいたい」と答える得子。彼女は筋の通った人間ですね。どこかで「権力を持つこと自体がおもしれー!」ってなるのかと思ってたけど、彼女の動機のすべては、いつも鳥羽に返ってくるんですね。鳥羽の死後どうなるんだろう。
■さて、いよいよ鳥羽危篤となったときに、ようやく気持ちを奮い起こした崇徳がやってきました。
近習たちに行く手を阻まれ、それでも自ら輿を降りて鳥羽のもとへ向かおうとした崇徳の前に立ちはだかるのは、清盛。「すこしばかり遅うございました」。
そのとき、崇徳たちの耳に臨終の鉦の音が。鳥羽法皇は既に崩御しているのです。
もはやすべて手遅れであることを悟り、一人踵を返し歩く崇徳。地に伏し、終に呼べなかった「父上」とつぶやき泣く崇徳の前に、見下ろす人影が。同じく入れてもらえなかったと思われる、頼長。
負け犬2トップの邂逅

うわああああーそこを二人きりにしちゃだめだー!!!

と、保元の乱のお膳立ての第一陣が整ったところで、次回へ続く。

【今回の余談な感想】
■清盛と義朝が至近距離で向かい合って言い合ってる場面、松ケン顔でけー。というか、義朝が顔ちっちゃすぎるんだなこれは。
■信頼初セリフ! 後白河に引き立ててもらったけど「おもしろくないのう」な状態らしいです。まだ信西にアタマ抑えられてるだろうしね。おもしろいキャラっぽいので期待。
■忠正叔父さんも加えた状態での、平家一門仲良しシーンは、今回が最後だったのかな? さみしい…。
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by mmkoron | 2012-05-13 22:37 | 大河ドラマ「平清盛」

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