DVD/ハゴロモ 発刊/全巻(13巻)一括購入の場合:262500円 1巻購入:21000円
「能登殿最期」 税込4000円/出演:野村萬斎
「重衡被斬」税込5000円/出演:片岡愛之助・若村麻由美
■流石に全巻買うのは無理無理ーと思い、DVD1本あたりの内容を確認して、これは買いかなと思ったところをピンポイントで購入してみました。野村萬斎出演の「能登殿最期」と、わたくしが大好きな重衡が出ている巻。どちらも、ドラマというか寸劇っぽいパートがあることがわかったので、ただの朗読よりそっちがいいなと選びました。
■さて、このDVDですが、1章段ごとに1枚のDVDになっています。だいたい1本全部観て30分くらい。で、その30分の中身は、
1)平家物語巻1の冒頭「祇園精舎」部分の朗読と、イントロ(これはどの章段も共通)
2)出演者による、演出も加えられた朗読パート
3)DVDシリーズの紹介映像
4)画面に原文が表示され、それに沿って朗読がされるというシンプルな映像
の構成です。要するに、朗読DVDで、ただの朗読じゃ単調になって映像にする意味が無いから、いろいろと章段ごとに演出をかませているのです。
2)の「演出」には、
・出演者が登場人物の扮装で朗読にあわせて演技する、ちょっとしたドラマを挿入する
・平家琵琶との組み合わせ
・クラシックとの組み合わせ
・群読
・声優+効果音でアフレコ風
など、かなり意識していろいろ取り入れられてます。章段ごとに演出がいろいろ違って面白い。
で、出演者も、「実力派」といわれそうな面子で、かなりバラエティーに富んだセレクトです。私が購入した2枚は古典芸能の人ですが、ほかにも、高校の演劇部が群読してたり、劇団だったり、有名声優さんだったり。
2)が15分~20分くらいかな。4)は学校の授業とかで使うことを意識してるのかもしれません。
■では、私が観た2本の、2)部分の感想です。
【能登殿最期】
■萬斎氏(和装)が舞台のようなところで朗読するのが基本で、そこに、氏が教経の扮装をして演技をするパートが挿入されているという形です。
この演技パートも、朗読に合わせたものなので、別のセリフを足したりはしていません。セリフなしで演技してるような形ですね。
■「能登殿最期」全体を朗読してるので、最初のほうの、大納言典侍が神鏡を抱えて入水しようとしたら、衣を矢で舟板に縫い付けられて、身動きが取れなくて…のシーンも朗読されてます。
とはいえ、メインはやはり能登殿の活躍部分です。シンプルな舞台装置で演技してるんですけど、流石に迫力あります。最期の、3人を道連れに入水するところは、3人の役者はおらずパントマイムなのですが、それでも凄みがありました。
ただ、私は萬斎氏には「子午線の祀り」の知盛のイメージが強かったので、教経だとちょっと不思議な気分ではありましたが…。
■映像の前後に、平家物語絵巻を挿入しながらの簡単なあらすじ解説が入ってます。
【重衡被斬】
■こちらで朗読しているのは片岡愛之助氏。で、重衡の扮装をしたドラマが、能登殿最期のときと同じように挿入されるのですが、こちらには相手役として、若村真由美の大納言典侍がいます。
しかし、大納言典侍にはセリフはなく、愛の助氏の朗読が重なっている中で演技する形です。でも、愛の助氏はさすが女形もやってた人だから、重衡が語ってる部分・地の部分とは違う声です。すげー。
■大河「義経」の大納言典侍は、愛嬌というかちょいバカっぽさがある感じでしたが、こっちの大納言典侍は、もうひたすらしとやかな美女って感じです。私のイメージはどちらかというと前者なんだけど。
重衡が去っていって、残された彼女が号泣するシーンでは、泣き声は愛之助氏の声なんだけど、違和感はなかった。うーん、朗読の世界に引き込まれたのかしら。
■妻との別れと、斬首前に阿弥陀様に祈るあたりのシーンとが、ドラマになってます。
ラストシーンは、尼姿になった彼女が向こうのほうから歩いてくる様子でした。
■非常に面白いと思ったのですが、しかし、朗読とかを生業にしていきたいという人以外ですと、何度も繰り返し見たい!ってわけでもなさそう。
内容的に、図書館とかでも見れるんじゃないかな。そこで視聴してみて、お気に入りだけバラ買いでもいいかもしれませんよ。ちなみに岡山県立図書館にはまだ置かれてないみたい。(人形劇のDVDはあるんだよね)