源平観戦日記


第22話「勝利の代償」

■今回は戦の事後処理の話、かつ負けた側が処分を受ける前という状況のお話なので、あまり動きはありませんでしたね。その分、みんなの表情に見ごたえがあってよかった。
私、松ケン氏はアップのときの目の動きがいいと思うので、どちらかというと「静」の回のほうが清盛が存在感あると思います。
■といっても、相変わらず、「清盛自身が目立つわけでも牽引するわけでもなく、清盛が周囲に間接的な影響を与え、周りの登場人物がそれぞれの見せ場を見せてくる」感じですね。清盛主役にした時点で、前半はそうするしかないんだけど。
■それにしても、叔父さんの処刑は次回なんですね。引っ張るなぁ…って思ったけど、しかしよくよく考えると、ここでそこまでやっちゃうと、1回でたくさん死にすぎて、感動が拡散しちゃうんでしょうね。

■さて。今回は録画しそこなってるので、記憶だけで書きます。

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■戦は後白河側の勝利に終わりました。
鎌田正清に義父の長田さんが「お父さんのこと残念だったね、でもこれからはワシを父と思ってね」と優しい声をかけとります。どの口がそれを言うかー!!という気持ちになるよなぁ。
■そこに颯爽と現れた後白河が勝利宣言。もののふたちよ、よくやってくれた!みたいに言われて、平伏する平氏、源氏それぞれの目に涙が。
ここ、立場や性格によって、表情が違うのが面白かった。
義朝は親と敵対した辛さを抱えつつも、帝の言葉に感慨無量っていう「感激」も表情にありました。
でも、清盛は帝のねぎらいに対してはあまりプラスの反応してないですね。
正清は、終戦宣言されて、ようやく悲しみを表せるようになった…緊張が切れたような涙でした。「帝にそこまで言ってもらえるなんて…!」ってよりも、父親の死に素直に泣いてる表情だなーと。
■武士たちは、それぞれ身を切る思いで戦っている。帝は彼らの苦労を認識しているよアピールをしてるけど、しかし兄を討つ苦しみを抱えてなどいない。その差も垣間見えたシーンでした。

■もはや片付けるだけになった床机(?)にごろんと寝転んで、「終わったー!!」と声を上げる清盛。
これ、わかるわー。私もベッドにごろんして「下書き描けたー!!」とかやるもん。思うところあって畳張りのベッドを作ったので、まさにこの清盛が寝転んでるみたいな平べったいベッドなんだけど。
叔父のことはあるし、この後が肝心なのはわかってるんだけど、でも、区切りをつけるため、次に進むための掛け声みたいなもんだよね。
■そしたら、陣幕の向こう側からも同じような声が。義朝でした。
2人はこれで世が変わる、武士の世が始まると語り合います。相変わらず清盛は「おもしろう」とか言ってて、義朝にいつもそれじゃんってツッコまれてる。
でも、ある意味この清盛の抽象的な「おもしろう」って、卑近な具体的内容になってしまわないぶん、可能性があるとも言えるんだろうね。そして清盛は、今回の昇進で可能性をまた広げていくわけです。
このシーンが、帝の前に平伏して泣いてたシーンのあとに来てるってのもいいですね。
彼らは2人とも、この戦いで精神的にダメージを受けてる。その中で、「これでよかったんだ」と自分の思いに折り合いをつけて次に進むために、敢えて明るく夢を語ってる。
■ここで、義朝の刀について「友を斬るでは縁起悪いよね」って話になったときの、清盛の「とも…ワシのこと?」みたいな努めて抑えつつ控えめにしつつのニコニコ顔と、義朝の「ば…ばっかでー、お前なんか友達じゃないっての!」(ツンデレ)みたいなやり取りが可愛かった。
もうこの2人いいオッサンなんですけど、でも相変わらず2人で喋ると10代の頃のワルガキなのね。

■と…まぁ、後白河側は「後片付け」モードになってますが、相変わらず戦が終わってない人もいます。
■崇徳は、途中で輿から降り、おつきの者を逃がしました。
出家を望みますが、彼を導いてくれる僧侶も、髪をおろすための剃刀もありません。何一つ望みが叶わない我が身を笑っちゃうしかない崇徳。どこまで落ちていくんだ状態ですが、そろそろ落ち止まりであってほしいですね。
■次に頼長。輿を急き立てて逃亡する最中に、武士に先回りされ継ぎ手が動揺し、輿から転げ出る。部下が出てきちゃだめー!と言ってるのに、自分と一緒に転げ落ちた書物を拾おうとして、首を射られてしまいました。
そんな重傷の身で、目指したのは父親がいる宇治。
しかし、父・忠実は屋敷の門を閉ざし、頼長を拒みます。摂関家の者でありながら矢を受けるなんて、春日大明神のご加護が尽きてるってことだ、だからそんなヤツは入れられないと。
輿にもたれてぐったりする頼長は、もはや助かる傷ではありません。それでも宇治を目指したのは、助かりたいからというよりも、自信も誇りも失ってボロボロの精神状態のなかで、ただただ父親に会いたかったのでしょう。しかし、彼の耳に入るのは、門を閉ざす父の意向を告げる声。
もはや声をあげて泣くこともできず、ただただ涙を流す姿は哀れです。
最後の拒絶の口上を聞きながら、「父上…」とだけつぶやき、頼長は自ら舌を噛み切って死にました。
これ、そのまま首の傷で衰弱して死んでいく形でもいいのに、敢えて自決させたのは、絶望の状態のなかで父の薫陶通りの摂関家の矜持を持った死に方をさせてやろうという、制作側の親心なんでしょうかね。
そのまま受け身に死んでいくと、ほんとに「父親に拒絶されて、放置されて死んだ」になっちゃうから。
■さて、頼長が門の前に運ばれてきたのが夕方。頼長が舌を噛み切ったのが日が落ちたあと。忠実は、門の向こうの声がかすかに聞こえる場所に明け方までそのまま座っていました。
頼長を乗せた輿が遠ざかる音がしてからだいぶ経ち、空が白み始めたころ、一羽の白い鳥が忠実の前の庭に降り立ちます。「チチウエ…」とつぶやくのは、あの鸚鵡です。
鸚鵡ちゃん、輿に乗って一緒に移動してたんでしょうか。じゃあずっと頼長は「チチウエ」とだけつぶやき続けていたのでしょうか。
庭に降り立ったものの、そのまま伏してしまう鸚鵡。思わず忠実は駆け寄りますが、既に鸚鵡は息絶えていました。
気強く門を開かず、頼長が自害した気配を感じたであろうときも座したままだった忠実の感情が、ここで決壊します。
門を開いて頼長を入れてしまえば、自分も崇徳側に与したことを認めてしまう。崇徳側が負けた以上、摂関家を守るには知らぬ存ぜぬで通すしかない。そのために、瀕死の息子を切り捨てた。でも、目の前で父上、と呼びかけながら息絶える命を見てしまったら、もう耐えられない。
「我が子よー!!」という絶叫が哀れでした。摂関家の皆さんは、ずっと平家にとって敵役でしたが、彼らもこの戦いでは大きな代償を払ったのです。
■頼長の屋敷は、焼き討ちにあってみるも無残な状態になっていました。そこに佇んでいた信西は、焼け残っていた彼の日記を見ます。

イニシャルトークのセキララ男色体験の部分じゃなくてよかったね…

幸いなことに、信西が開いたのは、彼が息子達を集めて訓示を行ったというくだりでした。歴史秘話ヒストリアのED前恒例の「最後に泣かすぜ」パートでこの部分使われてましたね。
■書かれたのは1153年。公卿になった兼長と師長のふたりに、人からバカにされたり悪口を言われようと忠勤に励むこと、父である自分に何かあったとしても自分は朝廷で見守っている…そんな内容です。
1153年は頼長33歳。今の私たちでも33歳くらいって、仕事で大きなこと任されるようになって、采配しながら自分でもやりたいこととがいろいろ出てきて、仕事がいちばん楽しい時期じゃないですか。なんかそう思ったらせつないわ…。
頼長の政治への情熱は本物だった。人の悪意の中でも自分の理想を貫くという覚悟も持っていた。
信西は彼の日記を読んで、改めてそのことを強く感じたようです。ここが、彼のその後での戦後の処罰への判断に繋がるようです。
■余談ですが、ちなみにこの訓示を受けた息子のうち、兼長は流罪先の出雲で2年後に病死します。もう一人の師長は名古屋市熱田区のあたりに流されて2012年6月5日修正 すみません、このときは四国に流されてます。名古屋に飛ばされたのは平家の政権になってからですね。失礼しました。、
彼のほうはその後都に戻ります。で、頼長の訓示が生かされたかどうかというと…どうなんでしょ。芸術方面に長けた人で、彼が出てくる説話とか読むと、「うーん、アーティストって感じよね」って感じです。

■さて本編の話に戻ります。
戦を終えて、自宅に帰る清盛。清盛はもちろん、重盛・基盛の顔を見て「1年も会ってなかった気がする…」と心からほっとしてる時子にほのぼの。
重盛は叔父の忠正について、その消息を気にかけていますが、清盛は今では罪人となった叔父をどうすることもできない、と伝えます。
■源氏のほうでも、帰還した義朝を由良が迎えていました。常盤は、由良の正妻としての態度を目の当たりにして「私なんかが表に出ちゃいけない」と思ったようで、義朝を迎えることなく退出しています。
為義を気にする頼朝に、義朝は清盛と同じことを告げます。罪人となった者と連絡をとろうとなんてしたら、こちらに累が及ぶと。

■しかし、そういいつつ、清盛は忠清に命じて叔父の行方を捜させていたようです。ここ、ほんとに清盛が探してたのか、忠清の意を汲んで「自分も同じ気持ちだから」としてやったのか、ちょっと解釈迷ったけど。
伊勢まで逃げていた忠正が清盛の屋敷に連れてこられます。
この時点では、「連れてくる=降伏したことにして、匿い保護する」のようです。
忠正とその息子達は、生きて虜囚の辱めを受けてなるものかとばかりに抵抗しますが、清盛は生き恥を晒してでも平家のためにもっと働いてほしいと告げるのでした。
■一方、源氏では由良が彼女単独の判断で、為義を匿っていました。義朝が余計なことするな!と激昂するのに対して、頼朝への教育のためだと真っ向反論する由良。
以前は義朝に怒鳴られたらビビっちゃってたわけですから、強くなったなぁ…。
でも、彼女はちゃんと義朝の気持ちをわかってるのです。為義に対面し、義朝が殿上するお許しをいただいたことを由良は告げます。寂しそうに、でもそれ以上に嬉しそうな為義をみつめる由良。彼女は、この親子の思いをわかっているのです。
でも、正直に説得しても自分に義朝が従わないことはわかってるから、こういう方法しかできない。
常盤が由良は立派だ…と言ってましたが、ほんとに。いちばん見てほしい相手に見てもらえない内助の功って、ものすごく心が強くないとできないよね…。

■さてさて朝廷です。
後白河は既に戦の後処理にも飽きはじめてる感じ。成親の報告を聞くのもそこそこに双六遊び、しかもその双六にも飽きてる。そんなときに、美福門院が登場。
「勝っていい気になってるみたいだけど、アンタ所詮ツナギの帝だから。そこんとこ勘違いすんなよ。」(意訳)
とクギをされました。美福門院がさらさらいい目を出し、優雅に喋りながら後白河のコマを指でぴしっと弾く、あのエグさがすてきです。
事務処理に飽き飽きの後白河は、これにゾクゾク来ちゃったそうです。
やばいです、後白河さん、他者からの強い攻撃性にワクワクして生きがい感じちゃう、ハードMへの扉が開いちゃったようです。

■そんな後白河が主催する、戦後処理会議。負けた崇徳側の処遇を決めていきます。
摂関家の忠実について、忠通はスルーしたい意向ですが、信西はそれを許さずに忠実の荘園没収を裁断します。慌てる忠通。文句を言いたいのですが、遮られてしまいます。うーん、このやり取りで、既に忠通がイニシアチブ持ってないのが透けて見えます。
次に崇徳については、後白河が信西に意見を促し、信西はあっさり「流罪が妥当」と言い放ちます。これには貴族の皆さん仰天。(このみんながいっせいにぎょっとする演技が良かった。さっき荘園没収されて苦々しい表情だった忠通もぎょっとしてて。)
確かに、ここ最近(っていうか数百年レベルで)天皇が流罪ってなかったのです。
■さすがにそれはマズいでしょ…という空気になる会議メンバーたちを、信西は一喝します。
そもそもこの戦の発端は崇徳の帝位への野心。だから、その芽を潰さないとならない。そのために戦をしたのでしょう!と。
彼は、「戦をするということは、そういうことだ」と外野気分の貴族達に突きつけているのです。
頼長の日記を見てなにか考え込んでいた様子の信西ですが、国を思う人材を生贄にしただけの意味を、この戦で生み出さなければならないという責任感があるのでしょう。
この信西の腹を括った態度を理解してるのかしてないのか、後白河のOKが出て、次に議題は武士たちの処分に移っていきます…

■その頃、忠正は宗子の訪問を受けていました。頼盛はスケジュールの都合…ではなく、合わせる顔がなくてこれなかったそうです。
頼盛の身代わり同然になり申し訳なかったと謝る宗子に、忠正は、「途方も無いことをする兄を持つ、弟の戸惑いはよくわかるから」と語ります。
そして、兄・忠盛が清盛を拾ってきたときに、自分がこの尻拭いをずっとしなくてはならないんだと思った…とも。
ここでちょっとうるうるしちゃいました。宗子はどこか「忠盛の実の子(かつ正妻の子)である頼盛のために、ありがとう」って感覚を引きずってると思います。でも、忠正の返事は違います。
彼は兄と自分の関係を、清盛と頼盛に重ねています。忠正が誰よりも敬愛してきた兄を、清盛に重ね、どちらも「とほうもない兄」と言っているのです。そして、兄が清盛を平家の子としたことの結果に、自分が一生関わっていかねばならないのだと。
忠正は、とっくに清盛を認めていたのですね。清盛の心を癒すその言葉を、どうして清盛に言ってやらないんだと歯がゆくなるけど、でもそれがこの叔父と甥の関係なんでしょうね。
■そのあと、清盛の子ども達と朝ごはんタイムを迎える忠正。
清三郎(宗盛)と清四郎(知盛)もやって来ます。彼らがまたがって遊んでいるのは、かつて忠正が重盛・基盛に作ってやった竹の馬でした。
あのとき忠正は、「血のつながりなんて考えず、新しい弟を思い切り可愛がってやれ」と重盛に伝えましたが、弟たちがおさがりの竹馬で遊んでいる様子を見ると、ちゃんと忠正の言ったとおりになっているようですね。
竹馬が壊れてぴーぴー泣く清三郎をなだめる忠正。
泣いてるのは弟のほうかと思ったら、やっぱ宗盛なのね(笑)。とほほ。

■そんな穏やかな時間を打ち壊す命令が、清盛に届こうとしています。
忠正ら、敗者側の武士には処刑の沙汰が下りました。
聞いたものの、まだその命令を受け止められない表情の清盛のまま、次回へ。
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by mmkoron | 2012-06-03 22:46 | 大河ドラマ「平清盛」

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