源平観戦日記


第29話「滋子の婚礼」

■突然ですが、みなさん朝ドラはご覧になってますでしょうか。
私はココ最近の5本くらいずっと観てるのですが、好きな順番に並べると、

てっぱん>カーネーション>ゲゲゲ>おひさま>梅ちゃん

です。おひさまと梅ちゃんは、兄2人が居なかったら順位逆転したかもしれない。
この順位の元になっているものが何かと考えたとき、

「主人公が変化するか」
「主人公の核となる資質が、欠点であれ長所であれ、私にとって好ましいものか」

の2点だと思います。私が「清盛」を好きだと思うのもその点なんだよなーと。
■私はいわゆる「乙女ゲー」をときどきプレイしたりしますが、そのときに「いい作品だなぁ」と「駄作ちゃうか」を分ける視点も、実はこれです。
「主人公に周りの登場人物があわせてくれて、主人公自体は特には変化しない(成長しない)」
ってのは、にんともかんとも。
いやー、いくら乙女ゲーが「私ひとりが特別扱い」気分を楽しむものだとしても、流石に少しは「私も周りとの出会いによって変化します」的なフォロー(言い訳)がないと、居心地わるいわぁ…と。


■前置きはこのくらいにして、今回のお話は「滋子のデキ婚婚礼」。
従来のイメージは、上西門院のところに出仕していたところを、彼女と同じお屋敷に住んでいる後白河に見初められて…って感じで、清盛もそのお膳立てをしているようなイメージだと思うのですが、今回は「二条天皇のもとに入れようと思ってたら、後白河にかすめとられた」という展開でした。
かすめとられた、って書くのは語弊があるか。滋子も同意のうえですもんね。
視聴者には「わけわからん人」として描かれている後白河ですが、だんだん私たちにも彼の内面が読みとれるようにしてくれてるのかな。今回は彼の性格がすんなり読み取れるお話でした。
■平治の乱でも、治天の君たる自分が主人公になれず、脇に置かれてる間に決着する。決着したらしたで、皆が「お若い二条天皇のもと、仕切りなおそうぜ!」モードで、自分が主役になれない。なんだよ結局、皇位継承レースから一人場外扱いで、歌をうたって暮らしてた頃と変わらねーじゃん…
…そんな状態で悶々と過ごす後白河。だったら政務に意欲的なトコロを見せればいいじゃん!って思うんだけど、この人、正攻法の生き方がどうにもできなくて、斜に構えたような挙動しかできないのです。
こないだも、「帝位を譲ってください、と打診されてるときは嫌だと蹴り、相手が言わなくなった頃にぽいっと帝位を投げ出す。」をやってました。とにかく自分がキックした、という形をとりたい。
そういう無駄なカッコつけやめれば?と思うのですが、この人すでに33とかそのくらい。今更自分のキャラクターを変えられないわけです。
あと、自分に正攻法で頑張っても結果を出せる力がない、ということもわかってるんだと思います。プライド高いから、こういう「特殊な人」キャラで自分を保つしかないんですよね。
でも、多分自分でもマズいやり方しかできてないなーってわかってるんでしょう。
■そんなときに目の前に現れたのが滋子。
彼女は、後白河に対して多くの人のように「こいつ、何も考えてねーな」という評価ではなく、「コンプレックスを歌ってごまかすしかない人」と評価しました。つまり、「考えていることがあるでしょ?」と後白河の心を覗き込んでくれたのです。
今までこういうリアクションをとってくれたのは乙前のみ。あとは、清盛ともどこか通じるところはありますが、しかし清盛は「こいつはめんどくせーな」と察知して(笑)距離をとっているので、彼を真正面から見ようとはしてくれません。
だから、後白河は滋子に素直になって惹かれたのです。
清盛の義妹だとわかって、引くような態度を見せたのは彼が真っ当に滋子を好きになった表れですね。ひねくれキャラの後白河だったら、「面白いことになったヒャハハ」と笑い出してもおかしくないですから。
しかし、彼は素直に滋子の行く末を案じたのでした。(って、だったら手をつける前に考えろよって思うけど・笑)
■この経緯を滋子の立場で見ていくと、めっちゃ私が前述した「駄作な乙女ゲーム」状態です。

今の常識に反発して、「好きな人とじゃなきゃ結婚しない!」と宣言する、“「自分」を持ってる”私。
そんな私を、「お前はほかの女たちとは違う」って、人間嫌いの時の権力者・後白河様が見初めてくれたの。


って感じですね。このままでゴールインしたら。
しかし、彼女は後白河とのゴールイン間近で、壁にぶつかります。唯一のコンプレックスだった癖っ毛が、ここで障害になります。
そもそも彼女が「私は私らしく」性格になったのも、この癖っ毛のコンプレックスへの自己防衛だったのかもしれませんね。滋子を有能な女房だと評価してくれた上西門院様ですら、院の妃にあがることには、「その髪では…」と難色を示す。
彼女の「私は私らしく」が許されている範囲と、それだけでは突破できない領域があることに彼女は気づくのです。また、好きになった後白河に迷惑がかかるかも、とわかってはじめて、彼女は「自分を通すことで、他人に迷惑をかける」ことをリアルに体感したわけです。

■さて、この滋子に対する清盛の反応ですが、当初、二条天皇のもとに彼女を差し出そうとしていた清盛は、滋子が勝手に後白河とデキちゃって子どもまで身ごもったことに「やられたー!」と苦みきった反応をします。
さらに応援するどころか、支援はしない、結婚したいなら勝手にしやがれ!と宣言します。
ここは、周囲を考えずに「私は、私は」を通そうとする滋子に対してザマミロと思う反面、かつて身分の違いを乗り越えて明子という妻を選んだ清盛とは思えない、と首をかしげたくなる反応ですよね。
■しかし、壁にぶちあたって自信をなくししょげてしまった滋子を目にして、なんでそんなしょーもないことでめげてるんだ!とイライラしちゃう清盛。
清盛は滋子の髪への評価を「くだらないこと」と一蹴します。滋子の「自分」を認めてくれているようで最後の最後で「世間」を取ってしまうのが上西門院様の反応だとすると、清盛はその逆です。
こうして、滋子は清盛の「癖っ毛が気にならない、他国(普段の文化ではない)風の衣装をまとわせる」作戦で、囚われかけた「世間の常識」から自由にされて送り出されます。
■この展開はよかったなーと思います。タイトルは「滋子の結婚」ですが、重要なのは清盛の描かれ方ですね。今回は「清盛は変わったけど、本質が変わったわけじゃないんだよ」という念押しの役目を持っているお話でした。
今までの辛い経験から学習して、平家の棟梁として生きることを決意し一門にもそれを課すようになった清盛ですが、土壇場では、彼の本来の価値観や情熱が出てくる。「そうなろうと努力して、そうしている」部分と、根っからの素直な部分の両方があるってことなんだ、と見せてくれる回です。
兎丸への「待たせたな」メッセージもそうですよね。だんだん権力自体を目標にしちゃってるように見えてしまうことに対して、「ちゃんと最初の目標を覚えてるよ」と念押ししてます。
あと、聖子ちゃんの回ではわかるようでわからなかった、後白河の性質が前回よりも描かれているという意味でも、物語の流れのうえで重要な回だったと思います。
■ただ、最初の目的を覚えているままの清盛であると、「平家が滅びる」という結末に持っていくのが難しいわけで…。どこかで「見失ってしまった」が描かれるタイミングがあるってことなのかな。この先が楽しみです。

では、ここでその他のトピック。
【家貞と美福門院様が死んじゃった…】
■どちらも、役目を終えて静かに消えていく…という描かれ方でしたね。特に美福門院様は、史実(私、この言葉すごい嫌いなんだけど。史実と事実と真実の混同が多いから。)もそんな感じなんだろうな、という消え方。
■私、今回の大河の白眉は鳥羽・璋子・得子の皇族ドロドロを描いたってことだと思ってます。今までって、皇族役は伝統芸能の人がわりとお上品に演じてて、たいていほかの登場人物に対して「この人は権力を握ってますよ」という承認をするだけの役ってことが多かった。
でも、今回は皇族もお話の本筋に関わって、ものすごくエグい動きをしましたよね。そこが新鮮だった。
でも、それでいて下品で奇矯なだけのエピソードにならなかったのは、鳥羽の本来のナイーブさであったり、あとは得子の
「キレ者だけど、行動原理はすべて“鳥羽院の役に立ちたい”。」
っていう描き方だったんだと思うんです。ナイーブな鳥羽がメッタメタに傷つけられているのを見て、「私だけはこの人の味方でありたい」と得子は思った。
彼女は非常に有能な人なんだけど、物語を通して、「鳥羽のイニシアチブを高める」「鳥羽の対外的な誇りを守る」「鳥羽の後悔を回収する」以外にその有能さを使ってないんですよね。
だから、人物にもエピソードにも救いがあると感じます。実際は「諸大夫の娘」扱いされることへの反発とか、「私が特別になりたい」意識とかもうちょっとあったんじゃないかと思いますが(高野山にゴリ押しで墓を作ったエピソードとか見るに)、それをあまり前に出さなかったのが、人物像をスッキリさせましたね。
よい最期だったと思います。役目を終えて、ようやく大好きな鳥羽院のもとにいけるね…ってねぎらいたい。

【基実&基房登場】
■基実が「うつくしい麻呂」じゃないー!! 私のイメージでは王子様っぽい麻呂であってほしかったのに…。あの険しい表情のおじさんに、盛子が嫁ぐのかと思うと不憫…(涙)。役者さんはまさかのグループ魂枠ですか!
■一方、基房はイメージどおり。滋子の結婚のときに、すげー空ろな顔してたのが印象的(笑)。きっと面白くないんだろうね。。。
細川さん、マロ眉もよくお似合いで。前回は重衡で、今回は基房かぁ。。。面白いところを突いて来るキャスティングですね。
重衡といえば。みんなでゴハン食べてるシーンで、ついに知盛までが烏帽子かぶって登場しましたね。知盛9歳だって。じゃあ次あたりで重衡も烏帽子かぶって出てくるかな。わくわく。


【相変わらず忘れられ役の経盛】
■いや、忘れてないよってアピールとしてコーナー作っとこうと思って(笑)。しかし、笛吹いたりしてて、繰り返し芸術志向であることは描かれてますね。
■一門会議メンバーはかなりわかりやすくキャラわけされてますが、次回ついに基盛が死んじゃうみたいですね。彼も「非常に素直にストレートに、視聴者の疑問や感覚を登場人物にぶつけてみてくれる」役割をずっと担ってくれてたのですが。彼が死んじゃうと、次は重衡とかがその役割になるのかな。
重盛は思ってても口に出さないタイプだし、宗盛は無理そうだし、知盛は視聴者目線よりはもうちょい重い思考であってほしいし。。。

【ここにきて兎丸の恋】
■後白河の手の早さと比べると、辛抱強いな兎丸…。
正直、彼ってどうしてずっと出続けてるのか意味がよくわからなくなってるキャラですよね。
今回清盛が「待たせたな」と言ってたけど、私には「待たせててごめんね、ちゃんとこの後動かすからね」っていう脚本家からのメッセージにも思えた(笑)。
■もしこのドラマが清盛が権力を手中に収めてそのあと変節していくというストーリーだった場合、兎丸は真っ先に変節に気づいて離反していく役割だと思うんです。
で、彼が目立った活躍の場もないのにずっとコンスタントに登場し続けてる理由って、物語がそういう展開をするからなのかなって勝手に想像してるんですけど、どうなんでしょうね。
■もしくは、平家が敗れて消え去った後に、彼の一番最初の夢だけを受け継いで育てていくって役割かなぁ。
「清盛。平家は、人は、滅びても、俺らの夢は滅ぼさへんで!」的な。でも、そっちだとキレイすぎる気がする。


次は、基盛と、後は崇徳院も崩御まで描かれるのかな? とすると、今回の年ごろからイッキに1164年くらいまで描かれることになりますかね。じゃあ池禅尼様もそろそろなくなるのか。
いよいよ初期メンバーがいなくなっちゃいますね。しんみり。
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by mmkoron | 2012-07-22 22:50 | 大河ドラマ「平清盛」

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