源平観戦日記


MOON SAGA 義経秘伝

2012年上演/原作・脚本・演出・主演(義経役):GACKT
巴御前:大和悠河 義仲:前川泰之 伊勢三郎:高橋努 弁慶:古本新乃輔  
陰:早乙女太一 源頼朝:大橋吾郎 北条政子:鈴花奈々

※私が行ったのは、名古屋講演in御園座。

※前提※
私は高校時代あまり熱心ではない演劇部員で、当時小劇場ブームだったので、第三舞台とか、離風霊船とかの劇はよく観にいってました。でも熱心じゃなかったので、内容について熱く語ったりはしてなかった。


■今回は、学生時代からの親友と2人で行ってきました。チケットは2階席2列目で13000円ナリ!
■事前に私は公式サイトを観にいって、いいようのない不安にかられました。
公式サイトではガクトさんのインタビュー映像を見ることができるのですが、そこで彼はこの物語は2002年ごろからあたためていた企画なんだと語っていました。構想十年。構想十年といえば男坂
男坂とは、漫画家・車田正美先生が十年構想をあたためて満を持して連載開始し、コミックス3巻で打ち切りになった「世界各地の番長たちが覇権をかけて抗争する」漫画です。
「構想十年」というのは、熟成されている可能性とともに、妄想が膨らみすぎてヤバいことになってる危険性もはらみます。どきどき。
■さらに、インタビューとかストーリー紹介では、なんか世界観がすごいことになっていました。

・この時代、異能者たちがお互いの力を駆使してたたかっていた。
・彼らは、人に非ざる力を用いるため、「者の不(モノノフ)」と呼ばれていた。
・モノノフと、モノノケ、そして人間たちが存在する…それが平安末期である。


コンセプトアート的なものを、CLAMPに発注してる時点で「ちょこっとアレンジした歴史モノ」くらいではないことは予想していましたが、予想以上にファンタジー設定です。
ちなみに、主要登場人物はほぼこの「モノノフ」でして、能力は人によって様々です。
  弁慶…怪力  巴…相手の能力の無効化  頼朝…相手の意思を操る
  義仲…相手の一手先を読みとる 伊勢三郎…治癒
この力については、あまり生かされなかった人も多くて、ちょっと勿体無かったかな。
■で、ストーリーなのですが、時期的には義仲が都に攻め込み、そして今度は頼朝軍に討たれるという、あのあたりです。

==================================
義仲は、平家との戦闘に次ぐ戦闘の中ですっかり心が荒んでたらしいのですが、義経主従との出会いで、久々に本来の闊達さを取り戻します。義仲の部下であると同時に恋人である巴は、そんな義仲の姿にほっとしています。
しかし、頼朝にとっては分家(と表現されてました。わかりやすく単純化してるんだと思うけど、なんかショボくなっちゃった感はある)の義仲は手駒にすぎません。少ない兵糧で戦わせ、後は使い捨て。
そのとき、義仲は絶望し、「源の名を捨て、木曾義仲となる!」と宣言します。
一方、義経は戦いを避けまくり、軟弱モノ呼ばわりされています。彼には秘められた力があるのですが、義経は、自分のその力が解き放たれることを恐れています。
しかし、義仲の暴走が始まったとき、それを止められるのはもやは義経しかなく…
==================================

■とまぁ、こんな感じのお話です。
正直に書きます。
義経が自分の腕とか押さえて「オレの力が解き放たれる前に…ううっ、…逃げろーーー!!!」とかやり始めたときは、「にへ~」と笑みがこぼれるのを抑えることができませんでした。ガクトさん、少年の心すぎですこれは。
■しかし、私はもっと「ガクトさんかっこいい」という独壇場のストーリーかと思ってたのですが、そこは抑え気味でした。
義経は、「本当はすごい力を持っているのに、隠している天才」というよりも、「すごい力に乗っ取られそうになっている、普通の人」というキャラ。そういう意味では「オレ様万能」な中二病設定ではないんですよね。
だから、最後まで観終わると、義経よりも義仲とか巴のほうが印象に残ってるんですよ。
ガクトは自分が義経をやりたくて書いたわけじゃなくて、ほんとにこのストーリーがやりたくてやりたくて、やると決まったら適材適所で配役していった、結果、「演者としてのガクト大活躍じゃないけど、ガクト色の濃いお芝居になった」。ってことなのかなと思います。
巴とかカッコよかったですよ。義仲との関係もサラっとしてたし、「義経の憧れの人」って設定だけど、そこもさばさばしてたし。何しろ最期が結構すごかった。女だからといって容赦ねえな、っていう。
むしろ義仲のほうがヒロインっぽく死んでた(笑)。
全体的に役者さんたちの殺陣にもっとキレが出たら、面白さが倍増するんじゃないかな。今はちょいと大味な殺陣です。

■役者さんはみんな達者で、ストーリーはコテコテなんだけど、上手な人がそれを堂々と演じてるので、安っぽい感じはありませんでした。
最初、早乙女太一氏(義経と腐れ縁のモノノケ役)が何しゃべってるか聞き取りにくかったんだけど、途中から聴きやすくなったし。
そういえば、大河「義経」の役者さんが2人も出てるんですね。頼朝役の大橋さんは、「義経」で時忠役。弁慶役の古本さんは、「義経」では今井兼平役でした。
■あと、舞台装置の使い方は「へー。こういうのもアリなんだ!」って、私にとっては新鮮でした。大道具的な装置は大きな階段の組み合わせのみで、背景としてLED映像を投影することで、場面を表現する。
(かなりゲームっぽい、背景でしたね。私はPS3の「GENJI」を連想した。あんな感じ。)
あと、異能者たちが術を繰り出すんだけど、それも全部LEDで映像を出す。役者さんは、その映像とタイミングを合わせて動く。
例えば役者が「かめはめ…波!」って言ったら、あの手を突き出すポーズと同時に、背後のスクリーンでバッと光が放たれる…って感じです。今はこういうこともできるんですねー。
タイミングズレたらめちゃめちゃになりそうだけど、私が見た公演ではぴったり合ってました。これは面白かった。
■ゲームっぽいといえば、衣装もそんな感じでしたね。和モノのファンタジーっぽい。さすがガクトの舞台って感じで、巴や義仲、義経たちはよく動くんだけど、ものすごく凝った衣装なのにアクションできてる。相当作りこまれた衣装なんだろうなー。
私が好きだったのは、北条政子の衣装です。「トゥーランドット」っぽくて、豪華で威圧感あってよかった。
動きもきれいですよ。衣装の特徴を生かしてるって思いました。文官たちが着ている直衣の袖のひるがえりとかキレイだった。


■演出面が面白かった一方、ストーリーには、私はやや難を感じちゃいました。
二次創作でしか許されないストーリーを、一次創作でやっちゃったというか
「作り手が描きたいシーンだけを描いた」ためなのか、お話のメインだったはずの「仲間との絆」への引き込みが浅かった印象です。
義仲たちは「義経と出会えて、荒んでた心が立ち直った」って言ってるけど、セリフで言ってるだけで、お話の中に「義仲と巴が、義経主従と触れ合うことで、本来の心をゆさぶられている」的な場面はないんです。
冗談言いあってじゃれてる場面はあるんだけど、その「一緒にバカやってたのしい」的なギャグシーンを延々何度も出すだけで、命を預けあうほどの「絆」を描こうってのは、ちょっと無理があるなぁと。
モノノケの「陰」も「ほっとけない」って言って、なんだかんだで義経を助けてくれるんだけど、でも、その脈絡が省略されすぎてるので、観てるほうは「よくある、ツンデレの『ほっとけない』関係なんだよなこれ」と、補完して解釈することになる。
あと、義経は基本戦いを避けてるんだけど、ほんとに回避してるだけで、「自分がどれだけ傷ついても、違う解決の道を探す」とか別ベクトルの行動力があるわけでもないので、「この人、真の力に乗っ取られないと、スペック低すぎて普通の人以下じゃないか? ガクトだから見た目はカッコイイけど…」って見えちゃう。
■先に世界観とキャラと描きたいシーンありきで、その結果表せそうなお話を描く…みたいな順序で考えられているように私には見えて、そこが私にはマイナス印象でした。
「みんなの共通認識・お約束を、意外性のある演出で見せる」劇だと思えば、これもアリなんだけど、インタビューで描きたいと語っていることに対しては、目的と手法が合ってないかなーと。

■と、マイナス意見も書きましたが、上映時間の2時間の間は、「どうなって終わるのかな」と追いかけながら楽しめました。
最後に「義仲編」って出てきたときは、「義仲編!? じゃあまだ続くってことかよ!!」って驚いたけど!
きっとファンは続くことがめっちゃ嬉しいんだろうなぁ。そう思うと、ファンサービスはものすごく細やかというか、期待を裏切らない内容だったんだと思う。
[PR]
by mmkoron | 2012-08-06 22:45 | その他映像・劇 等

<< 「平清盛」公開セミナーin岡山      第30話「平家納経」 >>

源平関連の本・ドラマなどの感想文あれこれ
by mmkoron
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
最新の記事
カテゴリ
記事ランキング
最新のトラックバック
スキヤキ・ウエスタン ジ..
from 徒然独白 - 手鞠のつぶやき
小栗旬 カリギュラ 関連..
from 小栗旬 画像・動画 最新情報..
小澤 征悦『西郷隆盛』役
from 篤姫(あつひめ)大河ドラマ
リンクなど。
きよもりよりもよき
まみころの平家物語サイト。
あらすじ紹介漫画とか人物紹介など。



まみころのブクログ
源平関連以外の読書日記はここに。読む本にあまり偏りはないと思ってたけど、こうして見るとすごく偏ってる。
以前の記事
その他のジャンル