源平観戦日記


「平清盛」公開セミナーin岡山

2012年8月26日  講師:髙橋昌明氏(神戸大学名誉教授/大河ドラマ「平清盛」時代考証)

※注意※
私はセミナー内容にも講演者の著作権があると思うので、内容の掲載ではなく、あくまでも講演を聴いた私の感想として書きます。


■おおーっ、ついに岡山でもセミナー開催。しかもゲストは、プロデューサーでも役者さんでも演出とかのスタッフでもなく、時代考証の先生。なんだか手堅い~。私もさっそく往復はがきをだして申し込みました。
で、当日。駅前のNHKが入ってるビルの前に行くと、でっかいナナミちゃん人形のあたりに、なんか黄色いシャツの集団が。「募金おねがいしまーす」とか「奥のホールにお越し下さい~」とやってます、24時間TVです。コラボしてるのか!?と思ったのですが、別にそういうわけでもなく、奥のホールへの呼び込みをする黄色いシャツ集団が、だんだん前にせり出してきてNHKの入り口前に陣取ってる格好になってたようです。
■うっかり黄色いシャツについていって中尾彬さんの撮影を見に行きそうになりましたが、ぐっとこらえてNHKへ。
こっちでも、「おかあさんといっしょ」の人形との撮影コーナーがあったり、歴代大河のパネル展をやったりしてて、人でにぎわってます。「おかさんといっしょ」は、なんか新しい人形になってるんですね。牛とねこと…あと謎の生き物でした。家に帰って調べたところ、「ラーテル」だそうです。何それ。
清盛のコーナーもありましたよ。役者さんのサインと、得子・清盛・乙前の衣装が展示されてました。
お土産にどーもくんシールとかもらって、いよいよセミナー会場です。

暑い。

入り口とはパーテンションで区切られてるだけなので、外の熱気がじわじわ入ってきます。げー。
今回客層は、9割が60歳以上って感じでした。午前中に整形外科に行くとこんな感じ。
おそらく役者がゲストだともうちょっと客層が若いんだと思いますが。そういえば広島のセミナー(ゲストは人物デザインの人)のときも、今回ほどじゃなかったけど年齢層高めだった。こうやって見ると、大河ってやっぱりお年寄りの視聴者が支えてるんですね。

■さて、そうこうするうちに14時になって、いよいよセミナー開始です。拍手とともに髙橋先生登場。最初はアイスブレイクと言うか、世間話から始まるわけですが、いきなり「視聴率が思わしくなくて…」(笑)。苦笑交じりですが、ほんとに残念そう。そりゃそうだよね。この時代が好きでライフワークにしてる人だったら、みんながこの時代に関心を持ってくれないってのはションボリでしょう。私ですらションボリだもん。
先生曰く「最高の役者の最高の演技、最高の演出に最高の脚本に二流の時代考証(ご謙遜!)なのに」なぜこうなんだろう・・・と周りの反応を見る限りでは、

・名前がわかる清盛と頼朝ぐらい、あとは名前も知らない登場人物…という、時代の知名度のなさ。
・そもそも清盛に悪役の印象が強く、人気がない。

が2大要因のようだ…ということで、そこから話が始まりました。
私の周囲を見てる実感だと、後者よりも前者が大きい気がするんですけど、会場の人たちは後者のほうでウンウンと頷いてたので、大河の主要視聴者である高齢者にとっては、後者の要因のほうが大きいのかしら。

■で、その話から「じゃあ実際の清盛ってどういう人?」ってことで、彼が悪人ポジションになった経緯と、それが変化する契機(氏曰く、吉川『新平家』が先行で、むしろ歴史学者は遅れてたとのこと)が何だったのかという話。十訓抄などを引いてきての清盛の人柄紹介などをお話されました。
面白かったのは、単純に「ね、清盛って優しい気配りの人でしょ!」ではなかったことです。
平家物語の感情の起伏の激しさがむしろ彼の本質にあって、ただそれを抑えて振舞っていたのが壮年期だったのではないか、晩年はいろいろタガが外れることが多くなっていたようだ(秀吉とかのように)という分析だったことですね。私、いまちょうど各話紹介で「ついにブチ切れた」清盛を描いてる最中で、私も清盛をそういうトコロがチャーミングだと思って描いてるので、嬉しかった。
(義経とかに対してもそうなんですけど、「卑怯な作戦をしたから嫌なヤツ」みたいな即決はつらい。それだけじゃないトコロがあるからこそ、最後までついてく人がいたし、文学になってるんじゃない?と思う。)
■ところで先生が、福原に篭って清盛が何をしてたかよくわからん時期について、「どうやら瀬戸内海に船を繰り出してたようだ」って話しつつ、「今でいうクルージングですね。清盛は、定年後に外車で走り回っているハイカラじいさんみたいなもんです。」って話してたんだけど、
私には鮮やかに、クルーザーでブイブイいわせてる北●謙三先生の姿が浮かびました…。

■清盛の人物像の話のあとは、今回の本題である「平家政権も“幕府”だった」という話。
よく「平家は貴族化しちゃった中途半端な政権、武士の政権としては鎌倉幕府が最初」と言われるけど、鎌倉幕府は、清盛が六波羅や福原で実験したことを、制度として確立したものといえる。
400年続いた貴族社会の中で手探りで挑戦した清盛の平家政権と、清盛というロールモデルがあった状態からスタートできた鎌倉幕府を比較して、平家政権は出来損ない・鎌倉は完成形と評価するのは、あまりに酷。
…とまぁ、そんなお話でした。その根拠をひとつひとつ説明してくださったわけですが、これが結構難しい話なので、ところどころで長い航海にコックリコックリ旅立ってしまったお客さんもちらほらでした。
でも、正直このセミナーにはカルチャーセンター程度しか期待してなかったので、(時間の都合で資料を引いて説明っていう時間はなかったけど)しっかりした話だったのが私はうれしかった!

■最後に、質問コーナー。

Q1)「たまこ」「なりこ」などの女性名は、私が知る限りでは「しょうし」「とくし」だったと思うが、今回のような呼び方に根拠があるのか?

偉い先生がそう言い出したから、という、ミもフタもない回答でした(笑)。質問者の人が「しょうし」「とくし」が正しい名前だと思ってたのか、便宜上音読みにしてるだけだと知ってたのか、知識がどこからスタートしてるのかは、質問からは読みとれませんでした。

Q2)今回の講演でも、ドラマの中でも「王家」という表現が出てくるが、そのような呼び方はない。「天皇家」にすべきではないか。

王家キター。これもQ1と同じ人。すごい嫌な言い方しますが、私、この一連の質問を聴いてて、「ああ、王家うんちゃらって言う人は、このくらいの歴史の知識の層だってことかぁ」と納得しました。
「そんな呼び方はない」って結構強く言ってたんだけど、先生があっさり「この時代は日本国王って名乗ったりしてます」って返してて、ちょっと小気味良かった(性格悪くてごめんな)。ナレーションなどで呼ぶときは、その帝が故人だったりするので「天皇」でいいけど、会話文でリアルタイムに語るときは「王家」などにしたほうが自然だろう…と話し合ったとのことでした。というわけで、このあたりの呼称はスタッフ一枚岩のようでホッとした。

Q3)平家物語を読むと「おじご」という表現が度々出てきますが、これはどういう意味ですか?

先生が「おじさんの子ども、の叔父子でしょうか?」と尋ねるんだけど、質問者の人は答えられなかったので、先生はとりあえず「叔父子」の解説をしてました。しかし先生も言ってたけど、平家物語に「叔父子」って出てこないよなぁ。。。何か別の単語かも…って、回答を聞きながら考えたけど、思いつかない。漢字でどう書くかが説明できなかったので、平家物語ってよりも、この時代を紹介する何かの本か番組を見たってことかもしれません。

■とまぁ、こんな感じで講演終了。最後に先生のお茶目発言集。

・フカキョンこと深田恭子さんが時子を… (先生、もしや深キョンFANなのか!?)
・〈滋子への寵愛を説明するところで〉後白河は愛人がたくさん、男性も女性もいたのですが (さらっと!)
・本屋さんには清盛の関連本がいろいろ出ていますが、五味氏・元木氏などの本以外はまぁたいてい読まなくていい本です。ですから、そんな本を買うよりは髙橋さんの本を買ってください。 (笑)
・「今回の大河が、海と船が主役ですから!」と立派な船を作ってもらったが、費用がすごくて後が続かなかった…。 (先生の要望もあったのか…)
・ドラマでは前回(31回か?)「だじょうだいじん」と言ってたが、「だいじょうだいじん」が正しい表現なので、どっちに修正される。 (でも32回もだじょうだいじん、だったような。)
・広島は、この大河ドラマの効果でかなりもうかってるそうです。京都はまぁいつものとおりです。神戸はさっぱりです。理由は、何もないから。広島には厳島神社というお宝がありますからね。 (あーそうかも)
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by mmkoron | 2012-08-26 23:12 | 大河ドラマ「平清盛」

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