源平観戦日記


第33話「清盛、五十の宴」

こないだ自分が書いた「義経」のときの感想を見てたんですけど、そっちと比べると「清盛」の感想はめっちゃ真面目に書いてますね。自分でびっくりした。
「義経」のほうは、わりとお話自体はどストレート展開だったので、茶化しつつ感想を書いてたのですが、「平清盛」は「なぜこうしたのか?」の解釈を書きとめたくなっちゃうから、あまり遊んでる時間がない(笑)。
どっちの作り方もありだと思うし、どっちの作り方でも面白くできるんだと思います。今の世の中、正解はいくつもありますから。なのに、未だに何かの正解は常に1コしかないと思い込んでる人は多い。自分自身がそうなりがちで、いつも「そうじゃない、そうじゃない」って言い聞かせながら仕事とかしてるから、余計に他に敏感になっちゃうんですけどね。

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■今回の最初は後白河院のレッスンから。乙前が出張講師に来てくれたんですって。
かつて青墓で講師依頼されたときは断ったのに何故?と問われて、特に理由はない、私はただの老い先短い白拍子だから…と答えるにとどめる乙前。
しかし、聖子ちゃんは白髪以外全然老けてないので、あまり説得力ありません。このドラマの乙前は、『天上の虹』の額田王状態ですな。今回ラストのほうで時子が清盛のことを「永遠に生きるつもりか?ってくらい元気」と評しますが、いやむしろこっちのほうがそんな感じ。
で、聖子ちゃんが都に留まっている理由ですが。単純に「清盛の夢の行き着く先を見届けてみたい」ということなのかなと思います。

■次は平家の邸。
前回、清盛(当時大納言くらい)の「音戸の瀬戸を拓きたい」という提案は貴族たちに一蹴されてましたが、今回は無事に幹部会(みたいなもの)を通ったようです。
といっても、清盛は既に太政大臣まで上り詰め、それも辞任してる「隠居した会長」状態ですから、自分で会議に出たわけではなく報告を聞いた状態。お手柄だったのは、音戸の瀬戸をひらくことで貴族が得られるメリットをアピールした時忠でした。
彼は引退前の清盛の「身内をどんどん要職に就ける作戦」にのっかって、「参議」になってました。清盛の、「自分は隠居するが、身内を要職に就けて、幹部会の多数決を握れる数にする」というやり方の成果ですね。
いやしかし、時忠は現実的な(しかも短期の)利害の話になると強いね(笑)。
■報告を聞いている清盛さんは、隠居の割にフォーマルな服装だったのですが、どうやらこれから厳島神社に旅に出るそうですよ。
形は隠居ですが、清盛はやりたいこといっぱいで元気元気。時子に「帰ったら50歳のお祝いパーティーやりましょうね」と言われても、自分のお祝いだってわかってないくらい。年齢を数えるヒマもないほどなのです。
■清盛の周囲も順風満帆。
後白河院のもとにいる滋子は、ますます院の寵愛を得て夫婦円満。
熊野詣のときのでしたっけ、大雨の中でも「胡飲酒」舞をきっちりやりきった…っていう男前エピソードが再現されました。この舞、読み方がかわいいわ…「こんじゅ」。
舞は…どうなんでしょう。あまり優美な感じはしなかったけど、見るからにヤバイとも思わなかった、って感じかな。(※みるからにヤバいレベル=大河「義経」最初のほうに出てきた静御前の舞シーン。)
ずっと滋子役がどうしてこの女優さんなんだろう、もっと華やかな女優さんのほうがよくないか?…って思ってたけど、後白河院役の松田翔太が婀娜っぽい雰囲気だから、対照的にナチュラルさ・健康美を選択したんだな…と、今になって思いました。確かに、2人並んだときに、滋子までエレガント系だったらちょっとくどいね。
■さて、そんな上機嫌の後白河のもとに、息子である以仁王が参上したとの知らせが。
途端にご機嫌ナナメになっちゃう後白河。息子が父親に会いに来たわけなのに、ひどいよなぁ。。。
この以仁王ですが、1151年生まれなので、このドラマの時点で16歳とかそのくらい。二条天皇は異母兄で、同母兄姉妹には、平経正が都落ちの際に琵琶を返却した守覚法親王や、歌人として有名な式子内親王がいます。
お母さんは、藤原成子。この女性のお父さんは、後白河の生母・璋子さまの異母弟ですから、後白河とは母方のイトコですね。
母方の親族とはいえ身分は高くもなく、早くからの身内で気楽だったのか何なのか、彼女は後白河との間にたくさん子どもがいるのに、あまり重んじられてません。なんというか、食事における「じゃ、とりあえず●●で」的な扱いにされちゃった感あるなぁ。滋子のお父さんだって身分的にたいしたことないのに、明らかに差をつけられてます。
■と、紹介に字数を使いましたが、ここで以仁王が養母扱いになっている後白河の妹・暲子内親王と一緒に登場。彼女はこの時点で既に出家してるはずですが、普通の衣装と髪ですね。
この暲子内親王は、美福門院の娘です。両親の財産をごそっと相続してて、超お金持ち。財力をバックにした政治的影響力のある彼女が一緒だとわかったから、最初「出直してこいと伝えよ」と言った後白河も、結局以仁王と対面したわけです。
すると、めっちゃどストレートに、「以仁王こそ次の帝となるべき!」アピールしてくる2人。でもなぁ、後白河にこういうアピールの仕方は逆効果だよね。自分が主役でなきゃイヤな人なんだから。
後白河は以仁王の親王宣下の話も「まぁそのうちにね」で流そうとしてて、右から左にモードなのですが、滋子は彼女なりに危機感を持ったようです。兄・時忠を呼び出して、平家の財力を我が子・憲仁のバックアップに使ってほしいと依頼するのでした。
具体的に言いますと、まだ幼い憲仁親王のライバルにならないように、カネにものいわせて以仁王の親王宣下を阻んだのでした。自分は一門縛られない、と宣言してたのに、一門の影響力は使うのね。このへん、滋子って時忠と似たものきょうだいだよねー。
■この兄妹の対面シーンに、滋子の女房である建春門院中納言こと健御前が登場してました。
このドラマでは「健寿御前」でしたね。文献に残ってるのは「健御前」だけど姉妹がみんな「●寿御前」なので、寿をつけるのが一般的になってる…ってのが私の認識なんだけど、実際はどうなんだろう。
で、この女性ですが、藤原定家の同母姉です。しかし、ホントはこの33話の時点…1167年時点では滋子のとこに就職するかしないかくらいの時期でして、しかも年齢はまだ11歳。ドラマではベテラン女房の風格漂ってましたが、実際にはこの頃は「建春門院さますてきー」と目をハートにしたり、「こんな就職するんじゃなかった、やめときたかった…」とクヨクヨしてたりです。

■厳島神社に出向いた清盛は、これから都のそばに港を持ってこようとしている、そのときには瀬戸内海の航海を守る存在として、ここ厳島の神に安全を祈願したい・・・と、兎丸と桃李の間に生まれた赤ちゃん(子兎丸、って言ってたから男の子なのね)をあやしながら未来のプランを伝えます。ここではみんなそのプランを歓迎してます。
■そして清盛が都に帰ったところで、彼の五十の宴が華やかに開催されました。ではここで、お客さん紹介。

1)重盛の子どもたち
のちの維盛、資盛、清経…なのかな? 3人が出て来ました。
子ども3人がおじぎした後の、重盛のドヤ顔に笑っちゃった。幸せなのね重盛…よかったよ…。
そして子役たちですが…どうしても維盛の顔を気にしてしまう!
子役の子は元気な感じで、美少年イメージではなかったですが(勿論役者さんなので普通よりも当然整ってるけど)、どう成長するのかな。
この3人、実際は経子との間の子は清経だけで、全員母親が違うはずですが、このドラマでは母親は全員経子っぽいですね。確かに、このあとの展開を考えると、そのあたりを正確に描くとややこしくて本筋がわかりづらくなりそうだから、仕方ないかな。
大河「義経」のときは、明言はしてないけど経子の息子ではないのかなーって表現になってましたね。経子の、維盛のことを語る雰囲気にちょっと距離がある感じだった。
さて、孫3人のあいさつにホクホクの清盛は、この3人の教育係を伊藤忠清に命じました。頼もしい!と思う前に、不幸フラグがぁぁぁと思ってしもた。どういう教育係になるのかな、維盛の味方でありつづけてほしいんだけど…。

1)源頼政&仲綱 父子
平治の乱で清盛側について生き残った源頼政も宴の前にお祝いのごあいさつ。これから伊豆に出張するんだそうです。息子の仲綱(平家物語では名馬を巡って宗盛ともめる人ですね)はなぜこんなに平家に擦り寄るのかと詰りますが、頼政はいまはガマン、の思いでいるようです。

2)常盤&牛若 母子
今日が清盛の50歳パーティーと聞きつけた牛若が、常盤にどうしても行きたいとせがんだそうです。
しぶしぶ来たところを、時子にみつかってしまいます。しかし時子にとっては、常盤&牛若は「清盛の愛人とその連れ子」という以上に、「清盛の友だちだった義朝の妻とその忘れ形見」なのですね。
自分を「父上」と呼ぶことを特に訂正せずに、お菓子を与え、知盛・重衡・徳子と遊ばせる清盛。子どもたちも特にわだかまりないようですね。この先を思うと心が痛むわけですが…
大河「義経」の牛若も、知盛や重衡たちと遊んでましたね。あっちのほうが頻繁に遊んでるようでした。こっちは、役者の年齢の都合で重衡と牛若の年齢差があるように見えちゃうので(実際は2歳くらいの差)、そこまでの関係にはしないようですが。

3)忠度
亡き父・忠盛の末の弟です。平家一門が出家したこのタイミングに、と貞盛が呼び寄せたそうです。
が、清盛とその兄弟たちはその存在を知らなかった模様。突然元気に飛び込んできたムサい男に一門がびっくりするのが面白い。でも、15話くらい前はさ、平家も同じくらいムサい感じだったよね(笑)。
新規加入した彼に紹介するというかたちで、改めての平家一門の「モリモリ整理コーナー」。
定期的にありますねこのコーナー(笑)。グダグダになりそうなところを、忠度が「いずれ劣らぬ持ち味の兄上方」とウマくまとめてくれました。忠度、解説役としても見込みのある男ですな。
兄弟と会えてうれしい忠度、その喜びのままにコミカルな熊野の祝い踊りを披露し、みんな大喜びするのですが…

4)摂関家ブラザーズ 基房&兼実
身内でたのしくやってるところに、呼ばれてないのに訪問してくる摂関家兄弟。
都の近くに港を持ってくるとか、その守りを祈願する為に厳島の神を持ち出すとか、昔からのお約束に従わない清盛がとにかく気に入らないのがこの2人。
で、「新しい神社を造営するには、やっぱり古来よりの伝統とか風流を解する心がないとねー」と、平家一門のセンスをテストすると言い出しました。
さすが摂関家、嫌がらせのセンスが昔のアイドル漫画とか大映ドラマ。
で、宴へのプレゼントとばかりに2人で舞をご披露してくれました…わかりやすくドヤ顔で舞う二人
。「俺ら並みに舞えるかな、フフン」ってなもんですな。意図のわかりやすさに、いっそ好意すら持ちたくなる二人です。

■しかし、この2人のイヤミな圧力に「参りました、うちの一門じゃかなわないです」とうなだれるような清盛ではありません。この2人の舞へのお返しを、重盛・宗盛・経盛に命じます。
経盛が笛、重盛&宗盛が舞。経盛が笛を吹き出した時点で基房の顔つきがかわったところで、なんか報われたような気持ちになったわ…どんだけ今まで経盛を応援してたんだ自分…。
摂関家ブラザーズの舞が優雅で厳粛な感じだったのと比べると、重盛&宗盛のは、若さ強さがある感じ。ここで同じ系統の舞ではなく、あくまでも自分達の姿をぶつけるのが、清盛らしさなんでしょうね。
維盛と牛若が隣同士で座ってたのになごんだわー。しかしこのあとの以下略。
■2人の見事な舞にグヌヌ…となった摂関家Bros.、今度は和歌合戦を挑んできます。お題は時子さんが指定して「恋」。えっ、そこは清盛の長寿を願うとかそういうテーマじゃないの!?と思ったんだけど、まぁ「恋」です。
当然経盛が出てくるのか…と思ったら、兼実にびびって萎縮しちゃった。そこで、清盛はニューフェイス忠度を指名します。

兼実さんのお歌。これは実際に残ってる歌ですね。

帰りつる 名残の空を ながむれば 慰めがたき 有明の月
(あなたが帰ってしまった後の余韻のままに空を眺めると、私のこの心を慰めてはくれない有明の月が見えるわ)

ってな感じですかね。有明の月とは、字面のまんま「夜が明けてもまだ空に見える月」です。その光のない、「ぽっかり」感が、心のぽっかり感と呼応するのかな、こういう和歌では必須アイテムのようですね。
時子が目をハートにして解説してくれるのかと思ったら、経子ちゃんが解説してくれました。今回の経子ちゃん、男塾で技の解説をしてくれる富樫と虎丸みたいです。
さて、この和歌にどう対抗するんだ、このむっさい熊男が…と思いきや、忠度の和歌

たのめつつ 来ぬ夜つもりのうらみても まつより外の なぐさめぞなき
(来てくれるって頼みにしてたのに来てくれない、そんな夜が積もりに積もったけど、どれだけ恨んでも結局のところ津守の海岸の「津守は松で有名!逆に言えば松以外には特に見るものない!」みたいに、私も待つ以外に自分のこの心を慰める方法なんてないよね)

ときました。私が適当に意訳してますが、同じ31字の情報量で「恋人にちょっといいようにされてる女のやるせなさ」を読んで、これだけ訳の情報量に差がわるわけなので、忠度の和歌はかなり状況と思いの両方が込められたイケてる和歌です。
(と言い切ったものの、私は和歌については真面目に勉強してこなかったので、よくわからん)
■見た目全然風流じゃない忠度がするっと巧い歌を詠んできたことにキーッとなったBros.は、高笑いのようなカラ笑いをしつつ、「で、でも、結局私らのサルマネだもんね、だから、巧く詠めたからって神社の造営なんて絶対許さないもんね!」と、最初の主張を無視して居直る(笑)。
大人げないBrosの対応にやれやれとなった清盛は、ついにあたためてきた厳島神社造営計画を見せます。
海を活かす、タテ方向へ広げるのではなくヨコに拡がりをつくる。これの発想こそが、神社だけでなく、清盛の政治ビジョンとなのです。
ここの説明はウマい!って思った。なるほどなー、説得力あるわ。
■摂関家Bros.が帰っていった後も、日が暮れていく中で宴は続きます。
清盛のビジョンにすげー!となっている一門の皆。この先へのワクワクが止められない清盛。宴よ終わるな、このおもしろい時間よ終わるな、とばかりに扇で夕日を招きよせると、なんと夕日が輝きを取り戻した(ように見えた)!
音戸の瀬戸での日招き伝説をここで使うとは。しかし、清盛の絶頂期のエピソードなのに、太宰治『右大臣実朝』の「アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」を連想しちゃいますなぁ。
父上が夕日を招いたら、また日が昇ったんだよ!と目をキラキラさせて常盤に報告する牛若。彼はその昇った日を叩き落すのが自分だと知らないんですよね。なんというか、相変わらず、絶頂期にそこはかとなく不幸の種を仕込まずにはいられないのがこのドラマの脚本ですなぁ。

■さてさて。そんな清盛のエピソードは尾ひれがつきながら、あちこちへ。
伊豆に出張した頼政さんの荷物にもくっついて、大根業者ならぬ北条時政の屋敷にも届きました。
時政に誘われて頼朝を見に行く頼政。彼が見たのは、以前の、ある意味「世捨て人の穏やかさ」を醸し出していた頼朝ではなく、完全に虚無感でダウナー入っちゃった姿でした。都にいてもこれだけのダメージを及ぼせる清盛の影響力に恐ろしさを感じる頼政と時政。
■しかし、清盛だって超人ではないんです。これから新しい仕事に着手するぞ…という矢先、彼は不意に倒れてしまいました。どうなる清盛!?

…というところで次回。
清盛が病床で見る夢に、過去の登場人物がわんさか登場するようですね。
白河院がお花畑で手招きしてたら笑う。
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by mmkoron | 2012-09-09 00:24 | 大河ドラマ「平清盛」

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