源平観戦日記


第38話「平家にあらずんば人にあらず」

■台風が来てたので、今日は外出もせずずっと家の中にいました。
ちょうど注文してた「ラストマネー(※)」が届いてたので、1話~最終話(7話)+特別編集編2時間+インタビュー映像の10時間分の、自宅上映会でした。
※ラストマネー~愛の値段…2011年秋に放映された、NHK火曜夜22時枠ドラマ。伊藤英明演じる生命保険の査定員が主人公。
いやー、最初に見たときとまったく同じ場所で同じようにざばざば泣いてしまいましたよ。業界モノとしてはNHKの他のドラマよりぬるいと言われ、セカンドバージンのような主婦ウケはせず、視聴率はイマイチだったんですけどね。
対照的な2つの事件が並行で走りながら進んでいく展開とか、伏線の張り方とか、映像のそこらここらに登場人物の心情や性格を反映した小物が入ってきて、「こんな荒れた生活だけど、もとはきっちりしてた人なんだろうな」とかわかる演出とか…。大河「清盛」が好きな人はこのドラマも面白いと思うかも。
私は、業界モノでありながら、描きたいのは保険会社の暗部というよりも、本当に残るのはお金ではなくて想いでありお金はその従属物でしかない、というこのドラマの一貫した主張に響いたからでした(実際に、最低の結果お金が払われないんだけど、お客さんが幸福になる話も出てくる)。
■で、ドラマを見直してたら、チョイ役で経盛役の役者さんが出てるのに気づきました。伊藤英明に「こいつクビにしてください!」と怒鳴られてた。こっちでもトホホ系か(笑)。

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■さてさて。清盛も第38話です。タイトルは「平家にあらずんば人にあらず」。平家の驕りの春。
ただ、この「人」については、今でいう「にんげん」というよりも、「いっぱしの人」みたいな意味のほうがしっくりくるといわれてますね。
「平家でなかったら、人間じゃない、人間以下の存在だ」というわけではなく、「平家でなかったら、世の中ではひとかどの人として尊重されることはない」くらいの意味だと。まぁ、どっちにしてもエラソー発言ですが。
■清盛は福原に経済の拠点をつくるため、強攻策で攻めます。
前回清盛は、貴族勢力に遠慮気味の重盛の知らぬところで、時忠に命じて反対勢力の抑えを依頼していました。役割を果たそうとがぜんやる気を出した時忠は、カムロを都に放ちます。
そして、平家への敵対言動があった者を体育館裏(笑)みたいなところに連れ込み、身包み剥いだり、家財を没収したりしているのでした。
と、このカムロの動きですが。このドラマでは、街中の「平家ないわー」な悪口をイチイチ取り締まるというよりも、貴族たちへの牽制目的として描かれてますね。
宮中で貴族達が会議の休憩中?に平家批判をしてるのですが、「このままにはせんぞ(=なんかしたる)」ってな発言をブツブツ言ってた貴族が狩られてました。
貴族達の「このままにはせんぞ」が、前回の基房のような「出会いがしらに子どもの無礼をとがめ、ぶん殴る」みたいなものであることは描かれてるので、今日の段階では平家ひどい!ってよりも、どっちもどっちって感じだなぁ。

■しかし、自分の弟が乱暴なやり方をしていて、それを「清盛から命じられたから、自分は誇りを持ってやっている」と言い切っていることを、時子は不安に思います。
実は、最近棟梁の重盛は病気がちで、出仕をお休みしています。ここでちらっと映る重盛の表情が、公園でハトに餌やってるサラリーマンみたいなことになってます。やばいです。
いわゆる「精神的に疲れちゃって休職中」ってやつですね。重盛といい、維盛といい、小松家の人は繊細な人が多いのかしら。
彼らの悩みって非常に現代的ですよね。当時はこういう状態への共感や理解がそんなにないから平家物語での描写もぼやっとしてるんだけど、現代人の私にはものすごくわかりやすい気がして、興味深いんだよなー。
何はともあれ、時子は社長休養中&会長不在の平家一門を心配しているのです。
■その心労のためか何なのか、時子が病に倒れ、清盛は都に駆けつけます。
最初、清盛を呼ぶための仮病かと思ったけど、駆けつけてくれたことに驚いて喜んでるので、ホントに病気だったみたいですね。
時子はここで言っておかねばとばかりに、清盛のやり方をたしなめようとします。また、清盛に都に帰って来てほしいとも願いますが、清盛はそれをやんわり拒否します。
かつて信西入道は、自分の政を押し通そうとして貴族勢力に潰されました。
清盛も、福原に自分の夢を実現するためにはこの貴族勢力の妨害を排除せねばなりません。
貴族ではなく武士である清盛は、信西と同じ轍を踏まない為に、武士として力をもって先手必勝で攻めているというのです。
■そして、清盛の夢への布石は、「邪魔者の排除」に留まりません。
もうひとつ、「協力者を作る」を実現するために動きます。
なんと、帝(=高倉帝。後白河と滋子の間の子)に、自分の娘・徳子を入内させ、最高権力者を味方にとりこもうというのです。帝の母・滋子と、徳子の母・時子は異母姉妹ですから、これはイトコ婚ですね。
一門に徳子が琵琶をお披露目している場で、その話をする清盛。
「まだお若いが、今年元服された」というヒントに、さっと驚愕する重盛、そのリアクションで察するほかの面々。最後まで気づかず、知盛に耳打ちされて思わず素っ頓狂に叫んじゃう宗盛。
このシーン、いいですね。前回、重盛について「役割と本人の資質の不合致」が描かれましたが、このシーンを見ると、重盛はそれでもこの一門の中では状況察知能力が高いのだとわかります。で、宗盛じゃ不安だなってのもわかる(笑)。

■この話を、清盛は帝の生母・滋子に持ち込みました。
滋子は出来る限り力になるとは言ってくれますが、同時に、後白河に直接願い出てみよと伝えます。
そして、後白河のご機嫌をとるヒントとしてかな、最近の後白河のマイブームを教えてくれました。
最近は、「ウソでいいので、一番おっきなものを食べたと言った人が勝ちゲーム」というわかるようなわからんようなゲームがお気に入りだそうです。

・健寿御前(滋子の侍女)…屋敷まるごと
・滋子…山
・成親…国
・西光…くらやみ

と答えたそうです。
このゲームは、皆が面白いこと言おうとしてスベる様子を楽しむ目的、ではなくて、後白河が自分の答えを「どうだ!」と見せるのが目的です。皆、後白河の答えを聞くと、「参りました!」となっちゃうんだって。
(自分が絶対勝てるからお気に入り、ってところが相変わらずな後白河です)
それにしても、西光、なかなかのポエマーだな。すべってるけど(笑)。
清盛が「暗闇よりもって、どんな答えなんだろ?」と不思議に思ったときの、滋子&健寿のくすくす笑いで、後白河の答えは「清盛」なんだろうなーと、なんとなく推察できます。
清盛とも問答するんだろうな、何って答えるんだろう。夢もしくは海とかかしら…。

■清盛は、滋子の勧めどおり後白河に直接お願いすることに決めました。
宋から取り寄せた羊(頼長のときも平家は羊贈ってたよね…あれ?あのときはヤギだっけ?)、珍しい香などを献上します。
で、後白河は「こんな前置きはいいから、お前のたくらみを言うてみよ」と、いつもの彼の「俺はわかってるんだもんね、で自分の位置を高める」やり方で清盛に目的を白状させます。それに対してあっさりと徳子の入内をお願いする清盛。
それには答えずに、後白河はあのゲームを仕掛けます。さらにそれに即答せずに「次にお会いする為に考えさせていただきます」と答えるかたちで、後白河から答えを聞きだすタイミングを作る清盛。
このやり取りはどっちも老獪ですねー。面白い。
■さて、清盛が娘の入内を目論んでるという噂は、あっという間に宮廷に広がりました。
基房たちは、武士の血を入れるなど!と憤慨していますが、何か対策できるわけでもなくイライラひそひそ話すのみ。前回叩きのめされたのが怖かったのかな。
そんな中でひとり鏡で髪を整えながら涼しい顔をしてる成親は、「お前は平家の姻戚だから、どっちにしても自分は安泰、とか思ってるんだろ」と言われてます。
この時点では平家と法皇にコバンザメする路線を心に決めてる成親ですが、滋子の死で両者に亀裂が走ったときに、法皇側に絞り込むんですかね。このあとどのように鹿ケ谷に行き着くのか、楽しみです。
清盛の攻勢にオロオロするだけのように見える貴族勢力ですが、したたかなあの人がいました、八条院。以仁王を帝に擁立したい彼女にとって、平家と法皇のこれ以上の結びつきは目障りです。
■ときに、都には疫病が流行っていました。
自主的なのか清盛が援助しているのか、兎丸たちが宋の薬を配りまわってますが、焼け石に水状態です。
八条院は、平家に悪い噂をつけて入内を見送らせるため、「平家が献上した羊が、悪い病気を持ち込んだ」という噂を流します。後白河からは羊が返品されてきたそうです。普段すべてを見透かしてるような言動するくせに、トラブル時にこういう肝っ玉小さいアクションするのが、いかにもこのドラマの後白河だな~(笑)。

■やはり、都の中では清盛の夢を阻むものが多すぎる。
清盛は、自分が御所に行くのではなく2人を福原に呼ぶことにしました。
福原の港湾計画の模型(といっても、大きな甕を海に&杯を船に見立てて作ったインテリアっぽい模型ですが)を見せます。
船に重石をつけて海に沈め、堤防とするというプランを聞いて、そんなことが可能なのかと驚愕する西光。彼は清盛のことが嫌いですが、彼のビジョンが信西が見ていたものに近しいことは理解できるんですねきっと。
さらに、福原の景色が新鮮で気に入った滋子と後白河に「じゃあこの領地献上しますよ」とまで伝える清盛。娘を入内させることで果たしたい野心と問われ、清盛は、それこそが先日の問いの答えだといいます。
心からあふれ出る野心、これが一番多きものだと。
それに対して、その野心ごと清盛を食ってやる、と伝える後白河。
おなかこわしそうだわーって思ったら、清盛がちゃんと「あなたのお腹をつきやぶりましょう」と言ってた(笑)。
こういう挑発的なセリフには絶対乗らずにいられないのが、このドラマの後白河の性格です。見事にのっかって、徳子入内が決まったのでした。

■徳子に入内の心がまえとして、平家の女としての責任を伝える時子。
徳子は「平家のものは女であってももののふ、役割を果たします」と柔らかくも決意の表情で答えます。
この徳子が、なかなか子どもが生まれなくて苦しんだり、高倉亡き後に後白河に仕えよといわれて断固拒否したり、さいごに一人生き残って一門の冥福を祈る「役割」を課されてしまうのか…先のことを思うとなかなかつらいですね。
■取りつかれたかのように、野望に邁進する清盛。
都では八条院がさらに悪い噂を広めようとしますが、その命を受けた従者はカムロの手におちます。
身寄りのない子どもたちをカムロに仕立て上げて働かせる時忠のもとへ行き、そのやり方を批判する兎丸。孤児として苦しんだ兎丸には、子どもをこんな形で利用するやり口が許せないのです。
しかし、時忠はこれも子どもの食い扶持をつくる措置だ、と平然と言ってのけたあとに、今日のタイトルを言います。
「平家にあらずんば、人にあらずじゃ」。
胸を張って言ってのけるのではなく、かみ締めるような言い方でしたね。自分で非道な決断もしなくてはならない、そのときに自分の背中を押すためのスロ-ガンとして言い聞かせているのかな…と思える表情でした。

【今回の源氏】
■政子は先日見た頼朝の様子が忘れられない模様。時政に頼朝のことを聞こうとしますが、彼女は頼朝の人生の悲劇性に心揺さぶられ…というよりも、「清盛ってそんなに恐ろしい力を持ってるのか」と、清盛の権力に興味を持ったようです。
悲劇の貴公子に一目ぼれってよりも、自分たちを押し伏せようとするものに立ち向かってやる!という向上心というか闘争心でこの政子は頼朝に近づいていくのかな。
■一方、鞍馬の遮那王も登場。都での演奏でのピンチヒッターになるべく、急ぎ都に向かうそうです。
いよいよ五条大橋での弁慶との出会いですね。
「義経」のときは、自分のピンチを救ってくれた静を探して、彼女の衣を被ぎ歩いてるところで弁慶に呼び止められて…(で、対戦後に弁慶ストーカー化・笑)という展開でしたが、今度はどうなるのかな。
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by mmkoron | 2012-10-01 00:36 | 大河ドラマ「平清盛」

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