竹宮恵子 著/中公文庫/560円/1999年(文庫版は2004年)
一の谷、屋島での大敗の末に追い詰められた平家一門は、平家繁栄の象徴たる安徳帝を落ち延びさせることにとなった。
帝に付き従い、その身をお守りする役を賜った平家一の猛将・教経は、国盛の名に戻り、四国山中の山里で平家再興を期すこととなった…と、いう話です。
教経が一の谷で戦死したのか壇ノ浦まで生きてたのかよくわかんなくなっていることや、各地に残る平家落人村の伝説を巧くミックスしてます。
竹宮先生というと、私にとってはやはり『風と木の詩』。
「何をしてるね小悪魔くん」とか「憎しみで人が殺せたら!」とか「乾杯だよ、母さん…」とか名セリフたちを、未だに友人たちとの会話中で活用させてもらってます。
私の最愛キャラは裏番なジュール君だったので、この漫画の教盛がジュール系だったら最高!だったのですが、残念ながらもっと骨太なカンジです。
キャラクター達の容姿は、同作者の『吾妻鏡』にかなり近いようです。『吾妻鏡』には維盛もちらっと出てたけど、それも普通の容姿だった記憶が。
ロスマリネみたいなの希望だったのですが。残念!
物語は大事件が起こって血沸き肉躍る…という展開ではなく、地味に確実に月日が進んでいきます。
一族と最期を共に出来なかった自分を恥じ、
山奥で心穏やかになりそうな自分を恥じ、
平家再興の志を忘れまい、いつか帝を奉じて都へ攻め上らんと自分を奮起させる教経。
そんな彼ですが、最大の支柱を失ったときに、自分が何を守り、何を残す役目を運命から賜ったのか、自覚しはじめるのです。
そのとき教経に運命から与えられる、ご褒美…。
この過程を、じっくり描いていっています。
恋愛要素はかなり低いです、教経ってば硬派!
結構トンデモ展開なのかもしれないのですが、
なにしろわたくし、このとき一緒に買ったのが
超三国志(笑)『覇』5巻だったので、そっちのトンデモっぷりと比べたら、もう全然こっちのほうが手堅くマトモです。
すごいよもう止まらない状態ですよ…超展開すぎていっそ快感ですよ……
趙雲、育休! (゜д゜