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源平観戦日記


「子午線の祀り」@大阪厚生年金会館芸術ホール

知盛の最期の「かげみぃーー!!!(絶叫)」は、アンドレの
「ジュテーム、オスカール!!(絶叫)」と通じるものがある。




■東京公演のチケット申し込み忘れて青くなったのですが、1月29日、大阪公演を無事取れました。2階席だったんですけど、まぁ大阪公演も終了間際だったので仕方ないっす。
当日思ったのは、

遅刻多すぎ。

2F、20人以上遅刻してます。映画と違って、当日思い立って入ったわけでもあるまいに。
後から後から入ってくる入ってくる。しかも、途中で立ってきょろきょろしてる人もいるしぃー。他の地域と見比べたわけではないので、単純に判断はしたくないのですが、これは大阪の客のマナー偏差値が低いのか、はたまたこの芝居を見に来る層の民度が低い(私もその客のひとりだよ…涙)のか…。
■と、愚痴はそのへんにして、観想を。
内容としては、平家物語の巻10-11、一の谷敗戦から壇の浦をまるまる戯曲にした状態です。その間にところどころ、普通にお芝居してるドラマパートのような部分が入ります。
で、感想ですが、第一に、

長い。

前編2時間、20分の休憩を挟んで後編2時間。1時に始まって、終わったら17時。なので、途中でコックリコックリする人続出でした。前のほうの頭がゆらゆらしてた。
私は新幹線の中でぐっすり寝て、さらにカフェイン剤まで飲んで準備万端だったので寝ずに済みましたが、真っ暗なところで4時間座ってりゃ、面白い面白くない以前に眠くなるのはムリもないと思います。みんなで壇の浦トリップ!
■上演後、帰り道でみんなが話しながら歩いてるのに耳をダンボにしてたのですが、やっぱり「よく知ってるシーン以外は、

「よくわかんなかった」
「すごいとは思ったけど、入り込めなかった」

という話が多かった印象。
私は、群読シーンでワクワクしましたよ! だって、自分が何度も読んだ「平家」を、かわるがわるに役者さんが読んだり、一斉に読んだり。
本で読んでると平面的だけど、同じ文字列が立体的にこっちに向かってくるのが、すごく面白かった。「ひょうっと射て」とか「むずと組んでどうど落ち」とか、音読+動作で表現すると、迫力あるんだなーと。はるか昔の、琵琶法師の前に集まる庶民になった心地。
■それから、テーマ。ズバリ、「諸行無常」でして、それも面白かった。

・義経は知盛の存在を格別意識もしてない、でも義経の行動は知盛に大きく作用する。
・阿波民部のひたむきな忠義と意地は、民部の知盛への思いとは別に、常に知盛を裏切る。
                  ↓↑
・そんな彼らが全てを賭けた戦いの結末に、地上からはるか離れた月の引力が作用する。


という「ミクロな人間同士の運命の作用」「マクロな天と人の作用」を視点を引いたり近づけたりしながら語っていくことで、大きな天球の中の人間の存在が見えてきます。
(ところどころに入るナレーションの言葉と抑揚が、脳みその中に天球をつくってくれます。)
そしてその天球の中で「マクロな何かに気づいてしまった」人間の戸惑いこそが、知盛の

「全てがそうなるはずのことであったと思われるのは、どういうわけだ?」

である。……と私は解釈しました。
んが、平家物語=「諸行無常」が一般常識かも今はアヤシイ時代です。「なるほどなー、諸行無常をこう解釈したのか」と感じたお客さんがどれくらいいたのかは…うーん。
しかも、今回は、木下戯曲FANよりも、古典好きよりも、「高橋恵子と野村萬斎が共演!」に引かれた層も多いと思うんですよ、そういう売り方してたし。それを期待してきたお客さんからすると、戸惑っちゃうと思います。
「思いがけない内容だったけど、でもすごく良かった!」となるには、4時間は長すぎると思う。

■おっといかんいかん、何かマイナス評価みたいに見えますね。
面白かったですよ、でも、売り方と内容が噛み合ってないのだけがよくなかったのかな。

■最後にキャラ別の話など。
■知盛は、結構熱い人でした。この後で、永井路子「波のかたみ」を読んだのですが、あの知盛が近いかな。ただ、なんとしても勝とうとする意志と、敗れたときの結末を冷静に受け止めるこころが、せめぎあうのではなく共存してる…という永井版よりも、「せめぎあってる」印象。
それが融和したときに「見るべきほどの事は見つ」になったのかな。
■義経は「ややイタい人」でした(笑)。弁慶がそのイタさをせっせとフォローする役。なかなかこのコンビの役割分担も新鮮で面白かった。
■そうそう、知盛も義経も周りの主要人物も古典芸能系の役者さんなんですけど、弁慶の役者さんは多分そうではなくて普通の演劇俳優さんなんですよねきっと。
そのため、皆が時代がかった節回しをする中でひとりナチュラルなしゃべりをしてたので、妙に弁慶がさわやかでした(^^
■高橋恵子は出番も少ないので、そんなに印象に残ってません(すんません…)。
でも、役割としては印象に残らないといけないはずなので、ってことは、あまり良くなかったってことなのかな?? 私が平家物語に出てくる人間にばかり注目してたから、視線からフェイドアウトしてただけかもしれませんが。。。
カーテンコールで知盛と義経を握手させてました。800年ぶりに仲直り?(^^ 
■あとはですね、宗盛がかなり年配の方でした。宗盛って30代ですから、うーん、ちょっと違和感あった。決断力に乏しいお兄ちゃん、ってよりも長老っぽかった。
能登殿はワイルドでしたよ。動作もきびきび荒々しくて。最期の「死出の旅の供をせよ!」を見られたことが嬉しかった。

以上、まみころの感想でした。長々と失礼しましたー。
by mmkoron | 2005-01-31 20:19 | その他映像・劇 等

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