永井路子 原作/中島丈博 脚本//3枚組セット/400分/15120円/1979年放送
【出演】
頼朝:石坂浩二 頼家:郷ひろみ 実朝:篠田三郎
伊東十郎祐之:滝田栄
義経:国広富之 義高:長谷川裕二
政子:岩下志麻 大姫:斎藤こず恵・池上季実子 静:友里千賀子
北条義時:松平建 北条時政:金田龍之介
三浦義村:藤岡弘 梶原景時:江原真二郎 安達盛長:武田鉄矢 比企能員:佐藤慶
平清盛:金子信雄 宗盛:西田健 知盛:神太郎
重衡:金子研三 維盛:須永慶
時子:岩崎加根子 建礼門院:生田悦子
後白河院:尾上松緑
■めっちゃ暗い! 後半皆殺し展開になるのは「太平記」なども同じですが、この作品の最後、政子がひとり暗い部屋にいて、外から聞こえる「祇園精舎」の琵琶の音を聞きながら涙するあたり、
まったく救いがありません。
■この作品の政子は、ごくごくフツーの、ちょっと気が強いくらいの女性です。情に判断を誤ったりすることもしばしば。頼朝が不気味でとらえどころのない雰囲気だったので、政子のほうに感情移入しながら観てました。
■政子以外では、義時役の松平健と、オリジナル人物・伊東役の滝田栄がキーパーソンでした。闊達な義時が、陰謀に巻き込まれる側から次第に積極的に陥れる側になっていく変化は、総集編で観ていても凄みがありました。あと登場時はヨゴレ役だった伊東は、この時代の汚い部分を一身に受け、だんだん悟りの境地に到達していきます。親友同士だったこの二人を追っていくのも、この作品の面白さです。
■で、我らが平家なのですが。あまり出てきませんでした。頼朝も政子も鎌倉にいるから、仕方ないですね。義経絡みでちょこちょこ見たくらいかな。義経は「戦は天才、だけど無邪気な単純バカ」といった風情です。このダメっぷりは、後の「炎立つ」で更にグレードアップします。
■前述の義経の解釈もですが、実朝暗殺の真相など、永井先生の史観が巧く取り込まれてて、歴史を年表どおりになぞっただけではない、独自のシナリオになってます。作品として面白いのは、残念ながら「新・平家」よりもこっちだと感じたなぁ。私は平家好きだし、片岡孝夫FANなので、「新・平家」をプッシュしたいところだったのですが…
■あ、そうそう! 壇ノ浦の入水シーンで水中撮影してたのにはびっくりしました。気合い入ってる!