源平観戦日記


カテゴリ:大河ドラマ「平清盛」( 44 )



第41話「賽の目の行方」

■いよいよ平家の転落がじわじわ始まる…ってのがこのあたりですね。
前回で後白河との調整役を担っていた滋子が死に、清盛は我が娘・徳子と高倉帝との間に皇子が生まれ、後白河の影響力を気にしなくてよい立場になれることを待ってる状態です。
ところで。
このとき高倉帝は15歳。徳子のほうが6歳ほど年上です。
まだ15なんだから急がなくていいじゃーんって思いたくなるわけですが、実はこの時点で高倉帝にはめでたく第1子(皇女)が誕生してます。しかも、この皇女のお母さんは、高倉帝の乳母です。
滋子が倒れた頃にこの皇女が誕生してるのですが、みんな「よかった…女だった…」とほっとしたでしょうね。特にこの乳母が(あってはならんことになっちゃっるわけなので)。
高倉帝って、後白河と清盛の間で苦悩する役回りで描かれることが多いので、繊細な青年イメージなわけですが、20そこそこで崩御してるとは思えないほど子どもがいたりもします。
まぁ帝のお仕事のひとつではあるわけなので、お役目に対して忠実な人だったのかもしれません。

■さて、今回はインターバル的な回で、あまりドカンと盛り上がるわけではないトコロです。
このドラマ、やっぱり1回1回の盛り上げはあんまし巧くないような気がします。特に中盤以降、視聴者の興味関心よりも「全体の流れを考えると、ここは描いときたい」を重視した結果、受け身で視聴してるとちょいダルい展開になってる回が多い。私とか、毎回じっくり観てる層には苦ではないんですけど。

■最愛の女性・滋子を失い、後白河の今様歌唱力は、ついに「極めた」域に達したそうです。乙前はそう太鼓判を押します。目指す道と音が重なったんですって。目指す道、というのが何なのかよくわからないわけですが。乙前、ほんとマジで後白河をおだててその気にさせるのやめて…。
■滋子を失ってしょんぼりしてるのは、その子・高倉帝も同じ。
そんな彼に「建春門院の血を引く皇子を、必ず産みます」と伝える徳子。ここで高倉帝にプレッシャー与えるのかよ!って思ったけど、そういう意図ではなく、母を失った高倉に、母の血を濃く引く子どもを産みます、と励ましているんですね。
■さて、この皇子誕生でイライラしてるのは清盛。皇子誕生祈願のため、厳島へのご祈祷と捧げものを欠かしません。清盛がそんなに信心深いのも違和感ですが、こればっかりは授かりモノだから、祈願するくらいしかできないですもんねー。
そんな清盛に不穏な噂が届きます。
後白河法皇が、我が子「九の宮」「十の宮」を呼び寄せ、高倉帝の養子にしたというのです。このふたりは、母親の身分が低いこともあり、僧にする予定になっていた皇子たちです。
それを養子にするというのは、「徳子に皇子が生まれなかったときのための、保険」みたいなもの。でも、徳子も帝もまだ若いわけですから、平家側からしてみれば「大きなお世話」ですよね。
しかも、高倉の子でなく自分の子を持ってくるあたり、権力を維持したいという後白河の権力欲もミエミエなわけです。

※ちなみにこのふたりの宮ですが、結局は僧籍に入ってます。

■後白河への牽制を清盛から命じられた重盛。
彼は、弟・知盛を蔵人頭(帝の側近役)にしてほしいと推薦しました。自分たちが知らないうちに、勝手な決定が帝に行かないようにしたかったのでしょう。非常にまっとうなやり方ですな。
しかし、愛する滋子亡き今、政治的空気を読む気なんてさらさらない後白河が、平家に気を遣うはずがありません。蔵人頭の役には、後白河側近が就いてしまいました。
平家に遠慮する気なんてないよ、と意思表示してくる後白河側ですが、清盛は「あっそ」とばかりに、なんと比叡山のトップ・明雲との連携を始めます。
かつて「強訴」で散々政治に口を出してきてたのがこの比叡山勢力ですが、こうなったら、強訴よりも後白河の口出しをなんとかするほうが急務、ってことですな。
清盛はすっかり政治家というか、根回しと陰謀の世界の住人になってます。外から見れば、藤原摂関家が平家にすりかわっただけですよね。

■そんな清盛や平家への不満を溜め込んでいくのは、地方の武士たち。
武士である平家が政治の中枢に躍り出たものの、相変わらず税の取立ては容赦がなく、生活がよくなっていくという実感も展望も持てません。
この1176年は、滋子だけでなく高松院姝子内親王や、九条院藤原呈子も亡くなっていて、その法要の支出をまかなうために、追加で税を取り立てるというのです。
ちなみに、高松院は鳥羽院と美福門院の娘(八条院の妹)で、二条帝の中宮でした。九条院は、藤原忠通の養女で近衛天皇(鳥羽院と美福門院の子)の中宮。
ちなみに高松院と滋子はほぼ同じ年齢で、その10歳くらい上が九条院です。こういうの見てると、女の厄年って当時は的を射てたんだなーとか思います。
■って、話が脱線しましたね。
東国でも、追加の課税で、北条時政ががっくりしてます。そんな父の様子を見ながら、今日も頼朝の屋敷へ向かう政子。藤九郎をひっつかんで、先日触ろうとして頼朝に怒鳴られたあの太刀が、何だったのかを聞き出します。通りかかった頼朝に見つかって、余計なことを言うなとたしなめられますが、「源氏に伝わる名刀」の響きにウットリな政子は、興味津々。スライディング土下座までして見せてくださいとお願いするのでした。
政子に対して、頼朝が結構ぞんざいな扱いなのが面白いですね。「全てを諦め、諦念の世界にどっぷり浸った貴公子」というポーズから自由に、素になってるというか。
■呆れた頼朝は政子に太刀を見せてくれました。
この太刀を奮う勇ましい武士の雄雄しい姿を思い描いて、もうウットリな政子。
そんな彼女の姿に、頼朝は自分の父親がまさに彼女の思い描く雄雄しい武士の姿であったことを語ります。そしてその父が破れ、勝者となった清盛から敗者である自分を思い知らされたことを。
しかし、空気を読まない政子にはそんなセンチメンタルは通用しません。
「立ち上がれ!源氏!!!」といきなりのハイテンションで頼朝を叱咤します。政子の激励をすり抜けて、「昨日が今日でも今日が明日でも…何も変わらない」と自分の世界にまた引きこもる頼朝。政子は持ち前のポジティブさで、頼朝の後ろ向き思考を「明日を帰るのは今日ぞ!(だから、いま、前を向け!!)」と再び叱咤するのですが、清盛に気おされた記憶が忘れられない頼朝は、政子の呼びかけには応じません。

■頼朝がすっかりビビってる相手である清盛ですが、彼と後白河との関係はいよいよ難しくなっていました。
福原に来た後白河は、滋子亡きいま、もはや福原を再び訪問することはない、と決別宣言をして去っていきます。これまでの連携関係は最早続かないと悟った清盛は、後白河一派を押さえ込む時期が来たと、ついに動きます。
■その方法がなかなか陰険。比叡山に手をまわし、その傘下にある寺を訪れた、西光の息子達を挑発。最終的に西光の息子・師高&師経たちが寺を焼き払う事態にまで誘導したのです。その結果、比叡山が師高・師経の罷免を求める強訴を起こしたのです。後白河側近の勢力を削ぐ作戦ですな。
裏に清盛の息がかかってるとも知らない西光は、後白河の御前に重盛を呼び出し、強訴を抑えよと命じます。どうやら重盛も清盛の暗躍を知らないようで、お役目大事とばかり、強訴鎮圧を約束してます。
重盛に、我が子2人を守ってほしいと頼む西光。お前ら平家にタテついといて、うちの子のこと守ってねとかどんだけ厚かましいんだと思うわけですが、師高たちがお寺に宋銭でお礼をしようとしてるところからも考えると、彼らとしては平家を潰しにかかるというよりも、あくまでも自分たちのほうがイニシアチブを持って置くようにしたい、上下関係をはっきりわからせてやりたいくらいの感覚なのでしょう。
■さて、強訴鎮圧を命じられた重盛。しかしあくまでも軍勢を見せて脅しをかけ、向こうが逃げていくように仕向けようとしました。なのに、うっかり神輿に矢を射掛けてしまったというのです。
もう公家連中は大騒ぎ。罰がくだるーとうろたえてます。
そんな中、後白河は冷静でした。この一連の展開に、清盛の気配をかぎとっているのでしょう。
まさにご名答。福原に参上し、神輿に矢を射掛けるという不手際を詫びる重盛を、逆に褒める清盛。
清盛は言います。こうなった以上、後白河側は強訴側の要求どおりに師高・師経を差し出して手を打つしかないと。
最初の寺での諍い、そしてひょっとしたら自分とこの郎党の不手際までもが清盛の仕組んだ罠だと知った重盛。彼は愕然とします。
重盛は、王家と連携し世を安定させた先に、清盛の考える事業があると思っていたのです。
しかし、今回の清盛の罠は、王家との連携を自ら断つともいえる行いです。
父の真意を問う重盛に、ただ「賽の目は変わる」とだけ答える清盛。滋子が生きていて後白河のワガママ気ままを制御できたときはいざ知らず、今は後白河との連携は不要。それが清盛の判断です。
野放し状態の後白河が、共闘できる存在ではないことを、清盛はイヤってほど知ってますからね経験で(笑)。
後白河を切り捨て、徳子が皇子を産んだ時点で高倉院政を開始し、後白河院政を終わらせる。それが清盛の思い描く、王家との関係です。後白河と手を切って、王家を次の時代に移行させたいわけですね。
■でも、重盛は四角四面の人なので、後白河院政の今、お支えすべき王家のトップは後白河院、という考え方なので、清盛の発想は「王家をお支えしない」でしかなく、その考えについていけません。
このへん、視聴してる側にも、この感覚の違いってわかりづらいだろうな。。。
■そして、最終的に西光の息子達は流罪となりました。その西光に、これは全部清盛の罠だったのだと語る後白河。味方にくらい先に言っといてやれよ…。
怒り心頭で、清盛に協力していた宋銭を投げつける西光。「面白くないのう」とどこかで聞いたフレーズが口をつく成親。そして自分から決別宣言しときながら、相手から決別宣言&仕返しされたことは許せない後白河なのでした…。なんとしてもやり返してやりたくて仕方ありません。
そして、あの計画が始まってしまうのです。鹿ヶ谷に集まる人々の姿が…

■強訴事件の顛末は各地に届きます。
そろそろ出家する年齢になった遮那王。ですが、弁慶から聞かされた、実の父親の話が忘れられず、どうにも出家に踏み出す気になれません。迷う心のまま、笛を吹きます。
■その笛と呼応するかのように、東国では笙を奏でる頼朝が。
そして、いよいよ勢いを増す平家の様子に、ただただ自領の安定、家族の無事を願う時政は、政子に嫁に行って家庭で幸せになれと言い聞かせるのです。
しかし、その言葉にも乗り気になれない政子。源氏側でも変化の兆しが育ち始めています。
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by mmkoron | 2013-01-13 18:22 | 大河ドラマ「平清盛」


第40話「はかなき歌」

■今回は、時子の妹・滋子が主人公。
ご存知の方もいらっしゃると思いつつも彼女のプロフィールをご紹介します。
時子・時忠とは異母きょうだいで、時子たちの母親が宮仕えの末端侍女だったのに対して、彼女の母親は鳥羽院お気に入りの部下の娘。なので、きょうだいとはいえ、兄姉よりは格上とも言えます。
最初に上西門院の女房として仕え、上西門院と後白河が仲良し同母きょうだいで一緒のお屋敷に住んでいたこともあって、そこで見初められて後白河の寵愛を受けます。
彼女の幸運はそれだけでは終わらず、みごと後の高倉帝となる皇子を出産。12歳から彼女に仕えた健御前の『たまきはる』では快活かつ茶目っ気のある彼女の性格が賛美されていますが、『平家物語』のなかでは、以仁王の出世をはばむなど、権力志向でダークな面が描かれます。

■さて、このころ。兎丸という犠牲を出しながらも、ようやく福原の港が完成しました。
そこで清盛のインフラ整備は「貨幣の流通で、交易がスムーズになる」という段階にうつります。亡き信西の弟子・西光に貨幣を渡し、都でこれを率先して使ってくださいと依頼する西光。
西光は清盛を苦々しくは思ってますが、しかし交易の発展は信西が着手しようとしていた事業でもありました。信西のためにも協力しようとする西光。
渡された貨幣を見ながらしみじみしている姿は、ほんとに信西のことを崇拝に近く尊敬してるんだなーと感じさせます。
■と、この計画遂行とは別に、清盛はもうひとつの計画も進めます。
それはずばり、高倉帝に入内させた娘・徳子のご懐妊。後白河&滋子のふたりを厳島に招待して海路で渡り、そこで子宝祈願してもらおうという計画です。
とはいえ、清盛は信心だけでそんな計画を立てたわけではありません。権力者ふたりに清盛の「瀬戸内海を使った交易を発展させる」という計画の一旦を見てもらうこと、そしてその計画に権力者2人が既に関わっているという様子を外向きに発信することが、真の目的です。
階層を作るのではなく、面を広げて発展・進化させるという厳島神社の造りを見せ、これが私の目指す世ですと後白河に伝える清盛。
彼の頭の中にはこれからすべきことの計画が組みあがっていて、具体的に見えています。
■その様子を見て、内心焦りをおぼえる後白河。
いつも清盛に「お前の考えてることなんて全部お見通しなんだよーばーかばーか」というスタンスを取ることで優位を取ろうとしている後白河ですが、自分がノープランノービジョンであることを知らされてしまった。
イライラするのではなく、ちょっと呆然とした感じであるところで、彼が本当に「どうしよう…」となっちゃってることがわかります。
そんな後白河に笑顔で「別に清盛と比べる必要なんてないでしょ、あなたはあなたのペースで自分のやりたいこと見つけたらいいわよ、私もいるじゃない!(意訳)」と返す滋子。
寂しがり屋な後白河には、「誰から言われたわけでもなく、私があなたを選んで大好きなのよ!」というスタンスで寄り添ってくれる滋子は、得がたい存在なのです。

■その頃の伊豆では。
頼朝の飲み仲間になっていた、豪族のおじさんがひとり亡くなりました。大番役として京都との間を行き来するハードな仕事を続けた末の、過労死だったそうです。
豪族おじさん会は、弔問にやってきた頼朝に、源氏に立ち上がってほしいという心情を吐露しますが、それを受け流して去っていく頼朝。しかしその頼朝に政子が追いすがります。
この政子と頼朝の動きがかわいいね。頼朝はぶしつけなオナゴ呼ばわりするも、政子は動転しながらさらに追っかけ、イラっとした頼朝が政子を突き飛ばし、政子が転ぶ。そこで頼朝が我に返って「すまぬ…」と謝るところ、政子が「いえ、私こそ…」と謙虚に謝るところがかわいい。
しかし政子がそこで、自分がぶつかったせいで箱から転がり落ちた太刀(髭切)を片付けようとしたところで、頼朝はまたまたキッとなって、「触るな!」と怒鳴りつけます。
柔和に見える頼朝の、内面の猛々しさに触れてちょっとぎょっとする政子なのでした。

■頼朝が武士らしい猛々しさと表の柔和さを行ったり来たりしているとき、平家の若者たちはせっせと雅の世界の訓練に励んでおりました。
いつか院にお見せしようと舞のお稽古に熱心な維盛&資盛(重盛の息子達)。知盛と重衡は、伊藤忠清の指導で弓のお稽古をしてはいますが、重衡はあくまでもスポーツとしてやってるようで、武士として実戦力はたえず鍛えておくべしという忠清の思惑とは異なります。
戦なんてもうないよと明るく言い放つ重衡にがっかりする忠清に、知盛は一定の理解を見せつつも、もう平家は武芸一筋では発展できない踊り場に来ているんだと慰め顔で伝えるのでした。

■お買い物に率先して貨幣を使って、清盛に協力する西光。
その代わりに…ではありませんが、信西が以前に復活させ、しかし乱のごたごたで絶えてしまっていた「相撲節会」を復活させようとする西光は、その援助を清盛に依頼します。
しかし、今は福原の港湾整備などで忙しいので、宮中のイベントに係わり合いになっている場合ではないと断る清盛。信西は、宮廷への権力集中や宮廷の充実を重視していたのに…!と激怒する西光に対して、清盛は「信西が今も生きていれば、自分に賛同してくれる」と悠々と断言します。ぎゃ地雷踏んだー。
確かにそうだと思います。信西がそう言ってたときは、摂関家やらに押されて院や帝のイニシアティブが弱かったんですよ。だからああいうことをやっていた。でも、今はもうそういうイベント的な盛り上げではなくて、実質的な発展を積み上げる時期なんでしょう。
なんでしょうけど、それは西光に、「あんたは信西が死んだ時点の信西の行動を反復してるだけだ、もし今も生きてたとしたときの彼を思い描くだけの力がない」と突きつけることでもあります。
信西の一番弟子を自認する西光にそれを言うのはだめだよー。
■清盛は本質は周りの反応にいちいち傷つくナイーブな人でしたが、保元・平治を経て、図太さの殻で自分の視界を制御する術を覚えたようですね。
でも、おべんちゃらができない性格は残ってるから、両方が相まって「ワンマンで、ちょっとした気が利かない」人になっちゃってる感じだなー。あーあ。

■ここにも清盛たちの繁栄に内心ムカついてる人が。藤原成親です。
妹の婿である平重盛が、いよいよ大臣職にリーチかかりました。口では「まぁうれしい」的に言ってますが、いよいよ本格的に平家の公達が自分たちの上役になっていくことが面白くありません。
西光と2人でムカムカしています。
■そんな2人をとりなすのは、滋子なのです。
何か察したのか、ナイスタイミングで2人を呼んで「いつもありがとう」的なパーティーを開きます。
「成親の柔和さと、西光の聡明さは、院の世になくてはならぬもの」という滋子の言葉に、上っ面でなく本心から感激してる様子の成親がちょっと可愛い。あと、なんとなく平家に反感も持ってるので滋子から賜ったお酒に口をつけないでいる2人に「私が酌をしようか?」と言い出す滋子と、口をそろえて「いやいやいやいや」とリアクションする2人も可愛いわー。
ポイントを逃さず、「しんどいこともあるよね、わかってるよ」「でも2人がよくやってくれてることは知ってるよ」「あなたの力が必要よ」「私に力を貸してね」と言葉を尽くして語りかける滋子は、確かに天才です。

・相手の不満を汲み取って吸収
・自己承認欲求に応える
・居場所がなくなるかもという不安に対して、自分が居場所になると保証

さらっとこれだけやってるわけなので。なんか、面談時に使えそうだわーこのテク。但し中身に真心がないとダメなわけですが。
■そしてもちろん、滋子は後白河にとって精神的なよりどころです。
滋子に、あなたはあなたの好きなようにやればいいと応援された後白河は、大好きな今様を集めた「梁塵秘抄」をまとめることに着手します。軽んじられがちな、やがてはかなく消えていく歌たちを、せめて文字で残しておきたい。そこには、後白河が虚栄を脱ぎ去ったときの、寂しがり屋で心細い魂が共感する世界です。
それがあなたの世なのですね、とそのはかない世界を一緒にいとおしむ滋子。

■後白河は50歳を迎え、平家の総力を挙げてそのお祝いの宴がひらかれました。
子息たちを引き連れて威厳・貫禄たっぷりにお祝いを言上する清盛。このシーンが面白い!
後白河が、何か言いたそうに口を動かそうとするんだけど、なぜか言葉が出なくて、ちょっとゆらゆらしてるんですよ。清盛の貫禄にちょっと気おされてるんですね。その様子を見て、さっと立ち上がる滋子。
後白河を支援して優位に持っていこうとしたのか。このまま放置するとまた後白河がいらんこと言い出して、折角へりくだってきてる清盛一家をドン引きさせると思ったのか。
多分どっちもだと思いますが、彼女は悠然と清盛に杯を進め、そして次に後白河にも杯を進めました。
ここで2人の間の緊張感をやわらげ、後白河に時間を与えました。
滋子の働きもナイスだけど、この脚本と演出もナイスですね。滋子の描き方が巧い。得子や、こののちの丹後局(「義経」で夏木マリさんが演じてましたね)とは違う意味の、男を敵にまわさない「やり手」だなーと。
時間を与えられて気持ちをやわらげた後白河は、清盛にお互いになくてはならぬ存在だと語りかけます。
自己承認欲求が満たされると、後白河って、政治よりも文化を思考するアーティストになるんですよね。そのときには、清盛は後白河の敵ではなく、むしろ視野を広げ刺激をくれる存在なのです。
■そうこうするうちに、宴が始まり、維盛&資盛の舞が始まります。
この青海波の舞、そういや「義経」のときの賀集&小泉ペア(イケメン度はこっちのほうが高いね)もすっごい練習してたらしいのですが、ほんと1秒くらいしか映像にならなかったんですよね。今回はじっくりカメラまわっててよかったね。

■しかし、そんな和やかな時間はつかの間。滋子は35歳の若さで死んでしまいます。
ドラマ見てるといきなりだな!って思いますが、実際にも、3月に後白河院50のお祝いをやって、6月に発病、7月には亡くなっていますから、ほんとに急死だったのです。
書物では「二禁(はれもの)」がもとで死んだ…とされてます。このドラマだとしょっちゅうお酒飲んでたので、肝臓悪くしたんじゃないの?って感じですが。
滋子のなきがらに、死に水のかわりに、彼女が大好きだったお酒を口移しで含ませる後白河がかなしい。
かつて滋子の前で歌って、「会えない女を恋しがってる歌じゃないですか、どこの誰に?」とツッコまれていた今様を、暗い部屋でうたいます。
今となっては、もう逢えない滋子を恋しがる歌になってしまった。部屋には、まとめかけの今様の書き写しが散らばっています。自分なりの、芸術という世で自己実現しようとしていた後白河の心はすっかり折れてしまった。その道を応援してくれていた滋子はもういない。
そうなってしまうと、彼はやはり政治の世界に「自分を認めさせる」道に戻っていくしかないのです。
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by mmkoron | 2013-01-04 13:01 | 大河ドラマ「平清盛」


忘れないうちにまとめ

■まだ穴が開いたままの感想を埋めてないのですが、総集編も見終わって、この気持ちを忘れないうちに書いておこうと、先回りでまとめ感想です。

■いやー、「清盛」終わっちゃいましたね。
最終回は総集編か!?並みの駆け足でしたが、でもタイトルが「平清盛」ですから、それでよかったんじゃないかなーと。時間かけてじっくりやるのは、「義経」でもううやってくれてるので。(そう思うと、「義経」って、義経と同じくらいに平家一門を丁寧に描いてくれてたんだよなーと改めて思う)
なんかいろんな人にケチをつけられたり、逆に「神」という言葉のデフレが起こるようなもてはやされ方をしたりしてましたが、全部ネットとかメディアの話。
うちのおかんとか職場の反応みてると、
「今年の大河ドラマが清盛なのは知ってるんだけど、あまり好きな役者さん出てないし、話めんどくさそうだしで、見てない」
って感じでした。それが実際のところなのでしょう。
■先によくない話から書きますと、私、このドラマのツイッターとかのネットでの騒ぎがものすごく好きじゃなくて、あんまりにも好きじゃないので、ブログに感想を書くこともなんかネットでのヨイショ祭りに加担してるような気持ちになっちゃって、書くモチベーションをなくしてました。
冬コミで「楽しく読んでたのに、書かなくなっちゃって残念」って言われて、読んでくれていた人の存在をちゃんと感じる責任感がなかったと反省しました。ごめんなさい。
なにがそんなにいやだったかというと、

ツイッターで、製作側が「実はあそこはこういうことでして」といちいち説明することが、
「みてりゃわかるだろ」レベルに及び始めたとき


でした。
歴史的な背景を解説するのとかは、面白い試みだなって思ってたんですけど。
とくに心が冷えたのが、

・南都を焼亡させた重衡が笑顔で清盛のところに報告に来た場面について、「あのときの周囲は、重衡が宗盛のときのように清盛にどつかれるって思って『あちゃー』って顔をしてるんです」とツイートしてるのが流れてきたとき
・羅刹が最終回に登場したのを、プロデューサーが「羅刹です」って解説してたとき


でした。特に前者は怒りすら覚えた。ありえないわ…。
例えば私が、自分の漫画について「この2コマ目は笑顔ですが、これは笑顔を浮かべているけど、一方で自嘲の感情も沸いているという、そういう感情の揺れを表す芝居ともいえます」とかあとがきに解説してたら、ダメ作者すぎでしょう。
読者が「あの笑顔にすごい葛藤を感じちゃって」と感想を書くのはいいけど、作り手が自分でやっちゃだめでしょう。しかも「平清盛」という作品は、「物語で見せる」ことを大切にして作られてたわけだから。
なんで自分たちで築き上げてるものを、自分で潰すんだろうと、そこはほんとに不思議でした。
通常はそれをたしなめるのがリーダーなんだろうけど、この作品はリーダーが率先してやってるし。
実際にイベントでみてたときはそんなに違和感とか感じなかったのになぁ。
清盛とはどういう人でしたか?とインタビューされて、プロデューサーが「ブレない人」って答えてたときも、「えっ、そうだっけ?」って思ったし。
作品はブレない作りだけど、清盛はものすごくブレながら進んでいく人で、そのブレの清さも醜さも含めて生々しく描ききろうとしたところがこの作品の魅力だと思ってた私には、意外なコメントだったんですよ。
「ブレる」という言葉の意味が違ったのかもしれないので、ここはなんとも言えないのですが。
■私はツイッターを使って歴史的背景を解説するのはチャレンジとしてアリだと思いました。
自主的に「清盛いいね!」を発信しているファンを囲い込む活動も、私は逆効果だと思ったけど(ある一部の層だけをファンとして大事にします、という姿勢に見えるから。)、でも、視聴率という形で実績が残せないときに、「しかしこういう試みに成功しました」という実績を作っておくのは会社員として必要なんだろうと思うので、納得しました。
しかし、あの物語をベラベラしゃべるのだけはどうしても違和感が消えなかったわ…。

■なんか外周への批判になってしまいました。
そうではなく中身について私が(あくまでも私の好みとして)あまり…と思ったのは、清盛壮年期のわかりづらさですかねー。
清盛が自分の内側を見せなくなって、さらに彼も周りを見なくなった結果、周りの行動との乖離が起きていくあたり。あのへんはすごくわかりづらかった。
重盛が死んだあたりで、それまでを見返して、「ああ、そういう風に描きたかったのかなー?」って思ったんだけど、毎回の演出担当の人に脚本の意図は伝わってたんだろうか。そこはちょっと違和感ありました。
もっと清盛が見たいのに、重盛とか時忠とかの側からばかりで、「ああ、ちょっとどいて、清盛が今何してるかを見せて!」みたいな(笑)。
清盛がどんどん浮いてくように、視聴者側からも清盛が覗き込めないようにしようとしたのかもしれないんだけど、しかし8時台のドラマでそれはやりすぎだよなぁと。作り手には一連の物語でも、みてるほうには週末の1回1回の1時間なのですから。
その「一連の物語として作りこみすぎて、1回1回の山谷がぎくしゃくした」感じは、全編通してのこのドラマの課題のように思います。週間連載なのに、毎週の山谷よりもコミックス化を意識しすぎた、みたいな。
このドラマが「自己満足」と批判される理由がそこであれば、まぁそういう部分はあるんだろうなと思いますよ。そうでない理由だったらよくわからないかもしれないけど。
いや、私お正月に連続で「リーガル・ハイ」ってドラマ見てたんですけど、自己満足ってああいうのじゃないのか!?って私は思いました。毎回の切り口作ってる人のドヤ顔がもろに浮かぶというか。敢えてああいう感じなんだろうけど。
■キャラっぽくてやだとか、その辺は気になりませんね。なじみのない時代を描こうとしたら、人物を特徴づけるか、役者の知名度で認知させるかになります。あえて前者を選ぶ姿勢を、私は支持します。
「漫画のキャラっぽい」みたいな批判はちょいムカつきましたよねー。お前がどんだけ漫画を知ってるんだ!とか思っちゃって(笑)。
■あと、総集編観てて気づいたのですが、前半にけっこうあった、実験的なアングルとかがなくなっちゃってますね後半は。面白かったのに…そこが残念。
でもそこは、視聴者が「見づらい」と文句をつけた結果だと思うので、仕方ないですね。私も視聴者のひとりなんで、自業自得というか。

と、不満も書いたのですが、何しろ私はこのドラマがめっちゃ好きなので、よかったところをまとめます。

1)松ケンの演技がいい
■演技がダメ、って言う人も多かったけど、ダメっていうばかりでどこがどうダメなのかをちゃんと書いている記事を見つけられなかったんですよね。表情とか、すごいいいですよ。特に好きだったのが、

・清盛が不始末をしでかして(何度目のオイタだったかは忘れた)、清盛自身も自分が下手を打ったと自覚している。断固として清盛を守る姿勢の父親、攻撃する叔父、我が子の責任として受け止めようと必死の継母のギャースカ騒ぎの中での、いたたまれない表情。
・叔父を斬ったうえに、その凄惨さなどどこ吹く風な後白河のパーティーに呼ばれて、「これからは武士の時代だ!」という当初の気持ちを思いっきり折られた清盛の表情。
・兎丸と港の工事の件でもめてるとき、自分を人柱にしてくれと言い出した幼馴染に対する清盛の表情。


このへん。どれも、どういう気持ちなのかすごいわかる。
最後のは、感想に書いてたとおり、清盛の表情も良かったんだけど、盛国の表情も良かった。清盛が「そんなことできるわけないだろ」って気持ちなのもわかるし、でも盛国が「清盛が『よく言った!』って言い出すんじゃないかという不安を捨てきれない」のもわかった。
■やっぱり若い役者さんはいいですねー。それぞれの伸び幅があって、そこにも感動します。
次の「八重の桜」の女優さんも若いから、どんな成長があるか楽しみ。
■清盛以外の役者さんも良かったですね。ぱっと思い浮かべるのは、池禅尼(あの人物造形は深い…今までになかった池禅尼だと思う)とか、時忠とか、鳥羽・たまこ・得子とか、後白河も篤姫の頃とは全然違ってた!
残念賞は時子姉妹ですかねー。演技達者な人が多かったから、余計に深みのなさが目立った印象でした。
でも、じゃあ誰に代えようかと言われると思いつかないので、全体のバランスとしては絶妙だったんだろうな。

2)平安末期の混沌とした感じがいい
■前にも書きましたが、製作側が言ってた「リアル」って、史実どおりにしますって意味じゃなくて、キレイなおべべ着て花鳥風月でみんな優雅でおっとり…ではない生々しい世界を描きたいって意味だったと思うのです。
で、それは十分描かれたと思います。
■中盤までの、豪華な登場人物がどんどん入れ替わってくスピード感も、まさに混迷の時代って感じで面白かった! ドラマとしては登場人物がコロコロ替わって行くのは弱点なのかもしれないけど、この時代が好きだと、ワクワクします。
■好きな場面で選ぶと…私の場合はどこかなー。誰かの生死に関わる場面は当然として、あとは
・荷物に忍び込んでた信西と、叔父さんの言葉にしょげてる清盛との会話
・清盛と明子の出会いから結婚
・崇徳に頼長が接近するところ
・滋子に結婚させるという話で、平家一門がきゃぴきゃぴするところ
・闇討未遂のあとの、為義と義朝の会話
とかかなー。


3)清盛のキャラがいい
■彼の性格をどうにも好きになれない人はいると思うのですが、私はすごい感動した。
いろんなことに不満はあるのに実力が追いつかない少年期、選択と集中を迫られる青年期、自分の感傷を押し込める術を学んでテクニックに走る壮年期、ふと自分を見失う老境。
製作者は「従来の悪者ではないイメージで清盛を描きます」と最初に宣言してたと思うのですが、私、そのときに、「安易に『実はいい人』『本当は深い配慮があってこうしていました』みたいなの、やだなー」って思ってたんです。
でも、そんな心配は杞憂でしたね。善悪の彼岸で、成功もミスもやりながら、ただがむしゃらに一生懸命生きる人として清盛を描ききって、それを見せてもらえたことに感謝します。
■最後の西行との会話とか泣けたもん。もっとやりたいことがあるのに!ってダダこねる(笑)清盛に、みんなそうだったんだって諭す姿が。思えばこのドラマ、みんな必死にジタバタして、答えが出ないままに去っていかざるを得ない人が多かった。このドラマの後白河が悲しいのは、みんながジタバタしている姿を冷笑することでしか自分を保てなかったから。
清盛の姿こそが美しい人生だ、と、「美しく生きたいから出家する」と言っていた西行が言ったときに、このドラマのメッセージだと涙がこぼれました。
■清盛以外でも、人物にちょこっとだけ「表に見えてる、このドラマの役どころだけではない面」を見せてくれるじゃないですか。そこも平家物語ファンにはすごく嬉しかった! 
具体的には、以仁王を亡くしたあとの八条院のカットとか、忠通が「こうなったら摂関家を絶やさないことが自分の誇りだ」って吐露するところとか。
何よりも良かったのが、後白河院ですね。彼はとらえどころがないから、「とらえどころのない人です」って描かれ方をすることが多いように思うんです。「義経」のときとかそうですよね。
でも、今回はもう一歩踏み込んで、「蚊帳の外でいたくない、自分も時代の当事者になりたいと思いながらも、結局踏み出してもみくちゃになる道を選択しない」人として描いて、後白河自身がそういう自分の浅さに傷ついてることも描いてました。解釈のひとつとして、この後白河は面白いし、心に残る登場人物です。
■登場人物といえば。このドラマで気づいた特色は、清盛の弟たちとか、盛国とかの役者さんの使い方。けっこう知名度高い役者さんなのに、背景のように使っているときが多いですよね。人物紹介にちゃんと写真つきで紹介されて、名のある人を使ってるのだから、何回か見せ場があるのかと思いきや、そうでもなくて。
でも、最後に海の都に皆が集結してるシーンを見たときに、絶対彼らが必要だと感じたんですよ。こういう存在感の作り方もあるのかーと、ちょっと面白かった。


えっとえっと、他にも書きたいことがあったような気もするんだけど、あまり長々書いてもよくないので、このへんにします。

■平家物語を読んで、諸行無常の空しさではなく、諸行無常の中でも最後までうろうろじたばたしながら、熟考する時間を与えられない中で、家族だったり仲間だったり誇りだったりをとっさに選んで消えていく、その姿に感動した私は、このドラマに対して平家物語を読んだときの感動と同じものを感じました。
■そして、「面白い」という価値観で前に進むこの物語が好きでした。自分がついつい「正しい」とか、ひどいときは「間違っていない」ことだけを善として行動や選択をすることが多いから。
このドラマを批判するときに、細かい歴史的な事実との整合性(王家云々を含めて)とか、歴代の大河との違いでなんたらかんたら言うのは、あまり意味ないんですよね。だって、このドラマのテーマが、自分が信じる「面白い」を目指して進んでいくことを善としてるんだから。
■そんなこんなで、だから、このドラマがほんとに好きです。
八重の次はまた戦国時代だそうですが、どうかどうか、認知度の低い時代にもまた挑戦してほしいし、自分たちが良いと思って作りこんだ作品を、私たち視聴者にぶつける挑戦をやめないでください。
と、感謝とエールを書きつつ、まとめを終わります。
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by mmkoron | 2013-01-04 03:59 | 大河ドラマ「平清盛」


第39話「兎丸無念」

■こないだ、明子役・時子役・上西門院役の女優さんたちが、大河について語るトーク番組がありましたよね。私、録画で見たんですけど、女優同士の関係ってこんなかんじなんだなーといろいろ垣間見えて面白い番組でした。
「私はこういう工夫を演技でしてました(こういうところに注意してました)」「○○さんすごいですねー」「いえいえ」みたいな、形式的すぎるやりとりが。
どうせならもっと熱く「私だったらこうしちゃうと思うんですよ、でも○○さんはこうしたでしょ、そこが!」「いやー、あのときは~と思ったもんで」くらいの内容のあるやり取りが見たかったんだけど、そういうのはカッコ悪いという風潮があるのか、女優同士は手の内を見せないものなのか。。。
ちょっと、同人作家同士のやりとりにも通じると思いました。そこを突き抜けると、ジャンル変わっても仲良しになれるんですけどね。

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■今回の最初は五条大橋の出会いから。
遮那王は、コンサートに遅れちゃう~!と、五条の橋に差し掛かったところで、弁慶と遭遇しました。
「義経」の様式美全開とはまた違って、「2人が出会う」というドラマ性と義経の身体能力の高さ紹介以外は、「さらっと」した描写でしたね。
偶然赤い被衣をしてたせいで、弁慶に禿と間違えられて襲われる遮那王。
戦闘中に禿の一団が2人を取り囲み、そのあと散っていくのはどういう意味なんでしょうね。この2人にいったんロックオンしたよ、ということだけだったのかな。
弁慶VS遮那王は、語りたくってしょうがない弁慶と、さらっと交わす遮那王がおかしかった。
荒い感情と無縁に生きてほしいという常盤の願いどおり、淡白な少年に育ったようです。
遮那王はこの時点では清盛のことを慕ってるんですね。どんな風に、平家を敵と定める「義経」に変化していくのかな。今回は義経主役ではないので、大河「義経」のような清盛との決別シーンまでは用意されないと思いますし。
頼朝決起とともに、楽しみなターニングポイントができました。

■とはいえ、義経のお話はまだまださわりだけ。メインは平家。
今回は、清盛が福原の港を作るお話が、ひとつの結果を迎えます。
たくさんの灯りを神仏に供えるという「万灯会」を大々的に行い、いよいよ港造営に力を入れる清盛。
兎丸はその清盛にせっせと力を貸して働きますが、彼は禿を使った時忠のやり口が気に入らない。禿の活動は厳しさを増し、街角は当然のこと、宮廷の床の下にまで彼らの耳は潜んでいます。
禿を警戒し、清盛の野望の達成形がどうも見えない、とぼやく藤原兼実を黙らせる基房。この人は殿下乗合事件以来すっかりビビっちゃってるようですね。
あと、この2人はしばしばセットで出てきますが、兼実のほうがすこし先を見ている、という視野の違いは結構繰り返し描写されてますな。
■清盛の港造営には、清盛ワルガキ時代の仲間たちも協力してくれています。
兎丸もこの仕事に集中するために、妻子を都にいったん帰らせるほどの力の入れようです。
一方、兎丸は元が孤児ですから、孤児を利用して手足に使う「禿」作戦が許せず、清盛に苦言を呈します。
清盛は、目の前の「悪」をどうにも見過ごせない兎丸をウザがりつつも、でも彼のその人柄を好ましくも思っています。だから、兎丸のいないところで、「自分の目指す世の形は、兎丸が目指す世の形だ」と語ります。
そうなのです。今の時点で、清盛は決してゴールを見誤っているわけではありません。
ただ、皆が皆ゴールを見て生きているわけではない。だから、「方法」「経過」はやはり大切なのです。しかし、彼はそれを他人と共有することに慎重もしくは臆病もしくは軽視であるようです。なぜなんでしょうね。
大きい存在になりすぎた自分に、実は意識が追いついてないのかもしれません。
■清盛は、実力行使で自分の権力を示す一方で、京の一門には、貴族のしきたりを自分たちに取り込むことを命じ、宴や儀礼を頑張らせています。
それを見に来た西行は、清盛の変化に対して、すこし懐疑的になっています。彼が、彼らしくない方法を選び続けることを、性急すぎると感じてるようです。うーん、確かにそうだけど、だったらもうちょい早めに指摘してあげればよかったのに。
西行の不安を聞いた時子は、清盛の意図を測れずとも、彼についていく覚悟を示すのでした。

■で、清盛は福原で港造りです。
ついに宋の地方長官に連絡をつけることができました。実質の貿易ルート確保です。
しかし、何もかも前例重視の宮廷貴族たちは、宋のお偉いさんからの書状について、内容がけしからんといろいろいちゃもんをつけ、交渉を行わないことを決めます。
しかし、貿易で得られる利益に興味がある後白河は、乗り気。相手が地方長官であることを問題にしている宮廷に対して、西光は、後白河の名ではなく清盛の名で外交することでつりあいをとることを進言します。
西光は清盛が嫌いだけど、でも、意味のあることには賛成するっていう方針ですね。この時点では。それなのにどうして清盛と面と向かって敵対することになるのかな。やっぱし滋子の死による影響でしょうか。

■外交の窓口になるお許しを得た清盛としては、三ヵ月後にお忍びでくるという宋の長官に立派な港を見せつけ、清盛こそが日本の実力者であるということを示したい。
そのために、3か月以内での港造営を兎丸たちに命じます。
しかし、無理な突貫工事は作業員の疲労を招き、ついに清盛の旧友・蝉松も負傷してしまいました。それでも3ヶ月というタイムリミットを変えないという清盛に、ついに兎丸はブチ切れます。

兎丸の主張
・港を作るのは、交易で民を潤すためだったはず。港造営で民が苦しむのは本末転倒だ。
・3か月というリミットに、みなの命を危険にさらすほど優先度が高いとは思えない。

清盛
・使者を新しい港で迎えることで、対外的な権力を完璧にできる。
・3ヶ月後は重要なチャンスであり、リスクを負ってでも達成する価値がある。


これ、どっちも間違ってはいないのでしょう。
崇徳への個人的同情を断ち切ったこと、叔父ひとりよりも一門の安泰を選んだこと、一門の財を使って政治的な居場所を手に入れたこと。
清盛は、その場の気持ちよりも先のゴールへの責任感を、「肝心なポイント」を見誤らず選択することで、地位を高めてくることができました。今回もそれを守っているだけです。でも、兎丸はあくまでも現場の人ですから、それに従えないのも当然です。
そこの折り合いをつけながらやっていくしかないのでしょうが…
■そのときに、蝉丸が、「労働力にならない自分を、工事成功祈願の人柱にしてほしい」と申し出ます。
それで清盛様の夢が叶うなら、嬉しいと。
これ、残酷なシーンでしたね。人物同士のすれ違いが…
まばたきもせずにその言葉を聞く清盛のアップが映ります。厳しい表情ですが、目がうるんでいる。
視聴者側は、清盛がいまものすごく自問自答していることを感じる。3ヶ月後に失敗したらやり直しが利かない、と断言した清盛ですが、本当にそれでいいのか?という躊躇がその厳しい表情にあるのではないかと。
でもね、蝉松の言葉を聞いて清盛の表情をうかがう盛国の表情が悲しかった。盛国も、黙ったままの清盛を殴りつけた兎丸も、その清盛の葛藤を推し量ってやれなかった、信じてやれなかったんですね。
■清盛は兎丸に「瑣末なことでこの機会を逃すことはできん!」と言い切ります。
これ、清盛は蝉松たちの命を「瑣末」と言ったんじゃないと思います。彼のさっきの目の表情からすると、目の前の友だちのけなげな言葉に容易く心を動かされてしまう自分の感情を「瑣末」と言ったのでしょう。
でも、そういうのは兎丸に伝わらない。
人の命を「瑣末」と言うのか、と清盛に激昂した兎丸は、清盛が一門の幸福だけのためにこの事業を進めていると判断してしまう。そして、この都造営も、結局盗賊と変わらない、搾取でしかないと吐き捨てて去っていくのです。

■兎丸たちが去ったあと、盛国はかつて朝廷の勝手な命令によって犠牲になった父親の話をし、清盛をたしなめようとします。しかし、それを聞いて清盛の孤独感はますます深まります。
自業自得なんですけどね。自分でちゃんと目標とそれへの手続きを説明してこなかったのだから。
でも、「いちいちいわなくても、わかってくれてるんだと思ってた」ことにしょんぼりする清盛を、責める気にはなれないわ…。

■福原を飛び出した兎丸は、都に戻ってヤケ酒大会です。
そこに駆けつけた妻・桃李は、兎丸の行動をたしなめます。これまでどれだけぶつかっても、清盛がやろうとしていたことを面白いと感じてたから、一緒にやってきたんじゃないか、途中で投げ出してはいけない…と。
その言葉に反論する兎丸。だからこそ腹が立つ、面白いことができたら盗賊扱いで死んだ父親の義を立てることもできる、そう思って協力してきたのに、清盛は結局平家がいい思いをすることしか考えてないのだ!
…と。
兎丸を短慮と責めることもできない。彼は何十年も清盛についてきたんですしね。
ただ、清盛は多分20年先以上の未来を夢見ていて、兎丸は3年後くらいを見てるんです。20年先にも3年先にも生きている人間はいるのだから、どっちも正しい。清盛が、皆とハラを割って話すには一人だけ偉くなりすぎたのがつらいな…。

■そして。
平家への罵詈雑言(今まで仲間だったがゆえの「盛った」発言だったのですが)を探知した禿たちによって、兎丸は惨殺されます。こんな裏稼業はやめてまっとうに生きろ、という兎丸の言葉は、与えられた仕事を無心にこなす子どもたちには届きませんでした。
帰ってこない兎丸を探し、部下達は清盛のもとにやってきます。清盛も一緒になって兎丸を捜す。
兎丸は、五条の橋のたもとに打ち捨てられていました。
禿たちの仕業であることを示す赤い羽に埋もれて、無数の羽(先端が針のようになってる)に刺されて息絶える兎丸を見つけた清盛は、無言で彼に刺さった羽を取り去り、兎丸を抱きしめるのでした。ここ、セリフがなかったのがよかった。
■平家に敵対する勢力を未然に探し出し、封じることを命じたのは清盛です。
命令を発する人間が持つ権力が大きいほど、発した人間には命令のその先は見えません。このケースは命令どおり、このケースは例外、なんてことはできない。
清盛は、こうなるリスクもわかったうえで禿を組織することを許したのでしょうか。多分、自分がそこまでの強い権力を得てしまっていることをここで自覚したのではないでしょうか。

■一門には家族同然ともいえた兎丸の死は、平家に暗い影を落としました。
清盛は一門に、兎丸の葬儀を一門を挙げて盛大に行うことを命じます。
その彼の目の端に、こっそり庭に控える禿たちの姿がうつる。彼らは自分が人の命をあやめたという罪悪感などなく、ただただ命令通りに働いたことを褒めてもらえるという期待に目をキラキラさせています。それだけ、子どもなのです。それだけ、誰にも必要とされずに打ち捨てられていた子どもたちなのです。
この期待のまなざしを見ていられなくて、思わず目をふせる清盛が良い。彼はちゃんと自分が一番悪いとわかっています。
清盛から「禿は始末せよ」と命じられた清盛は、その夜、赤い衣装を炎に投げつけ燃やします。時忠も傷ついている。「じゃあどうすればよかったんだ!」が彼の気持ちでしょう。
■福原でぼんやりと海を眺める清盛に、盛国は問いかけます。清盛が今の方法で夢を目指す限り、同じことは繰り返す。それでも進むのか?と。そして、答えを待たず、進むのなら、命をかけて殿に喰らいついていくと。
静かに涙を浮かべる清盛に、私も貰い泣きしたわー。そして盛国に。
このドラマにおける盛国って、便利に使われてる感じがして、いまひとつ役者の無駄遣いに思えてたんですけど、ここでドラマの盛国が、自分の存在意義を確立するのかな?と感じました。
盛国の最期を思うと、また泣けます。
■清盛は「じゃあどうすればよかったんだ!」とは言いません。彼は誰のせいにもできないのが自分の立場だとわかっています。ただ静かに、結果を己の中に沈め、進みます。
清盛は、今「おもしろい」んですかね。
兎丸が堤防作りのアイディアを持ち込んで、皆でキャッキャ言って模型を作ってたところが最後の「おもしろい」だったんじゃないかな。
この先、清盛は「おもしろい」と信じた過去の自分との約束を果たすかのように、自分にとってはおもしろくないことをし続けねばならないのかもしれません。「おもしろく」なったときに、清盛自身はもういないかもしれないのに。せつないなぁ。
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by mmkoron | 2012-10-08 21:12 | 大河ドラマ「平清盛」


第38話「平家にあらずんば人にあらず」

■台風が来てたので、今日は外出もせずずっと家の中にいました。
ちょうど注文してた「ラストマネー(※)」が届いてたので、1話~最終話(7話)+特別編集編2時間+インタビュー映像の10時間分の、自宅上映会でした。
※ラストマネー~愛の値段…2011年秋に放映された、NHK火曜夜22時枠ドラマ。伊藤英明演じる生命保険の査定員が主人公。
いやー、最初に見たときとまったく同じ場所で同じようにざばざば泣いてしまいましたよ。業界モノとしてはNHKの他のドラマよりぬるいと言われ、セカンドバージンのような主婦ウケはせず、視聴率はイマイチだったんですけどね。
対照的な2つの事件が並行で走りながら進んでいく展開とか、伏線の張り方とか、映像のそこらここらに登場人物の心情や性格を反映した小物が入ってきて、「こんな荒れた生活だけど、もとはきっちりしてた人なんだろうな」とかわかる演出とか…。大河「清盛」が好きな人はこのドラマも面白いと思うかも。
私は、業界モノでありながら、描きたいのは保険会社の暗部というよりも、本当に残るのはお金ではなくて想いでありお金はその従属物でしかない、というこのドラマの一貫した主張に響いたからでした(実際に、最低の結果お金が払われないんだけど、お客さんが幸福になる話も出てくる)。
■で、ドラマを見直してたら、チョイ役で経盛役の役者さんが出てるのに気づきました。伊藤英明に「こいつクビにしてください!」と怒鳴られてた。こっちでもトホホ系か(笑)。

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■さてさて。清盛も第38話です。タイトルは「平家にあらずんば人にあらず」。平家の驕りの春。
ただ、この「人」については、今でいう「にんげん」というよりも、「いっぱしの人」みたいな意味のほうがしっくりくるといわれてますね。
「平家でなかったら、人間じゃない、人間以下の存在だ」というわけではなく、「平家でなかったら、世の中ではひとかどの人として尊重されることはない」くらいの意味だと。まぁ、どっちにしてもエラソー発言ですが。
■清盛は福原に経済の拠点をつくるため、強攻策で攻めます。
前回清盛は、貴族勢力に遠慮気味の重盛の知らぬところで、時忠に命じて反対勢力の抑えを依頼していました。役割を果たそうとがぜんやる気を出した時忠は、カムロを都に放ちます。
そして、平家への敵対言動があった者を体育館裏(笑)みたいなところに連れ込み、身包み剥いだり、家財を没収したりしているのでした。
と、このカムロの動きですが。このドラマでは、街中の「平家ないわー」な悪口をイチイチ取り締まるというよりも、貴族たちへの牽制目的として描かれてますね。
宮中で貴族達が会議の休憩中?に平家批判をしてるのですが、「このままにはせんぞ(=なんかしたる)」ってな発言をブツブツ言ってた貴族が狩られてました。
貴族達の「このままにはせんぞ」が、前回の基房のような「出会いがしらに子どもの無礼をとがめ、ぶん殴る」みたいなものであることは描かれてるので、今日の段階では平家ひどい!ってよりも、どっちもどっちって感じだなぁ。

■しかし、自分の弟が乱暴なやり方をしていて、それを「清盛から命じられたから、自分は誇りを持ってやっている」と言い切っていることを、時子は不安に思います。
実は、最近棟梁の重盛は病気がちで、出仕をお休みしています。ここでちらっと映る重盛の表情が、公園でハトに餌やってるサラリーマンみたいなことになってます。やばいです。
いわゆる「精神的に疲れちゃって休職中」ってやつですね。重盛といい、維盛といい、小松家の人は繊細な人が多いのかしら。
彼らの悩みって非常に現代的ですよね。当時はこういう状態への共感や理解がそんなにないから平家物語での描写もぼやっとしてるんだけど、現代人の私にはものすごくわかりやすい気がして、興味深いんだよなー。
何はともあれ、時子は社長休養中&会長不在の平家一門を心配しているのです。
■その心労のためか何なのか、時子が病に倒れ、清盛は都に駆けつけます。
最初、清盛を呼ぶための仮病かと思ったけど、駆けつけてくれたことに驚いて喜んでるので、ホントに病気だったみたいですね。
時子はここで言っておかねばとばかりに、清盛のやり方をたしなめようとします。また、清盛に都に帰って来てほしいとも願いますが、清盛はそれをやんわり拒否します。
かつて信西入道は、自分の政を押し通そうとして貴族勢力に潰されました。
清盛も、福原に自分の夢を実現するためにはこの貴族勢力の妨害を排除せねばなりません。
貴族ではなく武士である清盛は、信西と同じ轍を踏まない為に、武士として力をもって先手必勝で攻めているというのです。
■そして、清盛の夢への布石は、「邪魔者の排除」に留まりません。
もうひとつ、「協力者を作る」を実現するために動きます。
なんと、帝(=高倉帝。後白河と滋子の間の子)に、自分の娘・徳子を入内させ、最高権力者を味方にとりこもうというのです。帝の母・滋子と、徳子の母・時子は異母姉妹ですから、これはイトコ婚ですね。
一門に徳子が琵琶をお披露目している場で、その話をする清盛。
「まだお若いが、今年元服された」というヒントに、さっと驚愕する重盛、そのリアクションで察するほかの面々。最後まで気づかず、知盛に耳打ちされて思わず素っ頓狂に叫んじゃう宗盛。
このシーン、いいですね。前回、重盛について「役割と本人の資質の不合致」が描かれましたが、このシーンを見ると、重盛はそれでもこの一門の中では状況察知能力が高いのだとわかります。で、宗盛じゃ不安だなってのもわかる(笑)。

■この話を、清盛は帝の生母・滋子に持ち込みました。
滋子は出来る限り力になるとは言ってくれますが、同時に、後白河に直接願い出てみよと伝えます。
そして、後白河のご機嫌をとるヒントとしてかな、最近の後白河のマイブームを教えてくれました。
最近は、「ウソでいいので、一番おっきなものを食べたと言った人が勝ちゲーム」というわかるようなわからんようなゲームがお気に入りだそうです。

・健寿御前(滋子の侍女)…屋敷まるごと
・滋子…山
・成親…国
・西光…くらやみ

と答えたそうです。
このゲームは、皆が面白いこと言おうとしてスベる様子を楽しむ目的、ではなくて、後白河が自分の答えを「どうだ!」と見せるのが目的です。皆、後白河の答えを聞くと、「参りました!」となっちゃうんだって。
(自分が絶対勝てるからお気に入り、ってところが相変わらずな後白河です)
それにしても、西光、なかなかのポエマーだな。すべってるけど(笑)。
清盛が「暗闇よりもって、どんな答えなんだろ?」と不思議に思ったときの、滋子&健寿のくすくす笑いで、後白河の答えは「清盛」なんだろうなーと、なんとなく推察できます。
清盛とも問答するんだろうな、何って答えるんだろう。夢もしくは海とかかしら…。

■清盛は、滋子の勧めどおり後白河に直接お願いすることに決めました。
宋から取り寄せた羊(頼長のときも平家は羊贈ってたよね…あれ?あのときはヤギだっけ?)、珍しい香などを献上します。
で、後白河は「こんな前置きはいいから、お前のたくらみを言うてみよ」と、いつもの彼の「俺はわかってるんだもんね、で自分の位置を高める」やり方で清盛に目的を白状させます。それに対してあっさりと徳子の入内をお願いする清盛。
それには答えずに、後白河はあのゲームを仕掛けます。さらにそれに即答せずに「次にお会いする為に考えさせていただきます」と答えるかたちで、後白河から答えを聞きだすタイミングを作る清盛。
このやり取りはどっちも老獪ですねー。面白い。
■さて、清盛が娘の入内を目論んでるという噂は、あっという間に宮廷に広がりました。
基房たちは、武士の血を入れるなど!と憤慨していますが、何か対策できるわけでもなくイライラひそひそ話すのみ。前回叩きのめされたのが怖かったのかな。
そんな中でひとり鏡で髪を整えながら涼しい顔をしてる成親は、「お前は平家の姻戚だから、どっちにしても自分は安泰、とか思ってるんだろ」と言われてます。
この時点では平家と法皇にコバンザメする路線を心に決めてる成親ですが、滋子の死で両者に亀裂が走ったときに、法皇側に絞り込むんですかね。このあとどのように鹿ケ谷に行き着くのか、楽しみです。
清盛の攻勢にオロオロするだけのように見える貴族勢力ですが、したたかなあの人がいました、八条院。以仁王を帝に擁立したい彼女にとって、平家と法皇のこれ以上の結びつきは目障りです。
■ときに、都には疫病が流行っていました。
自主的なのか清盛が援助しているのか、兎丸たちが宋の薬を配りまわってますが、焼け石に水状態です。
八条院は、平家に悪い噂をつけて入内を見送らせるため、「平家が献上した羊が、悪い病気を持ち込んだ」という噂を流します。後白河からは羊が返品されてきたそうです。普段すべてを見透かしてるような言動するくせに、トラブル時にこういう肝っ玉小さいアクションするのが、いかにもこのドラマの後白河だな~(笑)。

■やはり、都の中では清盛の夢を阻むものが多すぎる。
清盛は、自分が御所に行くのではなく2人を福原に呼ぶことにしました。
福原の港湾計画の模型(といっても、大きな甕を海に&杯を船に見立てて作ったインテリアっぽい模型ですが)を見せます。
船に重石をつけて海に沈め、堤防とするというプランを聞いて、そんなことが可能なのかと驚愕する西光。彼は清盛のことが嫌いですが、彼のビジョンが信西が見ていたものに近しいことは理解できるんですねきっと。
さらに、福原の景色が新鮮で気に入った滋子と後白河に「じゃあこの領地献上しますよ」とまで伝える清盛。娘を入内させることで果たしたい野心と問われ、清盛は、それこそが先日の問いの答えだといいます。
心からあふれ出る野心、これが一番多きものだと。
それに対して、その野心ごと清盛を食ってやる、と伝える後白河。
おなかこわしそうだわーって思ったら、清盛がちゃんと「あなたのお腹をつきやぶりましょう」と言ってた(笑)。
こういう挑発的なセリフには絶対乗らずにいられないのが、このドラマの後白河の性格です。見事にのっかって、徳子入内が決まったのでした。

■徳子に入内の心がまえとして、平家の女としての責任を伝える時子。
徳子は「平家のものは女であってももののふ、役割を果たします」と柔らかくも決意の表情で答えます。
この徳子が、なかなか子どもが生まれなくて苦しんだり、高倉亡き後に後白河に仕えよといわれて断固拒否したり、さいごに一人生き残って一門の冥福を祈る「役割」を課されてしまうのか…先のことを思うとなかなかつらいですね。
■取りつかれたかのように、野望に邁進する清盛。
都では八条院がさらに悪い噂を広めようとしますが、その命を受けた従者はカムロの手におちます。
身寄りのない子どもたちをカムロに仕立て上げて働かせる時忠のもとへ行き、そのやり方を批判する兎丸。孤児として苦しんだ兎丸には、子どもをこんな形で利用するやり口が許せないのです。
しかし、時忠はこれも子どもの食い扶持をつくる措置だ、と平然と言ってのけたあとに、今日のタイトルを言います。
「平家にあらずんば、人にあらずじゃ」。
胸を張って言ってのけるのではなく、かみ締めるような言い方でしたね。自分で非道な決断もしなくてはならない、そのときに自分の背中を押すためのスロ-ガンとして言い聞かせているのかな…と思える表情でした。

【今回の源氏】
■政子は先日見た頼朝の様子が忘れられない模様。時政に頼朝のことを聞こうとしますが、彼女は頼朝の人生の悲劇性に心揺さぶられ…というよりも、「清盛ってそんなに恐ろしい力を持ってるのか」と、清盛の権力に興味を持ったようです。
悲劇の貴公子に一目ぼれってよりも、自分たちを押し伏せようとするものに立ち向かってやる!という向上心というか闘争心でこの政子は頼朝に近づいていくのかな。
■一方、鞍馬の遮那王も登場。都での演奏でのピンチヒッターになるべく、急ぎ都に向かうそうです。
いよいよ五条大橋での弁慶との出会いですね。
「義経」のときは、自分のピンチを救ってくれた静を探して、彼女の衣を被ぎ歩いてるところで弁慶に呼び止められて…(で、対戦後に弁慶ストーカー化・笑)という展開でしたが、今度はどうなるのかな。
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by mmkoron | 2012-10-01 00:36 | 大河ドラマ「平清盛」


第34話「白河院の伝言」

■ネットのニュースを流し読みしてたら、10月に宇宙刑事ギャバンの映画をやる、ってのを見てうわぁぁなつかしいー!とワクワク。当時私は男ばっかりのイトコたちと暮らしてたんだけど、ギャバンの裏番組がオバケのQ太郎でして。で、最初はチャンネル争いに負けてオバQをお祖母ちゃんの部屋の小さいテレビで見てたんだよね。でも、気がついたらみんなで一緒にギャバン見てた(笑)。

==============================

■お話は前回の続き、屋敷で倒れている清盛を、時子と盛国が看病するシーンから。
病気は「寸白」とのこと。寄生虫ですな。今昔物語集にも「寸白信濃守に任じて解け失する語」(巻28-第39話)なんてのがあるので、わりと彼らにはメジャーな病気だったようです。ちなみに今昔物語の話は、寸白をわずらってた女性が出産して、その息子が出世して信濃の国司にまでなるんだけど、実は彼の正体が…! ってなお話です。読んでるとなぜか寸白のほうに肩入れして「やめて! 彼が何をしたというの!?」みたいな気分になってしまうのが不思議(笑)。
■それはさておき。
一門の皆を集め、お医者さんから「覚悟しとくように」と言われたことを告げる時子。サナダムシとかだと死ぬことはない…って聞いたことがあるように思うのですが、点滴とかで栄養注入できないこの時代だとまた違うのかな。悪い種類に中っちゃったのかもしれないですね。
清盛の看病は、盛国がしてるようです。時子がしろよ!と思うのですが、後の会話で彼らはこの病気が感染するかも…と思ってる風なので、時子は敢えて引き剥がされてるのかもしれません。
「覚悟」の言葉に動揺しまくる一同。教盛が「宋の薬がある!!」と言い出し、みんなでそうだそうだ、手元のが効かないなら兎丸に言って取り寄せよう!!いやでも間に合うのか!?いやいやでも!!…と盛り上がるのですが、騒ぐ一同を時子は叱りつけます。そして重盛に、今はお前が一門を統べるのだと呼びかけるのでした。「かしこまりました」と重い表情で頷く重盛。
重盛は、皆が騒いでいる間もずっとだんまりでした。彼は、考えていることが顔に出ないキャラクターなのですが、ものすごく何かを考えてそうなことだけが伝わるのが、なんか損な性格ですね(o´_`o)
■時子は一門の女性も集めて、訓示をたれます。尼削ぎの女の子がいる…と思ったら、藤原基実未亡人となった盛子ですか! わざわざここで出してくるってことは、10年後の彼女の死も描くってことですかね。
重盛の描写が重いことと合わせて考えると、盛子の死も、清盛ブチ切れ→後白河への攻撃 の要因として描かれるのかな。ううう。

■清盛危篤の知らせで、関係者の間でぶっちゃけトーク大会が開催されます。実際はうなされている清盛と並行で場面が入ってくるのですが、文章にするとめんどいので整理して書きます。

1)伊豆
■ここは本音もなにも、完全にダウナー系になっている頼朝ですから、清盛が死ぬはずなんてない、自分のこの不幸は永遠に続くんだ…と、かつて習得してなかった「自嘲的な笑み」なんて浮かべてます。
■頼朝(ちなみにこのときハタチとかそこら)は完全にエネルギー失ってる様子。八重姫んとこの下男との交流がなくなってお魚が入手できてないんじゃないでしょうか。大根業者時政の野菜だけでは足りないのでしょう。たんぱく質をもっと!脂肪をもっと!!…と、思ってたら今回のラストに貴重なたんぱく質の運び屋が登場してましたね。

2)摂関家Bros.
■相変わらずの安定感です。
清盛没後の身の処し方を相談している武官をたしなめつつも、もう嬉しくってしょうがない気持ちを隠すこともせず満面の笑み。
今こそ国をあるべき姿にすべきだと言い出す基房。なんと、彼は以仁王擁立に加担するつもりらしいのです。以仁王を持ち上げることを八条女院に約束する基房。まだ清盛死んでないのに、当確気分で3人で悪役笑い。以仁王のめっちゃ気合い入ったワル笑みが印象的です。悪役すぎないかこれ。
■盛り上がってる基房・八条女院・以仁王に対して、兼実はちょっとカタい表情。
兼実は清盛が倒れたときに日記に「この人がいなくなると、世の中マズいんちゃう?」ってなことを書いてますし、基房べったりってわけではないのに(のちに基房が失脚したとき、摂関の座が自分にまわってくるかも?ってワクワクしてる)、このドラマではいつも2人セットだなぁ…って思ってたのですが、このへんから徐々に兼実が距離をとりはじめるのかもしれませんね。

3)後白河&滋子&成親&西光
■後白河近臣チームは、ちょうど熊野の途中で、和歌山の田辺のあたりにいました。後白河は背中におできができていて、薬を塗って治療中のようです。
そんな中、清盛が病に倒れたという知らせが。朝廷に清盛という押さえがいないことを危惧し(以仁王たちが気になりますしね)、滋子たちは直ちに都に戻る準備を始めますが、後白河は政局云々よりも清盛が死ぬかもというそのことに衝撃を受けているようです。
■で、すぐに引き返そうとしたのですが、折り悪くの大雨(ちなみに病気になったのは2月とかなので、台風の時期とかではないです。)。途中で待機になってしまって、後白河はかなり焦れて苛立ってます。
それを見て「やれやれ」な表情なのは西光。彼にとっては、清盛は「信西にくっついてた武士風情」でしかなくなってます。敵視だけでなく見下しモード入ってるってことは、頼朝を殺す殺さない云々がなくても、内心「信西の真のパートナー」とは思ってなかったってことでしょうね。
■清盛ごときに大騒ぎして…とムッとする西光に対して、現状認識が甘いと言ってのける成親。世の中はすべてカネで、清盛はそれを持っている。ここで死なれたら、何のために重盛と我が妹を娶わせて姻戚になって擦り寄ったのか意味ないじゃん…と、成親さんここに来て真っ黒モードですよ。
成親がどういうキャラとして描かれてるのか読み取りづらかったけど、コバンザメ処世術の人物なんですね。というか、利益を受けるだけでなく足を引っ張ってくるところは、どちらかというと寸白系かも。重盛が細っていくぅ~!!
ところで、成親の表情を見ながら、いつも何かを思い出すんだよなぁって思ってたんですけど。今日、ギャバンのニュース見て気づいた! 「宇宙刑事シャイダー」の神官ポーだ!!
役者さんが似てるってわけじゃないんだけど、なんか表情(顔の上げ方とか目線とか)が似てるように思うんだよね。ギャバンよりもシャイダーのほうが好きだったんだよな。でもシャイダーは役者さんが亡くなったから復活はないよね。しょんぼり…。

4)盛国
■ある意味これも本音の吐露なのかな。生田(この人も老けないな…)が自分が代わりに看病する、もしあなたまで病気に倒れたら…と心配するのを遮って、自分が看病すると譲りません。清盛に何かあったら、自分も生きてはいないとさえ語る盛国。なんかこう書くとBLっぽいのですが、60と50のじいさん&おっさんなので、盛り上がるには乙女フィルターが何枚か必要ですな。

5)源頼政
■前回、なぜ平家にへつらうんだと責める息子・仲綱をたしなめてましたが、今回は、清盛が死んで一門が動揺することがあったら、そこがチャンスだ…と決意表明。でも、今回は清盛快復しちゃうから、こぶしを振り上げようとしたらスカった感じなんですけどね。そして10年、こぶしの下ろしドコロを待つことになります。

6)常盤
■父上が病気!?とショックを受ける牛若に、「そなたの父は相国様ではない、そなたの父は…」と言いかけも、なかなか言い出せない常盤。清盛が重体のいま、それを言おうとする心理って何なんでしょうね。
■ここで彼女の身になって考えてみるう。このへんの事情を説明するということは、敵の大将に身を任せた自分の行いを説明しなきゃいけないわけで、我が子には言いづらかったというのはあると思います。
ヘタに自己弁護しようとすると、清盛を悪く言わざるをえなくなる。しかし、彼女にとってそれは本意ではないから黙ってた。しかし、このまま清盛が死んで、牛若が「お父さんが死んじゃった!」とショックを受けるのは、取り返しがつかなくなる予感がした。…そんな感じなのかなーと。
■今回のラストで常盤は牛若を寺に預けることを決め、「悲しみとも憎しみとも無縁に生きてほしい」と告げています。自分自身は義朝の妻として生き抜くと清盛に宣言したのに…とも思っちゃいますが、まぁ、生きる戦う覚悟をしたのは子ども達への愛ゆえでしょうから、自分は恥をさらして生きてでも、子どもは穏やかにすごしてほしいってことなんでしょうが。

7)重盛&時子&宗盛&時忠
■清盛の代理をするという初の大任に耐えている重盛。しかし、清盛が倒れ後白河が足止めをくらっている今こそ…と山法師たちが嫌がらせの強訴(笑・ドラマでほんとにそう言ってた)をする動きが。また、氾濫してる鴨川の周辺に暮らす民も心配です。重盛は山法師の動きについて知らせをうけると、片方は弟に任せて手分けしようと思ったのでしょう、宗盛を呼び、鴨川への対応をするよう言いつけます。重盛、気を張ってることもあるんでしょうが、めっちゃ怖い感じですね。この余裕のなさが若さ…といっても、もう30ですけど。
■お兄ちゃんから命令を受けて、急いで出かけようとする宗盛。そこに現れるのは…トラブルメーカー・時忠おじさん!! お前その立場でいいのか?清盛の正妻(=時子)の長男はお前なのに…とじわじわ宗盛をゆさぶります。時忠はこう言ってますが、実際は明子も時子も正妻で、明子が前妻・時子が後妻だという関係ですから、重盛だって正妻の子どもなんですけどね(だから、舞子と宗子の関係とは違う)。ただ、明子は身分が低かったので、こういう言い方なんでしょう。
揺さぶる時忠と動揺する宗盛に割って入るのは時子。なんてこと言うの!2人とも私の子よ!!とばかりに時忠を叱り飛ばしますが、時忠はひるまず、腹を痛めた子のほうが可愛いのは当然じゃないか…と、時子がハラの奥にしまっている気持ちを引っ張り出そうとします。
ここの時忠の表情がいい。どこかちょっと思いつめたような目つきで。どこまでも利己的な男なんだけど、便乗して自分がウマい汁をすする気まんまんなんだけど、姉とその子どもたちを一番重んじられる立場にしたい…っていう気持ちもほんのちょっとあるんだよね(あくまでも、彼の価値観での「姉を幸せにしたい」であって、時子にしてみれば大きなお世話なんだが)。そのほんのちょっとの真心があるから、時子もひるんでしまう。
■姉・弟・甥がぴーちくやっていると、向かい側の館に人の影。重盛です。思わずぎょっとする3人。
重盛は何を考えているのかわからない眼差しで3人を見やると、それまでの会話については何もリアクションせず、ただ、事務的に宗盛に「さっき言ったことをはやくしろ」とだけ言い、屋敷の奥に去って行きます。
ビビりまくる宗盛。そして、時子。
ここで時子が「うちの弟がバカ言ってごめんね! 私にとってはあなただって大切な息子よ!」って笑ってあげられればまだよかったのかもしれないのですが、悲しいかな時子さんは時忠の言葉にほんの少し心を動かされ、そして重盛を見て後ろめたさを感じてしまった。さらに、何もリアクションを返さない重盛を、「怖い」と思ってしまった。……そんな心の動きが読みとれる、すごいいいシーンでした。
■でもさ、重盛ってそんなに怖い人じゃないですよね。以前のシーンでの経子とのやりとりからは、清盛のビジョンを読みとれない自分に苛立ちつつも、理解できなくてもお父さんの志に寄り添いたい、そのために自分にできることをしたい…っていう健気な気持ちが吐露されてました。基盛の快活さ率直さを、羨ましいって内心思ってる姿も見えてました。だから、つらいよね…。
しかも、奥さんの経子はオアシスだけど、そのお兄さんの成親は真っ黒であることが今回判明(涙)。
■この先のストーリーとしては、「一門での孤立感を深めているところを、後白河サイドが接近。後白河「自分をのけ者にして福原で楽しそうなのがムシャクシャしてやった。後悔はしていない。」→ひどい裏切り(=鹿ケ谷)→清盛ブチ切れ処断→絶望のなか神経細って重盛死亡→清盛が重盛死後の後白河にブチ切れ」って展開になりそうだな…って思うんですけど、でも、今までの重盛を知っている視聴者としては、救いのない中で重盛に死んではほしくないー!!

■とまぁ、こんな感じで周辺がそれぞれの思惑をちょびっと見せているころ、清盛はうなされる夢の中で、過去の記憶を旅していました。それこそお母さん・舞子のおなかの中の記憶まで遡って。
■そこで見たのは、「鴨川の水・山法師・賽の目」という思うままにならない「三不如意」に苛立つ白河院の姿。そして、母・舞子が「白拍子という身分でありながら、白河院の子を身ごもる」という大ラッキーな目を出しながらも、陰陽師の報告によって一気に転落する様子。さらに、おなかの子を流せといわれた舞子が一世一代の決意をし、逃亡。忠盛と出会ったのちに、彼と清盛を守るため院に立ち向かい、死んでいった姿でした。
これは清盛が見ていない・覚えていないはずの記憶。しかし、彼の原点です。
今回はある意味の「総集編」ですね。次回から清盛が出家して生まれ変わるために、もう一度最初に立ち返って、彼の進む道を何が決定してきたかを描いている回です。同時に、彼が進む道を阻む人々を描写しているところが、なんともニクいわけですが。

■そんな頃、足止めをくらっていた後白河は、清盛がいなくなることへの懼れをつぶやきます。
清盛が向けてくれる鋭い眼差しによって、自分が居場所を与えられている気がしていた…。とのこと。
今回のぶっちゃけ大会で、一番清盛に好意的なぶっちゃけが、まさか後白河から発せられるとは…!!
この2人の関係は面白いですね。政治的センスはなく、でもプライドと自意識だけは高くて、立場だけを便利に使われることに耐えられない後白河。そんな彼は、自分に面と向かって「お前はほんとにダメだ!」と宣告してくれる清盛を、非常に屈折した胸のうちで気に入ってる。でも、清盛は「めんどくさいので、正直相手にしたくない」って思ってる(笑)。だから、清盛にこっちを向いてほしくて、ちょくちょく悪さをする。
めったにない、彼の内面吐露の場面なんですけど、滋子がさらっと流してるのが笑えた(笑)。
背中のおできがサイコロに似てるねと滋子に指摘され、ハッとします。立ち上がると、大雨の中、輿で都へと突き進む後白河。しかし鴨川が氾濫していて先に進めません。
サイコロ(のおでき)、鴨川、そして動きを見せる山法師。おつきのものたちは彼を押しとどめようとします。
しかし後白河は、輿から出ると、泥と雨の中を自らの足で都へ進むのでした。

■清盛の病床には、乙前がやってきました。
治療のすべもない清盛の隣で、やさしく「遊びをせんとや…」の歌をうたう乙前。
清盛の耳には、人が生きる意味・武士が生きる意味を問いかけ語る舞子の記憶に、乙前の歌声が重なります。対面のためではなく人が生きるために武士の力をふるうと信じ、舞子と清盛を守ろうとした忠盛の姿、その忠盛と清盛を守る為に命を落とした舞子。清盛は、ついにその記憶までたどり着きます。
■舞子の亡骸の前で、「母上ぇぇ!」と号泣する清盛。このシーンはよかった。これはわざわざ吹石さんにもう一回死んでもらう価値のあったシーンだわ。これが、清盛を前に進ませるために流れた、最初の血です。
目の前の母親の死に泣き叫ぶ清盛の前に、白河院。
顔を上げた瞬間に舞子の亡骸がすっと消えるところや、清盛が普段のシーンよりも年齢を意識してない演技になっているところは、いかにも夢の中ってカンジでいいですね。
実の父親である白河院の前で、登りつめるまでに流した多くの血への苦しみを語る清盛。太政大臣をすぐやめた清盛と、院政を選んだ自分が似ているという白河院に、清盛は違うと告げます。
自分を突き動かすのはもののけ(=自分の欲だけを追求した白河院)の血ではない、これまでに流してきた血への決意や責任が自分を突き動かすのだ。それが清盛の答えです。
(ちょっと、『ベルセルク』でグリフィスが「ささげる」って言ったシーン思い出したわ。あれも、流した血への決意ですよね)
中年になった清盛は、自分の思いを胸に収めるタイプに自分を変えましたが、ここは夢の中だからこそ全部吐露できるんですよね。いい仕掛けだなと思います。このシーンがあるなら、今までの回でちょい出しを続ける必要なかったような気もするけど(何度も続いたからちょい言い訳がましく感じてたんだよね)。
■清盛の決意を聞いた白河院は、清盛に賽を投げかけます。これを振って、自分が見た「頂点のその先」を見てみろ、と。それを受けて立つ清盛。
でもさ、ドラマで白河院の最期を見る限り、頂点の先は誰にも訪れる「諸行無常」だったと思うんですけど。
…ああ清盛そのサイコロ振っちゃだめー!って思っちゃう。この白河院は清盛の記憶の中の院だから、また別だとは思いつつも、じたばたしてしまったわ。
■白河院のサイコロを受け取った清盛。目を開けた彼の前にいたのは、泥まみれのずぶぬれで駆けつけた後白河院でした。
ツンデレ全開で「この死にぞこないが!」と悪態をついて帰る後白河。
ふと気づくと、背中にあったサイコロのおできが消えていました。そして、起き上がった清盛の手にはなぜかサイコロ。
清盛は白河院から渡されたサイコロだと思っている。でも、実は、三不如意の中を突っ切ってサイコロを届けたのは後白河なのです。この2人の腐れ縁はまだまだ続きそうです。

■無事に快復した清盛。重盛に、病気の間の状況を訪ねますが、重盛は無表情のまま出来事だけを報告します。時忠たちとのやり取りなどおくびにも出さず。そこに不気味さを感じてしまう時子。
生まれ変わった清盛ですが、その周囲は逃れられないしがらみにとらわれています。
■一方、鎌倉では。いよいよ政子登場です。すげー、今までで一番ワイルドだわこの政子。
「草燃える」の政子はちょっと今回の時子っぽいというか、夢見る夢子さんなところがあった。「義経」の政子は武芸に熱心だったけど、泥まみれになって暴れるカンジではなかったですもんね。面白い、楽しみ。
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by mmkoron | 2012-09-09 19:56 | 大河ドラマ「平清盛」


第33話「清盛、五十の宴」

こないだ自分が書いた「義経」のときの感想を見てたんですけど、そっちと比べると「清盛」の感想はめっちゃ真面目に書いてますね。自分でびっくりした。
「義経」のほうは、わりとお話自体はどストレート展開だったので、茶化しつつ感想を書いてたのですが、「平清盛」は「なぜこうしたのか?」の解釈を書きとめたくなっちゃうから、あまり遊んでる時間がない(笑)。
どっちの作り方もありだと思うし、どっちの作り方でも面白くできるんだと思います。今の世の中、正解はいくつもありますから。なのに、未だに何かの正解は常に1コしかないと思い込んでる人は多い。自分自身がそうなりがちで、いつも「そうじゃない、そうじゃない」って言い聞かせながら仕事とかしてるから、余計に他に敏感になっちゃうんですけどね。

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■今回の最初は後白河院のレッスンから。乙前が出張講師に来てくれたんですって。
かつて青墓で講師依頼されたときは断ったのに何故?と問われて、特に理由はない、私はただの老い先短い白拍子だから…と答えるにとどめる乙前。
しかし、聖子ちゃんは白髪以外全然老けてないので、あまり説得力ありません。このドラマの乙前は、『天上の虹』の額田王状態ですな。今回ラストのほうで時子が清盛のことを「永遠に生きるつもりか?ってくらい元気」と評しますが、いやむしろこっちのほうがそんな感じ。
で、聖子ちゃんが都に留まっている理由ですが。単純に「清盛の夢の行き着く先を見届けてみたい」ということなのかなと思います。

■次は平家の邸。
前回、清盛(当時大納言くらい)の「音戸の瀬戸を拓きたい」という提案は貴族たちに一蹴されてましたが、今回は無事に幹部会(みたいなもの)を通ったようです。
といっても、清盛は既に太政大臣まで上り詰め、それも辞任してる「隠居した会長」状態ですから、自分で会議に出たわけではなく報告を聞いた状態。お手柄だったのは、音戸の瀬戸をひらくことで貴族が得られるメリットをアピールした時忠でした。
彼は引退前の清盛の「身内をどんどん要職に就ける作戦」にのっかって、「参議」になってました。清盛の、「自分は隠居するが、身内を要職に就けて、幹部会の多数決を握れる数にする」というやり方の成果ですね。
いやしかし、時忠は現実的な(しかも短期の)利害の話になると強いね(笑)。
■報告を聞いている清盛さんは、隠居の割にフォーマルな服装だったのですが、どうやらこれから厳島神社に旅に出るそうですよ。
形は隠居ですが、清盛はやりたいこといっぱいで元気元気。時子に「帰ったら50歳のお祝いパーティーやりましょうね」と言われても、自分のお祝いだってわかってないくらい。年齢を数えるヒマもないほどなのです。
■清盛の周囲も順風満帆。
後白河院のもとにいる滋子は、ますます院の寵愛を得て夫婦円満。
熊野詣のときのでしたっけ、大雨の中でも「胡飲酒」舞をきっちりやりきった…っていう男前エピソードが再現されました。この舞、読み方がかわいいわ…「こんじゅ」。
舞は…どうなんでしょう。あまり優美な感じはしなかったけど、見るからにヤバイとも思わなかった、って感じかな。(※みるからにヤバいレベル=大河「義経」最初のほうに出てきた静御前の舞シーン。)
ずっと滋子役がどうしてこの女優さんなんだろう、もっと華やかな女優さんのほうがよくないか?…って思ってたけど、後白河院役の松田翔太が婀娜っぽい雰囲気だから、対照的にナチュラルさ・健康美を選択したんだな…と、今になって思いました。確かに、2人並んだときに、滋子までエレガント系だったらちょっとくどいね。
■さて、そんな上機嫌の後白河のもとに、息子である以仁王が参上したとの知らせが。
途端にご機嫌ナナメになっちゃう後白河。息子が父親に会いに来たわけなのに、ひどいよなぁ。。。
この以仁王ですが、1151年生まれなので、このドラマの時点で16歳とかそのくらい。二条天皇は異母兄で、同母兄姉妹には、平経正が都落ちの際に琵琶を返却した守覚法親王や、歌人として有名な式子内親王がいます。
お母さんは、藤原成子。この女性のお父さんは、後白河の生母・璋子さまの異母弟ですから、後白河とは母方のイトコですね。
母方の親族とはいえ身分は高くもなく、早くからの身内で気楽だったのか何なのか、彼女は後白河との間にたくさん子どもがいるのに、あまり重んじられてません。なんというか、食事における「じゃ、とりあえず●●で」的な扱いにされちゃった感あるなぁ。滋子のお父さんだって身分的にたいしたことないのに、明らかに差をつけられてます。
■と、紹介に字数を使いましたが、ここで以仁王が養母扱いになっている後白河の妹・暲子内親王と一緒に登場。彼女はこの時点で既に出家してるはずですが、普通の衣装と髪ですね。
この暲子内親王は、美福門院の娘です。両親の財産をごそっと相続してて、超お金持ち。財力をバックにした政治的影響力のある彼女が一緒だとわかったから、最初「出直してこいと伝えよ」と言った後白河も、結局以仁王と対面したわけです。
すると、めっちゃどストレートに、「以仁王こそ次の帝となるべき!」アピールしてくる2人。でもなぁ、後白河にこういうアピールの仕方は逆効果だよね。自分が主役でなきゃイヤな人なんだから。
後白河は以仁王の親王宣下の話も「まぁそのうちにね」で流そうとしてて、右から左にモードなのですが、滋子は彼女なりに危機感を持ったようです。兄・時忠を呼び出して、平家の財力を我が子・憲仁のバックアップに使ってほしいと依頼するのでした。
具体的に言いますと、まだ幼い憲仁親王のライバルにならないように、カネにものいわせて以仁王の親王宣下を阻んだのでした。自分は一門縛られない、と宣言してたのに、一門の影響力は使うのね。このへん、滋子って時忠と似たものきょうだいだよねー。
■この兄妹の対面シーンに、滋子の女房である建春門院中納言こと健御前が登場してました。
このドラマでは「健寿御前」でしたね。文献に残ってるのは「健御前」だけど姉妹がみんな「●寿御前」なので、寿をつけるのが一般的になってる…ってのが私の認識なんだけど、実際はどうなんだろう。
で、この女性ですが、藤原定家の同母姉です。しかし、ホントはこの33話の時点…1167年時点では滋子のとこに就職するかしないかくらいの時期でして、しかも年齢はまだ11歳。ドラマではベテラン女房の風格漂ってましたが、実際にはこの頃は「建春門院さますてきー」と目をハートにしたり、「こんな就職するんじゃなかった、やめときたかった…」とクヨクヨしてたりです。

■厳島神社に出向いた清盛は、これから都のそばに港を持ってこようとしている、そのときには瀬戸内海の航海を守る存在として、ここ厳島の神に安全を祈願したい・・・と、兎丸と桃李の間に生まれた赤ちゃん(子兎丸、って言ってたから男の子なのね)をあやしながら未来のプランを伝えます。ここではみんなそのプランを歓迎してます。
■そして清盛が都に帰ったところで、彼の五十の宴が華やかに開催されました。ではここで、お客さん紹介。

1)重盛の子どもたち
のちの維盛、資盛、清経…なのかな? 3人が出て来ました。
子ども3人がおじぎした後の、重盛のドヤ顔に笑っちゃった。幸せなのね重盛…よかったよ…。
そして子役たちですが…どうしても維盛の顔を気にしてしまう!
子役の子は元気な感じで、美少年イメージではなかったですが(勿論役者さんなので普通よりも当然整ってるけど)、どう成長するのかな。
この3人、実際は経子との間の子は清経だけで、全員母親が違うはずですが、このドラマでは母親は全員経子っぽいですね。確かに、このあとの展開を考えると、そのあたりを正確に描くとややこしくて本筋がわかりづらくなりそうだから、仕方ないかな。
大河「義経」のときは、明言はしてないけど経子の息子ではないのかなーって表現になってましたね。経子の、維盛のことを語る雰囲気にちょっと距離がある感じだった。
さて、孫3人のあいさつにホクホクの清盛は、この3人の教育係を伊藤忠清に命じました。頼もしい!と思う前に、不幸フラグがぁぁぁと思ってしもた。どういう教育係になるのかな、維盛の味方でありつづけてほしいんだけど…。

1)源頼政&仲綱 父子
平治の乱で清盛側について生き残った源頼政も宴の前にお祝いのごあいさつ。これから伊豆に出張するんだそうです。息子の仲綱(平家物語では名馬を巡って宗盛ともめる人ですね)はなぜこんなに平家に擦り寄るのかと詰りますが、頼政はいまはガマン、の思いでいるようです。

2)常盤&牛若 母子
今日が清盛の50歳パーティーと聞きつけた牛若が、常盤にどうしても行きたいとせがんだそうです。
しぶしぶ来たところを、時子にみつかってしまいます。しかし時子にとっては、常盤&牛若は「清盛の愛人とその連れ子」という以上に、「清盛の友だちだった義朝の妻とその忘れ形見」なのですね。
自分を「父上」と呼ぶことを特に訂正せずに、お菓子を与え、知盛・重衡・徳子と遊ばせる清盛。子どもたちも特にわだかまりないようですね。この先を思うと心が痛むわけですが…
大河「義経」の牛若も、知盛や重衡たちと遊んでましたね。あっちのほうが頻繁に遊んでるようでした。こっちは、役者の年齢の都合で重衡と牛若の年齢差があるように見えちゃうので(実際は2歳くらいの差)、そこまでの関係にはしないようですが。

3)忠度
亡き父・忠盛の末の弟です。平家一門が出家したこのタイミングに、と貞盛が呼び寄せたそうです。
が、清盛とその兄弟たちはその存在を知らなかった模様。突然元気に飛び込んできたムサい男に一門がびっくりするのが面白い。でも、15話くらい前はさ、平家も同じくらいムサい感じだったよね(笑)。
新規加入した彼に紹介するというかたちで、改めての平家一門の「モリモリ整理コーナー」。
定期的にありますねこのコーナー(笑)。グダグダになりそうなところを、忠度が「いずれ劣らぬ持ち味の兄上方」とウマくまとめてくれました。忠度、解説役としても見込みのある男ですな。
兄弟と会えてうれしい忠度、その喜びのままにコミカルな熊野の祝い踊りを披露し、みんな大喜びするのですが…

4)摂関家ブラザーズ 基房&兼実
身内でたのしくやってるところに、呼ばれてないのに訪問してくる摂関家兄弟。
都の近くに港を持ってくるとか、その守りを祈願する為に厳島の神を持ち出すとか、昔からのお約束に従わない清盛がとにかく気に入らないのがこの2人。
で、「新しい神社を造営するには、やっぱり古来よりの伝統とか風流を解する心がないとねー」と、平家一門のセンスをテストすると言い出しました。
さすが摂関家、嫌がらせのセンスが昔のアイドル漫画とか大映ドラマ。
で、宴へのプレゼントとばかりに2人で舞をご披露してくれました…わかりやすくドヤ顔で舞う二人
。「俺ら並みに舞えるかな、フフン」ってなもんですな。意図のわかりやすさに、いっそ好意すら持ちたくなる二人です。

■しかし、この2人のイヤミな圧力に「参りました、うちの一門じゃかなわないです」とうなだれるような清盛ではありません。この2人の舞へのお返しを、重盛・宗盛・経盛に命じます。
経盛が笛、重盛&宗盛が舞。経盛が笛を吹き出した時点で基房の顔つきがかわったところで、なんか報われたような気持ちになったわ…どんだけ今まで経盛を応援してたんだ自分…。
摂関家ブラザーズの舞が優雅で厳粛な感じだったのと比べると、重盛&宗盛のは、若さ強さがある感じ。ここで同じ系統の舞ではなく、あくまでも自分達の姿をぶつけるのが、清盛らしさなんでしょうね。
維盛と牛若が隣同士で座ってたのになごんだわー。しかしこのあとの以下略。
■2人の見事な舞にグヌヌ…となった摂関家Bros.、今度は和歌合戦を挑んできます。お題は時子さんが指定して「恋」。えっ、そこは清盛の長寿を願うとかそういうテーマじゃないの!?と思ったんだけど、まぁ「恋」です。
当然経盛が出てくるのか…と思ったら、兼実にびびって萎縮しちゃった。そこで、清盛はニューフェイス忠度を指名します。

兼実さんのお歌。これは実際に残ってる歌ですね。

帰りつる 名残の空を ながむれば 慰めがたき 有明の月
(あなたが帰ってしまった後の余韻のままに空を眺めると、私のこの心を慰めてはくれない有明の月が見えるわ)

ってな感じですかね。有明の月とは、字面のまんま「夜が明けてもまだ空に見える月」です。その光のない、「ぽっかり」感が、心のぽっかり感と呼応するのかな、こういう和歌では必須アイテムのようですね。
時子が目をハートにして解説してくれるのかと思ったら、経子ちゃんが解説してくれました。今回の経子ちゃん、男塾で技の解説をしてくれる富樫と虎丸みたいです。
さて、この和歌にどう対抗するんだ、このむっさい熊男が…と思いきや、忠度の和歌

たのめつつ 来ぬ夜つもりのうらみても まつより外の なぐさめぞなき
(来てくれるって頼みにしてたのに来てくれない、そんな夜が積もりに積もったけど、どれだけ恨んでも結局のところ津守の海岸の「津守は松で有名!逆に言えば松以外には特に見るものない!」みたいに、私も待つ以外に自分のこの心を慰める方法なんてないよね)

ときました。私が適当に意訳してますが、同じ31字の情報量で「恋人にちょっといいようにされてる女のやるせなさ」を読んで、これだけ訳の情報量に差がわるわけなので、忠度の和歌はかなり状況と思いの両方が込められたイケてる和歌です。
(と言い切ったものの、私は和歌については真面目に勉強してこなかったので、よくわからん)
■見た目全然風流じゃない忠度がするっと巧い歌を詠んできたことにキーッとなったBros.は、高笑いのようなカラ笑いをしつつ、「で、でも、結局私らのサルマネだもんね、だから、巧く詠めたからって神社の造営なんて絶対許さないもんね!」と、最初の主張を無視して居直る(笑)。
大人げないBrosの対応にやれやれとなった清盛は、ついにあたためてきた厳島神社造営計画を見せます。
海を活かす、タテ方向へ広げるのではなくヨコに拡がりをつくる。これの発想こそが、神社だけでなく、清盛の政治ビジョンとなのです。
ここの説明はウマい!って思った。なるほどなー、説得力あるわ。
■摂関家Bros.が帰っていった後も、日が暮れていく中で宴は続きます。
清盛のビジョンにすげー!となっている一門の皆。この先へのワクワクが止められない清盛。宴よ終わるな、このおもしろい時間よ終わるな、とばかりに扇で夕日を招きよせると、なんと夕日が輝きを取り戻した(ように見えた)!
音戸の瀬戸での日招き伝説をここで使うとは。しかし、清盛の絶頂期のエピソードなのに、太宰治『右大臣実朝』の「アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」を連想しちゃいますなぁ。
父上が夕日を招いたら、また日が昇ったんだよ!と目をキラキラさせて常盤に報告する牛若。彼はその昇った日を叩き落すのが自分だと知らないんですよね。なんというか、相変わらず、絶頂期にそこはかとなく不幸の種を仕込まずにはいられないのがこのドラマの脚本ですなぁ。

■さてさて。そんな清盛のエピソードは尾ひれがつきながら、あちこちへ。
伊豆に出張した頼政さんの荷物にもくっついて、大根業者ならぬ北条時政の屋敷にも届きました。
時政に誘われて頼朝を見に行く頼政。彼が見たのは、以前の、ある意味「世捨て人の穏やかさ」を醸し出していた頼朝ではなく、完全に虚無感でダウナー入っちゃった姿でした。都にいてもこれだけのダメージを及ぼせる清盛の影響力に恐ろしさを感じる頼政と時政。
■しかし、清盛だって超人ではないんです。これから新しい仕事に着手するぞ…という矢先、彼は不意に倒れてしまいました。どうなる清盛!?

…というところで次回。
清盛が病床で見る夢に、過去の登場人物がわんさか登場するようですね。
白河院がお花畑で手招きしてたら笑う。
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by mmkoron | 2012-09-09 00:24 | 大河ドラマ「平清盛」


第32話「百日の太政大臣」

■今回のあらすじは

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【都】
ものすごい勢いで位階官職を上げていく清盛。バックについていた藤原基実が若くして病死するという緊急事態が起きるものの、そのピンチもチャンスに変えてのしあがる。
しかし、それは清盛に無視されて内心ハラワタ煮えくり返っている後白河による「祭り上げして倍速でゴールに到達させてしまう」作戦だった。その種明かしをされた清盛は絶望しかけるが、持ち前のバイタリティでそれすらも逆境を変えようとする意欲に変えてしまう。
名ばかり栄誉職である太政大臣にまで持ち上げられた清盛は、自分からわずか100日でそれをあっさり辞任。勝手に「あがり」にさせられた清盛だが、それを逆手にとって、立場の制約から自由になったのだ。

【東国】
頼朝は、永遠に続く流人生活でぼんやりモードだったが、八重姫との出会いによって「小さな幸せで満足」モードに入り、ますますかつての武人としてのカドはとれていった。八重姫と生まれた息子との小さな幸せを育ててここで埋もれて生きていこうとマイホームパパとして目覚めたのもつかの間、前回都で清盛の迫力を目で見てしまった八重姫の父親にその赤子を殺されてしまう。かりそめの平和ボケになりかけていた頼朝だったが、ここで「敗者である自分」を突きつけられることになった。
=====================================

とまぁ、こんなかんじ。
本筋はこれだけなんだけど、いろいろ組み込まれている今後へのポイントがありますので、そのへんをメモしておこうと思います。

1)摂関家兄弟のネチネチ
■なくなる前から、朝議の場面や兄弟とのやり取りで、ストレスフルで弱り気味だったことは描かれてました。
基実がなくなったときの、涙目の盛子がかわいそうだけどかわいかった…。これ、基実がイケメンが売りの俳優さんだったら、もっと盛子が視聴者に注目されたかもなーとは思うんだけど。視聴者の興味をあまり分散させない方針なのかな。
基実の息子である基通も、まだみづら結いの子どもですが、出て来ました。もちろんまだ11歳である盛子の子どもではなく、平治の乱で処刑された藤原信頼の同母姉妹の間に生まれた子どもです。
■そして基房&兼実兄弟は、兄の死にイヤミ言うだけでは飽き足らず、さらに宴でも嫌がらせ。
この嫌がらせが、もう昔のアイドル漫画における「主人公のステージ衣装が、ライバルによって隠される」みたいで笑った。そういった場合、王道は

衣装を隠された!→主人公、敢えて制服姿でステージに上がり熱唱!→清楚さがむしろ新鮮だと喝采!

ですから、このドラマも

舞姫を隠された!→なんとかしろと言われた盛国、敢えて自分が衣装を着てダンス!→キモさがむしろ新鮮だと喝采!

かと思ったのですが、普通に、ちょうど来ていた聖子ちゃんにおねがいしたみたいで残念。
それにしてもあの一の舞姫さんの芸能人生命は大丈夫なんでしょうか。この苦しさを糧にして頑張ってほしいです。


2)入れ知恵シーンで藤原邦綱登場
■清盛のビジネスパートナーとも言える藤原邦綱。このドラマでは政治家としての清盛の秘書的存在としては盛国がいるから、もう出てこないのかなーと思ってましたが、ここだけの役割で出てきました。
ちなみに、清盛と時子の息子・重衡の奥さんは、この邦綱の娘(輔子)です。幼馴染婚なのかも…とちょっと萌える。大河「義経」では重衡を細川茂樹(今回の藤原基房役)、輔子を戸田菜穂が演じてましたね。実は最期の別れのシーンが初めて言葉を交わすシーンだったと、インタビュー記事で知って驚きました。
■邦綱の娘たちは、六条・高倉・安徳の乳母をそれぞれ努めています(輔子は安徳の乳母のひとり)。邦綱さん、ある意味清盛以上のヤリ手です。しかもお金持ち。よく「だれだれさんが、●●を失くして困ってたら、邦綱さんがそれを持ってきてくれた」って話が出てきます。で、私は「平安末期のド●えもん…!!」と思ったので、いつか彼を描く機会があったらドラっぽく描いてやるぜと狙ってます。って、ドラマの話から脱線しましたすみません。


3)頼朝
■子どもができたとわかった当初は、「また罪をかさねてしまった…」と、自分の不幸に酔ってるモードだったのが、実際に子どもを抱きしめたところで変化しました。永遠にリピートする毎日をヨシとするのではなく、毎日をちょっとずつ積み上げていきたいと希望を持つようになった姿は、ちょっともらい泣きしちゃった。
このドラマの頼朝は(実際も)、親兄弟と不意にはぐれて、そのまま捕縛され。親兄弟が殺されたと教えられはしたけど自分で見てるわけじゃない。いきなり戦いから切り離されて、戦いを全うできずにそのまま現実から迷子になっちゃったような状態で十数年生きてたんですよね。そりゃ「明日が今日でも…」になってくのはわかる。(実際には都に縁者が残ってたりもするので、ある程度情報は得ていたんだろうけど)
そんな中で自分の居場所をようやくつくったわけだけど…しかしむごい結末。
■余談ですが、頼朝が「私はまた罪を重ねて…」と自分に酔ってるときに、藤九郎や大根業者(違)たち周囲の男子どもがそれをたしなめるわけでもなく、なんとなく同調して「そんなことないよ、ファイト!」みたいな空気になってるのが、いかにもありそうで笑えた。男子会のぬるさがいい。(^^
■しかし、幸福や未来の希望は、伊藤祐親の帰宅であっさり消える。
幸せそうにキャッキャしてる居間の奥に、無言で佇む祐親が怖かった…!
そしてそんな父親に無邪気に自分の赤ちゃんを抱かせてしまう八重姫。「ぎゃーなんてことするんだお前!」と八重姫に叫びたくなったよ!!
「私の赤ちゃん、こんなに可愛いんだから、お父さんも当然可愛いって思うでしょ?」って気分なんでしょうね。「子どもだけしか写ってない年賀状を送ってくる職場の同僚」みたいな心情だよなこれ。
娘をはらませちゃった頼朝のほうがまだ現状認識度は高かったけど、しかし、赤ちゃん連れ去られたときに、すぐ行動できず「えっ?えっ?」となってたあたり、彼の現状認識も甘かったわけです。
■一方、残酷な場面を決して頼朝に見せまいとする藤九郎の厳しい表情はよかった。
このドラマの「男子主要人物の第一の側近」はみんないい役だよなぁ。ちょっとしか登場しなくても見せ場がある。そんな中で、ここぞという登場タイミングがなくてなんとなく便利に使われてるのが盛国だったりするね。何かこの先に重要な役があるからこそ、あの役者さんをあてているとは思うんだけど…脚本、頼むよ~!

■ところで。今回のあとにフォーム経由で「頼朝むかつく!」となぜかうちにメールが届いて、「私、登場人物へのメール転送代行業はしてないよ!?」とびびった。(笑)
フォローすると、頼朝の最後の
「ひとつだけわかっていたことは、私の子を殺したのは、遠い都にいる平清盛であるということだけであった」
はもちろん
「遠い都であっても、清盛率いる平家が実権を握っている限り自分は敗者であり、大切な者や当たり前の生活を守ることなどできないという事実を私は突きつけられた。」
という、現実認識しました…って意味であって、頼朝が自分のうかつさを棚上げして清盛を逆恨みした、ということじゃないと思います…って、メールくれた人もそれは御存知だとは思うのですが。。。

4)西光(藤原師光)再登場
■朝子さんに私の命令は信西の命令と思え!と叱咤されて、後白河に仕えることにしたようです。
後白河が、清盛にちょっと放っておかれてる状態であり、後白河もそれにムカついてることはその直前に描かれてました。後白河は「清盛ヨイショ作戦」をひそかに実行してたわけですが、後白河大事の朝子も、彼女なりに動いたわけですね。
■西光は、信西を討った源氏の生き残り(頼朝)を流罪で済ましたことを恨んでいることを宣言しました。ああ、すでに10年後の鹿ケ谷フラグが…。

そんなこんなで不安の種まきをしつつ、次回へ。
次への種まきを丁寧にコツコツやってく実直さは、このドラマの美点でもあるんだけど、しかし視聴者は最終回までにどんな盛り上げがどこで行われるか知らないわけで、ゴールの見えない状態で伏線撒きばかりされるのも疲れる。週1のドラマだったら、種まきが多少強引でも、毎回の「ドカン」をもっと大げさにしてもいいと思うんだけど、そのへんの力加減が「全体を踏まえての配置」重視に偏ってる感じなのが、このドラマが「作り手の自己満足」と言われがちな要因なのかなと思う。
↑この評価も大げさというか、言いすぎだと思うけどね。ネットって、批判や悪口をなぜか大げさな表現で書きがちなのが怖いですね。
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by mmkoron | 2012-09-06 00:24 | 大河ドラマ「平清盛」


第31話「伊豆の流人」

■まずは伊豆でニート暮らしの頼朝。
藤九郎が天真爛漫というか暢気さ全開でお仕えしているようですが、微妙に距離があって噛み合ってないのが笑える。
藤九郎がわわーっと喋るだけしゃべって、ずっとゆるい微笑みをたたえて聴いてた頼朝が「話は終わったか」。「ええ一通り」。この会話好きだ。「義経」のときの安達盛長は、もっとシブい感じでしたから、この軽さは新鮮です。
■そんな頼朝に、監視役の一人である伊藤祐親が尋ねてきます。
頼朝に外出を促すような水を向けますが、頼朝が自分が流人だから…と遠慮するそぶりを見せると、満足したように帰って行きます。頼朝は、別に敵を油断させようとしてるわけでもありません。長い流人生活のなかで、だんだん自分の時代感覚や意志を麻痺させていったみたい。
父や母、そして清盛の思い出も、ぼんやりとしてしまってる。もともと、恨みつらみを糧に怒りで前に進むタイプじゃないんでしょうね。

■全てが朧ろになっている頼朝ですが、一方、京では。
清盛がいよいよ夢に向けて一歩を踏み出そうと、一門の者や兎丸たちにその計画を語っています。
博多のような港を都近くに作るんだと。
そこで宋との貿易をしようというのです。そんな大型船が入れる港なんてこの近くにはない、という兎丸に、「通れるように瀬戸を広げればいい」とあっさり返す清盛。
ドデカイ仕事をあっさり語る清盛に、兎丸一味はおもしろい!とバカウケ。
清盛の息子達もつられて一緒に笑ってますが、重盛ひとりが怪訝というか腑に落ちない表情。反対しているというわけではないけれど、他の貴族たちの反発を懸念しているのです。そして、彼自身が父親が何を目指しているのかはかりかねている。

■さてさて朝廷では。
二条天皇に待望の皇子が誕生しました。のちの六条帝ですな。
ちなみに母親は身分の低い女官です。そのへんは、崇徳の重仁皇子とちょっと重なりますね。歴史は繰り返す…。
二条天皇はもちろん我が子を帝位につける気まんまん。世の中が天皇親政モードになって、なかなか政治の主導権が握れない後白河は、これでますます実権が遠のく予感にイライラしてます。
イライラから救われたいとお経を読むのですが、法華経の「長者窮子」のお話のところの「説是我子」のくだり…これは親が生き別れになってた我が子を指名して、自分の財産を与えるっていう場面なんですけど、それを読みながらキーッとなってその経文を叩きつけます。
「オレは渡したくて渡してるわけじゃないわ!!」ってことですかね。
自分にタテつく二条が政治を思うままにしてるのが許せない…って、「歩み寄らぬのは帝のほうじゃ!」と自分の子どもと同レベルでケンカしてるあたり、いやはや相変わらずです。
そんな後白河に、笑顔で清盛と引き合わせるのは、今は後白河の寵妃となった滋子。彼女は皇子を産んだあと、ちょっとずつ政治家の顔を見せてますね。彼女のこれまでの「私は私の思うがまま生きたい」という思想からすると、家のため親族のためではなく、ただひたすら自分(と我が子)のために政治志向になっているわけで…そっちのほうがコワい。
■後白河は鬱憤晴らしに千体の仏像を作りに作りますが、アタマかくして…というか、その千体を入れるお堂が資金不足で作れないそうな。トホホ。最初にコスト配分しなかったんか。こんなことまで出たとこ任せな性分…。
そこで登場したのが清盛です。清盛は、立派な御堂を寄付します。
大喜びの後白河は、清盛に何がご褒美にほしい? と質問。そこで清盛は、長男重盛を、朝議に参加できる参議に任じてもらったのでした。
後白河は、出来上がった御堂に帝もくればいい!とゴキゲンです。
それにしても、この後白河にとっては信仰もストレス発散や暇つぶしなんですね。。。
■でもね。後白河の人格を見下げている二条帝が、後白河の御堂が立派だからって行くはずがありません。
清盛はそこには触れずに二条帝にまめまめしくお仕えするのですが、重盛がそのへんの空気を読まずに二条帝に「後白河はお父さんなんだし、御堂に行ってはいかがですか?」的なことを言っちゃう。
で、清盛からはめっちゃ怒られちゃうんだけど、重盛はどういうつもりでこんなこと言っちゃったんでしょう。
確かに彼の義兄(妻の兄)は、後白河近臣の藤原成親ですけど、別に奥さんの顔を立てるために言ったわけではないでしょう。このへんの心情は、次の場面に出てくるセリフをもとに解き明かすことにしましょう。
■重盛は、妻の経子に語ります。
かつて父・清盛は、鳥羽院と崇徳院の父子の絆修復のために奔走し、しかし叶わず、一門を守る為に手を汚していった。
このへんのセリフをどう解釈したものか?と思ったんだけど、重盛は、清盛に対して「本心からの願いを堪えて、本意ではないことをしてるんじゃないか?」「それとも変節をヨシとしてるのか?」とその真意をはかりかねているのかなー。
で、本当はこういうことを言ったほうがいいんじゃないか、と彼なりに代弁しようとするんだけど、清盛の意志にはそぐわなくて…って感じですかね。つらいな重盛。
二条帝に子の道を説いちゃった重盛のことを、盛国が「かつての殿のようでしたな」って言って、清盛は「ワシはあのように青臭うはなかった!」と答えるシーンがありましたが、青臭さはどっこいとして、重盛のほうはどこか「こうあるべき」論であって、清盛のような心の底からの主張って感じがしないんですよね。
そのへんは、平家物語とか読んでるときに受ける重盛の印象と重なる。

■うまいこと重盛にポストを与えることができた平家一門ですが、甥である重盛に官位で越されることになった頼盛の周囲は浮かぬ顔。
当人は、保元の乱での自分の身の処し方が悪かったせいだと諦め顔です。
そんな頼盛のもとに知らせが。彼の生母である池禅尼の病が重く、寝込んでしまっているのです。
心配いらないと言いつつも、「いささか疲れた」と弱音を吐く池禅尼。
もう50年も経つ、と振り返る池禅尼。覚悟をして忠盛に嫁ぎ、清盛の母親になると決めてからもう50年…。
「今の平家があるのは、母上のお力があったればこそ。女として、こんなに晴れがましいことはありますまい?」と語りかける頼盛に、彼女は「そう、思っておったのじゃが」と言葉を濁し、ただただ頼盛にすまぬと涙まじりに謝るのでした。
■立派な人間として自分を律して生きようと決めつつも、それを全うできず、頼盛かわいやのホンネがこぼれ落ちてしまう。清盛を憎んでいるわけでも軽んじているわけでもないのだけど、やはり可愛いのは頼盛。
池禅尼のブレ方は、気持ちよい姿ではないけど、人間的ですね。
彼女と、清盛の後妻である時子は似たような立場であるわけですが、時子と重盛との関係はこの先どうなるのかな。ここまで池禅尼のブレを丁寧に描いたら、時子・重盛になんの波風もないのもウソくさくなると思うのですが。しかし深キョンに池禅尼レベルの深みが出せるとも思わないし…うーん、どうなるのやら。

■場所は変わって鎌倉。
めんどいなーとボヤきつつも、頼朝の監視役・伊藤祐親が都の大番役を勤めるため、旅立ちます。
完全に単身赴任のお父さんモード。頼朝への監視を怠るなと注意していきますが、見送る家族の中に、彼の娘である八重姫が…
父親に「帰ってくる頃には、美しく成長しているだろう、楽しみだ!」と言われたので、成長してみせてサプライズしようと思ったのか。
八重姫の下男(侍女じゃなくて男の下人を連れて歩いてるのね。。。)は、都育ちの頼朝に、八重姫のお行儀?指導をしてもらおうと思い立ちます。頼朝が人との接触を避けて暮らしていることをわかっている藤九郎はその依頼を聞き流そうとします。しかし、従者たちがお願いしますいやダメだとやりあっている脇で、ボーイミーツガール。八重姫と頼朝は出会ってしまいました。

■またまた場所が変わって京。このドラマ、場面の切り替えが多いなーと、こうやって感想書いてるとつくづく思うわ。なので、結構時系列を整理しなおしてまるめちゃったりしてるんだけど、それでも多いなぁ。
都では、さぁこれから!という23歳の若さで、二条帝は崩御。しかしなんとしても後白河に政治を任せたくない彼は、「上皇に政をさせてはならぬ!」と叫び、僅か生後半年の我が子に帝位を譲ります。いやいや、それでも赤ちゃんが政治するよりマシだろう、といいたいところですが、このドラマの後白河はそう言えない人格だよな(笑)。
■当時、お葬式ってないと思うので何の儀式なのかわからないのですが、二条帝の成仏を祈る?念仏が響きます。その場に厳粛な面持ちで控えつつ、二条帝の夭折を悼みながらも「しかし、なにごともさだめじゃ」とつぶやく清盛。重盛はハッとして訊き返します。
ここ、清盛が、運命の理不尽さに対して「なんでだ!なんでそうなるんだ!!」と抗い憤ってた若い時代とは違って、いったん受け止める姿勢に変わっているってことなのかな。
■そんなとき、厳粛な儀式をブチ壊す騒音が。
鉦鼓?を打ち鳴らして、後白河ととりまきの僧兵たちのおでましです。相変わらず、こういうとこで自己顕示するのが大好きなのね。
で、ずかずか邸内に上がりこみ、帝の棺があるのか?と思われる方向をじっと見つめる後白河。

「なぜわしの蓮華王院に来なんだ? さすれば(=来ていれば)、千体の観音像がお守りくださったものを」

これを言う表情は、ふっと真剣味のある表情。
露悪的というか愉快犯的に見せているいつもの後白河とは違う、「素」の姿。でも、次の瞬間には「だからこっちから来てやった!」とまたヒャハハ笑い。
このドラマの後白河は、「バカに見せて本当は深い人」じゃないのが、却って面白いですね。
清盛が言うとおり、ただただ自分が中心でないとイヤ、自分が上から見下ろす立場じゃないとイヤ、でも本当は人を引っ張る器量があるわけじゃない。だから、「特別な人」ポジションにいられるように、奇矯な人として胸を張る…そういうキャラですよね。中島敦の世界だと虎になっちゃう(笑)。
最初は後白河のもたらした大騒ぎに清盛も慌て気味でしたが、ここで大騒ぎを威厳で威圧して、毅然と後白河に言い放ちます。
アンタはただの子どもだ。二条帝はそれをよくわかっていたから、最後の力を振り絞ってアンタに実権を渡さなかったんだ!と。
じっと堪えていた清盛が本音をビシッと言う姿に、重盛は感銘を受け、誓います。
父親を信じて支えようと。でも、重盛は清盛の意志とシンクロできてないわけで、目指しているものを共有しきれない状態でその人についてくって、ちょっと辛いよね。
■重盛をシビれさせたこの事件ですが、同時にこの清盛のカミナリを目撃してビビってた人が。宮中の警備のために上洛していた、伊藤祐親です。
「清盛を怒らせるとやばい」。この意識が彼に刷り込まれてしまったのが悲劇の始まりです。
このとき、遠い伊豆では、頼朝と八重姫はすでに心を通わせてしまっていたのです……

■後白河とのいざこざが一段落したころ、池禅尼が子や孫達に囲まれて息を引き取ります。
頼盛にもらした本音とはうってかわって、「なんと満ち足りた人生だったか」と語り、清盛に後を託す池禅尼。しかし、清盛に後事を託しつつも、視線は頼盛の姿をとらえ、「けっして、たやしてはならぬ」と伝えるのでした。
忠正叔父さんといい、このお母さんといい、頼盛の応援をしてるんだか縛り付けてるんだか…って状態ですなぁ。

■とまぁ、今回も、清盛の変化とともに変わっていないところを描いていました。
上司が昔「性格は変えられない。でも習慣は変えられる。」って私を諭してくれたのを思い出すなぁ。。。
清盛も、性格というか本質は変わってないけど、自分で意識的に変えようとしてるんですよね。
あ、そうだそうだ。話は逸れるけど、こんな言葉も聞いたことがあります。
「人は変わらないと言うのは、他人を変えようとした人。
人は変われると言うのは、自分を変えようとした人。」

これも好き。
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by mmkoron | 2012-08-28 01:37 | 大河ドラマ「平清盛」


「平清盛」公開セミナーin岡山

2012年8月26日  講師:髙橋昌明氏(神戸大学名誉教授/大河ドラマ「平清盛」時代考証)

※注意※
私はセミナー内容にも講演者の著作権があると思うので、内容の掲載ではなく、あくまでも講演を聴いた私の感想として書きます。


■おおーっ、ついに岡山でもセミナー開催。しかもゲストは、プロデューサーでも役者さんでも演出とかのスタッフでもなく、時代考証の先生。なんだか手堅い~。私もさっそく往復はがきをだして申し込みました。
で、当日。駅前のNHKが入ってるビルの前に行くと、でっかいナナミちゃん人形のあたりに、なんか黄色いシャツの集団が。「募金おねがいしまーす」とか「奥のホールにお越し下さい~」とやってます、24時間TVです。コラボしてるのか!?と思ったのですが、別にそういうわけでもなく、奥のホールへの呼び込みをする黄色いシャツ集団が、だんだん前にせり出してきてNHKの入り口前に陣取ってる格好になってたようです。
■うっかり黄色いシャツについていって中尾彬さんの撮影を見に行きそうになりましたが、ぐっとこらえてNHKへ。
こっちでも、「おかあさんといっしょ」の人形との撮影コーナーがあったり、歴代大河のパネル展をやったりしてて、人でにぎわってます。「おかさんといっしょ」は、なんか新しい人形になってるんですね。牛とねこと…あと謎の生き物でした。家に帰って調べたところ、「ラーテル」だそうです。何それ。
清盛のコーナーもありましたよ。役者さんのサインと、得子・清盛・乙前の衣装が展示されてました。
お土産にどーもくんシールとかもらって、いよいよセミナー会場です。

暑い。

入り口とはパーテンションで区切られてるだけなので、外の熱気がじわじわ入ってきます。げー。
今回客層は、9割が60歳以上って感じでした。午前中に整形外科に行くとこんな感じ。
おそらく役者がゲストだともうちょっと客層が若いんだと思いますが。そういえば広島のセミナー(ゲストは人物デザインの人)のときも、今回ほどじゃなかったけど年齢層高めだった。こうやって見ると、大河ってやっぱりお年寄りの視聴者が支えてるんですね。

■さて、そうこうするうちに14時になって、いよいよセミナー開始です。拍手とともに髙橋先生登場。最初はアイスブレイクと言うか、世間話から始まるわけですが、いきなり「視聴率が思わしくなくて…」(笑)。苦笑交じりですが、ほんとに残念そう。そりゃそうだよね。この時代が好きでライフワークにしてる人だったら、みんながこの時代に関心を持ってくれないってのはションボリでしょう。私ですらションボリだもん。
先生曰く「最高の役者の最高の演技、最高の演出に最高の脚本に二流の時代考証(ご謙遜!)なのに」なぜこうなんだろう・・・と周りの反応を見る限りでは、

・名前がわかる清盛と頼朝ぐらい、あとは名前も知らない登場人物…という、時代の知名度のなさ。
・そもそも清盛に悪役の印象が強く、人気がない。

が2大要因のようだ…ということで、そこから話が始まりました。
私の周囲を見てる実感だと、後者よりも前者が大きい気がするんですけど、会場の人たちは後者のほうでウンウンと頷いてたので、大河の主要視聴者である高齢者にとっては、後者の要因のほうが大きいのかしら。

■で、その話から「じゃあ実際の清盛ってどういう人?」ってことで、彼が悪人ポジションになった経緯と、それが変化する契機(氏曰く、吉川『新平家』が先行で、むしろ歴史学者は遅れてたとのこと)が何だったのかという話。十訓抄などを引いてきての清盛の人柄紹介などをお話されました。
面白かったのは、単純に「ね、清盛って優しい気配りの人でしょ!」ではなかったことです。
平家物語の感情の起伏の激しさがむしろ彼の本質にあって、ただそれを抑えて振舞っていたのが壮年期だったのではないか、晩年はいろいろタガが外れることが多くなっていたようだ(秀吉とかのように)という分析だったことですね。私、いまちょうど各話紹介で「ついにブチ切れた」清盛を描いてる最中で、私も清盛をそういうトコロがチャーミングだと思って描いてるので、嬉しかった。
(義経とかに対してもそうなんですけど、「卑怯な作戦をしたから嫌なヤツ」みたいな即決はつらい。それだけじゃないトコロがあるからこそ、最後までついてく人がいたし、文学になってるんじゃない?と思う。)
■ところで先生が、福原に篭って清盛が何をしてたかよくわからん時期について、「どうやら瀬戸内海に船を繰り出してたようだ」って話しつつ、「今でいうクルージングですね。清盛は、定年後に外車で走り回っているハイカラじいさんみたいなもんです。」って話してたんだけど、
私には鮮やかに、クルーザーでブイブイいわせてる北●謙三先生の姿が浮かびました…。

■清盛の人物像の話のあとは、今回の本題である「平家政権も“幕府”だった」という話。
よく「平家は貴族化しちゃった中途半端な政権、武士の政権としては鎌倉幕府が最初」と言われるけど、鎌倉幕府は、清盛が六波羅や福原で実験したことを、制度として確立したものといえる。
400年続いた貴族社会の中で手探りで挑戦した清盛の平家政権と、清盛というロールモデルがあった状態からスタートできた鎌倉幕府を比較して、平家政権は出来損ない・鎌倉は完成形と評価するのは、あまりに酷。
…とまぁ、そんなお話でした。その根拠をひとつひとつ説明してくださったわけですが、これが結構難しい話なので、ところどころで長い航海にコックリコックリ旅立ってしまったお客さんもちらほらでした。
でも、正直このセミナーにはカルチャーセンター程度しか期待してなかったので、(時間の都合で資料を引いて説明っていう時間はなかったけど)しっかりした話だったのが私はうれしかった!

■最後に、質問コーナー。

Q1)「たまこ」「なりこ」などの女性名は、私が知る限りでは「しょうし」「とくし」だったと思うが、今回のような呼び方に根拠があるのか?

偉い先生がそう言い出したから、という、ミもフタもない回答でした(笑)。質問者の人が「しょうし」「とくし」が正しい名前だと思ってたのか、便宜上音読みにしてるだけだと知ってたのか、知識がどこからスタートしてるのかは、質問からは読みとれませんでした。

Q2)今回の講演でも、ドラマの中でも「王家」という表現が出てくるが、そのような呼び方はない。「天皇家」にすべきではないか。

王家キター。これもQ1と同じ人。すごい嫌な言い方しますが、私、この一連の質問を聴いてて、「ああ、王家うんちゃらって言う人は、このくらいの歴史の知識の層だってことかぁ」と納得しました。
「そんな呼び方はない」って結構強く言ってたんだけど、先生があっさり「この時代は日本国王って名乗ったりしてます」って返してて、ちょっと小気味良かった(性格悪くてごめんな)。ナレーションなどで呼ぶときは、その帝が故人だったりするので「天皇」でいいけど、会話文でリアルタイムに語るときは「王家」などにしたほうが自然だろう…と話し合ったとのことでした。というわけで、このあたりの呼称はスタッフ一枚岩のようでホッとした。

Q3)平家物語を読むと「おじご」という表現が度々出てきますが、これはどういう意味ですか?

先生が「おじさんの子ども、の叔父子でしょうか?」と尋ねるんだけど、質問者の人は答えられなかったので、先生はとりあえず「叔父子」の解説をしてました。しかし先生も言ってたけど、平家物語に「叔父子」って出てこないよなぁ。。。何か別の単語かも…って、回答を聞きながら考えたけど、思いつかない。漢字でどう書くかが説明できなかったので、平家物語ってよりも、この時代を紹介する何かの本か番組を見たってことかもしれません。

■とまぁ、こんな感じで講演終了。最後に先生のお茶目発言集。

・フカキョンこと深田恭子さんが時子を… (先生、もしや深キョンFANなのか!?)
・〈滋子への寵愛を説明するところで〉後白河は愛人がたくさん、男性も女性もいたのですが (さらっと!)
・本屋さんには清盛の関連本がいろいろ出ていますが、五味氏・元木氏などの本以外はまぁたいてい読まなくていい本です。ですから、そんな本を買うよりは髙橋さんの本を買ってください。 (笑)
・「今回の大河が、海と船が主役ですから!」と立派な船を作ってもらったが、費用がすごくて後が続かなかった…。 (先生の要望もあったのか…)
・ドラマでは前回(31回か?)「だじょうだいじん」と言ってたが、「だいじょうだいじん」が正しい表現なので、どっちに修正される。 (でも32回もだじょうだいじん、だったような。)
・広島は、この大河ドラマの効果でかなりもうかってるそうです。京都はまぁいつものとおりです。神戸はさっぱりです。理由は、何もないから。広島には厳島神社というお宝がありますからね。 (あーそうかも)
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by mmkoron | 2012-08-26 23:12 | 大河ドラマ「平清盛」

    

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