源平観戦日記


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MOON SAGA 義経秘伝 第二章(教経篇)

****ネタバレありの感想・レポートなので、未見の方はご注意を。****

2014年上演(まみころが観劇したのは8月16日明治座)/
主演(義経役):GACKT  平教経:悠未ひろ 平知盛:川崎麻世 
伊勢三郎:ウダタカキ 弁慶:古本新乃輔 
佐藤継信(兄):西海健二郎 佐藤忠信(弟):古堂たや 陽和:初音/黒田有彩(Wキャスト)
伝内教能:鈴之助 菊王丸:堀江慎也  銀狼丸:君沢ユウキ 
源頼朝:大橋吾郎 北条政子:鈴花奈々 梶原景時:木下政治


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■ファンの人からは怒られるかもしれませんが、最初に書いておきます。
今回の劇の観賞は、
18000円を払って、
素晴らしいキャストと、豪華かつ最新鋭の舞台装置で繰り広げられる
ガクトさんの作り上げた壮大な中二病世界に耽溺する …というプレイ。

■私は文学少女崩れなので、劇を見るときって、伝えたいテーマをどう舞台に具現化してるか、みたいなとこを見ようとしてしまいます。が、今回の「テーマ」は、別に「新たな義経像」でもなく「人間観・人生観」でもなく、ガクトさんが考える「美しくカッコよい世界」「美しくカッコよい舞台」とは何か、なんだろうと思います。
脚本は、おたくな私とかにとっては「こってこてのテンプレ展開」なんだけど、メインはストーリーではなく、それを形にするときの装置とかビジュアルとか音とかのほうなので、寧ろ脚本がシンプルなのはちょうどよいのかもしれません。正直なところ、「これだけチープな話を、これだけゴージャスにできるなんてすげぇ!!」っていう驚きがデカかった。

【お話の内容】
■前回の上演が2012年。友だちと観にいって、「これどこまでの話をやるのかしら」と思いつつ見てたら最後に「義仲篇 完」の文字が出て来たときの「…続くのかい!」という驚きからもう2年です。
前作を見てないという方も多いのではと思いますが、冒頭にスクリーンにプロジェクトマッピングだっけ?あれで「前回までのあらすじ」を映し出してくれるのでご安心を。
このあらすじは、文字だけではなく映像と音声で説明してくれますので、飽きない映像です。装置を必然性をもった状態で活用するところは、センスいいと思います。「使ってみた」だけでなく、使い方がうまいなーと。

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当初同じ源氏側の味方だったはずの義仲が、源氏の総大将・頼朝とその妻政子からいいように利用されすぎてついにキレて、敵になった。義経は義仲と仲良しだから戦いたくなかったけど、義経に封印されてた鬼の力が開眼しちゃって、義仲を倒しちゃった。鬼の力が発動しなかったら自分のほうが殺されてたので仕方ないんだけど、でも義経は傷ついた。
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前回までのあらすじは、まぁこんな感じです。
で、ナレーションで、この出来事が義経に与えた傷がとても深かったので、彼の様子もすっかり変わってしまった…みたいなことを言います。実際、前回はちょっと坊やっぽいショートカットのビジュアルでしたが、今回はなんだか天野喜孝氏の絵に出てきそうなうねうねロングのちょっと妖しげなルックスになってます。性格も、前はちょっと怯懦なトコのある人物でしたが、今回は怯懦というよりも、厭世的だったり熟考しすぎで後ろ向きに見える…って感じですかね。このへんについては、また後のほうで書きます。
■そんなこんなで、若干陰鬱なキャラになってしまった義経さん。
一の谷ではまさかの逆落とし戦法で大勝利をあげたのですが、いまだ心の傷は癒えず。
そんな彼ですが、ひょんなきっかけで、平家側の伝内教能という武将と知り合います。
■「伝内教能って誰?」とお思いの方も多いかと。私もそうでした。
なんとこの人、田口教能の別名なんだそうです。あの人です、壇ノ浦でやらかしてくれた阿波民部重能。彼の息子です。屋島で伊勢三郎にハメられて源氏側に寝返った、田口教能さんです!
ちなみに、演じてる役者さんは、大河「清盛」で経盛役でしたね。
■話を元に戻します。
じゃあこの劇でも途中で裏切るのかな?と思いきや、思わぬ方向に話は進んでいきます。
この教能が伊勢三郎と顔見知りだったこと、義経と教能がわりと気が合ったことをきっかけに、この出会いがさらには平家側の実質の総大将・知盛と義経をつなぐことになり、知盛と義経は和平を結ぶことにします。
平家最強のモノノフと呼ばれる教経は主戦派で、当初はこの和平が気に入らないようでしたが、何度も義経主従と酒を酌み交わすうちに、元々知盛を兄とも慕っていることもあって、だんだん心が和らいで行くのでした。それにしても、じゃあ仲良くなろう!ってときに、前作も今作もしょっちゅうノミニュケーション発動ですな。義仲とも飲んでたような。
■この和平のことが、景時によって鎌倉にこっそり伝わります。
激怒する政子。頼朝はショックを受けてるみたい。
えっ…義経、和議結んだこと報告してないの…?
知盛のほうは宗盛や教盛・経盛たち長老格をすでに説得できてる描写があるのに。お前がこの数ヶ月やってたことは飲み会だけか。という思いもこみ上げてきます。そんな根回しの下手さまで従来のイメージを尊重しなくてもいいっすよ…(涙)。
で、どうしても平家を殲滅し、この国を自分の影響下にすっぽり置きたい政子は、なんだか怪しげな降霊術みたいなので、「エン」という人の弱い心に張り込み、その人格を奪い取るという魔物を呼び出します。
■ここでターゲットになったのは教経でした。
なぜ教経?あのひとめっちゃメンタル強そうじゃん!!
…って平家物語好きは思うわけですが、このお話の教経はちょっと違います。
この世界の「モノノフ」は、みな1つ特殊能力を持っています。弁慶なら「瞬発的に怪力を発動」。伊勢三郎は治癒、知盛は人の頭の中をのぞき見る…などなど。
で、教経は予知夢の能力があるのですが、今は戦時下です。彼は他人が死ぬ夢にいつもうなされ、いつか自分の死も見てしまうのではないかという恐怖に内心怯えていて頭痛に悩まされ、内実は情緒不安定なのです。しかも、義経と戦う夢、繋いだ手を放してしまう夢を見てしまって、すっかり疑心暗鬼。
■そんな彼に、「人の心を錯乱させる」といった力を持つ景時が接近しました。
景時は、実は鎌倉側をスパイするために心ならずも平家を離れているのだ、ホントは味方だ、と教経にかきくどきます。そして「知盛は、和平の条件として自分だけの身の安全と栄達を鎌倉と取引している裏切り者だ」と耳打ちします。
自分がスパイである証拠は、鎌倉に護送された重衡が殺されずにいることだ、殺されないように景時がフォローしてるんだと。…なんとここで突然重衡の名前が!(ここだけだけど)
景時がもともと平家側だったこともさりげなく設定に利用してるんですねー。
■そんなこんなで、もともと不安定だったところに、景時によって心にキリキリを穴をあけられてしまった教経さん。予知夢による頭痛や精神錯乱を緩和してくれるのは、「他者の能力を押さえ込む」力のある伝内なのですが、伝内が源氏側とすっかり仲良しになっていることもあって、教経は伝内をも拒絶してしまいます。
その心のスキマに「エン」が入り込み、ついに…

ジェノサイダーと化した教経と、その部下菊王丸によって
敵も味方もHPゼロよ!


誤解が重なって菊王丸によって佐藤兄が殺されたのを皮切りに、
知盛の和平案に賛同していた長老ズと宗盛、知盛子飼いの銀狼丸、そして知盛までもが惨殺されるという事態に。知盛が弱いのか、教経が強すぎるのか、けっこうあっさりやられちゃったよー(涙)。
ああ、こんなときカイヤさんがいてくれたら勝てたかもしれないのに…。
■さて、あとは大体予想がつくと思います。暴走する教経(何が原因なのか、義経は最終戦間際までわからない)を、もう義経は倒すしかありません。菊王丸VS弁慶・伝内・伊勢・佐藤弟、教経VS義経です。
菊王丸つえー。彼はカミナリを使う能力を持ってるっぽいのですが、

カミナリ VS 瞬発怪力+相手の能力封じ込め+治癒+(佐藤弟の力が何だったのかわからん…)

って、どう考えても弁慶たちのほうが強そうじゃないですか。なのに勝てない。
最終的に伝内が身を挺して「おれごとやれー!!」少年誌的捨て身攻撃をしてくれたことにより(ここもかなりコテコテでキン肉マンの友情パワーとかそのへんを髣髴させる)、辛うじて勝利しました。でも、菊王はちょっと「狼に育てられた少年」系というか、頭が子どものまま凶暴性だけ育っちゃったようなキャラで、教経を慕ってくっついてただけなので、ちょっと哀れですな。
■そして義経VS教経の最終戦。
でも、義経は相変わらず「戦いたくない…」の人なので、もともと主戦派&現在「エン」に乗っ取られてイケイケドンドンモードの教経の猛攻に防戦一方です。
そんなところに、もう完全にそのために出て来たとしかいえない、義経を慕う妖のアルビノ少女・陽和(ひより)
がひょこひょこ間に入ってきます(ほんとにひょこひょこ入って来たんだよ!)。
で、義経を挑発したい教経によってプスリとやられて絶命。ほんと刺されるためだけに出て来た。
ここから無垢な陽和の死に義経絶叫⇒封印解けて義経さんの鬼が目覚める⇒教経コテンパン の王道展開が始まるのです。
■エンVS鬼の最終決戦は、役者の殺陣ではなく、LEDダンスの演出で、両者が瞬間移動を繰り返しながら戦う様子を表現してました。この活用も巧いっすね。観客も最新の技術見れておトク感あるし、役者はすこし時間に余裕できるし、暗転した中でのダンスになるので、舞台装置も動かせるだろうし。
■で、最後。人外の力をフルスロットルで使っちゃった二人はライフストリーム(FF7)の底のよーな場所にいます。ようやく自分を取り戻した教経は、しかし最早自分には帰る場所がないと嘆きます。
それでも一緒に帰ろうと言ってくれる義経の優しさに感謝しつつ、義経だけを元の世界に行かせるのでした。教経が予知夢で見ていた「繋いだ手を放す」は、これだったのですね。
こうして義経はまた大切な人を失いながら、戦う運命を背負っていくのです。
■…とまぁいろいろ端折ったけどこんな話!

【ストーリーについて】
■上記のように相当コテコテです。ストーリーだけじゃなくてセリフもかなりテンプレ台詞満載。教経との
「お前のその優しさが…ボクは大嫌いだ」
「…なんだよ、それ(照れ&不貞腐れ)」(無言で杯を傾ける)

みたいな会話とか、乙女ゲーを夜中にひとりで進めてて、
なんかすごいスペック高い男子キャラと交わされる
「お前みたいなナマイキな女、今までいなかったぜ」
「…なによそれ…!(ぷんぷん)」

みたいな会話を見てるときくらいに、ふるえがとまりませんでした。
テンプレはすべてやりつくすくらいの勢いの消化率だったと思います。なんかもう、「なにあれー」と馬鹿にするとかそんなのムリ、突き抜けててむしろ神々しい。
■一方、前も書いたんですけど、やっぱりこの義経がどうも好きになれない。
みんな義経を「やさしい」って言うんだけど、まさに「行動や決意を伴わない優しさって無力だわ」って感じでして。教経との戦いも、戦わざるを得なくなったから戦っただけだし、和平って言っても、結局鎌倉に報告するわけでも頼朝とケンカしてでも和平維持を決意してるわけでもないし。
教経が暴走したから和平ブチ壊しになったわけですが、そうでなくても結局破綻してただろうな…。
このあと終章とかで義経がこの中途半端な優しさの清算をさせられる展開なら納得ですが、そういうわけではないんだろうな。「優しさ」観が、この物語の書き手であるガクトとは合わないな、と私は感じた。

【演出について】
■プロジェクションマッピングの使い方は、前回同様洗練されてます。
異能者の戦い、という、生身の人間がやるとショボくなりがちなところにうまくコレを活用して、カッコよく見せてる。
歴史ファンタジーなので、歴史的な出来事の説明も必要になりますが、そこをうまくプロジェクションマッピングで解説してました。地図出したり文字出したり1作目の映像出したり。
■私はそんなにあちこちのお芝居を見てるわけではないので(年間2本とかしか観ない)比較対象があるわけではないのですが、プロジェクションマッピングで場面転換をくっきり出すことで、このお芝居の特徴(私は弱点のように感じた)「場面転換がやたら多い」に対して、メリハリをつける効果はあったと思います。
ただ、ほんとに場面転換多かった。終盤直前までは、マンガで言うと見開きごとに場面変わってるくらいのテンポ。それで3時間だから、頭が疲れて通常よりも長く感じたってのはあったなぁ。

【アクション】
■舞台に2段階の坂道がつくられてて、それを利用したアクションが多彩で面白かったです。この坂道のために、キャストのほうはケガ人続出のようですが…。
・坂道上部から、仰向けに、手前側にどーんと倒れる(倒れてずるずるっと坂を落ちてくるわけです)
・すべり台のように使う
・坂を転がり落ちる
などなど。
ガクトはワイヤーを使っていわゆる「八艘跳び」をやってくれました。くるくるっと旋回しながらジャンプすると、敵が吹っ飛ばされるとか。
ワイヤーが頑丈すぎて丸見えだったのは残念といえば残念ですが、でもかなり動き回ってたので、強度的に仕方ないんだと思います。
■元宝塚男役の女優さんが演じる教経も、動きがきれいでした。
終盤の義経とのタイマン勝負も動きにキレがあって、スマートな戦い方。あと、エンに操られるときのマリオネット演技が流石のウマさでした。基礎力が違うんでしょうね。

【登場人物】
■私は平家好きなので、平家中心で書きます。
教経は白銀っぽい衣装で、クールな感じ。役者さんのスタイルが段違いによいので、「並んだ登場人物がことごとく公開処刑(友人談)」。
ただ、平家物語を読んでると、もっと体育会系なイメージを持つ人のほうが多いと思います。この教経は、結構正確はよく言えばツンデレ、悪く言えば若干ヒス気味。だから、この教経はかなり新鮮でした。
伝内に力を抑える手伝いをしてもらってて、普段から伝内の膝枕で寝てる…というシーンなど、伝内とやたらスキンシップしてたり、「オトコオンナ」「女のような顔」と言われてたりしたので、最初、「隠してるけど実は女性」設定なのかな?と思ったりもしましたが、特に何も言うことなく終わったところを見ると、「キレイな男性」だったみたい。
終盤までは伝内とかなりベタベタしてましたが、最終戦とエピローグの回想シーンで急速に義経との関係が密接になってました。ここはどっちかにそろえたほうがよかったような気もするが、しかし別にBLじゃないんだから、そこを掘り下げる必要はないか。
■ストーリー本編の中で義経と親交を深めてたのは、むしろ知盛でしたね。「兄弟」って呼び合ってたし。
わたくし、初めて川崎麻世氏をカッコイイと思いましたよ…。重みのある感じかつ誠実そうな人柄が出てて、この物語の知盛役としてピッタリだったのでは。直接戦闘ではいまいち弱いとこも含めて(笑)。
知盛と教経との関係は、ある意味、壇ノ浦での「知盛:もう無意味な戦いをするな  教経:では無意味でないように大将と戦ってくるわ」会話のような、「噛み合ってない」感を継承した描かれ方だといえるかも。
■伝内は非常においしい立場でした。教経の頭痛を止められるのは彼だけなので、それを使って彼が泣く泣く教経を倒すとこに役割を果たすのかな、と思ったりもしましたが、でもそこまでやると主役食っちゃうもんね。平家物語の世界では、田口親子はせっかく平家を裏切って源氏側についたのに、源氏側では裏切り者は信用できない的扱いを受け、結局早々に排除されてしまうわけです。そういう意味でも、裏切り者になることなくかっこよく退場してる今回の扱いは、おいしい役だったかも。
■菊王・銀狼は…。菊王は平家物語にも出てくる教経の側近、銀狼はオリキャラです。
この2人の「子どもの頭脳のまま成長し、舌足らずな口調で喋りケモノのように歩き、しかし戦闘力だけ研ぎ澄まされ凶暴」って設定が、私はコテコテすぎてもうおなかいっぱい…って気分だったのです。が、同行の友人が「佐藤兄弟とキャラかぶっちゃうから、平家側はこういうキャラにしたのかねぇ」って言ってました。
なるほど、納得!
しかし、陽和の「アルビノの透明感のあるビジュアル、言葉を話せずただぽかぽかと陽だまりのように微笑むだけ」みたいなキャラを見てると、キャラ立て目的だけでなく、やっぱガクトさんの趣味なんだろうなとは思いますが…。
で、この陽和、わざわざオーディションまでやって、ニュースサイトとかでは「ヒロイン」とか言われてましたが、役割はヒロインではなくどちらかと言うと「マスコット」ですね。
ヒロインは…カドが立たないように明確なヒロインはいなくて、今回でいうと教経がそれに近かったのかな。
■義経の部下達で特筆すべきは弁慶でしょうか。声が甲高いのも、お笑いキャラなのも、ちっさい弁慶(ほかが高身長すぎるのかもしれんが)なのも愛嬌があってよいのですが、
弱いのだけはいただけない。
瞬間的に怪力になる設定だったはずなのに、なぜ菊王丸に全然勝てんのんじゃー!!
中盤で、己の中の力に苦しむ義経に対して、「義経が鬼になったときは、わしが殺してやる」と伝えてましたが、無理だと思うよ弁慶…
■あとは鎌倉の頼朝・政子・景時。頼朝と景時がこの劇の「笑い」の大部分を担ってくれてました。
源氏側の笑えるシーンは観客としての義務感(笑)で笑わざるを得ない場合もあったのですが、こっちは素直に笑えるときが多かったな。
頼朝は序盤では義経を信頼している雰囲気でしたが、終盤で「もう誰も信用できない…」となってます。こりゃ、政子がラスボスですかね。景時は…義経主役のドラマだと、梶原景時ってかなりの確率でこういう「コスい悪役」を担わされるのですが、今回も安定のコスいキャラでした。ちなみに景時役の役者さんは、大河「清盛」で大庭景親役をされてたようです。へー。石橋山の合戦で頼朝を見逃してその後頼朝に重用されたのが梶原景時、最後まで頼朝に抵抗して負けて殺されたのが大庭景親ですから、なんだか対称的な役を両方されてるんですねぇ。

■今回のお話で、義経が平家を倒し(本人的には不本意だったわけですが)、しかし頼朝との亀裂が入ったところまで進みました。これは、また2年後くらいに平泉篇をするのかなーって気がします。
今度は誰が宝塚女優枠になるんですかね。藤原泰衡かしら?
「義経:お前に殺されるなら本望だ、さあもう終わりにしてくれ 泰衡:義経、すまない…!」みたいな。
私は教経ではないので、予知夢は見られませんが…。
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by mmkoron | 2014-08-17 14:11 | その他映像・劇 等


能・狂言・平曲による平家物語の世界 語りの伝承~巻十七

2014年8月2日/於横浜能楽堂/13:00開演 15:30終了

【演目】
狂言「吹取」(野村萬斎 深田博治 飯田豪)
平曲「千手」(須田誠舟)
能「千手」 (桜間右陣 ほか)

■前に「維盛」を見に行ったのっていつだっけ、とこのブログで確認したところ、もう5年も前だったんですね。いやーおどろいた! そんなわけで、久々に見てきました。
毎年、このくらいの時期に、平家物語を題材に平曲と能と狂言を上演している会です。
前と変わらず、なにかの教室の仲間なんですかね、ほとんどのお客さんは知り合い同士って感じです。私はもちろん完全アウェーなのですが。
■変わってたのは上演順ですかね。確か前に見たときは 平曲⇒狂言⇒能 の順番だったかと思うのですが、今回は 狂言⇒平曲⇒能 でした。今回は、平曲と能の内容(平家物語中の、扱っている箇所)がほぼ同一だったので、連続にしたのかなと思います。

■まずは狂言。今回わたくし運がよかったのか悪かったのか、1列目だったので、萬斎さんにあと3M!くらいの距離で観ることができました。「花の乱」以来の萬斎FANとしてはラッキー。
■ここであらすじのご説明を。
長年独身でそろそろ身を固めたい武士?の男が、清水の観音様のところでご縁がありますようにと祈願してたところ、「名月の夜に五条の橋の上で笛を吹きなさい、そこに現れた女性があなたの運命の女性です」ってなお告げをうけました。しかし彼は笛の心得がないので、知り合い某さんに依頼して自分の代わりに吹いてもらいます。この日、月見の宴にお呼ばれしていたその知り合い某さんは、仕方ないと来てくれたのですが、笛を吹くのを忘れて月に見入ってウットリしちゃったりで、男をやきもきさせます。
ドタバタしつつも、なんとか笛を吹いてもらったら、お告げどおりに被衣姿の女性が現れました。
んが、彼女は笛を吹いた某さんのほうにふらふらと、いや、力強く(笑)突進してしまう。何度自分のほうに連れてこようとしても彼女が某さんのほうに行っちゃうので、男は観音様の決めた縁があるのは自分のほうだから、と必死に女説得する。そんなとき女の被衣がはらりと落ちて…。
彼女の顔を見て絶句する男2人。そこから男2人の醜い押し付け合いが始まるのですが、男の説得にほだされた女のほうは、独身男を追っかけて…。
■とまぁ、こんな感じです。萬斎さんの笛の演奏を聴けたのはなかなか貴重だったかも。吹く真似だけするのかなと思いきや、ちゃんと演奏してたので「おおー」と思いました。
■助っ人の某さんが月見に熱中しちゃって、独身男がちゃんと笛吹いてよ!とツッコむシーンなど、ボケとツッコミの内容がわかりやすくて面白かったです。女の顔(舞台では、オカメの面をつけてます)を見て男共が絶句するシーンではお客さん声をあげて大ウケでした。
で、これのどこらへんが平家物語にちなんでるのかっていうと、多分「五条の橋で笛を吹く」つながりかと思われます。ストーリー上で牛若丸を引き合いに出すシーンがあるわけではありませんが。

■次は平曲。前の「維盛入水」のときも思ったけど、いやー相変わらずスローペースで長い!!
すみません、何度か船出しかけました。朗読的なところと、謡うようなパートがあるわけですが、その抑揚が、こう、眠りにいざなうんですよねー^^;
内容は、巻十「千手前」のほぼそのまんまです。覚一本のテキストよりも、修飾が増えてる気がしました。

■最後は能「千手」。これはオリジナル新作ではなく、元々ある演目のようです。
狩野介宗茂に預けられている重衡のもとを千手が訪ね、彼が頼朝に要望していた出家の願いが承認されなかったことを伝えます。がっかりする重衡を慰めようと、狩野は酒宴を催し、千手は朗詠する。重衡は千手の心のこもった慰めに癒されて、琵琶を合わせてくれる。しかし、その後重衡は南都に送られ、千手は泣く泣く彼を見送った……平家物語に描かれる内容そのまんまですね。
重衡はほぼ座ったまま、狩野もあんまし動きがなく、千手が舞うくらいがわずかな動きでした。このお話は場面もずっと同じ室内ですから、能に慣れてない私には、淡白すぎてあんまし面白みはなかったかな。なるほど、能に「●●さんの霊が××の姿で過去の自分を語りにきた」って設定が多いのは、こういう理由なのかと納得。
確かに、そのまんま平家物語をやっても、内容も知ってるからかなりだるい。すこし意外性やストーリーの面白さを持たせようと思うと、夢幻能になるわけか。
■あと、今回は重衡役の方が非常に若く見えました。中学3年とか高1くらい…かな?
一方、千手の演者はベテランだったので、その差が、ストーリーに合ってなかったんじゃないかなとか素人目に思いました。このお話としては、やっぱり重衡のほうが包容力があって上手でないと「ええ話や~」にならないんですよね。千手の心を込めた慰めに、都人の貴人(鎌倉にとっては)・重衡が心を開いて受け容れるという。
でも、今回重衡役が若かったので、千手が坊やの世話を焼く百戦錬磨の銀座ママっぽく見えるというか。イマイチ2人の心情が交わってる感じじゃなかったんですよね。
こういうのって、時間が熟成させていくものなんだろうな。スキルでどうにかなるもんでもない気がする。
おそらく期待の若手だからこそいい役に抜擢してるんだと思うので、平家物語のなかにちょうどいい演目があるといいですねぇ。
■あ、役者さんのことばかり書いてしまいましたが、演奏のほうも趣深くてよかったです。特に今回気になったのが笛! その前の狂言のほうで萬斎さんの笛を聴いてるわけですが、そちらでは吹き始めのときに演技なのか何なのか、すぅっと息を吸うのがかすかに聞こえるんですよね。でも、能のバックで演奏されている方のほうはそれが聞こえない。でも、座ったままの姿勢であの力強い音が出てくるわけで、そこがすごいと思いました。そういや維盛は笛が得意でしたね。肺活量は結構あったのかしら、とかいろいろ妄想がよぎったのでした。

■まったくの余談なのですが、今回の帰りにふと、そういえば私の母校(高校)に能楽研究部があって、仲良かった友だちが入ってたことを思い出しました。1こ上にずば抜けてうまい先輩がいて、卒業式か何かに高砂を謡ってくれたっけなぁと思い出して、名前を検索してみたら、なんとプロの能楽師になっておられた。すごい…。やっぱり高校生の頃から「すごい」人って、それでやっていけるもんなんだなと妙に納得しました。
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by mmkoron | 2014-08-04 01:34 | その他映像・劇 等


MOON SAGA 義経秘伝

2012年上演/原作・脚本・演出・主演(義経役):GACKT
巴御前:大和悠河 義仲:前川泰之 伊勢三郎:高橋努 弁慶:古本新乃輔  
陰:早乙女太一 源頼朝:大橋吾郎 北条政子:鈴花奈々

※私が行ったのは、名古屋講演in御園座。

※前提※
私は高校時代あまり熱心ではない演劇部員で、当時小劇場ブームだったので、第三舞台とか、離風霊船とかの劇はよく観にいってました。でも熱心じゃなかったので、内容について熱く語ったりはしてなかった。


■今回は、学生時代からの親友と2人で行ってきました。チケットは2階席2列目で13000円ナリ!
■事前に私は公式サイトを観にいって、いいようのない不安にかられました。
公式サイトではガクトさんのインタビュー映像を見ることができるのですが、そこで彼はこの物語は2002年ごろからあたためていた企画なんだと語っていました。構想十年。構想十年といえば男坂
男坂とは、漫画家・車田正美先生が十年構想をあたためて満を持して連載開始し、コミックス3巻で打ち切りになった「世界各地の番長たちが覇権をかけて抗争する」漫画です。
「構想十年」というのは、熟成されている可能性とともに、妄想が膨らみすぎてヤバいことになってる危険性もはらみます。どきどき。
■さらに、インタビューとかストーリー紹介では、なんか世界観がすごいことになっていました。

・この時代、異能者たちがお互いの力を駆使してたたかっていた。
・彼らは、人に非ざる力を用いるため、「者の不(モノノフ)」と呼ばれていた。
・モノノフと、モノノケ、そして人間たちが存在する…それが平安末期である。


コンセプトアート的なものを、CLAMPに発注してる時点で「ちょこっとアレンジした歴史モノ」くらいではないことは予想していましたが、予想以上にファンタジー設定です。
ちなみに、主要登場人物はほぼこの「モノノフ」でして、能力は人によって様々です。
  弁慶…怪力  巴…相手の能力の無効化  頼朝…相手の意思を操る
  義仲…相手の一手先を読みとる 伊勢三郎…治癒
この力については、あまり生かされなかった人も多くて、ちょっと勿体無かったかな。
■で、ストーリーなのですが、時期的には義仲が都に攻め込み、そして今度は頼朝軍に討たれるという、あのあたりです。

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義仲は、平家との戦闘に次ぐ戦闘の中ですっかり心が荒んでたらしいのですが、義経主従との出会いで、久々に本来の闊達さを取り戻します。義仲の部下であると同時に恋人である巴は、そんな義仲の姿にほっとしています。
しかし、頼朝にとっては分家(と表現されてました。わかりやすく単純化してるんだと思うけど、なんかショボくなっちゃった感はある)の義仲は手駒にすぎません。少ない兵糧で戦わせ、後は使い捨て。
そのとき、義仲は絶望し、「源の名を捨て、木曾義仲となる!」と宣言します。
一方、義経は戦いを避けまくり、軟弱モノ呼ばわりされています。彼には秘められた力があるのですが、義経は、自分のその力が解き放たれることを恐れています。
しかし、義仲の暴走が始まったとき、それを止められるのはもやは義経しかなく…
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■とまぁ、こんな感じのお話です。
正直に書きます。
義経が自分の腕とか押さえて「オレの力が解き放たれる前に…ううっ、…逃げろーーー!!!」とかやり始めたときは、「にへ~」と笑みがこぼれるのを抑えることができませんでした。ガクトさん、少年の心すぎですこれは。
■しかし、私はもっと「ガクトさんかっこいい」という独壇場のストーリーかと思ってたのですが、そこは抑え気味でした。
義経は、「本当はすごい力を持っているのに、隠している天才」というよりも、「すごい力に乗っ取られそうになっている、普通の人」というキャラ。そういう意味では「オレ様万能」な中二病設定ではないんですよね。
だから、最後まで観終わると、義経よりも義仲とか巴のほうが印象に残ってるんですよ。
ガクトは自分が義経をやりたくて書いたわけじゃなくて、ほんとにこのストーリーがやりたくてやりたくて、やると決まったら適材適所で配役していった、結果、「演者としてのガクト大活躍じゃないけど、ガクト色の濃いお芝居になった」。ってことなのかなと思います。
巴とかカッコよかったですよ。義仲との関係もサラっとしてたし、「義経の憧れの人」って設定だけど、そこもさばさばしてたし。何しろ最期が結構すごかった。女だからといって容赦ねえな、っていう。
むしろ義仲のほうがヒロインっぽく死んでた(笑)。
全体的に役者さんたちの殺陣にもっとキレが出たら、面白さが倍増するんじゃないかな。今はちょいと大味な殺陣です。

■役者さんはみんな達者で、ストーリーはコテコテなんだけど、上手な人がそれを堂々と演じてるので、安っぽい感じはありませんでした。
最初、早乙女太一氏(義経と腐れ縁のモノノケ役)が何しゃべってるか聞き取りにくかったんだけど、途中から聴きやすくなったし。
そういえば、大河「義経」の役者さんが2人も出てるんですね。頼朝役の大橋さんは、「義経」で時忠役。弁慶役の古本さんは、「義経」では今井兼平役でした。
■あと、舞台装置の使い方は「へー。こういうのもアリなんだ!」って、私にとっては新鮮でした。大道具的な装置は大きな階段の組み合わせのみで、背景としてLED映像を投影することで、場面を表現する。
(かなりゲームっぽい、背景でしたね。私はPS3の「GENJI」を連想した。あんな感じ。)
あと、異能者たちが術を繰り出すんだけど、それも全部LEDで映像を出す。役者さんは、その映像とタイミングを合わせて動く。
例えば役者が「かめはめ…波!」って言ったら、あの手を突き出すポーズと同時に、背後のスクリーンでバッと光が放たれる…って感じです。今はこういうこともできるんですねー。
タイミングズレたらめちゃめちゃになりそうだけど、私が見た公演ではぴったり合ってました。これは面白かった。
■ゲームっぽいといえば、衣装もそんな感じでしたね。和モノのファンタジーっぽい。さすがガクトの舞台って感じで、巴や義仲、義経たちはよく動くんだけど、ものすごく凝った衣装なのにアクションできてる。相当作りこまれた衣装なんだろうなー。
私が好きだったのは、北条政子の衣装です。「トゥーランドット」っぽくて、豪華で威圧感あってよかった。
動きもきれいですよ。衣装の特徴を生かしてるって思いました。文官たちが着ている直衣の袖のひるがえりとかキレイだった。


■演出面が面白かった一方、ストーリーには、私はやや難を感じちゃいました。
二次創作でしか許されないストーリーを、一次創作でやっちゃったというか
「作り手が描きたいシーンだけを描いた」ためなのか、お話のメインだったはずの「仲間との絆」への引き込みが浅かった印象です。
義仲たちは「義経と出会えて、荒んでた心が立ち直った」って言ってるけど、セリフで言ってるだけで、お話の中に「義仲と巴が、義経主従と触れ合うことで、本来の心をゆさぶられている」的な場面はないんです。
冗談言いあってじゃれてる場面はあるんだけど、その「一緒にバカやってたのしい」的なギャグシーンを延々何度も出すだけで、命を預けあうほどの「絆」を描こうってのは、ちょっと無理があるなぁと。
モノノケの「陰」も「ほっとけない」って言って、なんだかんだで義経を助けてくれるんだけど、でも、その脈絡が省略されすぎてるので、観てるほうは「よくある、ツンデレの『ほっとけない』関係なんだよなこれ」と、補完して解釈することになる。
あと、義経は基本戦いを避けてるんだけど、ほんとに回避してるだけで、「自分がどれだけ傷ついても、違う解決の道を探す」とか別ベクトルの行動力があるわけでもないので、「この人、真の力に乗っ取られないと、スペック低すぎて普通の人以下じゃないか? ガクトだから見た目はカッコイイけど…」って見えちゃう。
■先に世界観とキャラと描きたいシーンありきで、その結果表せそうなお話を描く…みたいな順序で考えられているように私には見えて、そこが私にはマイナス印象でした。
「みんなの共通認識・お約束を、意外性のある演出で見せる」劇だと思えば、これもアリなんだけど、インタビューで描きたいと語っていることに対しては、目的と手法が合ってないかなーと。

■と、マイナス意見も書きましたが、上映時間の2時間の間は、「どうなって終わるのかな」と追いかけながら楽しめました。
最後に「義仲編」って出てきたときは、「義仲編!? じゃあまだ続くってことかよ!!」って驚いたけど!
きっとファンは続くことがめっちゃ嬉しいんだろうなぁ。そう思うと、ファンサービスはものすごく細やかというか、期待を裏切らない内容だったんだと思う。
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by mmkoron | 2012-08-06 22:45 | その他映像・劇 等


DVD 原典平家物語「能登殿最期」「重衡被斬」

DVD/ハゴロモ 発刊/全巻(13巻)一括購入の場合:262500円 1巻購入:21000円

「能登殿最期」 税込4000円/出演:野村萬斎
「重衡被斬」税込5000円/出演:片岡愛之助・若村麻由美


■流石に全巻買うのは無理無理ーと思い、DVD1本あたりの内容を確認して、これは買いかなと思ったところをピンポイントで購入してみました。野村萬斎出演の「能登殿最期」と、わたくしが大好きな重衡が出ている巻。どちらも、ドラマというか寸劇っぽいパートがあることがわかったので、ただの朗読よりそっちがいいなと選びました。
■さて、このDVDですが、1章段ごとに1枚のDVDになっています。だいたい1本全部観て30分くらい。で、その30分の中身は、

1)平家物語巻1の冒頭「祇園精舎」部分の朗読と、イントロ(これはどの章段も共通)
2)出演者による、演出も加えられた朗読パート
3)DVDシリーズの紹介映像
4)画面に原文が表示され、それに沿って朗読がされるというシンプルな映像

の構成です。要するに、朗読DVDで、ただの朗読じゃ単調になって映像にする意味が無いから、いろいろと章段ごとに演出をかませているのです。
2)の「演出」には、
 ・出演者が登場人物の扮装で朗読にあわせて演技する、ちょっとしたドラマを挿入する
 ・平家琵琶との組み合わせ
 ・クラシックとの組み合わせ
 ・群読
 ・声優+効果音でアフレコ風
など、かなり意識していろいろ取り入れられてます。章段ごとに演出がいろいろ違って面白い。
で、出演者も、「実力派」といわれそうな面子で、かなりバラエティーに富んだセレクトです。私が購入した2枚は古典芸能の人ですが、ほかにも、高校の演劇部が群読してたり、劇団だったり、有名声優さんだったり。
2)が15分~20分くらいかな。4)は学校の授業とかで使うことを意識してるのかもしれません。
■では、私が観た2本の、2)部分の感想です。

【能登殿最期】
■萬斎氏(和装)が舞台のようなところで朗読するのが基本で、そこに、氏が教経の扮装をして演技をするパートが挿入されているという形です。
この演技パートも、朗読に合わせたものなので、別のセリフを足したりはしていません。セリフなしで演技してるような形ですね。
■「能登殿最期」全体を朗読してるので、最初のほうの、大納言典侍が神鏡を抱えて入水しようとしたら、衣を矢で舟板に縫い付けられて、身動きが取れなくて…のシーンも朗読されてます。
とはいえ、メインはやはり能登殿の活躍部分です。シンプルな舞台装置で演技してるんですけど、流石に迫力あります。最期の、3人を道連れに入水するところは、3人の役者はおらずパントマイムなのですが、それでも凄みがありました。
ただ、私は萬斎氏には「子午線の祀り」の知盛のイメージが強かったので、教経だとちょっと不思議な気分ではありましたが…。

■映像の前後に、平家物語絵巻を挿入しながらの簡単なあらすじ解説が入ってます。

【重衡被斬】
■こちらで朗読しているのは片岡愛之助氏。で、重衡の扮装をしたドラマが、能登殿最期のときと同じように挿入されるのですが、こちらには相手役として、若村真由美の大納言典侍がいます。
しかし、大納言典侍にはセリフはなく、愛の助氏の朗読が重なっている中で演技する形です。でも、愛の助氏はさすが女形もやってた人だから、重衡が語ってる部分・地の部分とは違う声です。すげー。
■大河「義経」の大納言典侍は、愛嬌というかちょいバカっぽさがある感じでしたが、こっちの大納言典侍は、もうひたすらしとやかな美女って感じです。私のイメージはどちらかというと前者なんだけど。
重衡が去っていって、残された彼女が号泣するシーンでは、泣き声は愛之助氏の声なんだけど、違和感はなかった。うーん、朗読の世界に引き込まれたのかしら。
■妻との別れと、斬首前に阿弥陀様に祈るあたりのシーンとが、ドラマになってます。
ラストシーンは、尼姿になった彼女が向こうのほうから歩いてくる様子でした。

■非常に面白いと思ったのですが、しかし、朗読とかを生業にしていきたいという人以外ですと、何度も繰り返し見たい!ってわけでもなさそう。
内容的に、図書館とかでも見れるんじゃないかな。そこで視聴してみて、お気に入りだけバラ買いでもいいかもしれませんよ。ちなみに岡山県立図書館にはまだ置かれてないみたい。(人形劇のDVDはあるんだよね)
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by mmkoron | 2012-05-19 07:34 | その他映像・劇 等


人形師 辻村寿三郎×平清盛「平家滅亡への軌跡」

期間:2012年4月23日~5月20日(第1期「清盛生誕の謎」は3月16日~4月22日)/於:目黒雅叙園

■目黒雅叙園といえば…私にとっては「東京の豪華でお上品な結婚式のメッカのひとつ」というイメージです。もういっこは椿山荘。そんな場所に、5月4日のイベント翌日でいい感じにヨレっとしているわたくしが行って参りました。
■この経緯といいますのがですね。
4日のイベントで私の本を見てくださったかたと、明日の夕方岡山に帰るんです~とお話してたら「そうだ、これあげます!」と。なんと招待券をいただいてしまったのですよ!!
招待券…ええもうありていにもうしますとタダ券ですよタダ券! しかも元の入場料が1200円とかなの!
ひーうれしいーこれはもう行かねばなるまいー!!…と、ようやく東京がお天気になった5日、飛行機に乗る前にいそいそと行って参りました。券をくださった方のお名前をちゃんとうかがってなくて、ほんとすみません。この場でどんだけ私が満喫したかをご報告することを御礼にかえたいと思います。

■ホテルを出て向かう前に、「がじょえん…って、あのセレブな建物!! やばい私めっちゃ庶民服!!」と焦り、バッグの中からなるべく上品そうなお洋服を選んで、おそるおそる行ったところ、なんかランチとかもやってるみたいで、普通にポロシャツのお父さんとかいて安心しました。やれやれ。
もらった券を受付の人に見せると、エレベーターで3Fへと案内されます。
エレベーター、黒い。そして螺鈿細工みたくなってる。ぎょえーセレブよーセレブよー。
■なんとなく頼まれてもいないのに新入社員みたいに操作盤の前に立つ小心者庶民のわたくし。
あとから乗ってくる和服とかのおばちゃんたちは、全員降りるまで「開」ボタンを押してる私を見ることもなく、当然のように悠然と下りていきました。いやーどうでもいいんだけどさー、あのエレベーターで押してる人にありがとうーって言うかどうかで社会人経験あるかどうか分かるよね。ちっ。
と、ここでは愚痴を書いても、その場ではじっと「開」ボタンを押してた負け犬です。気後れした(笑)。

■で、3Fでおりたら、「はきものをおぬぎください」の表示。えっ、お人形の展覧会で靴ぬぐの?
なんと、今回の展覧会は、目黒雅叙園ご自慢の木造豪華建築「百段階段」&付属のお部屋たちで開催されてるのです。ここはもともとは高級料亭だったお屋敷でして、畳のお部屋なので靴を脱がなきゃいけないんですね。
■後述するように人形もすごいんですけど、この場所がまたいいですわ。
日本の美術館や博物館って、自分達の文化を象徴する作品群を無機質なハコに入れてるのが無粋だ…って言われたりするじゃないですか。
でも、今回の展示は、建築の時代は勿論違うんですけど、「和」の空間の中に人形がいて、それが面白い。
普通の美術館に置けば、作品だけがもっと浮かび上がるのでしょうが、和室の中に置かれていることで、また独特の世界になりますね。
特に、ここの建物の天井にもふすまにも、季節の風物だけじゃなくて人物画の装飾も多かったから、なんだか曼荼羅的。
悪くはない意味で、作品だけに集中しきれない。
■建物のつくりも面白いです。
幅1.2Mとかそのくらいかな? 幅はさほど広くないけどタテにながーく99段の階段が伸びていて、途中途中で右側にお部屋があるんです。廊下のガラス戸はガラスがゆらゆらして見える感じだったので、おそらく手作りガラスとかですね。ひぃーセレブよーセレブよー。
で、私たちは下のお部屋から順番に階段を登りながら、平家の物語をたどる。
私の前にいたご夫婦が「先に上りきって、降りながら見ようか」って相談してそうしてたんだけど、この展示の演出としては下から順番にたどっていくのが、お人形でつくられた「物語」の辿り方としては正しいと思う。

■さて、お人形たちです。
単に「清盛の人形」「時子の人形」ってことではなく、平家物語のどこかの場面(平家物語から派生して、寿三郎氏がつくったストーリーである場合も)を切り取って、その場面の人物を描いています。
面白いところでは、保元の乱に負けた連中の晒し首場面とかあった。ひーこわいー。
3段の木棚に青白い首が並んでるの。
頼長の頭に、まるでアホ毛のよーに矢が刺さってたのが衝撃。えっ、頭なの!? 首じゃなくて!? (まぁ首でも矢ガモみたいでしんどいが)
それを見ている信頼(信西じゃなく)、って構図だったんだけど、信頼が結構イケメンだった。
■あと、寿三郎先生が平家物語に興味を持ったきっかけが崇徳院(「瀬をはやみ…の和歌を詠んだあのかたが、しかも帝であったかたが、そんな怨霊に!?」という衝撃だったんだって)だったらしくて、悲しげな表情で流罪になる崇徳院、怨霊化してなんだか一人称「ワガハイ」語尾「ざます」の悪の伯爵みたいになった崇徳院(いや、ツリ目で黒と赤の衣装で、指先がマニキュア塗ったみたいに赤かったもんで…)とかありました。
ちなみに、指先が赤かったのは、都からの酷い仕打ちを恨みに怨み抜いて、自分の指を噛み切って呪詛を遺し…ってな伝説があるからです。お洒落ではありません。
■3部屋くらいが平家物語の部屋で、1部屋に4場面くらいですから、そんなにぎっしりエピソードが描かれてるわけじゃありません。でも、好きじゃなかったら敢えて描かないような場面が多くて面白い。
前述の晒し首もですが、

・女装して逃亡する以仁王
(表情がどんなか見たくて、覗き込んじゃった。わりと普通の表情でした。もっと苦渋の表情かと思った。)
・鹿ケ谷のバカ宴会
(デカい杯を頭にかぶってたり、明らかにおっさんたち無礼講モード。ちゃんと瓶子も転がってた。芸が細かい!)
・熱病で「あーちーちーあーちー♪もえてるんだろーかー♪」状態の清盛
(でも、前をギッと見つめてて、決して戯画的ではなかったです。寿三郎先生の清盛への解釈がわかる。)

とかあと面白いところでは、時子の妹達のお人形もありました。
建春門院はともかく、清子(宗盛の奥さんで、清宗のお母さん)とか冷泉局(建春門院の女房になった人)とかもいたのが興味深い。
一方、清盛の息子達は見なかったなぁ。維盛の青海波とか見たいなぁ。作ってくれないかな。
■終盤には、安徳帝の入水シーンもありました。
ただ、寿三郎先生の「平家物語」では、時子が抱いたのは安徳帝ではないというストーリーなんだそうです。
入水シーンは、

二位尼(時子)が安徳を抱いて毅然と立っていて、向かって右に建礼門院徳子、左に…あれ、誰って言ってたっけ。多分按察局だと思うんだけど、が縋り付くように座り込んでいる。徳子はただただ泣き濡れる風情、按察局は二位尼に抱かれる帝を見上げている…

って構図なんですけど、寿三郎氏のストーリーでは、この抱かれている子どもは按察局の子(身代わり)なんだって。そのつもりでこの場面を描いたんだそうです。
そのストーリーに至った思いを、「実のおばあちゃんが、実の孫を、抱いて入水なんかするだろうか? いや、長く健康に…って願うのがおばあちゃんじゃないだろうか」という違和感が起点だと、解説映像で語っておられました。
ここ、私は意見が違うんです。
前にうちのおかんに「お母さんだったら、どう?」って訊いたとき、母(とはいえ私も弟も未婚なので彼女は「祖母」ではないのだが)は「まみころにそれをさせたくない、とは思うだろう」って答えたんですよね。
私は「そういう考え方もあるのかー」とすごく腑に落ちたので、寿三郎先生の意見とは違うんです。
でも、こういう、自然な気持ちの発露を根拠にして、出来事のスキマを探るというやり方にはすごく共感する。
■ところで、このお人形。
二位尼はキリっと立ってるのですが、実は目じりにちょこっとラメ?が置いてあって、角度によってキラッとするんですよ。いまは迷いなく立ち上がった時子だけど、涙が一筋流れてるんですね。この演出にグッときたわー。
ほんとに砂粒みたいなちっちゃなラメなんですけど、いやー、細かい!すごい!!

■そのほかには、氏の代表作ともいえる、人形劇八犬伝のお人形(平家物語のと比べると、表情がかなりデフォルメされてますね。写楽とかの浮世絵の表情っぽい。)や、西鶴五人女や南北五人女、シーボルトいねや蝶々夫人のお人形たちもいました。あと、珍しいところで江戸川乱歩「押絵と旅する男」とか。
江戸題材の作品については、不勉強で名前をみてもピンと来ないお人形も多かったんだけど、南北五人女の「桜姫東文章」桜姫はわかった!(なぜって木原敏江先生が漫画にしてたから…)
放浪してるときの姿だったのですが、お姫様のわりにコケティッシュで、「あーわかる」って感じ。
■平家物語題材のお人形というと、ほかには川本喜八郎氏や、ホリヒロシ氏も有名ですが、お人形って「点」のはずなのに、それを連ねるて物語にしているというストーリー性において寿三郎氏はすごい!って思いました。

重ね重ね、チケットくださったかた、ほんとにありがとうございましたー!!
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by mmkoron | 2012-05-05 21:50 | その他映像・劇 等


壇の浦夜枕合戦記

1977年/日活(年齢制限18歳)/神代辰巳監督
建礼門院:渡辺とく子  義経:風間杜夫 伊勢三郎:丹古母鬼馬二 
清盛:小松方正 教経:小見山玉樹 維盛:村国守平 ほか


■夏休みですねー。というわけで夏休み映画特集!……ってわけでもないのですが。
なにせ「日活ロマンポルノ」ですから、しばらく、ここに紹介すべきかどうかで迷いましたが、これ、平家好きとしては結構面白い内容なんですよ。で、感想載せることにしました。
年齢制限のある映画なので、ここをご覧になっている18歳以下のかたは、大人になってから探してくださいね。
■「壇の浦夜枕合戦記」といえば、塙保己一とか頼山陽とかが作者だといわれてる『壇ノ浦夜合戦』の映画化です。作者についてはかなり眉唾だと思いますが…。
カンタンに言うと、壇ノ浦で捕虜にした徳子を、義経が口説き落とすという、なんというかご令嬢差モノと未亡人モノのシチュエーションを混ぜたような話なんですけど。
「団地妻が平徳子になっただけでしょ」くらいにたかをくくって観てみたら、この映画、かなりお金もかけてるし、気合いも入ってます。
■冒頭が、どっかのお坊さんが補陀落渡海に旅立つシーンから始まるんですよ。
これにはびっくりした。しかも、物語の途中でもこのお坊さんの様子(一点を睨んで念仏に没頭)がなんども挿入されるんですよね。何の意味があるんだと思ったら、ラストの徳子のセリフとつながってました。
「私は何も知りませんでした、これが生きるということなのですね」
このセリフとの対比なんですね。
しかしこんな状況で生命賛歌うたわれても、面食らっちゃうけど(^^;
■渡海シーンの次が、清盛が仏御前を気に入って手篭めにして、ショックで祇王が屋敷を出奔するシーン。で、清盛熱病死シーンがあって(ちゃんと水が蒸気になってる!)、壇ノ浦の場面なのです。
教経が敵の兵ふたりを道連れに水に沈む場面も、時子や女官たちの入水も描かれます。
これが、どっかの漁船に乗ってプールに飛び込んでるようなのじゃなくて、結構迫力あるんですよ。
女官たちが悲鳴交じりの南無阿弥陀仏の大合唱のなか、次々に海へ飛び込んでいくシーンは、結構ホラー。ほんと気合いはいってるわぁ。バカにしててすまんかったです。
今のTVドラマよりもよほどお金かけてるかもしれん。
■で、結局徳子はとっつかまって、ほかの女官たちと一緒に義経の陣へ。
「高貴な一部の女性たちは都に送るが、残りはここにおいていく。」と過酷な状況。源氏側の武士の妾なりになる道を選ぶか、人買いに売られるか選べ、って展開です。
ちなみに、女性たちはみな、お化粧で眉つぶして、平安さながらに眉をおでこに描いてます。そのへんも独特の世界観づくりに貢献してますね。
現代モノみたいに普通にロマンポルノしてるシーンもあれば、妻になると約束して油断させて(なのか恐怖のあまりなのか)相手の男の舌を噛み切るツワモノ女官もいたりして。
その女官は、浜辺に連れて行かれて耳を削ぎ落とされてましたよ。こえー。あと、自害しようとした女官は「もはやお前にそんな権利はない」という理由で阻止されてたし、結構そのへんはシビアでグロい。
■で、徳子さまと風間義経ですが。
風間義経は、完全に喜劇演技です。声裏返ってるし!
私の世代にとって風間杜夫といえば「教官@スチュワーデス物語」なので、二枚目の印象なんだけど、この義経はかなりダメ男です。女にだらしないし女官売り飛ばしたりしてて、ほんと外道。
しかし、出家して出奔した維盛の命と引き換えだと言外に脅された徳子様は、維盛が生き延びて平家再興の希望が残る道を選んだのでした。
でも、その途中で維盛の入水シーン(ちゃんと部下2人+滝口入道と一緒でしたよ。そのへんもすごい!)。徳子様の決意も空振り…。本人は最後までそのこと知らなさそうなので、よかったけど。
ま、それで決意したあとはお決まりの展開ですので、平家ファンとして興味深いのは、そこまでのシーンかな。
しかし、この義経は「まぁ、このあと悲劇に落ちても当然だな」って義経です(^^;)
微妙に変人っぽいカンジをうまく出していると考えると、風間杜夫が巧いってことなんだろうなぁ。いま、「ゲゲゲの女房」のお舅さん役を毎朝観てるから、なんだか複雑…。
■何はともあれ、バカバカしさ8に対して加えられた教養2が、不思議な世界観をつくってる作品でした。何を考えてこの映画をつくろうと思ったんだろう。それを知りたい…。
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by mmkoron | 2010-08-15 00:43 | その他映像・劇 等


能・狂言・平曲による平家物語の世界 語りの伝承~巻十三

2009年8月15日/於横浜能楽堂/14:00開演 16:30終了

【演目】
平曲「維盛入水」(須田誠舟)
狂言「二千石」(野村萬斎 高野和憲)
能「舟維盛(※新作能)」 (桜間右陣 ほか)


■毎年この時期にこの場所で公演されているようです。平曲&(間に狂言&)能で平家モノフルコース。
一度行ってみたいな~と思ってたら、ちょうど「ぴあ」サイトを閲覧してるときに見つけたので、予約しました。初日とかではなかったのですが、正面1列。野村萬斎との距離3Mってカンジで、きゃっほー!でした。
■お客さんは私の親世代中心。みんな挨拶しあってる。どうやらお客さんの半分以上は「お教室」仲間とからしい。私の親世代の集まりだといつも目にする光景なのですが、「こういう会場で通路をあけずにたむろする」。この能楽堂でもそうなっちゃってて、あちこちで渋滞勃発。お客さんの平均世代が上ですとマナーが良いので、この渋滞さえなければいいんだけどなぁ。しかし開演後の静かさはさすが。
以下感想です。古典芸能にはまったくの素人としての感想としてご覧ください。

【平曲 維盛入水】
■正統派なんだと思います。
■事前にテキストが配られてて、みんなそれを見ながら聴いてましたが、節をつけて語るわけなので、ものすごーく進みはゆっくりなんですよ。だから、テキスト見ないで聴いてたほうがいいと思いました。見ながらだと目のほうが先に進んじゃうし。
■テキストは平家物語巻十ほぼそのまんまの印象です。本で読んじゃうと1.5Pくらいなんですけど、これに40分くらいかける。維盛が飛び込む前にうだうだ言い始めるくだりは、「はよしろよ!」とせかしたい気持ちになりました(笑)。でも節回しが、最後ぐぐーっと盛り上がって行き、最後に一気に静けさが訪れるあたりは、感情移入してました。
この演目のとちゅうに事件勃発。私の3-4つ後ろの席に座ってらしたかたが、急に体調が悪くなって倒れ?てしまったようでした。結局、そのまま病院に行かれたのか、どうされたのかはわからないのですが、その間、演者はまったく中断や動揺なく演奏続けていらっしゃいました。すごい。。。

【狂言 二千石】
■野村萬斎がボケ役なのかとおもいきや、ツッコミのほうでした。あ、狂言だからボケ・ツッコミじゃないか。
■主人(野村)に報告なく勝手にずっと出仕してなかった太郎冠者(高野)。主人は叱責(=斬る)する気まんまんで太郎冠者を呼び出しますが、太郎冠者が不在の間に京旅行をしてたと聞いて、「京の報告したら許してやる」と出だします。
太郎冠者は、じゃあ都で流行ってる謡をご披露しますーと謡いますが、なんとそれは、主人の先祖がかつて後三年前九年の役での恩賞として賜った(よく聞き取れなかったんだけど、そういうことなんだと思う)謡。
ご先祖様想いの主人は「都で流行ってたんじゃなくて、お前が不用意にあちこちで謡って、流行らせたんだろがー!」とブチ切れ、太郎冠者に斬りかかります。あやうし太郎。
しかし太郎冠者はそこで、「そのリアクション、ご主人さまの亡き父上にそっくり!」と感動のそぶりで発言。
ご先祖想いの主人は「えっ、そう?」とここで乗ってしまい、太郎冠者と一緒に「親に似るなんてうれしい!」と感動。斬りつけようとしてたその太刀を太郎冠者にプレゼントしちゃって、最後は太郎冠者と一緒にニコニコ笑顔。
…というあらすじでした。細かいところのセリフが聞き取れなかったんだけど、おおよそはこんなカンジ。
■どうして「平家物語の世界」のインターバルにこれを選んだのかよくわからないのですが、主人の先祖が奥州征伐で功をたてた…と言ってたからかな?
■次の能に比べると、セリフは断然聞き取りやすかったです。萬斎さんより太郎冠者のほうが聞きやすかったんだけど、それと狂言としてのスキルはまた別問題なのかな。

【能 舟維盛】
■これが本日のメイン。
主宰のひと(維盛役で、能演者一門の当主さんだそうです)のところに維盛の縁につらなる人からリクエストが届いたことがきっかけで作られた新作能だそうです。この「新作のきっかけ」に、心の狭い私は微妙に引いたんですけど、心狭くなく考えたら、普通にほほえましく温かいエピソードなんだろうな。
もし私のところに「維盛の縁者なんですけど、維盛主人公で漫画描いて」ってリクエスト来たら、「だったら自分で何か発表するなり動けばいいのに。」と思ってしまうかも。私なんかにそんなリクエスト来ることないので、まったく妄想の心配ですが…。
■あらすじは、こんな感じです。
==============================
法住寺から来た僧が、熊野で維盛に回向をささげてたら、波の向こうから舟が。そこには、おもざしはやつれ果てているものの、どこか非凡さを感じさせる男性が乗っていました。
その人は、自分は熊野で入水した平維盛だと名乗ります。入水に至る身の上を語り、そして法住寺での後白河院五十御賀にて舞い、「桜梅少将」の名を得た、青海波を舞います。
ひとしきり舞い終えたあと、今の修羅の苦しみを語った維盛は、やがて波の向こうにふたたび去っていくのでした。
==============================



平家の人、能で化けて出すぎ。
■夢幻能テンプレートの話なんじゃないかな。素人心にもめっちゃ定番展開なんだと思った。「覆面をしたライバルの正体は、主人公の親兄弟」みたいな。
それにしても、夫婦親子のしがらみを断ち切って極楽浄土を目指し入水した維盛なのに、修羅に苦しんでるっていうのは気の毒です。て言っても、実はわたくし最後のほうのセリフが全然リスニングできず、修羅道に苦しんでるうんぬんは、開始前の挨拶で主宰の人が言ってたあらすじ説明の受け売りです。
■この作品、舞台中央に舟を模したギミックが鎮座します。最初は黒い布で覆われてて、中から維盛が出てくるのです。最初は深い青の衣装を着ていた維盛ですが、青海波を舞うシーンで、舞人のお召し替えしてくれます。維盛は貴族なんだから、別に舞人の衣装着る必要ないと思うんだけど、お話としての区切りがわかりすいようにあの衣装なのかな。(衣装は舞人衣装だったけど、謡のなかでは「桜を簪に…」って言ってた)
この着替えがめっちゃ長い。しかも堂々と舞台ど真ん中(着替え場所である舟が中央にあるので仕方ないんですけど)。たぶん、これは目に入らないふりをして、その奥で「いよー(ポン)」とか演奏してるほうに耳を傾けるのが、お客としてのお約束なんだと思うんですけど、慣れてない私は
「あっ、そこ、その袖を右に!」とか「ああっ、そこ曲がってるよ!」とか着替えをめっちゃ気にしてしまいました。
お召し替えは2回。早着替えという概念がないところが新鮮でした。さすがスローな世界・能。
最後、静かに静かに維盛が去っていくところは、感動的でした。凪いだ海が見えたような気がした。
■この新作が、能作品としてどうなのか、私には判断がつかないのですが、無知ゆえの意見として言うなら、せっかく今作品にするなら、現代としての解釈なり方向性なりをつけてもよかったんじゃないのかな?と思いました。
たとえば、維盛の苦しみって、「封建時代ならではの、身分や立場ゆえの苦しみ」ってよりも、「自分の限界をつきつけられたことがしんどい」「がんばるのがもうしんどい」っていう、現代的な苦しみでもあると思うんですよ。そこを語らせるとか。
そういう意味では、以前に「短っ!」としか評価してなかった、永井荷風の維盛戯曲って、実はすごいのかなって思ったりしました。「今、この題材でやりたい理由」みたいなのが、あちらにはある。
いやしかし、夢幻能を逆手にとるのもアリかも。歴史上の100人夢幻能連発とか。維盛がようやく帰ったと思ったら、次はサロメが来て舞うの。そんな呼び寄せ体質の僧侶の話。漫画にしたら面白いかしら。。。
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by mmkoron | 2009-08-16 00:34 | その他映像・劇 等


イケ麺そば屋探偵〜いいんだぜ!〜 エピソード6「イタ子危機一髪! 伝説の亡霊」

前編 2009年6月6日/後編 2009年6月13日 / 24:55〜25:25 / 日本テレビ系列放映

【キャスト】
藤木直人(主人公)/古田新太/堀内敬子(主人公の姉)/生瀬勝久 京本政樹(義経を名乗る亡霊)/2人の弁慶(山西惇・八十田勇一)

【エピソード6のあらすじ】
主人公・潤太郎(藤木直人)の姉であるイタ子(堀内敬子)の前に、義経を名乗る武士の霊が登場。彼はイタ子に「静御前」と呼びかけ、一緒に冥府へ旅立とうと誘う。霊媒体質かつ共感体質なイタ子は陥落寸前。潤太郎は姉を救うことができるのか…!

■たまたま夜中、コーヒー飲もうとリビングに行ってTVつけたら放映してました。ぼんやり観てたら途中で「義経の霊」って登場人物たちが話し始めて、びっくり。しかも亡霊役は京本政樹でこれまたびっくり。観れたのはラッキーでした。
■さて。敢えて「義経役が京本政樹」と書いてないことからお察しいただけるように、この亡霊は、実は義経ではなかった…という展開です。

「義経は、死ぬときには既に【義経】ではない、大きな存在になっていた。霊は死ぬ直前の名が呼び名である。」

これで「…馬?」と思ってしまった私は、タッキー義経のインパクト強すぎ。答えは【ジンギスカン】でした。
というわけで、この亡霊は義経ではない。じゃあ誰なんだ…!?となるわけですが、そこはラストであっさり明かされます。
(ネタバレ注意・文字反転しときます)

答え:佐藤弟。忠信は義経の影武者になって死ぬが、影武者生活が長かったので、死んだ後に自分が義経だと思い込んじゃったんだそうで、でもって実は静御前にひそかに想いを寄せていたそうな。

アリといえば非常にアリな展開ですね。この展開になんとなく既視感あるんだけど、何かの小説かドラマでもあったのかな?
■今回しか観てないので、毎回こうなのかはわかりませんが、主人公は狂言回しで、メインはゲストキャラとイタ子。TV番組ですが、展開とか間の取り方とか、無駄なセリフや小ネタで笑わせるトコロは、小劇場(って今はもう言わないのかな)ノリです。役者さんも舞台の人ばかりですしね。私が高校で演劇部員だったころ、鴻上尚史氏や成井豊氏の作品がすごく流行ってて、どのくらいはやってたかというと、影響受けて早稲田大で演劇やるぞーって進路決めた人が何人も出たくらいだったのですが、その頃のノリを思い出して懐かしくなりました。
しかし、懐かしくはあるんだけど、ドラマとしてはテンションが空振り気味なんですよ…惜しい。
■さて、ドラマの内容のほうですが、本物義経からの懐ふかーい言葉を頂戴した京本義経は、イタ子を解放して成仏します。ラスト手前でイタ子が静御前として舞うんですけど、こういうドラマならではの自由度高い舞い方で、却ってイキイキしてて良かったですよ。くるくる袖がひるがえって。ちなみにいきものがかり「SAKURA」に合わせて待ってました。そうくるかー。
このドラマ、全体的には非常にゆるいんですけど、義経だけテンションもテンポも違ってて、良かった。
時代劇かつ美形人物かつコメディという役ドコロは、京本氏にぴったりでしたね。楽しそうでした。「八艘飛びノリツッコミでおなじみの源義経」は笑った。
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by mmkoron | 2009-06-14 21:52 | その他映像・劇 等


わが魂は輝く水なり-源平北越流誌-

作:清水邦夫 演出:蜷川幸雄 
2008年5月4日(日・祝)~27日(火)Bunkamuraシアターコクーンにて上演

斎藤実盛:野村萬斎 斎藤五郎:尾上菊之助 斎藤六郎:坂東亀三郎
巴:秋山菜津子 中原兼平大石継太 中原兼光:廣田高志
平維盛:長谷川博己 藤原権頭(実盛の盟友):津嘉山正種


■連休前に我が家に遊びに来た友達が「今度、萬斎さんが平家物語の劇やるねー」。えっ、いつ、いつなの!? と飛びつかんばかりに質問したおして、なんとかギリギリチケット入手できました。ふーふー(息が荒い)。
■登場人物からおわかりのように、倶利伽羅前後の物語です。人物の生死についてが平家物語と異なってますが、あらすじはこんなカンジ。

 倶利伽羅の戦いは寡兵だったはずの木曽義仲軍の圧勝に終わった。
 しかし、崖下に積み重なる平家軍の屍を見下ろす木曽軍の表情は、勝利者の表情ではなかった。喜悦がきわまったとき、人の表情はあんなに歪むものなのか。
 類い稀な強運なのか、平家総大将・維盛に仕える老武士・斎藤実盛はこの戦いから生き延びた。すこし前から、彼には数年前にひょんな事故で死んだ我が子・五郎の幽霊が寄り添うようになっている。しかし五郎の姿は実盛以外に感じることはできないので、実盛の挙動は維盛たちに不審がられ、彼は無理矢理前線から下ろされてしまう。
 五郎の弟・六郎は、若者らしい野心に突き動かされて義仲軍を訪う。かつて父・実盛は、幼い義仲を木曽に匿い住ませた恩人であり、五郎はその後木曽軍に身を投じ、義仲とは無二の友になっていたのだ。父に聞いていた、生命にあふれた木曽に六郎はかねてより憧れを抱いていた。
 六郎はその縁を頼って森の国・木曽に入ったが、そこで見たのは義仲の不在。そして、互いを狂人とし、自分を正気だと六郎に告げながら、どこか狂気を宿した巴、中原兄弟、義仲の愛妾ふぶき。正気なのは誰なのか。そして五郎はなぜ死んだのか。
 木曽軍の徹底的な殲滅作戦のなか、実盛は手勢だけで木曽の奥へと向かう。
そこで彼は、かつてその若々しさと生命力に対して妬みにも似た感嘆の思いを抱いた、森の国の現在に立ち会う。

■うーん。こんな説明でいいのかな。
■お話は2つの軸を持っています。
若々しさと喜びの生命力にあふれた木曽軍。
鬱蒼とした森の枝の隙間から、見える空だけを眺めていた、だからこそ空に未来に純粋に憧れていたという彼等。彼等が遮るもののない場所までやって来たそのとき、狂気の領域に踏み込んでしまう。
蜷川氏演出で、シナリオの清水氏も同世代だそうですが、この世代から10年くらい後までの人の時代モノ作品は、このモチーフ(…というのは、どこか全共闘と呼ばれたものをカンジさせるテーマ)が切っても切れないようですね。蜷川氏は全共闘世代よりはすこし上の、幼少期が戦時中だった世代なわけで、そこはまさに実盛のポジションなのかもしれません。
終盤で実盛は、「生きている人間は淫らな夢を追う」と詰る五郎に対してこう言います。

「死人は立派すぎる、高貴な夢を語りすぎる。特にお前のような若い死人は。」

五郎は狂気や淫らさに踏み込むその前に、純粋なまま時間を止めた存在として登場しているのです。
さて、この言葉。私は結構身につまされました。例えば、セカイ系とか呼ばれる作品とか、webでの世相への批評とかって、私はこの「立派すぎる高貴な夢」に感じちゃったのです。立派というか、抽象的・概念的というか。そういう意味では、私を含めて今の若者(えっ、私は若くない?こりゃ失礼!)というのは、生きながらにして「若い死人」になってるかもしれないなーと。
狂気に踏み込むのは論外だし、実盛たちの「淫らな」領域に泥むのが必ずしも良いとは断定できませんが、なんか、永久に森の中にいて傍観者に徹してる木曽軍、みたいな世界観が、現代に存在してるかもしれないと思いました。
作り手のほうがそれを発信しようとしたかどうかはわからないわけで、こういう感想を持つのは、私の世代ならではの感性なのかもしれません。
■さて、もうひとつのお話は、「父と子」。これも、平家物語ならではのモチーフですよね。
武士である斎藤父子は、家族という温かさだけでなく、明確な上下関係があります。
そして、自らの武士としてのDNAを、父が子に伝えきろうとする一体化の強制と、子が自分であろうとする反発作用とのせめぎあいも。
木曽軍に走った六郎は、その反発作用の結果なわけですよね。
そういう意味では、斎藤実盛と五郎の関係というのは、伝えきる前に子が時間を止めてしまってる。しかも時間をとめた子が親にコミュニケーションをとり続けることで、むしろ親の時間が逆流しかける危うさを持っているという、歪みが生じた関係なのです。
明確にあったはずの上下関係、時間が上から下へと流れていくその法則に、やさしい歪みが生じている。それが、平家物語ファンご存知の、実盛の最期につながっていきます。

■さて。ここで登場人物に関する平家ファンとしての感想を。
まずは維盛ですかね。乳母を連れて出陣してるお坊ちゃんです。戦時中でもどこか他人事感覚というか、切迫感がなくて天然キャラになってます。この維盛は「ただいまー」感覚で六波羅に帰還してそうだ!
実盛に人間の心の機微を教えられた(で、戦の機微のほうはよくわからんかった)と語る彼ですが、天然ならではの鋭い洞察を見せたり、そうでもなかったり(笑)。長身(じゃないかな)の、見た目カッコイイ役者さんなので、その面白貴公子っぷりが映えてました。
次に木曽軍。木曽好きの人には結構ショックなのかな。私は平家がこういう描かれ方してもこれはこれでこういう作品だと納得できる気がしますが、人によっては凹むかも。
結局、負の領域に踏み込んだことで、全員が疑心暗鬼に陥ってるんですよね。最初のモチベーションがすっかり失われて、残っているのはアクションへと突き動かす衝動だけ。もう何のために京を目指しているのかも見失いながら、ただただ狂気に突き動かされて足を西へ西へと進めていく。
巴への周囲の評価とか、兼平の位置づけとかは、平家物語を読んだ印象からはかなり相当アレンジされています。
私は巴のキャラクターが面白かった。巴は、ずたずたにされながら、彼女は逆に実盛に夢というか救いを見てるんですよね。でも実盛はもう老人だから、そんなイキイキした夢を押し付けられてももうついていけないのよね(^^;
五郎と六郎はそんなわけで平家物語とは全然違う運命を辿ってます。五郎死んじゃってるし、この六郎は維盛から託された六代を大事に匿うタイプではないなぁ。平家復興の隠しダマにしそうだ。
■最後に役者さんとか舞台のことを。野村萬斎の実盛はかっこいいですよー。過剰な年寄り演技ですが、でも舞台だからこれくらいでよいのかも。最後のシーンは結構ぐっときました。実盛の時間が、ゆっくりゆっくり浄化されて本当の意味で彼の時間が戻っていっているんだなーと。ほんのすこしの間だけなんだけど、やるせないんだけど、救いがあるような気がして。
私は学生時代から萬斎ファンだったので、もちろんこの劇も萬斎目当てだったのですが、しかし五郎がカッコ良かった!!
私が描いたコロコロした五郎ではなくて、気がやさしげなおっとり若武者ってカンジで。彼がこういう状態だから、木曽義仲もこんな人なんだ…と想像できるんですよね。
菊之助さん、声がいいですねー。通りがいいし、凛としてるし、やさしさがあるし。声優もできるんじゃないかと思ったら、やっぱり声優のお仕事もされてました。ナルニア国物語で王子様役だそうで。うんうんそんな感じ。純化された存在であるこの役にすごく合ってたと思います。
■舞台装置はさすがにスゴいです。藤?さくら?の巨木のセットはすばらしかった。こんなにスゴいんだから、ラストにも出てくるんだろうと思ったら1回きりだったので、そりゃまたすごいわと感嘆。ラストの湧き水の演出とか、照明でああいう表現をするんですね。水面のゆらぎやひかりを感じて、うっとりしました。
そんなこんなで、私は蜷川演出の舞台観るのははじめてだったのですが、面白かったです。
ただ、これって平家物語の実盛の話を知らないで見て、話がするっと入ってくるのかな?ってのはちょっと思いました。知ってれば、すごく感慨深いですよ!
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by mmkoron | 2008-05-10 22:16 | その他映像・劇 等


スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ

2007年9月15日公開/監督:三池崇史/配給:ソニーピクチャーズエンタテインメント

主演:伊藤英明 ルリ子:桃井かおり 静:木村佳乃 保安官:香川照之
義経:伊勢谷友介 与一:安藤政信 弁慶:石橋貴明
清盛:佐藤浩市 重盛:堺雅人 


■公開初日の午後に観に行ったのですが…観客8人!(私とおかん含めて) 
……ちょっと衝撃。
母上は「マカロニ・ウエェスタン」の本来の定義をある程度わかってるらしく、観る前から「マカロニウェスタンの日本版ってことは、残虐な描写があるんでしょ。」としり込みしてたのですが、映画館から出てきたときの感想は

「若い人にはみせたくないわねぇ」
「まみころは、変わった映画がすきね。ほら、あの猫ちゃんのお人形の映画とか」


でした母さん、ジャンゴと「こまねこ」を同じ土俵で語るのはいかがなものか。
でも、そんなふうに点が辛かった母上も、「配役は似合ってた」と言ってました。
ちなみに、残虐度はあくまでも表面的なので、バトルロワイアルよりもちょっと上(同じくらいかなぁ)、くらいです。「ダンサーインザダーク」とか「ボーイズドントクライ」とかの一生トラウマになるような残酷さではないと私は思います。
■さて、感想はあくまでも源平好きの視点で語ります。
あらすじは西部劇のいかにもな

流れ者の、背中に過去を背負った凄腕ガンマンが、ある寂れた町に到着。
そこでは、町の隠された財宝を巡って平家と源氏が争っていた。
ガンマンの凄まじい早撃ちを見た両陣営は、自分の側に彼を取り込もうと争う。
そして、清盛に自分の夫をなぶり殺しにされ、今では源氏側の踊り子兼義経の情婦になっている女・静も、ガンマンに目をつけていた…。


ってなおはなし。
■義経は唇下のピアスがワタシ的に減点30なのですが、しかしカッコいいです。
系統としては、「命のやり取りに自分の居場所を見出す、酷薄な戦闘マシーン」。義経のパターンの一つとしてある程度受け容れられている路線じゃないでしょうか。
一方清盛は、「見た目は貫禄十分、でも実は虚勢を張ってる親分」。性格の単純さとか裏表の無さという意味でなら、平家物語の清盛に近しいですね。
側近(親子じゃなさそう)の重盛を、いつもさりげなく自分の盾にしてます。重盛はわりと清盛に対して客観的なんだけど、基本的に従順。微妙にジャイアンとスネ夫路線でした(笑)。
キャストとして宗盛も名前が出てたんですけど、どこに登場してたか全然気付かず、後でパンフレット見て「あれが宗盛だったのか!」とわかりました。
そんなこんなで、平家は結構ヘタレです(^^;
■とにかく義経はカッコいい。頭の中は戦いのことしかない、っていうキャラクターになってるので義経ファンの人が見てどう思うかは微妙ですが、戦闘能力はずば抜けてるのので、そこには満足できるんじゃないでしょうか。
けれど終盤で、顔色一つ変えずに銃と刀で敵を屠り続ける義経が、唯一ビビってるシーンがあるのです。あそこはかわいかったな(笑)。
■女性は、静と、その義母(静の旦那の母親)の桃井かおりだけです。
が、静が「清楚なお嬢さん」から「妖艶なお姉さん」まで全部取り扱ってくれてるので、女っ気がない印象はありませんでした。
静は途中でダンスをするシーンがあるのと、後は義経の情婦になってるのとで「静」という名前なんでしょうが、静と常盤を足したような位置づけでした。夫の小栗旬が清盛に虫けらのように殺されちゃうんですよね。小栗が虫けら扱い。なんて贅沢な映画なんだ!
■源平がモチーフである意義は

「義経、という名前の戦闘の天才」
「赤と白のわかりやすさ」

以外にはそんなになかったかも。マカロニウェスタンというジャンルが、今では若い人には字面でしかわからないので(私も知らない)、その日本版パロディをつくるにあたって、日本人が話にわかりやすく入っていけるようにした…ってことなのでしょう。
ストーリー自体はお約束の王道だと思うし、メッセージとして特に残るものはない(※けなしじゃないよー^^;)内容です。展開の「意外性」「先の読めなさ」にはらはらわくわくしたり、結末やセリフにグッときたりする…というよりも、各シーンの日本的なアレンジの仕方や、残酷なのにどこか滑稽(除・静)な役者さんたちの演技にニヤリとして楽しむ作品なんだと思います。お約束展開のパロディを楽しむ感覚ですかね。
終盤、どんどん登場人物が減っていくあたりは、スケ番刑事の最終戦とか甲賀忍法帖の終盤みたいで、「わかってるんだけどドキドキ」で手に汗握りました。
■私は西部劇にも造詣ないし、残酷な描写は好きではないので(GANTZとか読んでるくせに!)正直あまり期待してなかったんですよ。でもこの作品は主役格ガンマン3人の動きのカッコ良さを堪能できたので、結構楽しめました(^^
エンディングのサブちゃんも合ってましたよ! 曲が流れるタイミングもよくて、ぐっときた!!
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by mmkoron | 2007-09-16 00:32 | その他映像・劇 等

    

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