源平観戦日記


カテゴリ:コミック( 9 )



リョウ

上田倫子 著 / 集英社文庫コミック版 / 全8巻 / 各650円

■紹介の一覧を見直してて、「あっ、リョウの感想書いてない!」と気づきました。連載されてるときから読んでた(つまり、平家物語に興味を持つ前から読んでた)のですが、あまりにふつうに読者として読んでたので、ここに書かないままにしてました。
■さて、そんなこんなで感想です。
「リョウ」というのは主人公の名前。普通の女子高生である「りょう」は、京都での修学旅行(ということはこのリョウは高校2年生くらい?)で謎の大男に薙刀で襲われます。
その後、その大男・弁慶が彼女の祖父が経営している剣道道場に再び来襲。
剣を習ったことのないりょうが勝てるはずもなかったのに、しかしなぜかりょうの体は自然に動いて弁慶を打ち負かし、彼の臣従を得てしまいます。
祖父や両親がひた隠しにする、りょうの正体は一体…!?



…って、まぁ正体は義経なんですけど(^^;



■早い話、「○○は実は女の子」とタイムスリップ物の掛け合わせです。
特筆すべきは、「現代人の女子高生が義経として遇されるという」ではなく、「元々義経だった人間が、現代人として育てられてた」…という展開であることですね。こういうタイムスリップ物としては結構珍しいと思います。でもって、ラストにこの設定が非常にキくんですよ。
前者、つまり「女子高生が義経として」だったら、あのラストは消化不良だったと思う。ウマい。
絵は正統派で、非常にキレイです。少女漫画のなかではトップクラスだと私は思います。
■さて、少女漫画ですから、この義経はモテモテです。
 ・義経に絶対服従(でもわりとお小言を言う)な弁慶
 ・現代での幼馴染・葵(あおい)
の二人が当初からいて、さらに2巻で我等が平家のエース・維盛様が加わります。
この維盛が、少女漫画の男性キャラとして非常に良い。
ボンボンで、芸術の才能以外は、政治力にも軍事的にも欠けてるのですが(そこは平家物語と一緒っすね…T_T)、とにかくけなげで、りょうに対するアクションだけは異常に行動的なんです。一途でかわいいやつです。
メンフィスとイズミル王子なら絶対イズミル派、ジョフレとフィリップなら絶対フィリップ派、大津と草壁なら絶対草壁派な私(最後のはちょっと違うか。)としては、維盛をダメだろうとわかっていても応援せずにはいられませんでした。
私が平家の漫画書き始めたとき、維盛を当然のように西洋風王子様な顔立ちにしようとしたのは、この漫画の影響受けてると思います。
■おっと維盛の話をしすぎました。
著者の先生はほかにも時代モノで漫画を描いておられますが、時代を描くというスタンスではなく、少女漫画の素材として歴史をエッセンスにしてるという立ち位置ではないかと思います。
だから、主人公の敵側とか、ヒロインにあまり関わらない情報に対してはバッサリ切り捨てられたり、ものすごく単純なキャラにされたりはします。
そこはふまえて読まないと、本筋の漫画としての評価以外のところでプンスカしてしまうことになってしまうので、いわゆる歴史ファンとして読む場合はご注意ください。
あと、これも少女漫画の特徴だと思いますが、どんどん話の進行についていけなくなったキャラたちがフェイドアウトしてくので、そこも慣れてない人には違和感あるかなぁ。
佐藤姉弟(そう、姉なの!)とか、虎子さん(葵やりょうと一緒に現代から飛ばされてくる芸妓さん)とか、安徳帝や…。このへんは最後ちょっとうやむやになっちゃって残念。
でも、泰衡様は良かったなぁ。あの泰衡様は、いろいろ辻褄が合わない部分はあるんだろうけど、でもすてきだ。良いスネオって感じでキュートだ!
■物語としては、現代が自分の居場所ではなかったことを知った義経が、源平合戦のなかで自分の居場所を探し、最後に自分が何のために存在してたかを知るというお話です。
源平の物語を題材にしつつも、かなり想像による飛翔度の高いストーリーですが、波乱万丈で面白いですよ。
ラストはほろりときました。私、「ウィングマン」とか、こういう系統のラストに弱いんですよね…。
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by mmkoron | 2008-03-22 23:49 | コミック


きらめく波の飛沫(平家物語シリーズ)

佐久間智代 著/あすかコミックスDX/本体価格450円/1997年

■先日、この漫画を持っていた友人が貸してくれました。麹屋さんありがとうー!
知章ファンのバイブル。この漫画で知章ファンになったかたは多いと聞きます。
そう聞いてたので、結構ねっとり熱く知章を描くストーリーなんだと勝手に想像してたのですが、思ったより淡々とした印象でした。
淡々とした作品の場合、読んでる人間の視点が結構自由になるので、私がここにかくストーリー紹介も、見る人によっては「全然違う!」かもしれません。
■知章は、平家の主力を率いる大将軍・知盛の嫡男。
しかし、白黒ハッキリつけたがるお年頃と気質の知章は、父の温厚さと運命論に「甘さ」と評して反発。子どもの頃から憧れていた「鎮西為朝」のような覇気ある武将になりたいと思っている。
そんな折、彼の前に現れた青年。青年は、知章の出生について、重大な事実を語る。
「自分」だと信じていた足場が崩れたとき、知章は父に……。

■↑こんなカンジでしょうか。
熱いのがすきな私としては、

・もっと知章にどろどろと悩んでもらいたかった
・「決意したぞ!(キラーン)」みたいな場面が欲しかった
・被斬の場面ではモノローグバリバリで倒れるまでに4コマくらい使ってほしかった


などと思いましたが(それくどいよ!)、知章にはあまり内面を独白させず、外に現れるその言動を追って行く方法で彼の心を描いているのだと思います。
若者言葉の敦盛は好きニガテ分かれるところだと思いますが、ティーン主人公ならではの、さわやかな作品です。
■コミックスにはもう1作品、教経主人公のお話も。
このお話の教経は、通盛と仲が良くないんですよ。新鮮。
通盛が教経の才能を妬み、嫌っている……という設定。天性の武勇に恵まれた教経にとって、兄に憎まれているということだけが唯一最大の苦悩なのです。
で、私は相変わらずベタベタに熱いのが好きなので、ぜひこの二人には

「フッ、また地獄で兄弟ゲンカでもやらかすか・・・」(@車田正美)

とか言って欲しかったのですが、そんなベタなセリフはなく、さらさらと物語は流れます。
注目の登場人物は菊王丸。怪力だけど超美少年。
彼が通盛と教経との間で心を痛めるわけです。この物語、どっちが悪いといったらどう考えても通盛の方が悪いわけだけど、菊王丸はさいごに教経を責め、諭すのです。
それがクライマックスかつ主題です。
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by mmkoron | 2006-10-27 22:55 | コミック


義経モノ漫画アンソロジー 2種類

◆「義経伝 桜吹雪に散りゆく恋」
学研/600円/2005年1月発行
執筆:岡野史佳 都筑せつり 篠原烏童 たむら純子 冬森雪湖 香椎オルカ 霧島珠樹 CHI-RAN わたなべあじあ (カラー口絵)岩崎陽子 (表紙)唯月一

◆「紅蓮の義経記」
幻冬舎/1029円/2005年9月発行(一部webコミックGENZOにて購入可能)
執筆メ:斎藤岬 碧也ぴんく 真崎春望 猪川朱美 梶原にき 松山花子 世哉雅英 乾みく (表紙)田村由美


■並べて紹介したほうが違いがわかりやすいので、変則的な紹介の仕方にしました。
■「桜吹雪」のほうが、タイトル通り義経(たまに弁慶)の恋愛主体。
静との話が多いのですが、異形の者との恋愛っていうお話もいくつかありました。語る視点は静だったり、第三者的視点だったり。べったり義経視点のお話はなかったかな。
郷御前(平泉で一緒に死んだという奥さん)がいなかったのはちょっと残念。
せっかく義経の恋バナ(^^)でそろえるなら、彼女のお話を描く人も呼んで来てほしかったなー。
あとは意外な、某さんとの恋愛モノとか。逆では読んだことあるけど、こっちは初めてだわー!と新鮮で面白かったです。話の強さも絵柄も他の作品に比べて良い意味で異質なので、この漫画が1冊全体を引き締めてると思いました。
■「紅蓮」のほうは義経がらみのいろいろな関係を漫画にした形です。恋愛色は薄め。
おそらく後者は、企画時に題材がかぶらないように依頼したんじゃないかな?
「鞍馬時代の師匠」「静」「弁慶」「義経主従モノ」「頼朝」と、扱うネタが微妙にズラされてます。
漫画としてパリっとしたカンジが好きなら、または少女漫画を読みなれてない男性でしたら、こちらの方が読みやすいかも。絵柄もこちらのほうがシャープな感じですし(前者はふわっとした絵柄が多い)、コマ割も、少女漫画文法の使用率が低いです。

■「義経」で検索したら出てきたのでウキウキ購入したのですが、最初読んだ印象は

短い!

「アンソロジーはそこがいいんだよ」と言われたらそれまでなんですけど、作者の「これが言いたいんだ」の手前で終わっている場合もあるように感じて、ああ続きが読みたいなーって。
こういう本の場合、「義経であること」をメインに作品があるべきなのか、それとも義経を材料に、何かコンパクトに作品をまとめる「テーマ」を持ち出す方がベターなのか、どういう作品を入れ込むと読者にとって一番魅力的なんだろう?
と、まるでアンソロ企画担当者のような気分で考え込みました。うーん。
自分が平家で読むならどんな構成になってる本がいいだろう?

■あと、歴史モノで漫画のアンソロジーって難しいんだなと改めて思いました。
何が難しいって、

作品ごとに義経の顔が違う。


当たり前なんですけど、これって意外と読む側には引っかかりませんか?
私は自分が漫画のマネゴトをしてるくせに、そこで引っかかってましたよ…とほほ。
■自分の不器用ゆえにちょこっと意見も書きましたが、プロの漫画家さんのカッコ良い・可愛い・きれいな義経がたくさん読める2冊です。既に義経が好きで、義経像をいっぱい膨らませたい!というアナタは、お好みのほう、もしくは両方どうぞ♪
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by mmkoron | 2006-07-10 01:47 | コミック


平家落人伝説 まぼろしの旗

竹宮恵子 著/中公文庫/560円/1999年(文庫版は2004年)

一の谷、屋島での大敗の末に追い詰められた平家一門は、平家繁栄の象徴たる安徳帝を落ち延びさせることにとなった。
帝に付き従い、その身をお守りする役を賜った平家一の猛将・教経は、国盛の名に戻り、四国山中の山里で平家再興を期すこととなった…
と、いう話です。

教経が一の谷で戦死したのか壇ノ浦まで生きてたのかよくわかんなくなっていることや、各地に残る平家落人村の伝説を巧くミックスしてます。

竹宮先生というと、私にとってはやはり『風と木の詩』。
「何をしてるね小悪魔くん」とか「憎しみで人が殺せたら!」とか「乾杯だよ、母さん…」とか名セリフたちを、未だに友人たちとの会話中で活用させてもらってます。
私の最愛キャラは裏番なジュール君だったので、この漫画の教盛がジュール系だったら最高!だったのですが、残念ながらもっと骨太なカンジです。
キャラクター達の容姿は、同作者の『吾妻鏡』にかなり近いようです。『吾妻鏡』には維盛もちらっと出てたけど、それも普通の容姿だった記憶が。ロスマリネみたいなの希望だったのですが。残念!

物語は大事件が起こって血沸き肉躍る…という展開ではなく、地味に確実に月日が進んでいきます。
一族と最期を共に出来なかった自分を恥じ、
山奥で心穏やかになりそうな自分を恥じ、
平家再興の志を忘れまい、いつか帝を奉じて都へ攻め上らんと自分を奮起させる教経。
そんな彼ですが、最大の支柱を失ったときに、自分が何を守り、何を残す役目を運命から賜ったのか、自覚しはじめるのです。
そのとき教経に運命から与えられる、ご褒美…。
この過程を、じっくり描いていっています。
恋愛要素はかなり低いです、教経ってば硬派!

結構トンデモ展開なのかもしれないのですが、
なにしろわたくし、このとき一緒に買ったのが超三国志(笑)『覇』5巻だったので、そっちのトンデモっぷりと比べたら、もう全然こっちのほうが手堅くマトモです。
すごいよもう止まらない状態ですよ…超展開すぎていっそ快感ですよ……

趙雲、育休! (゜д゜ 
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by mmkoron | 2006-07-01 20:45 | コミック


ヨウ[火華]輝妃

市川ジュン 著/あおば出版/780円/2005年発行

■「朝務は偏にかの唇吻にあり」と兼実の眉をひそめさせ、その権勢を楊貴妃にたとえられた、後白河院の寵妃、丹後局こと高階栄子の半生を描く漫画です。
■栄子が主役ですから、普通の源平モノには出てこない、彼女が平業房の妻だったころの姿が描かれてるのは面白い。業房は、あまり大胆なことはできない、よくも悪くもフツーの中流貴族として描かれてます。でも栄子は、彼とともに成り上がる夢を抱いている。
男に子どもを与えることが最大の任務だなんて、そんな人生やだ。私は業房にもっとデカいものを与えてやれる女なんだ。
そういう自負を持つ女性として描かれてます。
■しかし、業房は後白河院鳥羽幽閉のどさくさの中で、清盛の手の者によって非業の死を遂げる。そこで彼女は、平家に対する恨みを晴らすことを悲願とするようになります。
だからこそ、後白河院にお仕えし、抱き寄せる腕も拒まない。
と、書くと悲壮な覚悟をした女性のようですが、そうでもありません。

■次第に彼女のもともとの資質が前面に出てきて、彼女は自分が世の中を動かすのが楽しくなってくる。
当初は夫の無念を晴らすための手段であった「権力」ですが、実は彼女にとっての目的だったわけですなぁ。なので、あくまでも栄子はしたたかに元気で、明るい。
■平家が仇役になってもいいはずなんですけど、実は平家の出番は非常に少ないです。
むしろ栄子の仮想敵は、九条兼実。
栄子を否定する男尊女卑な男社会、旧態依然とした世間の象徴がこの作品では兼実であり、上昇を続ける栄子にとっての敵は彼なのです。
子ども時代にちらっと出てくる兼実は可愛かったのに、すっかり地味なおっさんになってたのがかなしい…。

結構ウーマンリブのかほりがするお話なので、そういうのが苦手な人にはしんどいかも。
別に栄子が作中で主張するわけじゃなく、彼女はあくまでも女性の代表としてではなく自分ひとりの野望をかなえようとしてるんですけど。
作品自体がウーマンリブな香りをほのかに放ってる気がしたんですよね。
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by mmkoron | 2006-06-14 22:11 | コミック


破戒王~おれの牛若~ (全5巻)

たなかかなこ 著/ ヤングジャンプコミックス /各580円/2004年発行(5巻)

■この漫画、いきなりエロシーンから始まりますので、お子様、お嬢様ご注意を。
■牛若丸が男装の美少女です。で、弁慶は女好きで暴れ者な破戒僧なのですが、五条大橋で牛若丸と対峙して彼女に惚れてしまいましてね。「平家を倒したら、『はじめて』をあげる」という約束で家来になるんですよ。
『傭兵ピエール』のピエールとジャンヌダルクなどで見られる、王道シチュエーションですな。
牛若丸がかなりロリコン系の、可愛くてまるっこい美少女なので、好みが分かれるところですね。
■問題は平家です。この漫画、極めて珍しいと思ったのは、

主人公(弁慶と牛若)のライバル役は、なんと重盛!

普通の漫画で知盛がやりそーなポジションに、重盛がいます。
で、教経のよーなポジションに、知盛がいます。
宗盛はダメキャラ扱いです。しょぼん。
■で、重盛なんですけど、

これがかなりカッコいい。


私、正直申しまして、この漫画の重盛はマイベスト重盛になるんじゃないか!?というくらいにカッコいいと思いました。
漫画自体はエロくてバイオレンスなのです。この漫画の平家はそっちの意味での悪逆非道もかなりやらかしてて、そこで憎憎しさが演出されてます。(そこは主に宗盛の出番)
だから、カタキ役の重盛もそっちの意味で黒いのかと思うじゃないですか。でも、違うんですよ。重盛はエロ要素には一切ノータッチ。
「女の牛若丸に重盛がご執心」というようなギャーなシチュエーションもありません。
重盛は、平家の今の支配の仕方に先行き不安をおぼえてて、もっと冷徹な手段での支配を考えてるんですよ。そのために自分の持ち駒がほしくって、寧ろ弁慶を部下にほしいとご執心なのです。あらびっくり。
あと、清盛が重盛にめちゃめちゃ甘いってトコも、私は好きだなぁ。
「清盛は激情家なぶん、目下や弱者に寛大なところがあるが、重盛はそうじゃない」っていうくだりがあって、その人物像は面白いと思いました。この作者先生、めちゃめちゃを描いてるようで、結構平家物語を読み込んだうえでアレンジしてるんじゃないかな。

■そのほかの登場人物ですが、義経&弁慶の子分に「ヨイチ」「ナオ(小次郎という赤ちゃんを連れてる、おじさん。熊谷らしい。)」とかも出てきます。
途中でジャンプの漫画らしく武術大会になったりする(笑)のですが、そこでは源仲綱&木ノ下とか、なかなかシブいキャラも登場してます。常盤と廊の御方とか。

■惜しむらくは、重盛を倒したところで打ち切りになったこと。
重盛もあのまま倒れそうにはないし、知盛もまだ元気だったのになぁ。
『ますらお』といい、源平漫画は完結できない呪いなのかしら。あ、『リョウ』は完結してるか。
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by mmkoron | 2006-01-05 23:47 | コミック


火の鳥 乱世編(角川文庫7・8巻)

手塚治 著/角川文庫/(7)620円 (8)580円/1992年発行

■私が紹介するまでもない気がしますが……。
名著『火の鳥』の乱世編は源平争乱が物語の舞台です。
■山の民として暮らす弁太は、攫われた恋人・おぶうを追って都へ。おぶうは時の権力者・平清盛に仕える女房となり、一方、弁太は牛若という源氏の少年と出会い、家来になります。
永遠の命を与えるという「火の鳥」への妄執にとりつかれる清盛。その様子を見続けるおぶうには、いつしか清盛への憐憫の情が。弁太は牛若の、弱き者の命をないがしろにする様子に憤りを覚えつつも、その怒りを言葉や行動にする術を知りません。
恋人達の想いは、源平の争乱の中で踏みにじられ、生き残った者たちもまた……

■清盛や義経たち、強き者の欲望に、弱い者達の幸せは巻き込まれ、あっけなく踏み砕かれる。しかし、その強き者をつき動かす「欲望」こそが争いの根源であり、「強き者」たちも、その欲望に振り回されるおろかで哀れな存在でしかない。
しかし、この物語で欲望の対象になっている「火の鳥」自体には別に罪はないのです。しかもこの乱世編ではホンモノの火の鳥は登場せず、人々はその虚像に一喜一憂しています。
じゃあ、何が争いを生む原因なのか。人を突き動かす衝動を、人はどうすればいいのか。
そのへんがテーマなんでしょうかね。

■しかしなんといっても、この漫画で特筆すべきは、めっちゃ性悪な義経!
政治的野心がないこと&見た目がカッコよいことだけは、一般のイメージ通りですが、そのほかは従来のイメージを反転させたような非道っぷりです。弁太が最後にキレたのもわかります。
物語の中でも徹底的に悪役扱いなのですが、でも、「この義経は結局何がしたかったんだろう?」と思うと、憎めないんですよね。結局彼も「何か大きなもの」に動かされてただけというか。
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by mmkoron | 2005-08-28 01:53 | コミック


ますらお(全8巻)

北崎拓 作/小学館/各500円/1996年発行(8巻)


■この漫画の主人公は義経ですが、ライバル役の維盛や教経、知盛ほか平家一門もたくさん登場します。
■週刊誌?に連載してたので、いろいろはしょってたり、エピソードを付け加えたりしてるのですが、作者が情熱をこめて描いてるのがよくわかるので、「荒唐無稽だ!」とかそういう文句は付けようという気になりませんでした。敦盛の最期のあたりはヘンにキラキラしてなくて、良いです。泣けます。
■人物設定は…クールな義経と熱血人情家の弁慶のコンビが新鮮でした。義仲戦での勝算を聞かれて、「勝つなんて簡単なことだ。今問題なのは戦うか否か、それだけだ。」と言い切る、義経の生意気天才っぷり!
■そんな義経が仲間への友情、静(子供の頃からの知り合いという設定です)への愛情に気づいていく過程が、微笑ましかったんですけど…惜しくも一の谷終了後に打ち切り。
大河効果で連載再開してくれないかなぁー。
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by mmkoron | 2005-01-10 00:00 | コミック


あぶない丘の家 (全1巻)

萩尾望都 作/小学館文庫/800円/2001年発行


■このタイトルで「どこが源平なんじゃー!?」と思われそうですね…。
■異世界人の干渉を受ける「丘の家」に住んでいるマヒコ少年と、その「干渉してくる異世界人」アズ兄ちゃんとの生活を描いたのが「あぶない丘の家」シリーズですが、その中に「あぶない壇之浦」というお話があるのです。
■マヒコが源平時代へタイムトリップし、義経や頼朝に出会う…という時空旅行モノです。このお話の一番の目的は、マヒコが単純に善悪を判断できない、人間の心の襞に気づくというもの。
義経と頼朝はそのための糧の役割です。物語の最後、少年時代の頼朝の孤独と、彼を支えてきた「わたしだけが、源氏の子です…!! わたしだけが…」という、凍てついた悲壮な心を知ったとき、マヒコは少し大人になるのです。
■描かれている場面は平家物語や歴史の教科書で見たことのある場面がほとんどで、まるで学◎の学習漫画のようですが、義経と頼朝を比較することを「オリンピック選手と大統領を比較するようなものだ」とわかりやすくたとえたりするあたりは、流石です。
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by mmkoron | 2005-01-10 00:00 | コミック

    

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源平関連以外の読書日記はここに。読む本にあまり偏りはないと思ってたけど、こうして見るとすごく偏ってる。
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