源平観戦日記


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素晴らしい装束の世界~いまに生きる千年のファッション

八條忠基 著 / 誠文堂新光社 / 3400円 / 2005年発行

■源平の本ってわけではないのですが、資料として役立つ本なので、ご紹介を。
私のサイトも素材をお借りしている、「綺陽会」様の主宰者さんの本です。
タイトルどおり、平安期の装束を中心に、神主さんなどの現代でも着用されている装束までを紹介した本です。ちょっとお値段は張りますが、オールカラーなのでそこは納得。
■装束などが載った有職故実の本って意外とフルカラーが少ないですし、載っていても真正面・全身の写真がほとんどで、別の角度や小物類がどうなってるかという全体像を見られる資料が少ないので、そこが気になる人にとっては重宝する本ではないかと思います。
こういう形で、鎧の本も出てくれないかなぁ。
西洋の鎧についてはわりと資料があるのに、日本の鎧に関する本って、戦国時代のばかりなんですよね…。

■巻末のほうになると、現在の衣紋道についての記事や、着装体験ができる博物館の紹介、さらには購入できるお店の紹介なども。
ここまで読んだところで、この本がターゲットにしている読者ってどういう人なんだろう? と素朴に不思議に思いました。
私のような、こういう装束で絵を描く人向けなのかなぁ。それとも着てみたい人向けなのかしら。
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by mmkoron | 2006-01-06 00:08 | 書籍


破戒王~おれの牛若~ (全5巻)

たなかかなこ 著/ ヤングジャンプコミックス /各580円/2004年発行(5巻)

■この漫画、いきなりエロシーンから始まりますので、お子様、お嬢様ご注意を。
■牛若丸が男装の美少女です。で、弁慶は女好きで暴れ者な破戒僧なのですが、五条大橋で牛若丸と対峙して彼女に惚れてしまいましてね。「平家を倒したら、『はじめて』をあげる」という約束で家来になるんですよ。
『傭兵ピエール』のピエールとジャンヌダルクなどで見られる、王道シチュエーションですな。
牛若丸がかなりロリコン系の、可愛くてまるっこい美少女なので、好みが分かれるところですね。
■問題は平家です。この漫画、極めて珍しいと思ったのは、

主人公(弁慶と牛若)のライバル役は、なんと重盛!

普通の漫画で知盛がやりそーなポジションに、重盛がいます。
で、教経のよーなポジションに、知盛がいます。
宗盛はダメキャラ扱いです。しょぼん。
■で、重盛なんですけど、

これがかなりカッコいい。


私、正直申しまして、この漫画の重盛はマイベスト重盛になるんじゃないか!?というくらいにカッコいいと思いました。
漫画自体はエロくてバイオレンスなのです。この漫画の平家はそっちの意味での悪逆非道もかなりやらかしてて、そこで憎憎しさが演出されてます。(そこは主に宗盛の出番)
だから、カタキ役の重盛もそっちの意味で黒いのかと思うじゃないですか。でも、違うんですよ。重盛はエロ要素には一切ノータッチ。
「女の牛若丸に重盛がご執心」というようなギャーなシチュエーションもありません。
重盛は、平家の今の支配の仕方に先行き不安をおぼえてて、もっと冷徹な手段での支配を考えてるんですよ。そのために自分の持ち駒がほしくって、寧ろ弁慶を部下にほしいとご執心なのです。あらびっくり。
あと、清盛が重盛にめちゃめちゃ甘いってトコも、私は好きだなぁ。
「清盛は激情家なぶん、目下や弱者に寛大なところがあるが、重盛はそうじゃない」っていうくだりがあって、その人物像は面白いと思いました。この作者先生、めちゃめちゃを描いてるようで、結構平家物語を読み込んだうえでアレンジしてるんじゃないかな。

■そのほかの登場人物ですが、義経&弁慶の子分に「ヨイチ」「ナオ(小次郎という赤ちゃんを連れてる、おじさん。熊谷らしい。)」とかも出てきます。
途中でジャンプの漫画らしく武術大会になったりする(笑)のですが、そこでは源仲綱&木ノ下とか、なかなかシブいキャラも登場してます。常盤と廊の御方とか。

■惜しむらくは、重盛を倒したところで打ち切りになったこと。
重盛もあのまま倒れそうにはないし、知盛もまだ元気だったのになぁ。
『ますらお』といい、源平漫画は完結できない呪いなのかしら。あ、『リョウ』は完結してるか。
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by mmkoron | 2006-01-05 23:47 | コミック


平家物語の虚構と真実〈上〉〈下〉

上横手 雅敬 著/ 塙新書 / 各945円 / 1985年発行

■平家物語に登場する12人について、平家物語のテキストでの言動・人物像と、『玉葉』をはじめとする同時代人の資料を比較し、タイトルどおり何が「虚構」で何が「真実」なのかを検証していく…という本です。
その12人と、筆者の見解を簡単に、私が読んだ印象で書きますと

平清盛…暴虐三昧ではなく、ある意味中世初期の武人像を体現した人物。
平重盛…超保守。清盛が保守な重盛を溺愛しているところが面白い。
源頼政…枯れるのを待つだけの老人ではなかった
文覚…頼朝の野望などお構いなしにわが仏道を行く人
小督…高倉帝ってそれほど純愛一途な人ではない。
源義仲…全編通してハチャメチャ。でもそこがいとしい。
平宗盛…母性を発揮する善人。平家物語では彼の人物像を活かしきれてない。
熊谷直実…結構反体制でロックな人
平重衡…物語にも人々にも愛されまくる人
源義経…色白美青年ではなく、明るい野生児。それでいいじゃないか。
源頼朝…表裏のある人。平家物語は直球で批判してはないが、視線は醒めてる。
建礼門院…うらみつらみよりも、素直に我が子の死を悲しむ、普通の女性だったのでは。

こんなカンジでした。
■重盛のところでは、維盛をはじめとする、小松家の人々にも触れられてます。
この筆者先生は、『玉葉』寿永3年2月の記述や『源平盛衰記』の記述をもとに、「維盛は戦線離脱して投降した」説を採ってました。
同時代人の建礼門院右京大夫が入水説を信じてて、その情報に依拠して資盛と文通してそのまま話が通じてたんだから、投降はないだろうと思ってたんですけど…。
学者先生的にはアリなんですかね? 私は歴史学にはとんと不案内なのでよくわかりませんが…。
そういや、六代についても、「実は斬られてない」説が提唱されてます。
小松贔屓なのかな。他の人物に関する記述は、わりとスタンダードで、別に敢えて異論を提唱する風でもないので、不思議。
■あと、読んでて不思議だったのは、宗盛に関する記述。
維盛や重衡と比較すると非常に冷遇されてる…って書いてあるんですよね。
確かに、カッコよくは描かれてないんだけど、でも私は彼のパーソナリティを物語が否定しているとも思わなかったので、そんなに冷遇されてるかな?と違和感。
宗盛が死んじゃうところ。地の文は結構冷たいんだけど、周りの侍たちが「かわいそうに…」って泣いてる描写があるじゃないですか。平家物語って、いつも最後の最後のところでは、人物を見捨ててないと思うんですよね。
地の文が淡々としてても、読み手にひっかかる仕込みをしてるといいますか。そこが、仏教文学を目指しつつもやっぱり大衆に引っ張られてる、平家物語ならではの愛らしさかと。
そう感じるのは、私がどっぷり文学系だからですかねぇ。

■そのほか面白いのは、やはり清盛についての記述かな。最近の作家が清盛を書くとき、わりと鷹揚な人柄で書かれることが多いのは、こういうトコロから来てるのね、と納得できます。
あと、義経に関する記述も良かった。
腰越状の「百姓に召し使われて働いて…」のくだりに注目してました。私も気になってたところだったので、面白かった!
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by mmkoron | 2006-01-05 23:27 | 書籍

    

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