源平観戦日記


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中世日記紀行文学全評釈集成 第二巻 たまきはる

収録作品:たまきはる(大倉比呂志) うたたね(村田紀子) 十六夜日記・信生法師集(祐野隆三)/勉誠出版/13650円/2004年初版発行

■勿論ここは源平サイトですから、目的は『たまきはる』だったわけですが、十六夜日記の解説が面白かった。ありていに言うと「どうしてこの作品が微妙に残念なのか」を解説してる。
読んでると身につまされます。私、もし800年後に自分の作品について、この本の解説のように「おそらくこの作者も、書きながら軸ブレブレだなーと気づいたと思われる。だから、最後にとってつけたように、無理めにエピローグを描いたのだ。」みたいなこと書かれたら、草葉の陰で泣きますよ…。
■で、本題の『たまきはる』です。別名『建春門院中納言日記』。
平滋子に仕えた、健御前(藤原定家の姉)の日記です。日記と言っても、別に毎日まめまめしく書いてるわけではなく、「私の女房生活の思い出ベスト10」的にかなり軽重ついてます。いきなり6年後とかになってるし。
えらく具体的なところと、さっくり流してるところとのギャップがあるのですが、作者が12歳で初出仕したときの、滋子を初めて見るシーンはとっても鮮やかです。
あと、年取ってから仕えた年若いお姫様・春華門院を病気で亡くすあたりの描写も。この二人に仕えたことが作者の誇りなんだろうなーとよくわかる。
■解説にもかかれてましたけど、恋愛とか家族とかの話題はなくて、ひたすら「仕事日記」なんですよね。仕事での人間関係には言及されてるけど、それ以外の話は書かれてません。
滋子に目をかけられて育ててもらった少女時代と、掌中の珠のように内親王を慈しみ育てた晩年。間がかなり端折られてるのは残念だけど、一人の女性のキャリアの変遷として面白いです。
もっと遊びの部分もあったほうが文学としては面白みがあったんだと思うけど、「そもそも書きたかったことから外れることは書かんでいい」とする、そこは性格なんだろうなー。
健御前は春華門院の養育をめぐって他の女房と対立して、第一線を退いた(でも折に触れて春華門院とはやりとりしてた)らしいのですが、日記の無駄の無さやだらだらっとした人物評がないところは、確かに気強い性格だろうなって感じします。
「三河」っていう、仕事干されて退職した女房(元は滋子のお気に入り)の話とか、出てくるんだけど、どうして仕事干されちゃったのかとか、そういう話は書かないんですよねー。それが読みたいのに(笑)。
■作者の健御前は、定家の同母姉。この日記では自分のプライベートな情報はあまり出てこないのですが、定家の日記『明月記』にちょくちょく登場するらしいので、今度はそっちを見てみようと思います。
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by mmkoron | 2011-04-05 00:49 | 書籍

    

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