源平観戦日記


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第25話「見果てぬ夢」

■さて。これを書いているいま、大河は既に30話まで進んでます。1165年没の二条帝が崩御してますから、今回あらすじを書く25話(1158年スタート)からは7年くらい経ってるわけですね。でも、キャストがかなり入れ替わったから、もっと時間が進んだようにも感じるなぁ。
実際も、1159年前後で宮廷の顔ぶれも大きく変わってると思うので、こんな感じで「ずいぶん変わったよなぁ」って感じだったのかな。
■さてさて、今回は、齢50を過ぎてようやく充実期を迎えた信西の最後の輝きと、その裏で不満を溜め込む義朝が中心になる回です。


【信西】
■信西は、50を過ぎて政治の実権を持ち、もう仕事が楽しくて楽しくて仕方ない。財政をやりくりしてなんとか人材発掘のための大学寮を作ろうと四苦八苦していました。
それをほほえましく見ながら、妻の朝子が語るのは、昔の彼のおはなし。
中国から来た高僧をもてなそうとするも、中国語もわからずマトモに応対できない宮廷人のなかで、唯一流暢な中国語で応対をした信西。いつか日本の大使として中国にわたるときを考えて、彼は中国語を勉強してたんだと。そんな彼を、くだんの高僧は「生身観音だ!」と絶賛したそうです。

ぎゃー、まだ生きてるのに「生前の功績まとめ」が始まってるぅぅ!!

■大学寮を作りたい信西は、リストラによってお金を作ろうと思い立ちました。
無能な宮廷人をばっさばっさ。現代ではなかなか通らないこの策が、この時代は断行できちゃいます。
当然信西は恨みを買ってしまいますが、しかし信西はどこ吹く風で精力的に政治を行うのでした。
このころ、宮中は二条天皇親政派と、後白河派とに分かれ、どっちが政治の主導権を持つかで微妙な関係にありました。
信西は後白河派の宰相役として大ナタをふるい、特に二条派にムカつかれていました。しかし、彼の大ナタは二条派にだけ向いているわけではありません。
■信西にとって、同じ後白河側でありながら困り種になっているのは、藤原信頼の存在。
後白河のご機嫌をとる遊び相手というだけならよいのですが、後白河に官職をねだったりするところが困りモノ。また、後白河自身も政治的な勢力バランス感覚があるわけではなく、自分が注目されている状態ならそれでOKという人なので、信頼のおねだりを受け容れてしまう頼りなさがあるのです。
後白河は、信頼に望む官職に見合う能力がないことがわかるくらいのアタマはあるのですが、どうしても目先の楽しみにまけちゃうタイプなんですよね…
こんな風にフワフワした後白河に、信西は楊貴妃にうつつをぬかして国とわが身を滅ぼした「長恨歌」をプレゼントし、遠まわしに「能力のない寵臣の甘えに応えてちゃだめだよ」と忠告したのですが、どうもうまく伝わっていないようなのでした。


【義朝】
■信西から政治的パートナーに選ばれ、どんどん実力発揮の場を与えられている清盛に比べて、義朝はジリ貧状態。親を斬ったという陰口に耐えつつ、清盛に比べればたいしたことない役職に甘んじる日々です。
由良の病気もあってダウナーモードに陥っている義朝を気にして訪ねてきた清盛にも、意固地かつややイジケ気味な態度を見せます。東国に飛び出して強くなって帰ってきたころのような、ポジティブな「今に見てろ!」が今の彼にはありません。
彼には、「武力を見せつけてのしあがる」以外の立身出世イメージが持てないので、宮廷でどう自分が動いていけばよいのか迷子になっちゃってるんですね。
清盛に対しても「全てにおいて恵まれた貴様とは違う」とか言い出して、清盛に対しての壁をさらに厚くしてしまいます。
■そんな義朝の様子に不安や寂しさをおぼえていると思われる、清盛。
そんなとき、義朝の子・頼朝は、統子内親王(後白河の姉)が女院になるにあたっての宴にて、いまや実力者として上座に座る清盛にお酒を注ぐ役を努めます。しかしド緊張のあまりに注ぐ酒が杯を外れるという粗相をしちゃう。
すみません!と平謝りの頼朝に、清盛は、「いいよいいよ」と優しく…ではなく

「やはり最も強い武士は平氏じゃ! そなたのような弱きものを抱えた源氏とは違う!!」

と言い放ちます。
その言葉に、緊張のあまりあふれた涙を溜めたまま顔を上げ、キッと清盛を睨みつける頼朝。
そうすると、頼朝のまなざしを受け止めた清盛は、ニッと笑みを見せるのでした。
■清盛は、ホントは義朝にも同じ言葉で発奮させたかったんでしょうね。でも、義朝のメンタルはいまやボロボロなので、そんな言葉かけられない。そのやるせなさや怒りを頼朝にぶつけてみた。そしたら、頼朝は立ち向かってきた。それが嬉しくて清盛は笑みで返したのでしょう。
義朝もかわいそうだけど、理解し合えると思ってた相手から「お前とは違うし」と距離を置かれちゃう清盛もまたかわいそうですね。
■そうこうするうちに、重病だった由良にいよいよ臨終のときが訪れます。
なりふりかまわず、数日前に突っぱねたにもかかわらず、清盛に宋の薬をもらいにいこうとする義朝。それを由良はおしとどめて、ここで平家にアタマを下げてはいけないと言い出します。
義朝が源氏のトップとして誇り高く生きる姿をこそ尊敬しているのだ、と、彼女なりの方法で義朝を発奮させようとする由良。死に行く今、彼女は、脆い心がむき出しになっている義朝をそのままに残していくことが、気がかりでしょうがないのでしょう。
もともとは、強引で強気な義朝に由良が片想いするという馴れ初めだったことを考えると、この2人の関係はずいぶん変わりましたね。
平家の薬なんてもらわなくていい、そんなことで平家に頼みごとなんてしなくていいと言う由良に、「お前の命には代えられない!」と言い切る義朝。
由良が心配するとおり、今の義朝は強気を見せる内側に隠し持っていた脆さが前面に出てきている状態です。それを「殿らしくない…」とたしなめつつも、「でも、うれしや…」と涙をこぼす由良。
ここは女性脚本家らしいシーンだと思います。彼女は、義朝のナイーブな本質の伴侶ではなく、武士の棟梁として振舞う外面の伴侶だと自分の役割を決めてたけど、でも面と向かって「何よりも、お前のほうが大事だ」って好きになった人に言われたら。やっぱり、女として嬉しいよね。
由良は、最後の力を振り絞って「誇り高い源氏の妻として、死なせてくれ」と伝えます。彼女の手を握ってボロボロ涙を流す義朝。
その姿に妻として満たされつつも、でも素直になれずに「…と、父が。」と照れ隠しを残すのが、死ぬシーンだからかわいそうではあるんだけど、キュートでした。
■由良はおそらく心配事はあっても、満足して死んでいったと思います。が、残された義朝の絶望は増すばかり。寂しさを癒してほしくて常盤のもとを訪れますが、自分の存在が義朝を弱くして由良の望みの邪魔になってしまうことを恐れる常盤は、義朝を拒みます。



【信頼】
■信西への不満を募らせた信頼は、ついに二条派の公家と結託します。二条派と組んででも、信西を追い落とすほうを選んだのです。
これって、後白河に対する裏切りでもあると思うのですが、信西憎しがメインになっちゃってる信頼にとってはどうでもいいわけです。
信頼の愚痴聞き役になっていた藤原成親も、これにはドン引きしてるのが面白い。のちの鹿ケ谷事件では率先して活動してる成親ですが、この時点ではまだハタチ。巻き込まれる側なんですねー。
■そうして信頼は、義朝にも声をかけます。信西がいるかぎりお前の出世はない、ここで一緒に信西を討てば、権力が望めるぞーと。
この発想はコワいですね。保元の乱が起きるまでの平安貴族には、「目障りだから討ってしまおう」って手段はなかったと思うんですよ。政治的に陥れることはあっても、戦という手段で相手を滅ぼして…という発想はなかった。でも、保元の乱が起きたことで、「それもアリ」になっちゃってるんですよね。
しかも、保元の乱では当事者ではなかった信頼は、その悲惨さはあまり見えてないので、武力行使=お手軽な手段くらいのイメージしかない。
保元の乱に比べると、非常にあっさり、うかつに始まってしまう。タガが外れちゃってる感じが伝わって、コワいと思いました。
■義朝はいったんはビビって辞退します。彼にとっては、戦争はそんなにお手軽なものではないからです。
しかし、息子・頼朝から清盛とのライバル関係について教えてとねだられた義朝は、息子に語りながら、現在のねたみそねみではなく、前に進むために互いを奮起させていた頃の気持ちを思い出します。
かつて、自分を見失ってへたり込んでいた清盛と競べ馬をした頃。
そのときは義朝が勝ち、「次は負けぬ!」と追いすがる清盛を振り返らなかった義朝。そのときの自分の満面の笑みと、頼朝に向けた清盛の笑みは一緒だったのだろう…と正清にも言われて、義朝は我に返ります。
それは、立場が逆転していた…というネガティブな気持ちではなく、「今は、自分の番なのだ」という思いでした。

■義朝のこの気持ち自体は、何も間違っていなかったのです。
「今こそ自分の番だ!自分が清盛の背中にくらいついていくのだ!」と決意したのは良いのだけど、ただ、そこで選んだ行動が悪かった。「武力でなんとかする」以外の方法を選べないのが、この物語の義朝のせつなさですね。
義朝は信頼と組み、信西を討つ道を選んでしまいます。
ちょうどおりしも、清盛たち平家一門は、熊野詣のために京を出てしまったところ。守る者のいない信西に、討手が迫ります…
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by mmkoron | 2012-06-24 16:56 | 大河ドラマ「平清盛」


第24話「清盛の大一番」

■ちょっと調べものがあって、「世界のことわざ辞典」的な本を読んでたのですが、ラテン語にこんな格言があるんですね。

Dum fata sinunt vivite laeti.(運命が許す間は、嬉々として生きよ。)

「平清盛」における「遊びをせんとや…♪」と同じ意味っすね。「遊びを…」の今様と、セネカの言葉から派生したこの格言の間には影響関係はないわけですが、全然違う地域で「生きる」ことを考えた結果が、同じ結論に行き着くもんなのねーと面白い。

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■ここ数回大きな出来事が動く回でしたが、今回はインターバル回。
 1)政治的な根回しセンスを習得した、清盛の立ち回り
 2)信西と清盛との、息のあった連携
 3)追い詰められる義朝
 4)世代移行
のあたりが描かれてます。

1)政治的な根回しセンスを習得した、清盛の立ち回り
■何があったんだ!?ってくらいに、「政治の世界に生きるオッサン」の風格が出て来ました。忠正たちを斬ったのが理由だとしても、吹っ切れ方がすごい。今まで存在していた「そうはいっても、曲がることなく生きていきたい」みたいな理想を削ぎ落としただけで、こうも変われるもんなのか…。
敢えて間をみせずにガラっと変えたのかもしれないけど、
「いろいろ思うことはあるけど、ぐっと堪える」みたいな中間のつなぎになるシーンが1つでもあったほうが、私は流れに入りやすかったなー。
■原田さんとのやり取りはちょっとヤがつく自営業の人のような感じでしたが、実際はもうちょっとスマートに営業して結びついたんじゃないかとも思います。
というのも、ここで平家の私的な部下になった原田さんは、その後もずっと平家方。平家が都落ちして九州に行ったときにも、一門を迎えてるんですよね。その態度は壇ノ浦ちょい前に源氏方に原田さんがボコボコにされるまで続きます。
その結びつきの強さを思うと、脅しで配下にしたというよりも、利害関係で結託して、しかもちゃんと旨い汁が還元されてたんじゃないかと思うわけです。
■門を破ったとき以外コレといった出番がない、兎丸たちを出すための演出だったのかな?

原「税金納めたいのはやまやまなんですけど、悪い連中を手なづける為の必要経費なんですよー」
 ↓
平「じゃあ、うちの用心棒置いてくね。こいつら使って悪い連中やっつければ、出費なくていいよ。」
 ↓
(「悪い連中」よりもタチの悪そうな兎丸達を置いていこうとする)
 ↓
原「いやぁぁぁ。お金あげるから帰ってぇぇぇ。」

みたいな感じですよね。しかし、お茶飲んでるときの清盛のコミカルな顔がよかった。「めっちゃあくどいけど、愛嬌あるからなんか憎めない」みたいな。
■そんな清盛に、後白河が興味を持ちました。いや、興味持ってるのは今までもだったんだけど、清盛の傷をチクチクしていたぶる楽しみよりも、清盛を思う存分働かせて得られる楽しみのほうが大きいと気づいた感じ。これは、清盛のほうに風が吹いて来ましたね。


2)信西と清盛との、息のあった連携
■信西の権限だけではまだ大宰府の長官にはできない。しかし、清盛は、信西から与えられた「きっかけ」だけで作戦を立て、大宰府の長官の地位をものにする。
後白河が器に興味を持ったときの、信西の「ソレ来た!」的な反応が良かった。ツーカーというか、お互いが何を目的としているか分かっているし、それに対して協力するという信頼関係ですなぁ。
清盛が宋を前面に出してきたのは、信西がかつて宋に行きたがっていたこととも関係するわけですよね。
■あと、信西との話ではありませんが、成親も面白かった。人脈だけで近臣に成りあがっただけあって、清盛の打つ手が的確なのを見て感心した瞬間に、縁組をお膳立てするところがさすがですね。

3)追い詰められる義朝
■全体的に明るい(重盛パートすら!」雰囲気で進んだ回でしたが、しかし彼のシーンは重かったわぁ…。
今まで自分の心を支えてきたものを失って、次に何に拠って立つのか見失い気味の義朝。以前に言ってた喩えを使うなら「次に足をかける場所がみつからない」「どの枝を目標に上るのかわからない」ってところでしょうか。
しかも由良まで倒れちゃって。
統子内親王の言う言葉が、一昔前の少女漫画とかで「カノジョの女友達」が言ってくる言葉みたいで面白かった。「私には男の世界とかわかんないけど、●●子を泣かしたら承知しないからね!」的な。
統子様の声は、舞台っぽいところが皇族の「出来すぎてて、どこかつくりものっぽい」になってて、良いですね。しかし、義朝を責めるときの言葉は、ドスきいててちょいコワかった。ブルブル。
■プライドなげうって(清盛以上に自尊心が強い人なのに!!)信西にお願いしても、あっさり袖にされる。清盛にチクリとイヤミを言っても、目標に向かって迷いをなくした清盛は動じない。その姿を見てまた焦る。
やばいです義朝。完全にネガティブスパイラルに乗っかってるわ…

4)世代移行
■家貞さんの「老い」が強調されて、一方で重盛が本役に代わって前に出てきた。「清盛の親世代+同世代」だったのが、「清盛世代+子世代」になってるんですね。
確かに、前回までで清盛の前の世代は軒並み死んでしまった&退場したので、今の主要登場人物の中で残ってるのって家貞さんと、あとは藤原忠通くらいなんですよね。
ちなみに、美福門院得子様は鳥羽院の妃なのでなんとなく清盛より上の世代に感じますが、実際は清盛よりも1コお姉さんなだけなので、清盛世代です。
■さて。叔父さんを殺す命令をした信西と仲良くしている父親についていけない重盛君(ちなみに今ハタチ)。
「父上は間違っている!」という責め方ではなくて、「父上は考えがあってそうしているのかもしれないけど、自分はそこまで覚悟が定まってない!」というどこか内省的な発信になっちゃうところが、ああーいかにも重盛って感じでした。
これがどこかから、面と向かって父親を批判するキャラになっていくのでしょうが、それでも重盛って結局自分を責めちゃう感じするもんなぁ。
■マリッジブルーと青少年の悩みとが全部重なって「この婚儀はなかったことに!」になっちゃった重盛への、清盛のリアクションがよかったですね。「父ちゃん情けなくて涙出てくらぁ!」ってあばれはっちゃく状態で蹴り飛ばすのかと思いきや。
考え込んで「止まって」しまう重盛に対して、立ち止まるな、今は動くときだという清盛のメッセージだと、あの愛のある投げ落としから感じました。清盛は、「もっとこうしたい!」と動き出しちゃう若者でしたが、重盛は「それはおかしい」とは思っても、反対側に走り出す勢いがない感じ。だからこそ、清盛はああいう指導(笑)の仕方にしたのかなーと。
単に「昔の心を忘れて、政治に生きる人になってしまった」ってことじゃないと、私は感じました。

【その他いろいろ】
■ついに崇徳さま流罪。ホントに善意なんだろうけど、無理めな希望を投げかける西行には「いらんことすな」って正直思ったわぁ…。
■相撲節会は、「義経」の五足以来の裸狩衣! しかし、五足ファンだった友だちも、あのお相撲さんには別に喜んでないだろうなぁ。
信頼さんを超お気に入りの後白河ですから、お相撲見て「…ゴクリ」となるかと心配したんですけど、そんなことはなかったですね。信頼に対しては、このドラマでは純粋にキャラがおもろいから気に入ってるだけらしい。
お相撲のルールはよくわかんなかったけど、土俵がないから、とにかく土をつけるしか勝つ方法がないってことか? そう思うと今よりシビアですなぁ。しかし、昔の食事であれだけ太るのは難しそうだよね。
「優勝してお言葉をもらえるかとおもったら、後白河はお茶碗のことだけ気にしてた」シーンは、義朝の登場シーンと同じくらいいたたまれなかった…。
■清盛とその兄弟総出のダンスは、なんだかほほえましくて嬉しくなってしまった。
経子は、眉つぶしてたけど、ちょっと現代的な可愛さが残るように工夫されてましたね。子役の真ん丸い顔の子のほうが可愛かったけど、本役もいい感じ。モーニング娘。なんでしたっけ?
清盛と重盛とのやり取りにおろおろしながらも、しかし場を乱さずに動く様子が、「普通のお嬢さん」っぽくてよかった。ところで、この時点で維盛は生まれてるはずなんだけど、経子の子どもってことになるのかなぁ。
経子と結ばれる前にどっかで知らん女と子ども作ってる…だったら、それこそ清盛に投げ飛ばされそうだが。


■さて、次回からは本格的に平治の乱への階段を登っていくようです。
頼朝もティーンな子役に代わったわけですが、おおーっ「おひさま」の春樹兄さん!! 春樹兄さん好きだった私としては非常に嬉しい。webのニュースとかでは「家政婦のミタの…」って紹介されてるけど、NHK好きにとっては「春樹兄さん(子役)」だよなぁ。この役者さんは。時期的にもミタより早かったし(といっても、私、ミタみてない。)。
■そうそう、時期的には次回あたりで義経も生まれますねきっと。階段を上った先の、その先も既に地中深く芽吹くための準備に入っていくわけでして、そのへんも楽しみ。
建礼門院徳子や、摂関家に嫁ぐ盛子も既に生まれてるはずなんですけど、そっちはこの先どこで出てくるのかなー。
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by mmkoron | 2012-06-17 22:07 | 大河ドラマ「平清盛」


第23話「叔父を斬る」

■清盛が始まる前に、うっかりとNHK「100分で名著」のカフカ『変身』の回を観てしまった。どうして気分が落ち込むものを観てしまうんだ自分、ばかばかー!!
『変身』を初めて読んだのは中学生の頃でした。夏休みの感想文のためになるべく薄い文庫本買いにいくべと思って、買って帰ってきたのがカミュ『異邦人』とこれだったんだよね。(最悪な選択)
結局『異邦人』のほうで感想文書いて提出したんだよね。何書いたかあまり覚えてないんだけど、ホラー作品見た後の感想文みたいなのになってました。中学生にはキツわ…

■そんなわけで、くらーい気分のまま視聴感想です。

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■信西さんから「忠正は斬首」と通告されて、呆然の清盛。
前回、平氏方も源氏方も「流罪にはなっちゃうだろうなぁ」くらいの見込みでいたことは、繰り返し描写されていました。
だからこそ、「落ち武者狩りで殺されるくらいなら、保護して、流罪になっても命を全うできるようにはからう」ことを、清盛も由良御前も選んでいたわけです。ところが、まさかの死罪。
3日間の停学くらうかなと思いながら学校に謝りにいったら、退学くらった…みたいな。(軽いか)
■最初は呆然としていた(この演技良かった。最初、戸惑いすぎてハンパな笑みすら浮かんでるの。人間は理解不能なものに出会うと笑ってしまう、の法則どおりで迫力あった。)清盛ですが、言葉を理解できると、今度は怒りがこみ上げてきます。なにしろ、長いこと死罪なんてなかったのです。
抗議する清盛ですが、信西は、「帝にたてつくとこうなるぞ」というのを示して、後白河への中央集権を強化したいわけなので、聞き届けてはくれません。
そして、首謀者は摂関家と王家で、武士は雇われただけじゃないかという抗議に対しても、「武士だからこその処罰」と告げます。清盛はそのあとの反応からして、「武士は犬だから、そういう扱いを受ける」と解釈したかもしれませんが、信西は、「物理的な力を持つということは、そういうことだ」という意味で言っているのでしょう。
取り付く島のない信西を諦めて、今度は清盛は成親さんへ嘆願へ。
しかし成親は、自分もいさめたが、説得できませんでしたごめんなさい…と泣いて謝ってきます。こうなっちゃうとそれ以上無理強いできない。しょんぼり帰る清盛の後姿を見送って、そこで顔を上げる成親は、能面のような無表情。ウソ泣きですか。
うわー、きっとこの得意技で何度も苦難を乗り越えていくのね、この大河の成親さんは。
鹿ケ谷のときに視聴者はめっちゃ「ざまみろ!」気分になりそうだな。

■その頃、義朝さんも同じように親兄弟を斬首せよと命じられていました。
清盛が言わなかった「もらったもの全部返すから、それは勘弁して!」をあっさり言っちゃう義朝。
ここらへんの違いについては、後でまた言及したいと思います。
しかし、信西の放った一言で、義朝は固まります。「清盛んとこは、叔父を斬るってよ」と。
えーうそだー、清盛まだ返事してなかったじゃんん!!
あれですね、友達同士を一緒に捕まえて別々に置いて、「あいつもう自白したよ。お前のこともゲロったよ。」と片方に伝えると、憤慨もしくは観念して自白し始めるという…あんな感じですか。
■ふらふらのまま帰宅した義朝。つらすぎて、縁側に座るお父さんの顔を見ることもできません。
顔を背けると、その方向には由良の姿。由良のところでドカドカ歩いていった義朝は、そこでいきなり由良にビンタ!! 
由良が義朝を連れてきちゃったから、「お前が余計なおせっかいしなければ、お父さんが死なない可能性だってあったのに!!」ってことなんでしょう。でも勿論それは、八つ当たりです。
このドタバタを目にする為義は、義朝にどういう沙汰が下ったのか、察したようです。
■これで親兄弟を斬るなんて…と、あんなに欲しくて、そのために兄弟を討って手に入れた名刀・友切(改め新ネーム「髭切」)にも八つ当たりする義朝。
そんな義朝をたしなめて、為義は自分の首を取れと伝えます。親兄弟の屍の上に雄雄しく立て、と。
強くなりたい、そのために今まで鍛錬してきた義朝ですから、それを思えば一番の励ましのはずなのですが…
■由良は、頼朝を呼び、義朝の試練をお前も見て来いと伝えます。まだ10歳くらいですよね。ハードな命令です。しかし、由良は、頼朝を強くしたいのです。彼女なりに、源氏が抱えるこの負のスパイラルを乗り越えられる武士にしたいと思っているのでしょう。

■平家では、なんとか忠正を逃がせないかとみんなが会議していましたが、当の忠正が死ぬことを引き受けてしまいました。
自分が兄を裏切ろうとしたから、それを庇って…と、号泣して謝罪する頼盛。しかし、忠正はお前のせいじゃないと言います。忠正が恐れるのは平家が滅亡すること、身内を処断することで一門がより強い組織になるなら、それでいいのだ…と。
■なるほど。この言葉をずっと胸に残していたから、頼盛は都落ちに加わらなかった…という展開になるんでしょうね。でも、頼盛には、清盛のような「身内を切り捨てることでより強くなる」ことができなかった。忠正の言葉を自分が守ろうとして、実際「平家」を残したけど、でも自分が罪の意識に苛まれて生きていられなかった…ってなっちゃうのかな。とか想像したら、このシーンだけで妄想で泣けたわ。うわーん(涙)。
裏切られるのもつらいけど、裏切るのもつらいよね。

■自分を責める頼盛、亡き忠盛パパに謝罪する家盛、じっと座して前を見据えたまま朝を迎える清盛…
それぞれの思いにもかかわらず、無情に時間は過ぎ去って、いよいよ忠正処刑当日です。
家盛は何を「申し訳ございません」って謝罪してたんでしょうね。みんなの思いをうまく汲み取って繋ぐ…という、家令としての働きが不十分でした…ってことかなと思いますが。
■忠正は出発前に、自分とともに処刑される4人の息子達に
「一門を恨むな、恨むならこの父を恨め」
と伝えます。「一門を」と言ってますが、要するに「清盛を」ってことですよね。
そこにトコトコやってくるのが、今は「清三郎」の宗盛。先日壊して泣いてた竹馬を、叔父さんに修理してもらってたので、それをもらいにきたのです。
当然そんなのこのドタバタで出来上がってません。
まだできなかった、と言う大叔父さんに、事情を知らない幼い宗盛は、とりあえずどこかに大叔父さんたちはお出かけするってことだけはわかってますから、「じゃあ、お帰りになったら!」とねだります。
大叔父さんは、本当のことなど言えるはずもなく、ウソの約束を交わすのでした。
うがー、また泣いちゃうー!!!!
私、「ゲゲゲの女房」でフミエの弟が死んじゃった後の、フミエの子どもの反応でもザバザバないたんですよ。フミエの弟は手先が器用で、フミエの娘に鬼太郎ハウスを作ってくてるようないい叔父さんだったんだけど、水難事故で死んじゃうんですよ。でも、下の娘は「死」が理解できないから、お姉ちゃんから「死んじゃうってのは、もう会えないってことだよ」と聞いて、おもちゃの電話を取り出して、「おじちゃん、鬼太郎のおうちありがとう。皆待ってるからまた遊びに来てね!」って語り掛けて…って、いかんわ書いてるだけで思い出し泣きしそう。
とにかく、ここで子ども使うのはずるいー泣くー。
■しかし、ここで注意すべきは、清三郎と鬼武者(義朝と由良の子ども)の対比でしょう。
父が祖父を斬る姿を見て来い…と送り出される鬼武者と、大人たちの優しいウソで守られる清三郎。
今回、清盛と義朝の対比では、義朝が弱さを露呈してしまうのですが、実は次の世代では、逆の対比が既にされているわけです。おーこわ。


■さて。いよいよ平家一門(こっちは水辺のようですね)、源氏(こっちは山の中のようです)双方で処刑が始まります。
平家一門のほうには、西行がやってきて、物陰からそっと見守っています。
源氏のほうには、ちょっと源氏に肩入れ気味の野次馬・弁慶が駆けつけてます。
■清盛は父から譲り受けた宋剣、そして義朝は「髭切」を。
どちらも太刀を振りかぶりますが、どうしても斬れない。
清盛に、忠正は叫びます。自分を斬れ、これから兄(忠盛)に会う自分に、あんな赤子を拾ったから平家は散々だと言われたいか、あの赤子のために平家は滅びたと言われたいのか、と。
忠正は、最期まで自分の役割を全うする覚悟で、だからこそ最期までこの叱咤の形です。
清盛は叫びながら、太刀をもう一度振りかぶります。そうして、振り下ろしました。
そして、父に遅れないように早く、と心をこめて呼びかけるイトコたちも次々と手にかけたのです。
■忠正がここまでじっくり描かれるドラマって、もうあと20年くらいないのかもしれない。
実際は忠盛とあまり仲良くなかったんじゃないか…って説もありますが、史実とやらがどうであれ、今まで名前と1行くらいの事跡でしか認識されてなかった人を、この人は何を考えてたんだろう、この人が生きていたことは、その後の人にどういう意味を残したんだろう…って掘り起こされ再構築されたということは、このあたりの時代が大好きな人間にとっては、すごく有難く嬉しいことです。
ドラマの何が嬉しいって、役者さんが1人に1人つくってのが嬉しいよね。大河ドラマくらいのボリュームになれば、間違いなく、その期間その役者さんは、どんな小説家漫画家脚本家よりもその人のことを考えているわけでして。自分の好きな歴史上の人物に、そんな風な人がつくって、すごくうれしくない?

■義朝にも、為義が語りかけます。お前の手で斬ってくれ、と。優しく語りかけたあと、義朝の躊躇をみてとって、「斬れ!」と今度は叫びます。しかし、義朝には斬れません。小っちゃい子どもに戻ったようになって、うずくまって泣きじゃくります。為義は、そんな義朝を見て、やさしく「泣かずともよい、もうよい、もうよい」と語りかける。そこで代わりに髭切を手にして為義を斬ったのは、鎌田正清でした。
泣き叫ぶ義朝、義朝の嘆きを無視するかのように響く兄弟たちの読経の中、正清は次々と太刀を振り下ろしました。

■義朝の弱さが強調されてる対比ですが、でもこれ、今までのストーリーの流れからすると、無理ないです。
義朝はかつて、努力が報われないお父さんを見て、自分が強くなってお父さんができないことを成し遂げよう、強い源氏にしようって思ったのです。
お父さんの自慢の息子になってあげたい、お父さんを支える強さがほしいってのが本来の動機で、それ以上の野心がないから、お父さんを自分で殺すってことは、ある意味自分の夢を自分で壊すことです。
だから、「褒美も全部返すから」って即答もできたのです。そりゃ斬れないでしょう。
一方、清盛のほうは、「一門仲良く」以上に、「武士の世を作る」「デカいことがしたい」という夢があります。
だから、これを乗り越えて夢に近づけ、と忠正に叱咤されたことで、斬ることもできたのです。
■あとは、源氏側、平家側の処刑シーンの対比も凄かったですね。
源氏側のおどろおどろしさ。為義と義朝以外の身内はめっちゃドライ。あれは、義朝が怯んだからというだけじゃないでしょう。既に源氏と平家の家としての対比が始まってるんだな、と思います。
■ところで。義朝の兄弟たちは、父の頼みを聞けなかった義朝を罵倒してましたが、為義はどう思ってたんですかね。「もうよい」ってやさしくなだめる言葉からは、義朝の弱さを残念に思う気持ちと、我が子が遠くに行き過ぎたバケモノでないことがちょっと嬉しい気持ちとの両方がある感じがしました。
あれで義朝が勇ましくあっさり首を取っていたら、この父子の距離感は埋まることがなかったでしょう。だから、私は義朝のあの醜態は、為義にとって救いにもなったと思うんですよね。


■余談ですが、為義の処刑シーン、正清もいい演技してましたね。
見かねて斬った…ってだけじゃなくて、義朝の苦しみに遭わずに済んだ(父・通清は既に戦死してる)立場として、自分がここで代わってやらねばって思ったんでしょうなぁ。とか思った。

■処刑の報告は、信西にも届きました。
ここで養子の師光さんが、信西が武士に極刑を強いた理由をべらべら語ってくれます。
 ・武士たちは斬首にするほどの罪でもなかった。
 ・特に、忠正のほうは別に殺さなくても良かった。
 ・ただ、為義一党は摂関家の手下なので、摂関家にトドメを指して帝に権力集中したい
  信西としては、為義一等が残るのは都合が悪かった。
 ・だから、「敵方の武士は全員死刑」にした。
ということだそうです。だから、保元の乱開始の時点で、「下野守はお気の毒」って師光は言ってたのでしょうね。「この戦いで源氏の戦力減が狙われてるのに、知らずにやる気出しててお気の毒」と、そういう意味だったのね。
師光は、信西のドライな政治判断に感服した、一生ついていきます!と語りかけます。
■しかし、師光に背を向けたまま「首は大路に晒せ」と告げる信西は、静かに涙をこぼしていました。
信西は、どれだけ残酷な処罰かをわかっていて、その痛みをわが身に突き刺しながら、それでも命じている。でも、その苦しみを分かってくれる人はいない。
頼長がわが子たちに「人から謗られ侮られても、道を曲げるな」という意味の遺言をしていましたが、その遺言を目にしていた信西は、まさにそういう場面に向かい合っているのです。


■処刑が終わって肩を落としている清盛に、後白河からパーティーの招待状が届きました。
成親がホントに気を遣ってるのかフリをまたしてるだけなのか、「病欠って伝えましょうか?」と勧めますが、出席を決める清盛。
新播磨守として参上した清盛に、関白忠通が自ら杯を授けます。
かつて忠盛が殿上したときは、それが不愉快で苛め抜いたが、今は武士の力を認めざるを得ない…と。
そういや、このあと清盛は忠通の長男一族と仲良しになるんですよね。その布石かぁ。
■ちょっと浮上したかに見えた清盛を、絶望に叩き落すのは後白河です。この人、ほんとに人の傷をえぐるの好きですね…
清盛へのプレゼント、とばかりに「遊びをせんとや生まれけむ」ダンサーズを呼び、傷心の清盛を舞台に引っ張り出す。そこで言い放ちます。

我らは遊び戯れるために生まれてきた。ここに居るのは、その遊びを許された、選ばれた者たちだ。
清盛、嬉しいだろう。生きる力が沸いて来るだろう!

後白河と信頼だけが楽しそうで、あとの人はみな気まずい表情なのが印象に残るシーンですね。
これ、「自分が生きる為に身内の生きる道を断つ」という過酷な経験をしたばかりの清盛に言う言葉ではありません。つまり、後白河は清盛に対して、
「我ら、上の人々の戯れでお前らは殺しあったんだ、勝って我らの仲間になれてうれしいでしょ?」「どう?怒った? めっちゃパワー沸いてきたでしょ??」と言ってるのです。




                        ∩___∩
     __ _,, -ー ,,             / ⌒  ⌒ 丶| 今、どんな気持ち?
      (/   "つ`..,:         (●)  (●)  丶    生きる力沸いた?
   :/       :::::i:.        ミ  (_●_ )    |
   :i        ─::!,,     ハッ  ミ 、  |∪|    、彡____
     ヽ.....:::::::::  ::::ij(_::●    ハッ    / ヽノ      ___/
    r "     .r ミノ~.      ハッ   〉 /\    丶
  :|::|    ::::| :::i ゚。            ̄   \    丶
  :|::|    ::::| :::|:                  \   丶
  :`.|    ::::| :::|_:                    /⌒_)
   :.,'    ::(  :::}:                    } ヘ /
   :i      `.-‐"                    J´ ((
      清盛                           後白河


このAA思い出したわ…。
かつて、若き清盛は、同じように自分を挑発した白河院に、太刀を投げつけました。
しかし、今の清盛は、ぐっと堪えます。堪えたまま、後白河に御礼言上したのでした。
■無力感と屈辱に震える清盛は、宴が終わってもその場に座り込んでいました。そこに現れる信西。
お前が今回の事件の張本人だ!とばかりに信西に殴りかかる清盛ですが、信西もまた嘆きを抱えそれを隠して裁断しているのだと知ります。
これを乗り越えて、この国の宝になれと。お前の武力と私の知力で世を変えようという信西の言葉に、顔を上げるのでした。

■その頃、時子は妹・滋子に、どこかに出仕せよ(つまり人脈作りに貢献せよ)と命ぜられています。かつては「光源氏の世界みたいだから、出仕してみなよ」的な発想しかなかった時子が、政治的判断でそれを言うことに、滋子は驚きます。
時子にも、ようやく武士の妻として自分が何に立ち向かうのかが見えてきたようです。
■一方、由良は常盤のもとを訪れ、義朝の心を支えてほしいと頼まれています。由良は、義朝のナイーブさを支えられるポジションに自分がいないことを了解しています。以前からの覚悟のように、義朝の妻としてではなく、棟梁の妻として生きるつもりのようです。
常盤に向かって(子どもを)優しい子に育ててくださいね、自分は強い子に育てます…と宣言しているのが印象的。ああ、義経…。(由良が見てた子どもは阿野全成なので、別に優しいキャラなわけでもないが)

■そして、いよいよ頼朝が元服します。
心の傷の癒えない義朝のそばに行き、早く元服したい、強い武士になって父上をお支えしたい、と言うわが子の言葉。かつてそう願って父に告げた日を思い出し、義朝は涙するのでした。


■そんなこんなで、今回は対比がまたしても多かったすね。
 1)大きな目標のある清盛の強さと、それがない義朝の弱さ
 2)ドライでドロドロな源氏と、ウェット基本仲良しな平氏
 3)時子と由良、妻の自覚のスタートに、かなり差がついている
 4)清三郎と頼朝の差がデカい(年齢は一緒だよ)
清盛が大きな躍進に向けて動く時期でありつつ、既に不幸の種も仕込まれてる…。
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by mmkoron | 2012-06-10 22:42 | 大河ドラマ「平清盛」


第22話「勝利の代償」

■今回は戦の事後処理の話、かつ負けた側が処分を受ける前という状況のお話なので、あまり動きはありませんでしたね。その分、みんなの表情に見ごたえがあってよかった。
私、松ケン氏はアップのときの目の動きがいいと思うので、どちらかというと「静」の回のほうが清盛が存在感あると思います。
■といっても、相変わらず、「清盛自身が目立つわけでも牽引するわけでもなく、清盛が周囲に間接的な影響を与え、周りの登場人物がそれぞれの見せ場を見せてくる」感じですね。清盛主役にした時点で、前半はそうするしかないんだけど。
■それにしても、叔父さんの処刑は次回なんですね。引っ張るなぁ…って思ったけど、しかしよくよく考えると、ここでそこまでやっちゃうと、1回でたくさん死にすぎて、感動が拡散しちゃうんでしょうね。

■さて。今回は録画しそこなってるので、記憶だけで書きます。

================================

■戦は後白河側の勝利に終わりました。
鎌田正清に義父の長田さんが「お父さんのこと残念だったね、でもこれからはワシを父と思ってね」と優しい声をかけとります。どの口がそれを言うかー!!という気持ちになるよなぁ。
■そこに颯爽と現れた後白河が勝利宣言。もののふたちよ、よくやってくれた!みたいに言われて、平伏する平氏、源氏それぞれの目に涙が。
ここ、立場や性格によって、表情が違うのが面白かった。
義朝は親と敵対した辛さを抱えつつも、帝の言葉に感慨無量っていう「感激」も表情にありました。
でも、清盛は帝のねぎらいに対してはあまりプラスの反応してないですね。
正清は、終戦宣言されて、ようやく悲しみを表せるようになった…緊張が切れたような涙でした。「帝にそこまで言ってもらえるなんて…!」ってよりも、父親の死に素直に泣いてる表情だなーと。
■武士たちは、それぞれ身を切る思いで戦っている。帝は彼らの苦労を認識しているよアピールをしてるけど、しかし兄を討つ苦しみを抱えてなどいない。その差も垣間見えたシーンでした。

■もはや片付けるだけになった床机(?)にごろんと寝転んで、「終わったー!!」と声を上げる清盛。
これ、わかるわー。私もベッドにごろんして「下書き描けたー!!」とかやるもん。思うところあって畳張りのベッドを作ったので、まさにこの清盛が寝転んでるみたいな平べったいベッドなんだけど。
叔父のことはあるし、この後が肝心なのはわかってるんだけど、でも、区切りをつけるため、次に進むための掛け声みたいなもんだよね。
■そしたら、陣幕の向こう側からも同じような声が。義朝でした。
2人はこれで世が変わる、武士の世が始まると語り合います。相変わらず清盛は「おもしろう」とか言ってて、義朝にいつもそれじゃんってツッコまれてる。
でも、ある意味この清盛の抽象的な「おもしろう」って、卑近な具体的内容になってしまわないぶん、可能性があるとも言えるんだろうね。そして清盛は、今回の昇進で可能性をまた広げていくわけです。
このシーンが、帝の前に平伏して泣いてたシーンのあとに来てるってのもいいですね。
彼らは2人とも、この戦いで精神的にダメージを受けてる。その中で、「これでよかったんだ」と自分の思いに折り合いをつけて次に進むために、敢えて明るく夢を語ってる。
■ここで、義朝の刀について「友を斬るでは縁起悪いよね」って話になったときの、清盛の「とも…ワシのこと?」みたいな努めて抑えつつ控えめにしつつのニコニコ顔と、義朝の「ば…ばっかでー、お前なんか友達じゃないっての!」(ツンデレ)みたいなやり取りが可愛かった。
もうこの2人いいオッサンなんですけど、でも相変わらず2人で喋ると10代の頃のワルガキなのね。

■と…まぁ、後白河側は「後片付け」モードになってますが、相変わらず戦が終わってない人もいます。
■崇徳は、途中で輿から降り、おつきの者を逃がしました。
出家を望みますが、彼を導いてくれる僧侶も、髪をおろすための剃刀もありません。何一つ望みが叶わない我が身を笑っちゃうしかない崇徳。どこまで落ちていくんだ状態ですが、そろそろ落ち止まりであってほしいですね。
■次に頼長。輿を急き立てて逃亡する最中に、武士に先回りされ継ぎ手が動揺し、輿から転げ出る。部下が出てきちゃだめー!と言ってるのに、自分と一緒に転げ落ちた書物を拾おうとして、首を射られてしまいました。
そんな重傷の身で、目指したのは父親がいる宇治。
しかし、父・忠実は屋敷の門を閉ざし、頼長を拒みます。摂関家の者でありながら矢を受けるなんて、春日大明神のご加護が尽きてるってことだ、だからそんなヤツは入れられないと。
輿にもたれてぐったりする頼長は、もはや助かる傷ではありません。それでも宇治を目指したのは、助かりたいからというよりも、自信も誇りも失ってボロボロの精神状態のなかで、ただただ父親に会いたかったのでしょう。しかし、彼の耳に入るのは、門を閉ざす父の意向を告げる声。
もはや声をあげて泣くこともできず、ただただ涙を流す姿は哀れです。
最後の拒絶の口上を聞きながら、「父上…」とだけつぶやき、頼長は自ら舌を噛み切って死にました。
これ、そのまま首の傷で衰弱して死んでいく形でもいいのに、敢えて自決させたのは、絶望の状態のなかで父の薫陶通りの摂関家の矜持を持った死に方をさせてやろうという、制作側の親心なんでしょうかね。
そのまま受け身に死んでいくと、ほんとに「父親に拒絶されて、放置されて死んだ」になっちゃうから。
■さて、頼長が門の前に運ばれてきたのが夕方。頼長が舌を噛み切ったのが日が落ちたあと。忠実は、門の向こうの声がかすかに聞こえる場所に明け方までそのまま座っていました。
頼長を乗せた輿が遠ざかる音がしてからだいぶ経ち、空が白み始めたころ、一羽の白い鳥が忠実の前の庭に降り立ちます。「チチウエ…」とつぶやくのは、あの鸚鵡です。
鸚鵡ちゃん、輿に乗って一緒に移動してたんでしょうか。じゃあずっと頼長は「チチウエ」とだけつぶやき続けていたのでしょうか。
庭に降り立ったものの、そのまま伏してしまう鸚鵡。思わず忠実は駆け寄りますが、既に鸚鵡は息絶えていました。
気強く門を開かず、頼長が自害した気配を感じたであろうときも座したままだった忠実の感情が、ここで決壊します。
門を開いて頼長を入れてしまえば、自分も崇徳側に与したことを認めてしまう。崇徳側が負けた以上、摂関家を守るには知らぬ存ぜぬで通すしかない。そのために、瀕死の息子を切り捨てた。でも、目の前で父上、と呼びかけながら息絶える命を見てしまったら、もう耐えられない。
「我が子よー!!」という絶叫が哀れでした。摂関家の皆さんは、ずっと平家にとって敵役でしたが、彼らもこの戦いでは大きな代償を払ったのです。
■頼長の屋敷は、焼き討ちにあってみるも無残な状態になっていました。そこに佇んでいた信西は、焼け残っていた彼の日記を見ます。

イニシャルトークのセキララ男色体験の部分じゃなくてよかったね…

幸いなことに、信西が開いたのは、彼が息子達を集めて訓示を行ったというくだりでした。歴史秘話ヒストリアのED前恒例の「最後に泣かすぜ」パートでこの部分使われてましたね。
■書かれたのは1153年。公卿になった兼長と師長のふたりに、人からバカにされたり悪口を言われようと忠勤に励むこと、父である自分に何かあったとしても自分は朝廷で見守っている…そんな内容です。
1153年は頼長33歳。今の私たちでも33歳くらいって、仕事で大きなこと任されるようになって、采配しながら自分でもやりたいこととがいろいろ出てきて、仕事がいちばん楽しい時期じゃないですか。なんかそう思ったらせつないわ…。
頼長の政治への情熱は本物だった。人の悪意の中でも自分の理想を貫くという覚悟も持っていた。
信西は彼の日記を読んで、改めてそのことを強く感じたようです。ここが、彼のその後での戦後の処罰への判断に繋がるようです。
■余談ですが、ちなみにこの訓示を受けた息子のうち、兼長は流罪先の出雲で2年後に病死します。もう一人の師長は名古屋市熱田区のあたりに流されて2012年6月5日修正 すみません、このときは四国に流されてます。名古屋に飛ばされたのは平家の政権になってからですね。失礼しました。、
彼のほうはその後都に戻ります。で、頼長の訓示が生かされたかどうかというと…どうなんでしょ。芸術方面に長けた人で、彼が出てくる説話とか読むと、「うーん、アーティストって感じよね」って感じです。

■さて本編の話に戻ります。
戦を終えて、自宅に帰る清盛。清盛はもちろん、重盛・基盛の顔を見て「1年も会ってなかった気がする…」と心からほっとしてる時子にほのぼの。
重盛は叔父の忠正について、その消息を気にかけていますが、清盛は今では罪人となった叔父をどうすることもできない、と伝えます。
■源氏のほうでも、帰還した義朝を由良が迎えていました。常盤は、由良の正妻としての態度を目の当たりにして「私なんかが表に出ちゃいけない」と思ったようで、義朝を迎えることなく退出しています。
為義を気にする頼朝に、義朝は清盛と同じことを告げます。罪人となった者と連絡をとろうとなんてしたら、こちらに累が及ぶと。

■しかし、そういいつつ、清盛は忠清に命じて叔父の行方を捜させていたようです。ここ、ほんとに清盛が探してたのか、忠清の意を汲んで「自分も同じ気持ちだから」としてやったのか、ちょっと解釈迷ったけど。
伊勢まで逃げていた忠正が清盛の屋敷に連れてこられます。
この時点では、「連れてくる=降伏したことにして、匿い保護する」のようです。
忠正とその息子達は、生きて虜囚の辱めを受けてなるものかとばかりに抵抗しますが、清盛は生き恥を晒してでも平家のためにもっと働いてほしいと告げるのでした。
■一方、源氏では由良が彼女単独の判断で、為義を匿っていました。義朝が余計なことするな!と激昂するのに対して、頼朝への教育のためだと真っ向反論する由良。
以前は義朝に怒鳴られたらビビっちゃってたわけですから、強くなったなぁ…。
でも、彼女はちゃんと義朝の気持ちをわかってるのです。為義に対面し、義朝が殿上するお許しをいただいたことを由良は告げます。寂しそうに、でもそれ以上に嬉しそうな為義をみつめる由良。彼女は、この親子の思いをわかっているのです。
でも、正直に説得しても自分に義朝が従わないことはわかってるから、こういう方法しかできない。
常盤が由良は立派だ…と言ってましたが、ほんとに。いちばん見てほしい相手に見てもらえない内助の功って、ものすごく心が強くないとできないよね…。

■さてさて朝廷です。
後白河は既に戦の後処理にも飽きはじめてる感じ。成親の報告を聞くのもそこそこに双六遊び、しかもその双六にも飽きてる。そんなときに、美福門院が登場。
「勝っていい気になってるみたいだけど、アンタ所詮ツナギの帝だから。そこんとこ勘違いすんなよ。」(意訳)
とクギをされました。美福門院がさらさらいい目を出し、優雅に喋りながら後白河のコマを指でぴしっと弾く、あのエグさがすてきです。
事務処理に飽き飽きの後白河は、これにゾクゾク来ちゃったそうです。
やばいです、後白河さん、他者からの強い攻撃性にワクワクして生きがい感じちゃう、ハードMへの扉が開いちゃったようです。

■そんな後白河が主催する、戦後処理会議。負けた崇徳側の処遇を決めていきます。
摂関家の忠実について、忠通はスルーしたい意向ですが、信西はそれを許さずに忠実の荘園没収を裁断します。慌てる忠通。文句を言いたいのですが、遮られてしまいます。うーん、このやり取りで、既に忠通がイニシアチブ持ってないのが透けて見えます。
次に崇徳については、後白河が信西に意見を促し、信西はあっさり「流罪が妥当」と言い放ちます。これには貴族の皆さん仰天。(このみんながいっせいにぎょっとする演技が良かった。さっき荘園没収されて苦々しい表情だった忠通もぎょっとしてて。)
確かに、ここ最近(っていうか数百年レベルで)天皇が流罪ってなかったのです。
■さすがにそれはマズいでしょ…という空気になる会議メンバーたちを、信西は一喝します。
そもそもこの戦の発端は崇徳の帝位への野心。だから、その芽を潰さないとならない。そのために戦をしたのでしょう!と。
彼は、「戦をするということは、そういうことだ」と外野気分の貴族達に突きつけているのです。
頼長の日記を見てなにか考え込んでいた様子の信西ですが、国を思う人材を生贄にしただけの意味を、この戦で生み出さなければならないという責任感があるのでしょう。
この信西の腹を括った態度を理解してるのかしてないのか、後白河のOKが出て、次に議題は武士たちの処分に移っていきます…

■その頃、忠正は宗子の訪問を受けていました。頼盛はスケジュールの都合…ではなく、合わせる顔がなくてこれなかったそうです。
頼盛の身代わり同然になり申し訳なかったと謝る宗子に、忠正は、「途方も無いことをする兄を持つ、弟の戸惑いはよくわかるから」と語ります。
そして、兄・忠盛が清盛を拾ってきたときに、自分がこの尻拭いをずっとしなくてはならないんだと思った…とも。
ここでちょっとうるうるしちゃいました。宗子はどこか「忠盛の実の子(かつ正妻の子)である頼盛のために、ありがとう」って感覚を引きずってると思います。でも、忠正の返事は違います。
彼は兄と自分の関係を、清盛と頼盛に重ねています。忠正が誰よりも敬愛してきた兄を、清盛に重ね、どちらも「とほうもない兄」と言っているのです。そして、兄が清盛を平家の子としたことの結果に、自分が一生関わっていかねばならないのだと。
忠正は、とっくに清盛を認めていたのですね。清盛の心を癒すその言葉を、どうして清盛に言ってやらないんだと歯がゆくなるけど、でもそれがこの叔父と甥の関係なんでしょうね。
■そのあと、清盛の子ども達と朝ごはんタイムを迎える忠正。
清三郎(宗盛)と清四郎(知盛)もやって来ます。彼らがまたがって遊んでいるのは、かつて忠正が重盛・基盛に作ってやった竹の馬でした。
あのとき忠正は、「血のつながりなんて考えず、新しい弟を思い切り可愛がってやれ」と重盛に伝えましたが、弟たちがおさがりの竹馬で遊んでいる様子を見ると、ちゃんと忠正の言ったとおりになっているようですね。
竹馬が壊れてぴーぴー泣く清三郎をなだめる忠正。
泣いてるのは弟のほうかと思ったら、やっぱ宗盛なのね(笑)。とほほ。

■そんな穏やかな時間を打ち壊す命令が、清盛に届こうとしています。
忠正ら、敗者側の武士には処刑の沙汰が下りました。
聞いたものの、まだその命令を受け止められない表情の清盛のまま、次回へ。
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by mmkoron | 2012-06-03 22:46 | 大河ドラマ「平清盛」

    

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