源平観戦日記


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第31話「伊豆の流人」

■まずは伊豆でニート暮らしの頼朝。
藤九郎が天真爛漫というか暢気さ全開でお仕えしているようですが、微妙に距離があって噛み合ってないのが笑える。
藤九郎がわわーっと喋るだけしゃべって、ずっとゆるい微笑みをたたえて聴いてた頼朝が「話は終わったか」。「ええ一通り」。この会話好きだ。「義経」のときの安達盛長は、もっとシブい感じでしたから、この軽さは新鮮です。
■そんな頼朝に、監視役の一人である伊藤祐親が尋ねてきます。
頼朝に外出を促すような水を向けますが、頼朝が自分が流人だから…と遠慮するそぶりを見せると、満足したように帰って行きます。頼朝は、別に敵を油断させようとしてるわけでもありません。長い流人生活のなかで、だんだん自分の時代感覚や意志を麻痺させていったみたい。
父や母、そして清盛の思い出も、ぼんやりとしてしまってる。もともと、恨みつらみを糧に怒りで前に進むタイプじゃないんでしょうね。

■全てが朧ろになっている頼朝ですが、一方、京では。
清盛がいよいよ夢に向けて一歩を踏み出そうと、一門の者や兎丸たちにその計画を語っています。
博多のような港を都近くに作るんだと。
そこで宋との貿易をしようというのです。そんな大型船が入れる港なんてこの近くにはない、という兎丸に、「通れるように瀬戸を広げればいい」とあっさり返す清盛。
ドデカイ仕事をあっさり語る清盛に、兎丸一味はおもしろい!とバカウケ。
清盛の息子達もつられて一緒に笑ってますが、重盛ひとりが怪訝というか腑に落ちない表情。反対しているというわけではないけれど、他の貴族たちの反発を懸念しているのです。そして、彼自身が父親が何を目指しているのかはかりかねている。

■さてさて朝廷では。
二条天皇に待望の皇子が誕生しました。のちの六条帝ですな。
ちなみに母親は身分の低い女官です。そのへんは、崇徳の重仁皇子とちょっと重なりますね。歴史は繰り返す…。
二条天皇はもちろん我が子を帝位につける気まんまん。世の中が天皇親政モードになって、なかなか政治の主導権が握れない後白河は、これでますます実権が遠のく予感にイライラしてます。
イライラから救われたいとお経を読むのですが、法華経の「長者窮子」のお話のところの「説是我子」のくだり…これは親が生き別れになってた我が子を指名して、自分の財産を与えるっていう場面なんですけど、それを読みながらキーッとなってその経文を叩きつけます。
「オレは渡したくて渡してるわけじゃないわ!!」ってことですかね。
自分にタテつく二条が政治を思うままにしてるのが許せない…って、「歩み寄らぬのは帝のほうじゃ!」と自分の子どもと同レベルでケンカしてるあたり、いやはや相変わらずです。
そんな後白河に、笑顔で清盛と引き合わせるのは、今は後白河の寵妃となった滋子。彼女は皇子を産んだあと、ちょっとずつ政治家の顔を見せてますね。彼女のこれまでの「私は私の思うがまま生きたい」という思想からすると、家のため親族のためではなく、ただひたすら自分(と我が子)のために政治志向になっているわけで…そっちのほうがコワい。
■後白河は鬱憤晴らしに千体の仏像を作りに作りますが、アタマかくして…というか、その千体を入れるお堂が資金不足で作れないそうな。トホホ。最初にコスト配分しなかったんか。こんなことまで出たとこ任せな性分…。
そこで登場したのが清盛です。清盛は、立派な御堂を寄付します。
大喜びの後白河は、清盛に何がご褒美にほしい? と質問。そこで清盛は、長男重盛を、朝議に参加できる参議に任じてもらったのでした。
後白河は、出来上がった御堂に帝もくればいい!とゴキゲンです。
それにしても、この後白河にとっては信仰もストレス発散や暇つぶしなんですね。。。
■でもね。後白河の人格を見下げている二条帝が、後白河の御堂が立派だからって行くはずがありません。
清盛はそこには触れずに二条帝にまめまめしくお仕えするのですが、重盛がそのへんの空気を読まずに二条帝に「後白河はお父さんなんだし、御堂に行ってはいかがですか?」的なことを言っちゃう。
で、清盛からはめっちゃ怒られちゃうんだけど、重盛はどういうつもりでこんなこと言っちゃったんでしょう。
確かに彼の義兄(妻の兄)は、後白河近臣の藤原成親ですけど、別に奥さんの顔を立てるために言ったわけではないでしょう。このへんの心情は、次の場面に出てくるセリフをもとに解き明かすことにしましょう。
■重盛は、妻の経子に語ります。
かつて父・清盛は、鳥羽院と崇徳院の父子の絆修復のために奔走し、しかし叶わず、一門を守る為に手を汚していった。
このへんのセリフをどう解釈したものか?と思ったんだけど、重盛は、清盛に対して「本心からの願いを堪えて、本意ではないことをしてるんじゃないか?」「それとも変節をヨシとしてるのか?」とその真意をはかりかねているのかなー。
で、本当はこういうことを言ったほうがいいんじゃないか、と彼なりに代弁しようとするんだけど、清盛の意志にはそぐわなくて…って感じですかね。つらいな重盛。
二条帝に子の道を説いちゃった重盛のことを、盛国が「かつての殿のようでしたな」って言って、清盛は「ワシはあのように青臭うはなかった!」と答えるシーンがありましたが、青臭さはどっこいとして、重盛のほうはどこか「こうあるべき」論であって、清盛のような心の底からの主張って感じがしないんですよね。
そのへんは、平家物語とか読んでるときに受ける重盛の印象と重なる。

■うまいこと重盛にポストを与えることができた平家一門ですが、甥である重盛に官位で越されることになった頼盛の周囲は浮かぬ顔。
当人は、保元の乱での自分の身の処し方が悪かったせいだと諦め顔です。
そんな頼盛のもとに知らせが。彼の生母である池禅尼の病が重く、寝込んでしまっているのです。
心配いらないと言いつつも、「いささか疲れた」と弱音を吐く池禅尼。
もう50年も経つ、と振り返る池禅尼。覚悟をして忠盛に嫁ぎ、清盛の母親になると決めてからもう50年…。
「今の平家があるのは、母上のお力があったればこそ。女として、こんなに晴れがましいことはありますまい?」と語りかける頼盛に、彼女は「そう、思っておったのじゃが」と言葉を濁し、ただただ頼盛にすまぬと涙まじりに謝るのでした。
■立派な人間として自分を律して生きようと決めつつも、それを全うできず、頼盛かわいやのホンネがこぼれ落ちてしまう。清盛を憎んでいるわけでも軽んじているわけでもないのだけど、やはり可愛いのは頼盛。
池禅尼のブレ方は、気持ちよい姿ではないけど、人間的ですね。
彼女と、清盛の後妻である時子は似たような立場であるわけですが、時子と重盛との関係はこの先どうなるのかな。ここまで池禅尼のブレを丁寧に描いたら、時子・重盛になんの波風もないのもウソくさくなると思うのですが。しかし深キョンに池禅尼レベルの深みが出せるとも思わないし…うーん、どうなるのやら。

■場所は変わって鎌倉。
めんどいなーとボヤきつつも、頼朝の監視役・伊藤祐親が都の大番役を勤めるため、旅立ちます。
完全に単身赴任のお父さんモード。頼朝への監視を怠るなと注意していきますが、見送る家族の中に、彼の娘である八重姫が…
父親に「帰ってくる頃には、美しく成長しているだろう、楽しみだ!」と言われたので、成長してみせてサプライズしようと思ったのか。
八重姫の下男(侍女じゃなくて男の下人を連れて歩いてるのね。。。)は、都育ちの頼朝に、八重姫のお行儀?指導をしてもらおうと思い立ちます。頼朝が人との接触を避けて暮らしていることをわかっている藤九郎はその依頼を聞き流そうとします。しかし、従者たちがお願いしますいやダメだとやりあっている脇で、ボーイミーツガール。八重姫と頼朝は出会ってしまいました。

■またまた場所が変わって京。このドラマ、場面の切り替えが多いなーと、こうやって感想書いてるとつくづく思うわ。なので、結構時系列を整理しなおしてまるめちゃったりしてるんだけど、それでも多いなぁ。
都では、さぁこれから!という23歳の若さで、二条帝は崩御。しかしなんとしても後白河に政治を任せたくない彼は、「上皇に政をさせてはならぬ!」と叫び、僅か生後半年の我が子に帝位を譲ります。いやいや、それでも赤ちゃんが政治するよりマシだろう、といいたいところですが、このドラマの後白河はそう言えない人格だよな(笑)。
■当時、お葬式ってないと思うので何の儀式なのかわからないのですが、二条帝の成仏を祈る?念仏が響きます。その場に厳粛な面持ちで控えつつ、二条帝の夭折を悼みながらも「しかし、なにごともさだめじゃ」とつぶやく清盛。重盛はハッとして訊き返します。
ここ、清盛が、運命の理不尽さに対して「なんでだ!なんでそうなるんだ!!」と抗い憤ってた若い時代とは違って、いったん受け止める姿勢に変わっているってことなのかな。
■そんなとき、厳粛な儀式をブチ壊す騒音が。
鉦鼓?を打ち鳴らして、後白河ととりまきの僧兵たちのおでましです。相変わらず、こういうとこで自己顕示するのが大好きなのね。
で、ずかずか邸内に上がりこみ、帝の棺があるのか?と思われる方向をじっと見つめる後白河。

「なぜわしの蓮華王院に来なんだ? さすれば(=来ていれば)、千体の観音像がお守りくださったものを」

これを言う表情は、ふっと真剣味のある表情。
露悪的というか愉快犯的に見せているいつもの後白河とは違う、「素」の姿。でも、次の瞬間には「だからこっちから来てやった!」とまたヒャハハ笑い。
このドラマの後白河は、「バカに見せて本当は深い人」じゃないのが、却って面白いですね。
清盛が言うとおり、ただただ自分が中心でないとイヤ、自分が上から見下ろす立場じゃないとイヤ、でも本当は人を引っ張る器量があるわけじゃない。だから、「特別な人」ポジションにいられるように、奇矯な人として胸を張る…そういうキャラですよね。中島敦の世界だと虎になっちゃう(笑)。
最初は後白河のもたらした大騒ぎに清盛も慌て気味でしたが、ここで大騒ぎを威厳で威圧して、毅然と後白河に言い放ちます。
アンタはただの子どもだ。二条帝はそれをよくわかっていたから、最後の力を振り絞ってアンタに実権を渡さなかったんだ!と。
じっと堪えていた清盛が本音をビシッと言う姿に、重盛は感銘を受け、誓います。
父親を信じて支えようと。でも、重盛は清盛の意志とシンクロできてないわけで、目指しているものを共有しきれない状態でその人についてくって、ちょっと辛いよね。
■重盛をシビれさせたこの事件ですが、同時にこの清盛のカミナリを目撃してビビってた人が。宮中の警備のために上洛していた、伊藤祐親です。
「清盛を怒らせるとやばい」。この意識が彼に刷り込まれてしまったのが悲劇の始まりです。
このとき、遠い伊豆では、頼朝と八重姫はすでに心を通わせてしまっていたのです……

■後白河とのいざこざが一段落したころ、池禅尼が子や孫達に囲まれて息を引き取ります。
頼盛にもらした本音とはうってかわって、「なんと満ち足りた人生だったか」と語り、清盛に後を託す池禅尼。しかし、清盛に後事を託しつつも、視線は頼盛の姿をとらえ、「けっして、たやしてはならぬ」と伝えるのでした。
忠正叔父さんといい、このお母さんといい、頼盛の応援をしてるんだか縛り付けてるんだか…って状態ですなぁ。

■とまぁ、今回も、清盛の変化とともに変わっていないところを描いていました。
上司が昔「性格は変えられない。でも習慣は変えられる。」って私を諭してくれたのを思い出すなぁ。。。
清盛も、性格というか本質は変わってないけど、自分で意識的に変えようとしてるんですよね。
あ、そうだそうだ。話は逸れるけど、こんな言葉も聞いたことがあります。
「人は変わらないと言うのは、他人を変えようとした人。
人は変われると言うのは、自分を変えようとした人。」

これも好き。
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by mmkoron | 2012-08-28 01:37 | 大河ドラマ「平清盛」


「平清盛」公開セミナーin岡山

2012年8月26日  講師:髙橋昌明氏(神戸大学名誉教授/大河ドラマ「平清盛」時代考証)

※注意※
私はセミナー内容にも講演者の著作権があると思うので、内容の掲載ではなく、あくまでも講演を聴いた私の感想として書きます。


■おおーっ、ついに岡山でもセミナー開催。しかもゲストは、プロデューサーでも役者さんでも演出とかのスタッフでもなく、時代考証の先生。なんだか手堅い~。私もさっそく往復はがきをだして申し込みました。
で、当日。駅前のNHKが入ってるビルの前に行くと、でっかいナナミちゃん人形のあたりに、なんか黄色いシャツの集団が。「募金おねがいしまーす」とか「奥のホールにお越し下さい~」とやってます、24時間TVです。コラボしてるのか!?と思ったのですが、別にそういうわけでもなく、奥のホールへの呼び込みをする黄色いシャツ集団が、だんだん前にせり出してきてNHKの入り口前に陣取ってる格好になってたようです。
■うっかり黄色いシャツについていって中尾彬さんの撮影を見に行きそうになりましたが、ぐっとこらえてNHKへ。
こっちでも、「おかあさんといっしょ」の人形との撮影コーナーがあったり、歴代大河のパネル展をやったりしてて、人でにぎわってます。「おかさんといっしょ」は、なんか新しい人形になってるんですね。牛とねこと…あと謎の生き物でした。家に帰って調べたところ、「ラーテル」だそうです。何それ。
清盛のコーナーもありましたよ。役者さんのサインと、得子・清盛・乙前の衣装が展示されてました。
お土産にどーもくんシールとかもらって、いよいよセミナー会場です。

暑い。

入り口とはパーテンションで区切られてるだけなので、外の熱気がじわじわ入ってきます。げー。
今回客層は、9割が60歳以上って感じでした。午前中に整形外科に行くとこんな感じ。
おそらく役者がゲストだともうちょっと客層が若いんだと思いますが。そういえば広島のセミナー(ゲストは人物デザインの人)のときも、今回ほどじゃなかったけど年齢層高めだった。こうやって見ると、大河ってやっぱりお年寄りの視聴者が支えてるんですね。

■さて、そうこうするうちに14時になって、いよいよセミナー開始です。拍手とともに髙橋先生登場。最初はアイスブレイクと言うか、世間話から始まるわけですが、いきなり「視聴率が思わしくなくて…」(笑)。苦笑交じりですが、ほんとに残念そう。そりゃそうだよね。この時代が好きでライフワークにしてる人だったら、みんながこの時代に関心を持ってくれないってのはションボリでしょう。私ですらションボリだもん。
先生曰く「最高の役者の最高の演技、最高の演出に最高の脚本に二流の時代考証(ご謙遜!)なのに」なぜこうなんだろう・・・と周りの反応を見る限りでは、

・名前がわかる清盛と頼朝ぐらい、あとは名前も知らない登場人物…という、時代の知名度のなさ。
・そもそも清盛に悪役の印象が強く、人気がない。

が2大要因のようだ…ということで、そこから話が始まりました。
私の周囲を見てる実感だと、後者よりも前者が大きい気がするんですけど、会場の人たちは後者のほうでウンウンと頷いてたので、大河の主要視聴者である高齢者にとっては、後者の要因のほうが大きいのかしら。

■で、その話から「じゃあ実際の清盛ってどういう人?」ってことで、彼が悪人ポジションになった経緯と、それが変化する契機(氏曰く、吉川『新平家』が先行で、むしろ歴史学者は遅れてたとのこと)が何だったのかという話。十訓抄などを引いてきての清盛の人柄紹介などをお話されました。
面白かったのは、単純に「ね、清盛って優しい気配りの人でしょ!」ではなかったことです。
平家物語の感情の起伏の激しさがむしろ彼の本質にあって、ただそれを抑えて振舞っていたのが壮年期だったのではないか、晩年はいろいろタガが外れることが多くなっていたようだ(秀吉とかのように)という分析だったことですね。私、いまちょうど各話紹介で「ついにブチ切れた」清盛を描いてる最中で、私も清盛をそういうトコロがチャーミングだと思って描いてるので、嬉しかった。
(義経とかに対してもそうなんですけど、「卑怯な作戦をしたから嫌なヤツ」みたいな即決はつらい。それだけじゃないトコロがあるからこそ、最後までついてく人がいたし、文学になってるんじゃない?と思う。)
■ところで先生が、福原に篭って清盛が何をしてたかよくわからん時期について、「どうやら瀬戸内海に船を繰り出してたようだ」って話しつつ、「今でいうクルージングですね。清盛は、定年後に外車で走り回っているハイカラじいさんみたいなもんです。」って話してたんだけど、
私には鮮やかに、クルーザーでブイブイいわせてる北●謙三先生の姿が浮かびました…。

■清盛の人物像の話のあとは、今回の本題である「平家政権も“幕府”だった」という話。
よく「平家は貴族化しちゃった中途半端な政権、武士の政権としては鎌倉幕府が最初」と言われるけど、鎌倉幕府は、清盛が六波羅や福原で実験したことを、制度として確立したものといえる。
400年続いた貴族社会の中で手探りで挑戦した清盛の平家政権と、清盛というロールモデルがあった状態からスタートできた鎌倉幕府を比較して、平家政権は出来損ない・鎌倉は完成形と評価するのは、あまりに酷。
…とまぁ、そんなお話でした。その根拠をひとつひとつ説明してくださったわけですが、これが結構難しい話なので、ところどころで長い航海にコックリコックリ旅立ってしまったお客さんもちらほらでした。
でも、正直このセミナーにはカルチャーセンター程度しか期待してなかったので、(時間の都合で資料を引いて説明っていう時間はなかったけど)しっかりした話だったのが私はうれしかった!

■最後に、質問コーナー。

Q1)「たまこ」「なりこ」などの女性名は、私が知る限りでは「しょうし」「とくし」だったと思うが、今回のような呼び方に根拠があるのか?

偉い先生がそう言い出したから、という、ミもフタもない回答でした(笑)。質問者の人が「しょうし」「とくし」が正しい名前だと思ってたのか、便宜上音読みにしてるだけだと知ってたのか、知識がどこからスタートしてるのかは、質問からは読みとれませんでした。

Q2)今回の講演でも、ドラマの中でも「王家」という表現が出てくるが、そのような呼び方はない。「天皇家」にすべきではないか。

王家キター。これもQ1と同じ人。すごい嫌な言い方しますが、私、この一連の質問を聴いてて、「ああ、王家うんちゃらって言う人は、このくらいの歴史の知識の層だってことかぁ」と納得しました。
「そんな呼び方はない」って結構強く言ってたんだけど、先生があっさり「この時代は日本国王って名乗ったりしてます」って返してて、ちょっと小気味良かった(性格悪くてごめんな)。ナレーションなどで呼ぶときは、その帝が故人だったりするので「天皇」でいいけど、会話文でリアルタイムに語るときは「王家」などにしたほうが自然だろう…と話し合ったとのことでした。というわけで、このあたりの呼称はスタッフ一枚岩のようでホッとした。

Q3)平家物語を読むと「おじご」という表現が度々出てきますが、これはどういう意味ですか?

先生が「おじさんの子ども、の叔父子でしょうか?」と尋ねるんだけど、質問者の人は答えられなかったので、先生はとりあえず「叔父子」の解説をしてました。しかし先生も言ってたけど、平家物語に「叔父子」って出てこないよなぁ。。。何か別の単語かも…って、回答を聞きながら考えたけど、思いつかない。漢字でどう書くかが説明できなかったので、平家物語ってよりも、この時代を紹介する何かの本か番組を見たってことかもしれません。

■とまぁ、こんな感じで講演終了。最後に先生のお茶目発言集。

・フカキョンこと深田恭子さんが時子を… (先生、もしや深キョンFANなのか!?)
・〈滋子への寵愛を説明するところで〉後白河は愛人がたくさん、男性も女性もいたのですが (さらっと!)
・本屋さんには清盛の関連本がいろいろ出ていますが、五味氏・元木氏などの本以外はまぁたいてい読まなくていい本です。ですから、そんな本を買うよりは髙橋さんの本を買ってください。 (笑)
・「今回の大河が、海と船が主役ですから!」と立派な船を作ってもらったが、費用がすごくて後が続かなかった…。 (先生の要望もあったのか…)
・ドラマでは前回(31回か?)「だじょうだいじん」と言ってたが、「だいじょうだいじん」が正しい表現なので、どっちに修正される。 (でも32回もだじょうだいじん、だったような。)
・広島は、この大河ドラマの効果でかなりもうかってるそうです。京都はまぁいつものとおりです。神戸はさっぱりです。理由は、何もないから。広島には厳島神社というお宝がありますからね。 (あーそうかも)
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by mmkoron | 2012-08-26 23:12 | 大河ドラマ「平清盛」


MOON SAGA 義経秘伝

2012年上演/原作・脚本・演出・主演(義経役):GACKT
巴御前:大和悠河 義仲:前川泰之 伊勢三郎:高橋努 弁慶:古本新乃輔  
陰:早乙女太一 源頼朝:大橋吾郎 北条政子:鈴花奈々

※私が行ったのは、名古屋講演in御園座。

※前提※
私は高校時代あまり熱心ではない演劇部員で、当時小劇場ブームだったので、第三舞台とか、離風霊船とかの劇はよく観にいってました。でも熱心じゃなかったので、内容について熱く語ったりはしてなかった。


■今回は、学生時代からの親友と2人で行ってきました。チケットは2階席2列目で13000円ナリ!
■事前に私は公式サイトを観にいって、いいようのない不安にかられました。
公式サイトではガクトさんのインタビュー映像を見ることができるのですが、そこで彼はこの物語は2002年ごろからあたためていた企画なんだと語っていました。構想十年。構想十年といえば男坂
男坂とは、漫画家・車田正美先生が十年構想をあたためて満を持して連載開始し、コミックス3巻で打ち切りになった「世界各地の番長たちが覇権をかけて抗争する」漫画です。
「構想十年」というのは、熟成されている可能性とともに、妄想が膨らみすぎてヤバいことになってる危険性もはらみます。どきどき。
■さらに、インタビューとかストーリー紹介では、なんか世界観がすごいことになっていました。

・この時代、異能者たちがお互いの力を駆使してたたかっていた。
・彼らは、人に非ざる力を用いるため、「者の不(モノノフ)」と呼ばれていた。
・モノノフと、モノノケ、そして人間たちが存在する…それが平安末期である。


コンセプトアート的なものを、CLAMPに発注してる時点で「ちょこっとアレンジした歴史モノ」くらいではないことは予想していましたが、予想以上にファンタジー設定です。
ちなみに、主要登場人物はほぼこの「モノノフ」でして、能力は人によって様々です。
  弁慶…怪力  巴…相手の能力の無効化  頼朝…相手の意思を操る
  義仲…相手の一手先を読みとる 伊勢三郎…治癒
この力については、あまり生かされなかった人も多くて、ちょっと勿体無かったかな。
■で、ストーリーなのですが、時期的には義仲が都に攻め込み、そして今度は頼朝軍に討たれるという、あのあたりです。

==================================
義仲は、平家との戦闘に次ぐ戦闘の中ですっかり心が荒んでたらしいのですが、義経主従との出会いで、久々に本来の闊達さを取り戻します。義仲の部下であると同時に恋人である巴は、そんな義仲の姿にほっとしています。
しかし、頼朝にとっては分家(と表現されてました。わかりやすく単純化してるんだと思うけど、なんかショボくなっちゃった感はある)の義仲は手駒にすぎません。少ない兵糧で戦わせ、後は使い捨て。
そのとき、義仲は絶望し、「源の名を捨て、木曾義仲となる!」と宣言します。
一方、義経は戦いを避けまくり、軟弱モノ呼ばわりされています。彼には秘められた力があるのですが、義経は、自分のその力が解き放たれることを恐れています。
しかし、義仲の暴走が始まったとき、それを止められるのはもやは義経しかなく…
==================================

■とまぁ、こんな感じのお話です。
正直に書きます。
義経が自分の腕とか押さえて「オレの力が解き放たれる前に…ううっ、…逃げろーーー!!!」とかやり始めたときは、「にへ~」と笑みがこぼれるのを抑えることができませんでした。ガクトさん、少年の心すぎですこれは。
■しかし、私はもっと「ガクトさんかっこいい」という独壇場のストーリーかと思ってたのですが、そこは抑え気味でした。
義経は、「本当はすごい力を持っているのに、隠している天才」というよりも、「すごい力に乗っ取られそうになっている、普通の人」というキャラ。そういう意味では「オレ様万能」な中二病設定ではないんですよね。
だから、最後まで観終わると、義経よりも義仲とか巴のほうが印象に残ってるんですよ。
ガクトは自分が義経をやりたくて書いたわけじゃなくて、ほんとにこのストーリーがやりたくてやりたくて、やると決まったら適材適所で配役していった、結果、「演者としてのガクト大活躍じゃないけど、ガクト色の濃いお芝居になった」。ってことなのかなと思います。
巴とかカッコよかったですよ。義仲との関係もサラっとしてたし、「義経の憧れの人」って設定だけど、そこもさばさばしてたし。何しろ最期が結構すごかった。女だからといって容赦ねえな、っていう。
むしろ義仲のほうがヒロインっぽく死んでた(笑)。
全体的に役者さんたちの殺陣にもっとキレが出たら、面白さが倍増するんじゃないかな。今はちょいと大味な殺陣です。

■役者さんはみんな達者で、ストーリーはコテコテなんだけど、上手な人がそれを堂々と演じてるので、安っぽい感じはありませんでした。
最初、早乙女太一氏(義経と腐れ縁のモノノケ役)が何しゃべってるか聞き取りにくかったんだけど、途中から聴きやすくなったし。
そういえば、大河「義経」の役者さんが2人も出てるんですね。頼朝役の大橋さんは、「義経」で時忠役。弁慶役の古本さんは、「義経」では今井兼平役でした。
■あと、舞台装置の使い方は「へー。こういうのもアリなんだ!」って、私にとっては新鮮でした。大道具的な装置は大きな階段の組み合わせのみで、背景としてLED映像を投影することで、場面を表現する。
(かなりゲームっぽい、背景でしたね。私はPS3の「GENJI」を連想した。あんな感じ。)
あと、異能者たちが術を繰り出すんだけど、それも全部LEDで映像を出す。役者さんは、その映像とタイミングを合わせて動く。
例えば役者が「かめはめ…波!」って言ったら、あの手を突き出すポーズと同時に、背後のスクリーンでバッと光が放たれる…って感じです。今はこういうこともできるんですねー。
タイミングズレたらめちゃめちゃになりそうだけど、私が見た公演ではぴったり合ってました。これは面白かった。
■ゲームっぽいといえば、衣装もそんな感じでしたね。和モノのファンタジーっぽい。さすがガクトの舞台って感じで、巴や義仲、義経たちはよく動くんだけど、ものすごく凝った衣装なのにアクションできてる。相当作りこまれた衣装なんだろうなー。
私が好きだったのは、北条政子の衣装です。「トゥーランドット」っぽくて、豪華で威圧感あってよかった。
動きもきれいですよ。衣装の特徴を生かしてるって思いました。文官たちが着ている直衣の袖のひるがえりとかキレイだった。


■演出面が面白かった一方、ストーリーには、私はやや難を感じちゃいました。
二次創作でしか許されないストーリーを、一次創作でやっちゃったというか
「作り手が描きたいシーンだけを描いた」ためなのか、お話のメインだったはずの「仲間との絆」への引き込みが浅かった印象です。
義仲たちは「義経と出会えて、荒んでた心が立ち直った」って言ってるけど、セリフで言ってるだけで、お話の中に「義仲と巴が、義経主従と触れ合うことで、本来の心をゆさぶられている」的な場面はないんです。
冗談言いあってじゃれてる場面はあるんだけど、その「一緒にバカやってたのしい」的なギャグシーンを延々何度も出すだけで、命を預けあうほどの「絆」を描こうってのは、ちょっと無理があるなぁと。
モノノケの「陰」も「ほっとけない」って言って、なんだかんだで義経を助けてくれるんだけど、でも、その脈絡が省略されすぎてるので、観てるほうは「よくある、ツンデレの『ほっとけない』関係なんだよなこれ」と、補完して解釈することになる。
あと、義経は基本戦いを避けてるんだけど、ほんとに回避してるだけで、「自分がどれだけ傷ついても、違う解決の道を探す」とか別ベクトルの行動力があるわけでもないので、「この人、真の力に乗っ取られないと、スペック低すぎて普通の人以下じゃないか? ガクトだから見た目はカッコイイけど…」って見えちゃう。
■先に世界観とキャラと描きたいシーンありきで、その結果表せそうなお話を描く…みたいな順序で考えられているように私には見えて、そこが私にはマイナス印象でした。
「みんなの共通認識・お約束を、意外性のある演出で見せる」劇だと思えば、これもアリなんだけど、インタビューで描きたいと語っていることに対しては、目的と手法が合ってないかなーと。

■と、マイナス意見も書きましたが、上映時間の2時間の間は、「どうなって終わるのかな」と追いかけながら楽しめました。
最後に「義仲編」って出てきたときは、「義仲編!? じゃあまだ続くってことかよ!!」って驚いたけど!
きっとファンは続くことがめっちゃ嬉しいんだろうなぁ。そう思うと、ファンサービスはものすごく細やかというか、期待を裏切らない内容だったんだと思う。
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by mmkoron | 2012-08-06 22:45 | その他映像・劇 等

    

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