源平観戦日記


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第41話「賽の目の行方」

■いよいよ平家の転落がじわじわ始まる…ってのがこのあたりですね。
前回で後白河との調整役を担っていた滋子が死に、清盛は我が娘・徳子と高倉帝との間に皇子が生まれ、後白河の影響力を気にしなくてよい立場になれることを待ってる状態です。
ところで。
このとき高倉帝は15歳。徳子のほうが6歳ほど年上です。
まだ15なんだから急がなくていいじゃーんって思いたくなるわけですが、実はこの時点で高倉帝にはめでたく第1子(皇女)が誕生してます。しかも、この皇女のお母さんは、高倉帝の乳母です。
滋子が倒れた頃にこの皇女が誕生してるのですが、みんな「よかった…女だった…」とほっとしたでしょうね。特にこの乳母が(あってはならんことになっちゃっるわけなので)。
高倉帝って、後白河と清盛の間で苦悩する役回りで描かれることが多いので、繊細な青年イメージなわけですが、20そこそこで崩御してるとは思えないほど子どもがいたりもします。
まぁ帝のお仕事のひとつではあるわけなので、お役目に対して忠実な人だったのかもしれません。

■さて、今回はインターバル的な回で、あまりドカンと盛り上がるわけではないトコロです。
このドラマ、やっぱり1回1回の盛り上げはあんまし巧くないような気がします。特に中盤以降、視聴者の興味関心よりも「全体の流れを考えると、ここは描いときたい」を重視した結果、受け身で視聴してるとちょいダルい展開になってる回が多い。私とか、毎回じっくり観てる層には苦ではないんですけど。

■最愛の女性・滋子を失い、後白河の今様歌唱力は、ついに「極めた」域に達したそうです。乙前はそう太鼓判を押します。目指す道と音が重なったんですって。目指す道、というのが何なのかよくわからないわけですが。乙前、ほんとマジで後白河をおだててその気にさせるのやめて…。
■滋子を失ってしょんぼりしてるのは、その子・高倉帝も同じ。
そんな彼に「建春門院の血を引く皇子を、必ず産みます」と伝える徳子。ここで高倉帝にプレッシャー与えるのかよ!って思ったけど、そういう意図ではなく、母を失った高倉に、母の血を濃く引く子どもを産みます、と励ましているんですね。
■さて、この皇子誕生でイライラしてるのは清盛。皇子誕生祈願のため、厳島へのご祈祷と捧げものを欠かしません。清盛がそんなに信心深いのも違和感ですが、こればっかりは授かりモノだから、祈願するくらいしかできないですもんねー。
そんな清盛に不穏な噂が届きます。
後白河法皇が、我が子「九の宮」「十の宮」を呼び寄せ、高倉帝の養子にしたというのです。このふたりは、母親の身分が低いこともあり、僧にする予定になっていた皇子たちです。
それを養子にするというのは、「徳子に皇子が生まれなかったときのための、保険」みたいなもの。でも、徳子も帝もまだ若いわけですから、平家側からしてみれば「大きなお世話」ですよね。
しかも、高倉の子でなく自分の子を持ってくるあたり、権力を維持したいという後白河の権力欲もミエミエなわけです。

※ちなみにこのふたりの宮ですが、結局は僧籍に入ってます。

■後白河への牽制を清盛から命じられた重盛。
彼は、弟・知盛を蔵人頭(帝の側近役)にしてほしいと推薦しました。自分たちが知らないうちに、勝手な決定が帝に行かないようにしたかったのでしょう。非常にまっとうなやり方ですな。
しかし、愛する滋子亡き今、政治的空気を読む気なんてさらさらない後白河が、平家に気を遣うはずがありません。蔵人頭の役には、後白河側近が就いてしまいました。
平家に遠慮する気なんてないよ、と意思表示してくる後白河側ですが、清盛は「あっそ」とばかりに、なんと比叡山のトップ・明雲との連携を始めます。
かつて「強訴」で散々政治に口を出してきてたのがこの比叡山勢力ですが、こうなったら、強訴よりも後白河の口出しをなんとかするほうが急務、ってことですな。
清盛はすっかり政治家というか、根回しと陰謀の世界の住人になってます。外から見れば、藤原摂関家が平家にすりかわっただけですよね。

■そんな清盛や平家への不満を溜め込んでいくのは、地方の武士たち。
武士である平家が政治の中枢に躍り出たものの、相変わらず税の取立ては容赦がなく、生活がよくなっていくという実感も展望も持てません。
この1176年は、滋子だけでなく高松院姝子内親王や、九条院藤原呈子も亡くなっていて、その法要の支出をまかなうために、追加で税を取り立てるというのです。
ちなみに、高松院は鳥羽院と美福門院の娘(八条院の妹)で、二条帝の中宮でした。九条院は、藤原忠通の養女で近衛天皇(鳥羽院と美福門院の子)の中宮。
ちなみに高松院と滋子はほぼ同じ年齢で、その10歳くらい上が九条院です。こういうの見てると、女の厄年って当時は的を射てたんだなーとか思います。
■って、話が脱線しましたね。
東国でも、追加の課税で、北条時政ががっくりしてます。そんな父の様子を見ながら、今日も頼朝の屋敷へ向かう政子。藤九郎をひっつかんで、先日触ろうとして頼朝に怒鳴られたあの太刀が、何だったのかを聞き出します。通りかかった頼朝に見つかって、余計なことを言うなとたしなめられますが、「源氏に伝わる名刀」の響きにウットリな政子は、興味津々。スライディング土下座までして見せてくださいとお願いするのでした。
政子に対して、頼朝が結構ぞんざいな扱いなのが面白いですね。「全てを諦め、諦念の世界にどっぷり浸った貴公子」というポーズから自由に、素になってるというか。
■呆れた頼朝は政子に太刀を見せてくれました。
この太刀を奮う勇ましい武士の雄雄しい姿を思い描いて、もうウットリな政子。
そんな彼女の姿に、頼朝は自分の父親がまさに彼女の思い描く雄雄しい武士の姿であったことを語ります。そしてその父が破れ、勝者となった清盛から敗者である自分を思い知らされたことを。
しかし、空気を読まない政子にはそんなセンチメンタルは通用しません。
「立ち上がれ!源氏!!!」といきなりのハイテンションで頼朝を叱咤します。政子の激励をすり抜けて、「昨日が今日でも今日が明日でも…何も変わらない」と自分の世界にまた引きこもる頼朝。政子は持ち前のポジティブさで、頼朝の後ろ向き思考を「明日を帰るのは今日ぞ!(だから、いま、前を向け!!)」と再び叱咤するのですが、清盛に気おされた記憶が忘れられない頼朝は、政子の呼びかけには応じません。

■頼朝がすっかりビビってる相手である清盛ですが、彼と後白河との関係はいよいよ難しくなっていました。
福原に来た後白河は、滋子亡きいま、もはや福原を再び訪問することはない、と決別宣言をして去っていきます。これまでの連携関係は最早続かないと悟った清盛は、後白河一派を押さえ込む時期が来たと、ついに動きます。
■その方法がなかなか陰険。比叡山に手をまわし、その傘下にある寺を訪れた、西光の息子達を挑発。最終的に西光の息子・師高&師経たちが寺を焼き払う事態にまで誘導したのです。その結果、比叡山が師高・師経の罷免を求める強訴を起こしたのです。後白河側近の勢力を削ぐ作戦ですな。
裏に清盛の息がかかってるとも知らない西光は、後白河の御前に重盛を呼び出し、強訴を抑えよと命じます。どうやら重盛も清盛の暗躍を知らないようで、お役目大事とばかり、強訴鎮圧を約束してます。
重盛に、我が子2人を守ってほしいと頼む西光。お前ら平家にタテついといて、うちの子のこと守ってねとかどんだけ厚かましいんだと思うわけですが、師高たちがお寺に宋銭でお礼をしようとしてるところからも考えると、彼らとしては平家を潰しにかかるというよりも、あくまでも自分たちのほうがイニシアチブを持って置くようにしたい、上下関係をはっきりわからせてやりたいくらいの感覚なのでしょう。
■さて、強訴鎮圧を命じられた重盛。しかしあくまでも軍勢を見せて脅しをかけ、向こうが逃げていくように仕向けようとしました。なのに、うっかり神輿に矢を射掛けてしまったというのです。
もう公家連中は大騒ぎ。罰がくだるーとうろたえてます。
そんな中、後白河は冷静でした。この一連の展開に、清盛の気配をかぎとっているのでしょう。
まさにご名答。福原に参上し、神輿に矢を射掛けるという不手際を詫びる重盛を、逆に褒める清盛。
清盛は言います。こうなった以上、後白河側は強訴側の要求どおりに師高・師経を差し出して手を打つしかないと。
最初の寺での諍い、そしてひょっとしたら自分とこの郎党の不手際までもが清盛の仕組んだ罠だと知った重盛。彼は愕然とします。
重盛は、王家と連携し世を安定させた先に、清盛の考える事業があると思っていたのです。
しかし、今回の清盛の罠は、王家との連携を自ら断つともいえる行いです。
父の真意を問う重盛に、ただ「賽の目は変わる」とだけ答える清盛。滋子が生きていて後白河のワガママ気ままを制御できたときはいざ知らず、今は後白河との連携は不要。それが清盛の判断です。
野放し状態の後白河が、共闘できる存在ではないことを、清盛はイヤってほど知ってますからね経験で(笑)。
後白河を切り捨て、徳子が皇子を産んだ時点で高倉院政を開始し、後白河院政を終わらせる。それが清盛の思い描く、王家との関係です。後白河と手を切って、王家を次の時代に移行させたいわけですね。
■でも、重盛は四角四面の人なので、後白河院政の今、お支えすべき王家のトップは後白河院、という考え方なので、清盛の発想は「王家をお支えしない」でしかなく、その考えについていけません。
このへん、視聴してる側にも、この感覚の違いってわかりづらいだろうな。。。
■そして、最終的に西光の息子達は流罪となりました。その西光に、これは全部清盛の罠だったのだと語る後白河。味方にくらい先に言っといてやれよ…。
怒り心頭で、清盛に協力していた宋銭を投げつける西光。「面白くないのう」とどこかで聞いたフレーズが口をつく成親。そして自分から決別宣言しときながら、相手から決別宣言&仕返しされたことは許せない後白河なのでした…。なんとしてもやり返してやりたくて仕方ありません。
そして、あの計画が始まってしまうのです。鹿ヶ谷に集まる人々の姿が…

■強訴事件の顛末は各地に届きます。
そろそろ出家する年齢になった遮那王。ですが、弁慶から聞かされた、実の父親の話が忘れられず、どうにも出家に踏み出す気になれません。迷う心のまま、笛を吹きます。
■その笛と呼応するかのように、東国では笙を奏でる頼朝が。
そして、いよいよ勢いを増す平家の様子に、ただただ自領の安定、家族の無事を願う時政は、政子に嫁に行って家庭で幸せになれと言い聞かせるのです。
しかし、その言葉にも乗り気になれない政子。源氏側でも変化の兆しが育ち始めています。
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by mmkoron | 2013-01-13 18:22 | 大河ドラマ「平清盛」


第40話「はかなき歌」

■今回は、時子の妹・滋子が主人公。
ご存知の方もいらっしゃると思いつつも彼女のプロフィールをご紹介します。
時子・時忠とは異母きょうだいで、時子たちの母親が宮仕えの末端侍女だったのに対して、彼女の母親は鳥羽院お気に入りの部下の娘。なので、きょうだいとはいえ、兄姉よりは格上とも言えます。
最初に上西門院の女房として仕え、上西門院と後白河が仲良し同母きょうだいで一緒のお屋敷に住んでいたこともあって、そこで見初められて後白河の寵愛を受けます。
彼女の幸運はそれだけでは終わらず、みごと後の高倉帝となる皇子を出産。12歳から彼女に仕えた健御前の『たまきはる』では快活かつ茶目っ気のある彼女の性格が賛美されていますが、『平家物語』のなかでは、以仁王の出世をはばむなど、権力志向でダークな面が描かれます。

■さて、このころ。兎丸という犠牲を出しながらも、ようやく福原の港が完成しました。
そこで清盛のインフラ整備は「貨幣の流通で、交易がスムーズになる」という段階にうつります。亡き信西の弟子・西光に貨幣を渡し、都でこれを率先して使ってくださいと依頼する西光。
西光は清盛を苦々しくは思ってますが、しかし交易の発展は信西が着手しようとしていた事業でもありました。信西のためにも協力しようとする西光。
渡された貨幣を見ながらしみじみしている姿は、ほんとに信西のことを崇拝に近く尊敬してるんだなーと感じさせます。
■と、この計画遂行とは別に、清盛はもうひとつの計画も進めます。
それはずばり、高倉帝に入内させた娘・徳子のご懐妊。後白河&滋子のふたりを厳島に招待して海路で渡り、そこで子宝祈願してもらおうという計画です。
とはいえ、清盛は信心だけでそんな計画を立てたわけではありません。権力者ふたりに清盛の「瀬戸内海を使った交易を発展させる」という計画の一旦を見てもらうこと、そしてその計画に権力者2人が既に関わっているという様子を外向きに発信することが、真の目的です。
階層を作るのではなく、面を広げて発展・進化させるという厳島神社の造りを見せ、これが私の目指す世ですと後白河に伝える清盛。
彼の頭の中にはこれからすべきことの計画が組みあがっていて、具体的に見えています。
■その様子を見て、内心焦りをおぼえる後白河。
いつも清盛に「お前の考えてることなんて全部お見通しなんだよーばーかばーか」というスタンスを取ることで優位を取ろうとしている後白河ですが、自分がノープランノービジョンであることを知らされてしまった。
イライラするのではなく、ちょっと呆然とした感じであるところで、彼が本当に「どうしよう…」となっちゃってることがわかります。
そんな後白河に笑顔で「別に清盛と比べる必要なんてないでしょ、あなたはあなたのペースで自分のやりたいこと見つけたらいいわよ、私もいるじゃない!(意訳)」と返す滋子。
寂しがり屋な後白河には、「誰から言われたわけでもなく、私があなたを選んで大好きなのよ!」というスタンスで寄り添ってくれる滋子は、得がたい存在なのです。

■その頃の伊豆では。
頼朝の飲み仲間になっていた、豪族のおじさんがひとり亡くなりました。大番役として京都との間を行き来するハードな仕事を続けた末の、過労死だったそうです。
豪族おじさん会は、弔問にやってきた頼朝に、源氏に立ち上がってほしいという心情を吐露しますが、それを受け流して去っていく頼朝。しかしその頼朝に政子が追いすがります。
この政子と頼朝の動きがかわいいね。頼朝はぶしつけなオナゴ呼ばわりするも、政子は動転しながらさらに追っかけ、イラっとした頼朝が政子を突き飛ばし、政子が転ぶ。そこで頼朝が我に返って「すまぬ…」と謝るところ、政子が「いえ、私こそ…」と謙虚に謝るところがかわいい。
しかし政子がそこで、自分がぶつかったせいで箱から転がり落ちた太刀(髭切)を片付けようとしたところで、頼朝はまたまたキッとなって、「触るな!」と怒鳴りつけます。
柔和に見える頼朝の、内面の猛々しさに触れてちょっとぎょっとする政子なのでした。

■頼朝が武士らしい猛々しさと表の柔和さを行ったり来たりしているとき、平家の若者たちはせっせと雅の世界の訓練に励んでおりました。
いつか院にお見せしようと舞のお稽古に熱心な維盛&資盛(重盛の息子達)。知盛と重衡は、伊藤忠清の指導で弓のお稽古をしてはいますが、重衡はあくまでもスポーツとしてやってるようで、武士として実戦力はたえず鍛えておくべしという忠清の思惑とは異なります。
戦なんてもうないよと明るく言い放つ重衡にがっかりする忠清に、知盛は一定の理解を見せつつも、もう平家は武芸一筋では発展できない踊り場に来ているんだと慰め顔で伝えるのでした。

■お買い物に率先して貨幣を使って、清盛に協力する西光。
その代わりに…ではありませんが、信西が以前に復活させ、しかし乱のごたごたで絶えてしまっていた「相撲節会」を復活させようとする西光は、その援助を清盛に依頼します。
しかし、今は福原の港湾整備などで忙しいので、宮中のイベントに係わり合いになっている場合ではないと断る清盛。信西は、宮廷への権力集中や宮廷の充実を重視していたのに…!と激怒する西光に対して、清盛は「信西が今も生きていれば、自分に賛同してくれる」と悠々と断言します。ぎゃ地雷踏んだー。
確かにそうだと思います。信西がそう言ってたときは、摂関家やらに押されて院や帝のイニシアティブが弱かったんですよ。だからああいうことをやっていた。でも、今はもうそういうイベント的な盛り上げではなくて、実質的な発展を積み上げる時期なんでしょう。
なんでしょうけど、それは西光に、「あんたは信西が死んだ時点の信西の行動を反復してるだけだ、もし今も生きてたとしたときの彼を思い描くだけの力がない」と突きつけることでもあります。
信西の一番弟子を自認する西光にそれを言うのはだめだよー。
■清盛は本質は周りの反応にいちいち傷つくナイーブな人でしたが、保元・平治を経て、図太さの殻で自分の視界を制御する術を覚えたようですね。
でも、おべんちゃらができない性格は残ってるから、両方が相まって「ワンマンで、ちょっとした気が利かない」人になっちゃってる感じだなー。あーあ。

■ここにも清盛たちの繁栄に内心ムカついてる人が。藤原成親です。
妹の婿である平重盛が、いよいよ大臣職にリーチかかりました。口では「まぁうれしい」的に言ってますが、いよいよ本格的に平家の公達が自分たちの上役になっていくことが面白くありません。
西光と2人でムカムカしています。
■そんな2人をとりなすのは、滋子なのです。
何か察したのか、ナイスタイミングで2人を呼んで「いつもありがとう」的なパーティーを開きます。
「成親の柔和さと、西光の聡明さは、院の世になくてはならぬもの」という滋子の言葉に、上っ面でなく本心から感激してる様子の成親がちょっと可愛い。あと、なんとなく平家に反感も持ってるので滋子から賜ったお酒に口をつけないでいる2人に「私が酌をしようか?」と言い出す滋子と、口をそろえて「いやいやいやいや」とリアクションする2人も可愛いわー。
ポイントを逃さず、「しんどいこともあるよね、わかってるよ」「でも2人がよくやってくれてることは知ってるよ」「あなたの力が必要よ」「私に力を貸してね」と言葉を尽くして語りかける滋子は、確かに天才です。

・相手の不満を汲み取って吸収
・自己承認欲求に応える
・居場所がなくなるかもという不安に対して、自分が居場所になると保証

さらっとこれだけやってるわけなので。なんか、面談時に使えそうだわーこのテク。但し中身に真心がないとダメなわけですが。
■そしてもちろん、滋子は後白河にとって精神的なよりどころです。
滋子に、あなたはあなたの好きなようにやればいいと応援された後白河は、大好きな今様を集めた「梁塵秘抄」をまとめることに着手します。軽んじられがちな、やがてはかなく消えていく歌たちを、せめて文字で残しておきたい。そこには、後白河が虚栄を脱ぎ去ったときの、寂しがり屋で心細い魂が共感する世界です。
それがあなたの世なのですね、とそのはかない世界を一緒にいとおしむ滋子。

■後白河は50歳を迎え、平家の総力を挙げてそのお祝いの宴がひらかれました。
子息たちを引き連れて威厳・貫禄たっぷりにお祝いを言上する清盛。このシーンが面白い!
後白河が、何か言いたそうに口を動かそうとするんだけど、なぜか言葉が出なくて、ちょっとゆらゆらしてるんですよ。清盛の貫禄にちょっと気おされてるんですね。その様子を見て、さっと立ち上がる滋子。
後白河を支援して優位に持っていこうとしたのか。このまま放置するとまた後白河がいらんこと言い出して、折角へりくだってきてる清盛一家をドン引きさせると思ったのか。
多分どっちもだと思いますが、彼女は悠然と清盛に杯を進め、そして次に後白河にも杯を進めました。
ここで2人の間の緊張感をやわらげ、後白河に時間を与えました。
滋子の働きもナイスだけど、この脚本と演出もナイスですね。滋子の描き方が巧い。得子や、こののちの丹後局(「義経」で夏木マリさんが演じてましたね)とは違う意味の、男を敵にまわさない「やり手」だなーと。
時間を与えられて気持ちをやわらげた後白河は、清盛にお互いになくてはならぬ存在だと語りかけます。
自己承認欲求が満たされると、後白河って、政治よりも文化を思考するアーティストになるんですよね。そのときには、清盛は後白河の敵ではなく、むしろ視野を広げ刺激をくれる存在なのです。
■そうこうするうちに、宴が始まり、維盛&資盛の舞が始まります。
この青海波の舞、そういや「義経」のときの賀集&小泉ペア(イケメン度はこっちのほうが高いね)もすっごい練習してたらしいのですが、ほんと1秒くらいしか映像にならなかったんですよね。今回はじっくりカメラまわっててよかったね。

■しかし、そんな和やかな時間はつかの間。滋子は35歳の若さで死んでしまいます。
ドラマ見てるといきなりだな!って思いますが、実際にも、3月に後白河院50のお祝いをやって、6月に発病、7月には亡くなっていますから、ほんとに急死だったのです。
書物では「二禁(はれもの)」がもとで死んだ…とされてます。このドラマだとしょっちゅうお酒飲んでたので、肝臓悪くしたんじゃないの?って感じですが。
滋子のなきがらに、死に水のかわりに、彼女が大好きだったお酒を口移しで含ませる後白河がかなしい。
かつて滋子の前で歌って、「会えない女を恋しがってる歌じゃないですか、どこの誰に?」とツッコまれていた今様を、暗い部屋でうたいます。
今となっては、もう逢えない滋子を恋しがる歌になってしまった。部屋には、まとめかけの今様の書き写しが散らばっています。自分なりの、芸術という世で自己実現しようとしていた後白河の心はすっかり折れてしまった。その道を応援してくれていた滋子はもういない。
そうなってしまうと、彼はやはり政治の世界に「自分を認めさせる」道に戻っていくしかないのです。
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by mmkoron | 2013-01-04 13:01 | 大河ドラマ「平清盛」


忘れないうちにまとめ

■まだ穴が開いたままの感想を埋めてないのですが、総集編も見終わって、この気持ちを忘れないうちに書いておこうと、先回りでまとめ感想です。

■いやー、「清盛」終わっちゃいましたね。
最終回は総集編か!?並みの駆け足でしたが、でもタイトルが「平清盛」ですから、それでよかったんじゃないかなーと。時間かけてじっくりやるのは、「義経」でもううやってくれてるので。(そう思うと、「義経」って、義経と同じくらいに平家一門を丁寧に描いてくれてたんだよなーと改めて思う)
なんかいろんな人にケチをつけられたり、逆に「神」という言葉のデフレが起こるようなもてはやされ方をしたりしてましたが、全部ネットとかメディアの話。
うちのおかんとか職場の反応みてると、
「今年の大河ドラマが清盛なのは知ってるんだけど、あまり好きな役者さん出てないし、話めんどくさそうだしで、見てない」
って感じでした。それが実際のところなのでしょう。
■先によくない話から書きますと、私、このドラマのツイッターとかのネットでの騒ぎがものすごく好きじゃなくて、あんまりにも好きじゃないので、ブログに感想を書くこともなんかネットでのヨイショ祭りに加担してるような気持ちになっちゃって、書くモチベーションをなくしてました。
冬コミで「楽しく読んでたのに、書かなくなっちゃって残念」って言われて、読んでくれていた人の存在をちゃんと感じる責任感がなかったと反省しました。ごめんなさい。
なにがそんなにいやだったかというと、

ツイッターで、製作側が「実はあそこはこういうことでして」といちいち説明することが、
「みてりゃわかるだろ」レベルに及び始めたとき


でした。
歴史的な背景を解説するのとかは、面白い試みだなって思ってたんですけど。
とくに心が冷えたのが、

・南都を焼亡させた重衡が笑顔で清盛のところに報告に来た場面について、「あのときの周囲は、重衡が宗盛のときのように清盛にどつかれるって思って『あちゃー』って顔をしてるんです」とツイートしてるのが流れてきたとき
・羅刹が最終回に登場したのを、プロデューサーが「羅刹です」って解説してたとき


でした。特に前者は怒りすら覚えた。ありえないわ…。
例えば私が、自分の漫画について「この2コマ目は笑顔ですが、これは笑顔を浮かべているけど、一方で自嘲の感情も沸いているという、そういう感情の揺れを表す芝居ともいえます」とかあとがきに解説してたら、ダメ作者すぎでしょう。
読者が「あの笑顔にすごい葛藤を感じちゃって」と感想を書くのはいいけど、作り手が自分でやっちゃだめでしょう。しかも「平清盛」という作品は、「物語で見せる」ことを大切にして作られてたわけだから。
なんで自分たちで築き上げてるものを、自分で潰すんだろうと、そこはほんとに不思議でした。
通常はそれをたしなめるのがリーダーなんだろうけど、この作品はリーダーが率先してやってるし。
実際にイベントでみてたときはそんなに違和感とか感じなかったのになぁ。
清盛とはどういう人でしたか?とインタビューされて、プロデューサーが「ブレない人」って答えてたときも、「えっ、そうだっけ?」って思ったし。
作品はブレない作りだけど、清盛はものすごくブレながら進んでいく人で、そのブレの清さも醜さも含めて生々しく描ききろうとしたところがこの作品の魅力だと思ってた私には、意外なコメントだったんですよ。
「ブレる」という言葉の意味が違ったのかもしれないので、ここはなんとも言えないのですが。
■私はツイッターを使って歴史的背景を解説するのはチャレンジとしてアリだと思いました。
自主的に「清盛いいね!」を発信しているファンを囲い込む活動も、私は逆効果だと思ったけど(ある一部の層だけをファンとして大事にします、という姿勢に見えるから。)、でも、視聴率という形で実績が残せないときに、「しかしこういう試みに成功しました」という実績を作っておくのは会社員として必要なんだろうと思うので、納得しました。
しかし、あの物語をベラベラしゃべるのだけはどうしても違和感が消えなかったわ…。

■なんか外周への批判になってしまいました。
そうではなく中身について私が(あくまでも私の好みとして)あまり…と思ったのは、清盛壮年期のわかりづらさですかねー。
清盛が自分の内側を見せなくなって、さらに彼も周りを見なくなった結果、周りの行動との乖離が起きていくあたり。あのへんはすごくわかりづらかった。
重盛が死んだあたりで、それまでを見返して、「ああ、そういう風に描きたかったのかなー?」って思ったんだけど、毎回の演出担当の人に脚本の意図は伝わってたんだろうか。そこはちょっと違和感ありました。
もっと清盛が見たいのに、重盛とか時忠とかの側からばかりで、「ああ、ちょっとどいて、清盛が今何してるかを見せて!」みたいな(笑)。
清盛がどんどん浮いてくように、視聴者側からも清盛が覗き込めないようにしようとしたのかもしれないんだけど、しかし8時台のドラマでそれはやりすぎだよなぁと。作り手には一連の物語でも、みてるほうには週末の1回1回の1時間なのですから。
その「一連の物語として作りこみすぎて、1回1回の山谷がぎくしゃくした」感じは、全編通してのこのドラマの課題のように思います。週間連載なのに、毎週の山谷よりもコミックス化を意識しすぎた、みたいな。
このドラマが「自己満足」と批判される理由がそこであれば、まぁそういう部分はあるんだろうなと思いますよ。そうでない理由だったらよくわからないかもしれないけど。
いや、私お正月に連続で「リーガル・ハイ」ってドラマ見てたんですけど、自己満足ってああいうのじゃないのか!?って私は思いました。毎回の切り口作ってる人のドヤ顔がもろに浮かぶというか。敢えてああいう感じなんだろうけど。
■キャラっぽくてやだとか、その辺は気になりませんね。なじみのない時代を描こうとしたら、人物を特徴づけるか、役者の知名度で認知させるかになります。あえて前者を選ぶ姿勢を、私は支持します。
「漫画のキャラっぽい」みたいな批判はちょいムカつきましたよねー。お前がどんだけ漫画を知ってるんだ!とか思っちゃって(笑)。
■あと、総集編観てて気づいたのですが、前半にけっこうあった、実験的なアングルとかがなくなっちゃってますね後半は。面白かったのに…そこが残念。
でもそこは、視聴者が「見づらい」と文句をつけた結果だと思うので、仕方ないですね。私も視聴者のひとりなんで、自業自得というか。

と、不満も書いたのですが、何しろ私はこのドラマがめっちゃ好きなので、よかったところをまとめます。

1)松ケンの演技がいい
■演技がダメ、って言う人も多かったけど、ダメっていうばかりでどこがどうダメなのかをちゃんと書いている記事を見つけられなかったんですよね。表情とか、すごいいいですよ。特に好きだったのが、

・清盛が不始末をしでかして(何度目のオイタだったかは忘れた)、清盛自身も自分が下手を打ったと自覚している。断固として清盛を守る姿勢の父親、攻撃する叔父、我が子の責任として受け止めようと必死の継母のギャースカ騒ぎの中での、いたたまれない表情。
・叔父を斬ったうえに、その凄惨さなどどこ吹く風な後白河のパーティーに呼ばれて、「これからは武士の時代だ!」という当初の気持ちを思いっきり折られた清盛の表情。
・兎丸と港の工事の件でもめてるとき、自分を人柱にしてくれと言い出した幼馴染に対する清盛の表情。


このへん。どれも、どういう気持ちなのかすごいわかる。
最後のは、感想に書いてたとおり、清盛の表情も良かったんだけど、盛国の表情も良かった。清盛が「そんなことできるわけないだろ」って気持ちなのもわかるし、でも盛国が「清盛が『よく言った!』って言い出すんじゃないかという不安を捨てきれない」のもわかった。
■やっぱり若い役者さんはいいですねー。それぞれの伸び幅があって、そこにも感動します。
次の「八重の桜」の女優さんも若いから、どんな成長があるか楽しみ。
■清盛以外の役者さんも良かったですね。ぱっと思い浮かべるのは、池禅尼(あの人物造形は深い…今までになかった池禅尼だと思う)とか、時忠とか、鳥羽・たまこ・得子とか、後白河も篤姫の頃とは全然違ってた!
残念賞は時子姉妹ですかねー。演技達者な人が多かったから、余計に深みのなさが目立った印象でした。
でも、じゃあ誰に代えようかと言われると思いつかないので、全体のバランスとしては絶妙だったんだろうな。

2)平安末期の混沌とした感じがいい
■前にも書きましたが、製作側が言ってた「リアル」って、史実どおりにしますって意味じゃなくて、キレイなおべべ着て花鳥風月でみんな優雅でおっとり…ではない生々しい世界を描きたいって意味だったと思うのです。
で、それは十分描かれたと思います。
■中盤までの、豪華な登場人物がどんどん入れ替わってくスピード感も、まさに混迷の時代って感じで面白かった! ドラマとしては登場人物がコロコロ替わって行くのは弱点なのかもしれないけど、この時代が好きだと、ワクワクします。
■好きな場面で選ぶと…私の場合はどこかなー。誰かの生死に関わる場面は当然として、あとは
・荷物に忍び込んでた信西と、叔父さんの言葉にしょげてる清盛との会話
・清盛と明子の出会いから結婚
・崇徳に頼長が接近するところ
・滋子に結婚させるという話で、平家一門がきゃぴきゃぴするところ
・闇討未遂のあとの、為義と義朝の会話
とかかなー。


3)清盛のキャラがいい
■彼の性格をどうにも好きになれない人はいると思うのですが、私はすごい感動した。
いろんなことに不満はあるのに実力が追いつかない少年期、選択と集中を迫られる青年期、自分の感傷を押し込める術を学んでテクニックに走る壮年期、ふと自分を見失う老境。
製作者は「従来の悪者ではないイメージで清盛を描きます」と最初に宣言してたと思うのですが、私、そのときに、「安易に『実はいい人』『本当は深い配慮があってこうしていました』みたいなの、やだなー」って思ってたんです。
でも、そんな心配は杞憂でしたね。善悪の彼岸で、成功もミスもやりながら、ただがむしゃらに一生懸命生きる人として清盛を描ききって、それを見せてもらえたことに感謝します。
■最後の西行との会話とか泣けたもん。もっとやりたいことがあるのに!ってダダこねる(笑)清盛に、みんなそうだったんだって諭す姿が。思えばこのドラマ、みんな必死にジタバタして、答えが出ないままに去っていかざるを得ない人が多かった。このドラマの後白河が悲しいのは、みんながジタバタしている姿を冷笑することでしか自分を保てなかったから。
清盛の姿こそが美しい人生だ、と、「美しく生きたいから出家する」と言っていた西行が言ったときに、このドラマのメッセージだと涙がこぼれました。
■清盛以外でも、人物にちょこっとだけ「表に見えてる、このドラマの役どころだけではない面」を見せてくれるじゃないですか。そこも平家物語ファンにはすごく嬉しかった! 
具体的には、以仁王を亡くしたあとの八条院のカットとか、忠通が「こうなったら摂関家を絶やさないことが自分の誇りだ」って吐露するところとか。
何よりも良かったのが、後白河院ですね。彼はとらえどころがないから、「とらえどころのない人です」って描かれ方をすることが多いように思うんです。「義経」のときとかそうですよね。
でも、今回はもう一歩踏み込んで、「蚊帳の外でいたくない、自分も時代の当事者になりたいと思いながらも、結局踏み出してもみくちゃになる道を選択しない」人として描いて、後白河自身がそういう自分の浅さに傷ついてることも描いてました。解釈のひとつとして、この後白河は面白いし、心に残る登場人物です。
■登場人物といえば。このドラマで気づいた特色は、清盛の弟たちとか、盛国とかの役者さんの使い方。けっこう知名度高い役者さんなのに、背景のように使っているときが多いですよね。人物紹介にちゃんと写真つきで紹介されて、名のある人を使ってるのだから、何回か見せ場があるのかと思いきや、そうでもなくて。
でも、最後に海の都に皆が集結してるシーンを見たときに、絶対彼らが必要だと感じたんですよ。こういう存在感の作り方もあるのかーと、ちょっと面白かった。


えっとえっと、他にも書きたいことがあったような気もするんだけど、あまり長々書いてもよくないので、このへんにします。

■平家物語を読んで、諸行無常の空しさではなく、諸行無常の中でも最後までうろうろじたばたしながら、熟考する時間を与えられない中で、家族だったり仲間だったり誇りだったりをとっさに選んで消えていく、その姿に感動した私は、このドラマに対して平家物語を読んだときの感動と同じものを感じました。
■そして、「面白い」という価値観で前に進むこの物語が好きでした。自分がついつい「正しい」とか、ひどいときは「間違っていない」ことだけを善として行動や選択をすることが多いから。
このドラマを批判するときに、細かい歴史的な事実との整合性(王家云々を含めて)とか、歴代の大河との違いでなんたらかんたら言うのは、あまり意味ないんですよね。だって、このドラマのテーマが、自分が信じる「面白い」を目指して進んでいくことを善としてるんだから。
■そんなこんなで、だから、このドラマがほんとに好きです。
八重の次はまた戦国時代だそうですが、どうかどうか、認知度の低い時代にもまた挑戦してほしいし、自分たちが良いと思って作りこんだ作品を、私たち視聴者にぶつける挑戦をやめないでください。
と、感謝とエールを書きつつ、まとめを終わります。
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by mmkoron | 2013-01-04 03:59 | 大河ドラマ「平清盛」

    

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