藤原(九条)兼実・高橋貞一 著/高科書店/全8冊
/各8400円/1998年発行(1巻)
※購入不能だと思われます。図書館でご覧ください。東京都立なら、多摩と中央にアリ。
■これを読んだことにしてよいのでしょうか…とりあえず書いておきます。
■平家物語に出てくるエピソードや人物をいろいろ調べようとしてると、必ずブチ当たるのがこの『玉葉』。宗盛・知盛、源氏なら頼朝とほぼ同世代を生きた、摂関家の貴公子の日記です。
しかしこの本、現代語訳が見つからない。でも読んでみたいなーと一大決心して、大修館の訓読辞典を持参して図書館に行ったのです。
そしたらこの『訓読玉葉』が見つかり、「なーんだ自分で訓読しなくても大丈夫じゃん!」とほっとしたのでした。しかし甘かった。
書き下し文でも読むのがしんどい……。
最初、まるで大学生かのよーにノートをとりながら読み始めましたが、2時間経っても1巻の半分しか進んでないことに気づいた時点で、気になる日付だけ飛ばし読みする戦法に変更しました。読むときは、年表持って行ったほうがいいです、はい。西暦と元号の両方で確認できるとなお良し。
■私は壇の浦のあたりまで読んできました。全8冊中の5巻くらいまでだったかな。
殿下乗合事件や、主な人物たちの死亡記事、維盛たちが青海波を舞った後白河院五十の賀
など、主な事件はざざーっと見てきたわけですが、やっぱりそれは日記の楽しみ方じゃないと自分でも思います。日付を追って読んでいって、その人の書き方のクセをわかったうえで、言葉では絶対に100%表現はできない思いを推察するのが、日記の楽しみ方ですよね。
6時間やそこらで人様の40年間を読んでこようと思った私が間違ってましたよ…(T_T
■有名な事件についての記述は、私なんかが書かなくても偉い先生方がまとめてくださってるので、私は私が気になった瑣末な感想を書きます。
■私がメモして読んでいたあたりは、しょっちゅう宴会やってはみんなで楽を奏でてたんです。それをメモしながら気づいたのですが、こういうときって、いつも同じ人が同じパートを演奏してるんですね。篳篥の人はいつも篳篥だし、琵琶の人はいつも琵琶。
笛の人もいつも笛……ってあたりはいいんですけど、
いつも拍子ってのは本人的にどうなんでしょう。そもそも拍子って何をする人なんでしょうか。ドラムみたいなもん?
バンドにおいては、ドラムは一番お金も場所も必要になるので、「ドラムできます」ってのはメンバー集めの際に重宝されるそうです。でも拍子はどうなんだ!?
私のイメージでは
「いつもトライアングル」みたいな印象なのですが、どうなんでしょうか、
資賢さん。
この人、拍子ぱっかりやってたようなのですが、彼的にそれは望むところだったのでしょうか。
「俺もたまにはボーカルがやりたい」とか思わなかったのでしょうか。いろいろ考えさせられました。
曲目を飛ばして、兼実が「行啓のときは全部演奏してたのに、行幸ではしょるとは何事!」と文句書いてるのも面白かった。
副社長のときはデザートまで出てたのに、社長のときにご飯モノで終わるとは何事!!のような感覚っすか。
■そんなわけでどうしても宴会の記述ばかり追ってたような私なのですが、あとは欠席者の記述も気になりました。
後白河院五十の御賀において、欠席者とその理由が書かれてました。それもまた興味深い。
「重服(父母の喪中)」「所労(病欠)」で欠席するのはまぁ仕方ないとして、
「留守」って何ですか! どこ行ってんだよお前、来いよ!! あとは「無出仕」。これって理由になってるんですか。結果じゃないか・・・。
■そんなこんなで、こまごまとメモして読んでるとツッコミどころいっぱいで楽しいはずなのですが、いかんせん私は読むスピードが遅くて脱落しました。
またどこかでリベンジかけようと思います。
■最後に。読んでて思うのですが、
兼実って若い頃からこの状態じゃ、きっと好かれてなかったと思うよみんなに。。。