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源平観戦日記


第1話「ふたりの父」

本日は大阪のホテルにノートPC(しばらく自宅に放置してたVistaちゃんを叩き起しました…)を持ち込んで感想をお送りします。
今日は大阪に行ってたわけですが、万が一にも新幹線の遅れとかで見逃しちゃうことがないよう、会場真ん前のホテルを予約。会場爆破とかされない限りは20時にはTV前に座ってられる万全の態勢でした(笑)。
いやー自分でもアホや!て思うんですけどね、でもそのくらい嬉しいんですよ。だって、義経のあと、私が時子の年齢になるまではもう大河で平家は見られないって思ってたから。こんなに早くまたみられるなんて!

【OP】
■このドラマの根底をずっと流れ続ける「遊びをせむとや生まれけむ」のフレーズが、ピアノで静かに流れます。あれ? いつから激しい曲調になったんだろう。中盤からはこっちに挑んでくる感じの曲調ですね。
■ドラマ開始のとき、「平安時代」と聞いたときに思い浮かべがちな絵画的な美しさじゃなくて、ナマナマしさを重視するってプロデューサーが語ってましたが、その言葉にたがわず、CGはアクセントに使い、実写の映像を主にする映像です。幼い清盛?がひたすら走る姿、白拍子たちが激しく踊る姿が交互に何度もカットインしますが、これ、いいですね。
まっすぐにゴールを目指すような健全な躍動感と、からだの内側でマグマのように燻る躍動感の両方が、交互に伝わる感じ。
■最後は、「遊びを…」そのままに遊ぶ子供たち(小汚いけど、表情がいいね)と、幼い声の「遊びを…」の歌声、笑い声が入っておしまい。「ジャン!」て感じで終わるわけでも、しっとり締めくくられるわけでもない、ちょっと宙に放り投げられたような終わり方です。
ところどころに、双六の賽がころんと転がっていくんだけど、それと相まって、子供の歌声が「純粋な生命賛歌」とかではなく、どこかちょっと「神様の遊び」的な無邪気な残酷さみたいなのを感じさせるなぁ。
■この時代の、複雑さとか捻くれっぷりを2分程度にぎっしり詰め込んだ感じで、私、このOP好きになりました。でも、曲だけだとわりと散漫に感じちゃうかも。映像との相乗効果がある。
■あ、クレジットは後白河がラストでしたね。

【本編】
■すっごい内容ぎっしりだった。とくに、王家関係。人物関係をこの回だけで全部説明しましたね。これ、いきなり見て情報整理できるのかな。大阪で配ったペーパーが少しでも役に立ってるとよいのですが…。
これまでの大河で、ここまで皇族のドロドロを描いたのって、初めてに近いんじゃないかな。太平記のときも、後醍醐帝と大塔宮の関係はさらっと描かれてたし。
それにしても「王家」って呼びかた、便利だわぁ。確かに、サイトやってていろんな解説書いてても、ちょうどいい呼称がなかったんですよね。「皇室」って書くとパブリックな印象になっちゃう。もっと私的な、プライベートな範囲を表すときの言葉って何がいいんだろう?て思ってたんで、飛びつきました(^^
■では、以下に今回のポイントまとめ

1)忠盛の葛藤と、光明。
清盛を育てる決意をした理由が、「舞子への愛のあかしとして…」みたいな、ある意味単純なものではなく、彼のいうところの「心の軸」として描かれてたのが良かったと思います。
■忠盛に投げつけた、盗賊「朧月」(出たと思ったら殺されるのに、隆大介!なんちゅー贅沢な配役!!)の置き土産セリフも良かった。「俺の盗みもお前の働きも同じこと」と言われるわけですが、後から出てくる朧月の息子のセリフからすると、朧月はおそらく「どっちも生きるためにやっていること、だから、お前が善の側で俺が悪の側だと思うなよ」ってなことを言いたいんだと思います。忠盛は朧月が義賊的な活動をしてることを知っているとは限らないので、もうちょい浅い「お前の盗賊退治がどれだけご立派だっつーの?人斬って仕事にしてるのは同じじゃん。」くらいの受け取り方かもしれないですね。
これ、面白いなって思いました。ほぼ初対面の人間が言葉を交わして、完全に意思疎通できる可能性なんて低い。だから、朧月の意図するところと合致してるわけではないんだろうけど、忠盛は自分の問題意識に合わせて、朧月の言葉を受け取っている。こういうのはリアルでいいなって。
■で、武士として泥と血にまみれて働いているのに、誰かの役に立っている実感がない。ただただ自分が汚れていく気ばかりがして、焦っている忠盛君の前に現れたのが、白河院の追手から逃げている身重の白拍子・舞子。
舞子との関係が「か弱い娘さんを助けるヒーロー」ではなく、対等なのがいいですね。舞子はおそらくこの1回きりで、あとは出ても回想でしょうが、自分の身分職業に卑屈ではなく、逆に武士を人斬りだと見下してるのが面白い。忠盛との言い合いも可愛いっすねー。中井氏のムキになる演技が若々しくて、もういい歳のおじさんがツンデレしてるように見えないのがすてき!

■忠盛が白河を説得しようとして失敗し、今度は覚悟の上で真情を吐露するシーン。私は舞子の表情をずっと見てました。忠盛のセリフにぎょっとして、今度は女の子っぽく涙ぐんで…。で、最後は立ち上がる。自分の胸を刺すのではなく、白河に向かっていくといく選択です。単純に「わが子と愛する男を守るためにわが身を犠牲に…」じゃなくて、彼女は何を守るのかと同時に、何と戦うのかも選択したんでしょうね。
舞子は、忠盛にとって永遠の恋人という以上に、ロールモデルというか、「軸のある生き方」のお手本なんだと感じました。
■で、彼女が残した赤子をわが子にする忠盛。王家からゴミか何かのように捨てられ、舞子が宝物のように守り抜いた子を、「平家の太郎」として育て上げる。これが彼の戦いになるわけですね。
1話の序盤は忠盛の成長物語だったなー。うんうん。


2)王家のドロドロ
■最近は控えめにしてた濡れ場っぽいシーンが、結構露骨に出ましたね。それが伊東四郎と壇れいだから、なんともエグいというかなんというか。
鳥羽院の各種トラブル(笑)へのリアクションが、ややデフォルメされぎみっつーか、一歩間違うと笑えるくらいだと思ったのですが、あれはわざとなのかな。
お花畑をばっさばっさやってるシーン、あそこで花を加えて「キリ…」とかやってくれたら、完璧でした(笑いとして)。
いやー、でもこういうドロドロは大河じゃNGなのかと思ってたので、驚いた。これなら天武・持統あたりの話も大丈夫じゃない? 上代大河への希望出てきた! 鳥羽の傷つけられっぷりが半端ないですね。役者さんが役者さんだけに、「鳥羽様をいやしてあげたい…」と思っちゃうマダムが続出するのではないでしょうか。「あさイチ」で鳥羽様特集組まれちゃったりするのではないでしょうか(いま適当なこと書いてますすみません)。
彼にも何らかの「軸」が見つかるんでしょうかね。目が離せない人物になりそうです。
■聖子ちゃんの祇園女御、思ったよりもずっと自然でよい感じです。白河の寵愛を得ていても、自分の意思を通す権利があるわけでもないっていうしんどさが伝わる。

3)平太と宗子の親子関係
■宗子がどういう理解や納得をして平太を育てているのかはまだわかりませんが、継子いじめとかじゃなくてほっとした。
これは異論あるかもしれませんが、父親と息子は「意志」が共有されることで親子として絆が作れるのに、母親と息子は血がつながってないハードルが予想外に高い…ってのはありそうだと思いました。宗子は、正しい母親であろうとすることがじわじわストレスになってそうですね。今後爆発するのかも?

4)その他の見どころ
■まえだまえだ兄(朧月の息子役)と、まえだまえだ弟(清盛役)のやりとりがかわいかったー。兄の、平太の正体を知る前の話し方とか、「てっぱん」のころを思い出してくすっとしちゃった。
■頼朝のナレーションは思った以上に控えめなので、OK。清盛の心情とか説明されても「お前が語るな」って思うよなーって感じてたのですが、ああいう「あいの手」程度のナレーションなら気にならないですね。
■為義が想像以上にトホホな感じ(笑)。
■崇徳役の子役が、ほかの子役とは格が違うお上品な感じに見えて、すごーいと思った。
■まえだまえだ弟、松ケンに似てる!
■岬丸(犬)のくだりは、「ますらお」序盤を思い出した。まぁあの漫画で犬にかみ殺されちゃうのは犬ではないわけですが…。
宮廷シーンもかなりあるからかな、予告編を見たときほどには「こぎたねー!」とは思いませんでした。

あまりに盛り沢山だったので、どう整理したものか困ってしまった…。
とりとめない感じですみません。

■ここであらためて。
私、この大河は1年応援し続けようと思います。肯定し続ける…ではなく、「応援し続ける」。
■ほかのところでも書いたことがありますが、私が平家物語に惹かれたのは、滅びる姿の美しさではなくて、どうやっても滅びるってわかっててもじたばたするその姿の美しさでした。
当時の仏教の理想的な死生観の枠組みにあてはめて物語進行しようとはしてるんだけど、そうしようとしてもはみ出ちゃう姿。思惑ならぬ思枠からこぼれ出す共感や感動。私はそういうのがあるからこそ文学だよなーって思う。
で、私のその「平家物語のツボ」と、今回の大河がチャレンジしようとしてるテーマはすごく重なるって思ったのです。だから、1年通してこのドラマを、ワクワク視聴していこうと思います。次回も楽しみ!
■次回からはもっと頭突っ込んで、清盛に肩入れ気味にレポートしていこうと思います!(笑)
by mmkoron | 2012-01-08 23:42 | 大河ドラマ「平清盛」

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