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源平観戦日記


第24話「清盛の大一番」

■ちょっと調べものがあって、「世界のことわざ辞典」的な本を読んでたのですが、ラテン語にこんな格言があるんですね。

Dum fata sinunt vivite laeti.(運命が許す間は、嬉々として生きよ。)

「平清盛」における「遊びをせんとや…♪」と同じ意味っすね。「遊びを…」の今様と、セネカの言葉から派生したこの格言の間には影響関係はないわけですが、全然違う地域で「生きる」ことを考えた結果が、同じ結論に行き着くもんなのねーと面白い。

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■ここ数回大きな出来事が動く回でしたが、今回はインターバル回。
 1)政治的な根回しセンスを習得した、清盛の立ち回り
 2)信西と清盛との、息のあった連携
 3)追い詰められる義朝
 4)世代移行
のあたりが描かれてます。

1)政治的な根回しセンスを習得した、清盛の立ち回り
■何があったんだ!?ってくらいに、「政治の世界に生きるオッサン」の風格が出て来ました。忠正たちを斬ったのが理由だとしても、吹っ切れ方がすごい。今まで存在していた「そうはいっても、曲がることなく生きていきたい」みたいな理想を削ぎ落としただけで、こうも変われるもんなのか…。
敢えて間をみせずにガラっと変えたのかもしれないけど、
「いろいろ思うことはあるけど、ぐっと堪える」みたいな中間のつなぎになるシーンが1つでもあったほうが、私は流れに入りやすかったなー。
■原田さんとのやり取りはちょっとヤがつく自営業の人のような感じでしたが、実際はもうちょっとスマートに営業して結びついたんじゃないかとも思います。
というのも、ここで平家の私的な部下になった原田さんは、その後もずっと平家方。平家が都落ちして九州に行ったときにも、一門を迎えてるんですよね。その態度は壇ノ浦ちょい前に源氏方に原田さんがボコボコにされるまで続きます。
その結びつきの強さを思うと、脅しで配下にしたというよりも、利害関係で結託して、しかもちゃんと旨い汁が還元されてたんじゃないかと思うわけです。
■門を破ったとき以外コレといった出番がない、兎丸たちを出すための演出だったのかな?

原「税金納めたいのはやまやまなんですけど、悪い連中を手なづける為の必要経費なんですよー」
 ↓
平「じゃあ、うちの用心棒置いてくね。こいつら使って悪い連中やっつければ、出費なくていいよ。」
 ↓
(「悪い連中」よりもタチの悪そうな兎丸達を置いていこうとする)
 ↓
原「いやぁぁぁ。お金あげるから帰ってぇぇぇ。」

みたいな感じですよね。しかし、お茶飲んでるときの清盛のコミカルな顔がよかった。「めっちゃあくどいけど、愛嬌あるからなんか憎めない」みたいな。
■そんな清盛に、後白河が興味を持ちました。いや、興味持ってるのは今までもだったんだけど、清盛の傷をチクチクしていたぶる楽しみよりも、清盛を思う存分働かせて得られる楽しみのほうが大きいと気づいた感じ。これは、清盛のほうに風が吹いて来ましたね。


2)信西と清盛との、息のあった連携
■信西の権限だけではまだ大宰府の長官にはできない。しかし、清盛は、信西から与えられた「きっかけ」だけで作戦を立て、大宰府の長官の地位をものにする。
後白河が器に興味を持ったときの、信西の「ソレ来た!」的な反応が良かった。ツーカーというか、お互いが何を目的としているか分かっているし、それに対して協力するという信頼関係ですなぁ。
清盛が宋を前面に出してきたのは、信西がかつて宋に行きたがっていたこととも関係するわけですよね。
■あと、信西との話ではありませんが、成親も面白かった。人脈だけで近臣に成りあがっただけあって、清盛の打つ手が的確なのを見て感心した瞬間に、縁組をお膳立てするところがさすがですね。

3)追い詰められる義朝
■全体的に明るい(重盛パートすら!」雰囲気で進んだ回でしたが、しかし彼のシーンは重かったわぁ…。
今まで自分の心を支えてきたものを失って、次に何に拠って立つのか見失い気味の義朝。以前に言ってた喩えを使うなら「次に足をかける場所がみつからない」「どの枝を目標に上るのかわからない」ってところでしょうか。
しかも由良まで倒れちゃって。
統子内親王の言う言葉が、一昔前の少女漫画とかで「カノジョの女友達」が言ってくる言葉みたいで面白かった。「私には男の世界とかわかんないけど、●●子を泣かしたら承知しないからね!」的な。
統子様の声は、舞台っぽいところが皇族の「出来すぎてて、どこかつくりものっぽい」になってて、良いですね。しかし、義朝を責めるときの言葉は、ドスきいててちょいコワかった。ブルブル。
■プライドなげうって(清盛以上に自尊心が強い人なのに!!)信西にお願いしても、あっさり袖にされる。清盛にチクリとイヤミを言っても、目標に向かって迷いをなくした清盛は動じない。その姿を見てまた焦る。
やばいです義朝。完全にネガティブスパイラルに乗っかってるわ…

4)世代移行
■家貞さんの「老い」が強調されて、一方で重盛が本役に代わって前に出てきた。「清盛の親世代+同世代」だったのが、「清盛世代+子世代」になってるんですね。
確かに、前回までで清盛の前の世代は軒並み死んでしまった&退場したので、今の主要登場人物の中で残ってるのって家貞さんと、あとは藤原忠通くらいなんですよね。
ちなみに、美福門院得子様は鳥羽院の妃なのでなんとなく清盛より上の世代に感じますが、実際は清盛よりも1コお姉さんなだけなので、清盛世代です。
■さて。叔父さんを殺す命令をした信西と仲良くしている父親についていけない重盛君(ちなみに今ハタチ)。
「父上は間違っている!」という責め方ではなくて、「父上は考えがあってそうしているのかもしれないけど、自分はそこまで覚悟が定まってない!」というどこか内省的な発信になっちゃうところが、ああーいかにも重盛って感じでした。
これがどこかから、面と向かって父親を批判するキャラになっていくのでしょうが、それでも重盛って結局自分を責めちゃう感じするもんなぁ。
■マリッジブルーと青少年の悩みとが全部重なって「この婚儀はなかったことに!」になっちゃった重盛への、清盛のリアクションがよかったですね。「父ちゃん情けなくて涙出てくらぁ!」ってあばれはっちゃく状態で蹴り飛ばすのかと思いきや。
考え込んで「止まって」しまう重盛に対して、立ち止まるな、今は動くときだという清盛のメッセージだと、あの愛のある投げ落としから感じました。清盛は、「もっとこうしたい!」と動き出しちゃう若者でしたが、重盛は「それはおかしい」とは思っても、反対側に走り出す勢いがない感じ。だからこそ、清盛はああいう指導(笑)の仕方にしたのかなーと。
単に「昔の心を忘れて、政治に生きる人になってしまった」ってことじゃないと、私は感じました。

【その他いろいろ】
■ついに崇徳さま流罪。ホントに善意なんだろうけど、無理めな希望を投げかける西行には「いらんことすな」って正直思ったわぁ…。
■相撲節会は、「義経」の五足以来の裸狩衣! しかし、五足ファンだった友だちも、あのお相撲さんには別に喜んでないだろうなぁ。
信頼さんを超お気に入りの後白河ですから、お相撲見て「…ゴクリ」となるかと心配したんですけど、そんなことはなかったですね。信頼に対しては、このドラマでは純粋にキャラがおもろいから気に入ってるだけらしい。
お相撲のルールはよくわかんなかったけど、土俵がないから、とにかく土をつけるしか勝つ方法がないってことか? そう思うと今よりシビアですなぁ。しかし、昔の食事であれだけ太るのは難しそうだよね。
「優勝してお言葉をもらえるかとおもったら、後白河はお茶碗のことだけ気にしてた」シーンは、義朝の登場シーンと同じくらいいたたまれなかった…。
■清盛とその兄弟総出のダンスは、なんだかほほえましくて嬉しくなってしまった。
経子は、眉つぶしてたけど、ちょっと現代的な可愛さが残るように工夫されてましたね。子役の真ん丸い顔の子のほうが可愛かったけど、本役もいい感じ。モーニング娘。なんでしたっけ?
清盛と重盛とのやり取りにおろおろしながらも、しかし場を乱さずに動く様子が、「普通のお嬢さん」っぽくてよかった。ところで、この時点で維盛は生まれてるはずなんだけど、経子の子どもってことになるのかなぁ。
経子と結ばれる前にどっかで知らん女と子ども作ってる…だったら、それこそ清盛に投げ飛ばされそうだが。


■さて、次回からは本格的に平治の乱への階段を登っていくようです。
頼朝もティーンな子役に代わったわけですが、おおーっ「おひさま」の春樹兄さん!! 春樹兄さん好きだった私としては非常に嬉しい。webのニュースとかでは「家政婦のミタの…」って紹介されてるけど、NHK好きにとっては「春樹兄さん(子役)」だよなぁ。この役者さんは。時期的にもミタより早かったし(といっても、私、ミタみてない。)。
■そうそう、時期的には次回あたりで義経も生まれますねきっと。階段を上った先の、その先も既に地中深く芽吹くための準備に入っていくわけでして、そのへんも楽しみ。
建礼門院徳子や、摂関家に嫁ぐ盛子も既に生まれてるはずなんですけど、そっちはこの先どこで出てくるのかなー。
by mmkoron | 2012-06-17 22:07 | 大河ドラマ「平清盛」

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