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源平観戦日記


第41話「賽の目の行方」

■いよいよ平家の転落がじわじわ始まる…ってのがこのあたりですね。
前回で後白河との調整役を担っていた滋子が死に、清盛は我が娘・徳子と高倉帝との間に皇子が生まれ、後白河の影響力を気にしなくてよい立場になれることを待ってる状態です。
ところで。
このとき高倉帝は15歳。徳子のほうが6歳ほど年上です。
まだ15なんだから急がなくていいじゃーんって思いたくなるわけですが、実はこの時点で高倉帝にはめでたく第1子(皇女)が誕生してます。しかも、この皇女のお母さんは、高倉帝の乳母です。
滋子が倒れた頃にこの皇女が誕生してるのですが、みんな「よかった…女だった…」とほっとしたでしょうね。特にこの乳母が(あってはならんことになっちゃっるわけなので)。
高倉帝って、後白河と清盛の間で苦悩する役回りで描かれることが多いので、繊細な青年イメージなわけですが、20そこそこで崩御してるとは思えないほど子どもがいたりもします。
まぁ帝のお仕事のひとつではあるわけなので、お役目に対して忠実な人だったのかもしれません。

■さて、今回はインターバル的な回で、あまりドカンと盛り上がるわけではないトコロです。
このドラマ、やっぱり1回1回の盛り上げはあんまし巧くないような気がします。特に中盤以降、視聴者の興味関心よりも「全体の流れを考えると、ここは描いときたい」を重視した結果、受け身で視聴してるとちょいダルい展開になってる回が多い。私とか、毎回じっくり観てる層には苦ではないんですけど。

■最愛の女性・滋子を失い、後白河の今様歌唱力は、ついに「極めた」域に達したそうです。乙前はそう太鼓判を押します。目指す道と音が重なったんですって。目指す道、というのが何なのかよくわからないわけですが。乙前、ほんとマジで後白河をおだててその気にさせるのやめて…。
■滋子を失ってしょんぼりしてるのは、その子・高倉帝も同じ。
そんな彼に「建春門院の血を引く皇子を、必ず産みます」と伝える徳子。ここで高倉帝にプレッシャー与えるのかよ!って思ったけど、そういう意図ではなく、母を失った高倉に、母の血を濃く引く子どもを産みます、と励ましているんですね。
■さて、この皇子誕生でイライラしてるのは清盛。皇子誕生祈願のため、厳島へのご祈祷と捧げものを欠かしません。清盛がそんなに信心深いのも違和感ですが、こればっかりは授かりモノだから、祈願するくらいしかできないですもんねー。
そんな清盛に不穏な噂が届きます。
後白河法皇が、我が子「九の宮」「十の宮」を呼び寄せ、高倉帝の養子にしたというのです。このふたりは、母親の身分が低いこともあり、僧にする予定になっていた皇子たちです。
それを養子にするというのは、「徳子に皇子が生まれなかったときのための、保険」みたいなもの。でも、徳子も帝もまだ若いわけですから、平家側からしてみれば「大きなお世話」ですよね。
しかも、高倉の子でなく自分の子を持ってくるあたり、権力を維持したいという後白河の権力欲もミエミエなわけです。

※ちなみにこのふたりの宮ですが、結局は僧籍に入ってます。

■後白河への牽制を清盛から命じられた重盛。
彼は、弟・知盛を蔵人頭(帝の側近役)にしてほしいと推薦しました。自分たちが知らないうちに、勝手な決定が帝に行かないようにしたかったのでしょう。非常にまっとうなやり方ですな。
しかし、愛する滋子亡き今、政治的空気を読む気なんてさらさらない後白河が、平家に気を遣うはずがありません。蔵人頭の役には、後白河側近が就いてしまいました。
平家に遠慮する気なんてないよ、と意思表示してくる後白河側ですが、清盛は「あっそ」とばかりに、なんと比叡山のトップ・明雲との連携を始めます。
かつて「強訴」で散々政治に口を出してきてたのがこの比叡山勢力ですが、こうなったら、強訴よりも後白河の口出しをなんとかするほうが急務、ってことですな。
清盛はすっかり政治家というか、根回しと陰謀の世界の住人になってます。外から見れば、藤原摂関家が平家にすりかわっただけですよね。

■そんな清盛や平家への不満を溜め込んでいくのは、地方の武士たち。
武士である平家が政治の中枢に躍り出たものの、相変わらず税の取立ては容赦がなく、生活がよくなっていくという実感も展望も持てません。
この1176年は、滋子だけでなく高松院姝子内親王や、九条院藤原呈子も亡くなっていて、その法要の支出をまかなうために、追加で税を取り立てるというのです。
ちなみに、高松院は鳥羽院と美福門院の娘(八条院の妹)で、二条帝の中宮でした。九条院は、藤原忠通の養女で近衛天皇(鳥羽院と美福門院の子)の中宮。
ちなみに高松院と滋子はほぼ同じ年齢で、その10歳くらい上が九条院です。こういうの見てると、女の厄年って当時は的を射てたんだなーとか思います。
■って、話が脱線しましたね。
東国でも、追加の課税で、北条時政ががっくりしてます。そんな父の様子を見ながら、今日も頼朝の屋敷へ向かう政子。藤九郎をひっつかんで、先日触ろうとして頼朝に怒鳴られたあの太刀が、何だったのかを聞き出します。通りかかった頼朝に見つかって、余計なことを言うなとたしなめられますが、「源氏に伝わる名刀」の響きにウットリな政子は、興味津々。スライディング土下座までして見せてくださいとお願いするのでした。
政子に対して、頼朝が結構ぞんざいな扱いなのが面白いですね。「全てを諦め、諦念の世界にどっぷり浸った貴公子」というポーズから自由に、素になってるというか。
■呆れた頼朝は政子に太刀を見せてくれました。
この太刀を奮う勇ましい武士の雄雄しい姿を思い描いて、もうウットリな政子。
そんな彼女の姿に、頼朝は自分の父親がまさに彼女の思い描く雄雄しい武士の姿であったことを語ります。そしてその父が破れ、勝者となった清盛から敗者である自分を思い知らされたことを。
しかし、空気を読まない政子にはそんなセンチメンタルは通用しません。
「立ち上がれ!源氏!!!」といきなりのハイテンションで頼朝を叱咤します。政子の激励をすり抜けて、「昨日が今日でも今日が明日でも…何も変わらない」と自分の世界にまた引きこもる頼朝。政子は持ち前のポジティブさで、頼朝の後ろ向き思考を「明日を帰るのは今日ぞ!(だから、いま、前を向け!!)」と再び叱咤するのですが、清盛に気おされた記憶が忘れられない頼朝は、政子の呼びかけには応じません。

■頼朝がすっかりビビってる相手である清盛ですが、彼と後白河との関係はいよいよ難しくなっていました。
福原に来た後白河は、滋子亡きいま、もはや福原を再び訪問することはない、と決別宣言をして去っていきます。これまでの連携関係は最早続かないと悟った清盛は、後白河一派を押さえ込む時期が来たと、ついに動きます。
■その方法がなかなか陰険。比叡山に手をまわし、その傘下にある寺を訪れた、西光の息子達を挑発。最終的に西光の息子・師高&師経たちが寺を焼き払う事態にまで誘導したのです。その結果、比叡山が師高・師経の罷免を求める強訴を起こしたのです。後白河側近の勢力を削ぐ作戦ですな。
裏に清盛の息がかかってるとも知らない西光は、後白河の御前に重盛を呼び出し、強訴を抑えよと命じます。どうやら重盛も清盛の暗躍を知らないようで、お役目大事とばかり、強訴鎮圧を約束してます。
重盛に、我が子2人を守ってほしいと頼む西光。お前ら平家にタテついといて、うちの子のこと守ってねとかどんだけ厚かましいんだと思うわけですが、師高たちがお寺に宋銭でお礼をしようとしてるところからも考えると、彼らとしては平家を潰しにかかるというよりも、あくまでも自分たちのほうがイニシアチブを持って置くようにしたい、上下関係をはっきりわからせてやりたいくらいの感覚なのでしょう。
■さて、強訴鎮圧を命じられた重盛。しかしあくまでも軍勢を見せて脅しをかけ、向こうが逃げていくように仕向けようとしました。なのに、うっかり神輿に矢を射掛けてしまったというのです。
もう公家連中は大騒ぎ。罰がくだるーとうろたえてます。
そんな中、後白河は冷静でした。この一連の展開に、清盛の気配をかぎとっているのでしょう。
まさにご名答。福原に参上し、神輿に矢を射掛けるという不手際を詫びる重盛を、逆に褒める清盛。
清盛は言います。こうなった以上、後白河側は強訴側の要求どおりに師高・師経を差し出して手を打つしかないと。
最初の寺での諍い、そしてひょっとしたら自分とこの郎党の不手際までもが清盛の仕組んだ罠だと知った重盛。彼は愕然とします。
重盛は、王家と連携し世を安定させた先に、清盛の考える事業があると思っていたのです。
しかし、今回の清盛の罠は、王家との連携を自ら断つともいえる行いです。
父の真意を問う重盛に、ただ「賽の目は変わる」とだけ答える清盛。滋子が生きていて後白河のワガママ気ままを制御できたときはいざ知らず、今は後白河との連携は不要。それが清盛の判断です。
野放し状態の後白河が、共闘できる存在ではないことを、清盛はイヤってほど知ってますからね経験で(笑)。
後白河を切り捨て、徳子が皇子を産んだ時点で高倉院政を開始し、後白河院政を終わらせる。それが清盛の思い描く、王家との関係です。後白河と手を切って、王家を次の時代に移行させたいわけですね。
■でも、重盛は四角四面の人なので、後白河院政の今、お支えすべき王家のトップは後白河院、という考え方なので、清盛の発想は「王家をお支えしない」でしかなく、その考えについていけません。
このへん、視聴してる側にも、この感覚の違いってわかりづらいだろうな。。。
■そして、最終的に西光の息子達は流罪となりました。その西光に、これは全部清盛の罠だったのだと語る後白河。味方にくらい先に言っといてやれよ…。
怒り心頭で、清盛に協力していた宋銭を投げつける西光。「面白くないのう」とどこかで聞いたフレーズが口をつく成親。そして自分から決別宣言しときながら、相手から決別宣言&仕返しされたことは許せない後白河なのでした…。なんとしてもやり返してやりたくて仕方ありません。
そして、あの計画が始まってしまうのです。鹿ヶ谷に集まる人々の姿が…

■強訴事件の顛末は各地に届きます。
そろそろ出家する年齢になった遮那王。ですが、弁慶から聞かされた、実の父親の話が忘れられず、どうにも出家に踏み出す気になれません。迷う心のまま、笛を吹きます。
■その笛と呼応するかのように、東国では笙を奏でる頼朝が。
そして、いよいよ勢いを増す平家の様子に、ただただ自領の安定、家族の無事を願う時政は、政子に嫁に行って家庭で幸せになれと言い聞かせるのです。
しかし、その言葉にも乗り気になれない政子。源氏側でも変化の兆しが育ち始めています。
by mmkoron | 2013-01-13 18:22 | 大河ドラマ「平清盛」

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