◆「義経伝 桜吹雪に散りゆく恋」
学研/600円/2005年1月発行
執筆:岡野史佳 都筑せつり 篠原烏童 たむら純子 冬森雪湖 香椎オルカ 霧島珠樹 CHI-RAN わたなべあじあ (カラー口絵)岩崎陽子 (表紙)唯月一
◆「紅蓮の義経記」
幻冬舎/1029円/2005年9月発行(一部webコミックGENZOにて購入可能)
執筆メ:斎藤岬 碧也ぴんく 真崎春望 猪川朱美 梶原にき 松山花子 世哉雅英 乾みく (表紙)田村由美
■並べて紹介したほうが違いがわかりやすいので、変則的な紹介の仕方にしました。
■「桜吹雪」のほうが、タイトル通り義経(たまに弁慶)の恋愛主体。
静との話が多いのですが、異形の者との恋愛っていうお話もいくつかありました。語る視点は静だったり、第三者的視点だったり。べったり義経視点のお話はなかったかな。
郷御前(平泉で一緒に死んだという奥さん)がいなかったのはちょっと残念。
せっかく義経の恋バナ(^^)でそろえるなら、彼女のお話を描く人も呼んで来てほしかったなー。
あとは意外な、某さんとの恋愛モノとか。逆では読んだことあるけど、こっちは初めてだわー!と新鮮で面白かったです。話の強さも絵柄も他の作品に比べて良い意味で異質なので、この漫画が1冊全体を引き締めてると思いました。
■「紅蓮」のほうは義経がらみのいろいろな関係を漫画にした形です。恋愛色は薄め。
おそらく後者は、企画時に題材がかぶらないように依頼したんじゃないかな?
「鞍馬時代の師匠」「静」「弁慶」「義経主従モノ」「頼朝」と、扱うネタが微妙にズラされてます。
漫画としてパリっとしたカンジが好きなら、または少女漫画を読みなれてない男性でしたら、こちらの方が読みやすいかも。絵柄もこちらのほうがシャープな感じですし(前者はふわっとした絵柄が多い)、コマ割も、少女漫画文法の使用率が低いです。
■「義経」で検索したら出てきたのでウキウキ購入したのですが、最初読んだ印象は
短い!
「アンソロジーはそこがいいんだよ」と言われたらそれまでなんですけど、作者の「これが言いたいんだ」の手前で終わっている場合もあるように感じて、ああ続きが読みたいなーって。
こういう本の場合、「義経であること」をメインに作品があるべきなのか、それとも義経を材料に、何かコンパクトに作品をまとめる「テーマ」を持ち出す方がベターなのか、どういう作品を入れ込むと読者にとって一番魅力的なんだろう?
と、まるでアンソロ企画担当者のような気分で考え込みました。うーん。
自分が平家で読むならどんな構成になってる本がいいだろう?
■あと、歴史モノで漫画のアンソロジーって難しいんだなと改めて思いました。
何が難しいって、
作品ごとに義経の顔が違う。
当たり前なんですけど、これって意外と読む側には引っかかりませんか?
私は自分が漫画のマネゴトをしてるくせに、そこで引っかかってましたよ…とほほ。
■自分の不器用ゆえにちょこっと意見も書きましたが、プロの漫画家さんのカッコ良い・可愛い・きれいな義経がたくさん読める2冊です。既に義経が好きで、義経像をいっぱい膨らませたい!というアナタは、お好みのほう、もしくは両方どうぞ♪